8月公開予定の映画「NECK(ネック)」に登場する架空の作家「越前魔太郎」名によるライトノベル2本が「魔界探偵 冥王星O(オー)」シリーズとして6日に講談社ノベルズ、10日に電撃文庫からそれぞれ出版。複数の作家が覆面でかかわっており、同一名義の同一シリーズの小説が、異なる出版社から同時に発売されるのは出版界初の試みだ。
「魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV」(講談社ノベルズ)と、「魔界探偵 冥王星O ウォーキングのW」(電撃文庫)。「NECK」は舞城王太郎さん原案の映画で、越前魔太郎は女優の相武紗季さんが演じる主人公の幼なじみの人気作家として登場し、俳優の平岡祐太さんが演じる。
「魔界探偵 冥王星O」シリーズは、食物連鎖の頂点に立ち、闇の中で暮らしている謎の存在がいるという設定の世界が舞台。謎の存在が人間に接触したり、捕食するなどのトラブルを解決するための便利屋の魔界探偵「冥王星O」を主人公に物語が展開する。
越前魔太郎を「作家デビュー」させる案は講談社で浮上。映画の単純な小説化ではなく、オリジナルな要素を盛り込み、小説としての面白さを追求した。講談社は、電撃文庫を発行するアスキー・メディアワークスと組み、今回のシリーズで小説の可能性を追求する狙い。
越前魔太郎には複数の作家がかかわっており、ホラーやミステリーのジャンルを問わず、さまざまな文体を使い分ける。参加している作家たちは、作品の軸がぶれないように、表記や世界観は統一させるが、ストーリー展開は個々の作家に委ねられるという。電撃文庫編集部は「世界観を使って自由に遊んでもらえれば」、講談社ノベルズ編集部は「(シリーズの)最後に書く人がどうまとめるのかを見てほしい」と話している。
「魔界探偵 冥王星O」シリーズは今後、6月上旬に「ホーマーのH」(講談社ノベルス)と「フィータスのF」(電撃文庫)、6月下旬に「ペインのP」(MW文庫)、8月上旬に「ジャンクションのJ(仮称)」(講談社ノベルス)と「トイボックスのT」(MW文庫)が刊行される予定。(毎日新聞デジタル)