カネが乱れ飛ぶ教育監選挙(下)

教育予算から105億円投入

 法定選挙費用は、ソウル教育監が38億5700万ウォン(約3億2000万円)、京畿教育監が40億7300万ウォン(約3億4000万円)まで使用が認められている。だが、ソウル教育監選挙に出馬するC候補の関係者は「ソウルと京畿道の教育監選挙に出るためには、候補一人当たり最低でも60億ウォン(約5億円)は掛かると考えるべき」と語る。相当な資産家でなければ、選挙費用のやりくりは事実上不可能との話だ。

 教育監候補は、政府や後援者からも選挙費用の支援を受けられる。公職選挙法によると、有効投票数の15%を獲得した候補者は、選挙後に費用を回収できる。また候補者は5月14日以降、選挙費用の半額以下であれば、後援会から寄付金を集めることも認められている。

 だが、教育界では「ソウルの場合、教育監候補が15人ほど乱立しているため、選挙費用を回収できる候補は一、ニ人止まりだろう。それもカネを回収できるのは選挙後のため、結局は候補が個人的に何十億ウォンもの資金を準備しなければならない」と指摘する声が上がっている。

 このような選挙構造では、不正や違反は避けられないとの指摘が相次ぐ。孔貞沢(コン・ジョンテク)前ソウル市教育監の収賄事件で明らかになったように、 教育監が直接選挙で選ばれる今の方式では、人事面で見返りを求める人物が後を絶たないということだ。「教育先進化運動」のキム・ジンソン常任代表は「現行の制度では、候補者が選挙違反をしないわけにはいかない」と指摘する。

 梨花女子大のパク・ジョンス教授は、「知事と教育監が緒に立候補するとか、知事が教育監を任命するなどの方法が考えられる。そうでなければ、『潜在的な犯罪者』を生み出す教育監選挙の弊害は続くだろう」と語った。

アン・ソクベ記者

オ・ヒョンソク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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