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【社会】

違法に投資集めた疑いで一宮の3人逮捕 「避妊具自販機でエイズ根絶」

2010年4月9日 朝刊

押収した避妊具と自動販売機=8日、岐阜羽島署で

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 エイズ根絶のためと称し配当金を約束して避妊具の自動販売機設置事業へ出資を募ったとして、岐阜県警生活環境課などは8日、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで、愛知県一宮市貴船の自動販売機取扱会社「ティアラ」役員、山口竹夫(55)=同市九品町=と同社役員江崎久美子(57)=同、同社社員山口高志(29)=同市貴船=の3容疑者を逮捕した。

 逮捕容疑では、3人は2008年9月から09年8月にかけて、岐阜県高山市の無職女性(68)ら4人に、避妊具自動販売機の設置事業で1口あたり105万円を出資すれば、売り上げから毎月1万円の配当金が得られると勧誘。国に登録せずに金融商品取引業を営み、630万円を集めたとされる。

 同課は、山口容疑者らは会社を設立した01年6月以降、東海地方や九州、四国など2府24県の970人から計約10億円を集めたとみている。出資者への配当金は支払われていたが、これまで実際に設置した自販機は約450台にすぎず、集めた金を山口容疑者らが遊興費などに充てていたとみて資金の流れを調べる。

 同課によると、同容疑者らは「エイズ予防対策協議会あ・うん」の団体名でNPO法人とかたって、全国各地でエイズ撲滅の講演会を開き、会場で出資を募っていた。

◆全国で講演、出資募る

 岐阜県警によると、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕された江崎久美子容疑者は、全国各地でエイズへの危機感を訴える講演活動を通じて知り合った人たちから自販機設置の出資を募っていた。

 江崎容疑者が理事長の「エイズ予防対策協議会あ・うん」は「エイズ根絶に向けて全国でPR活動をしています」とホームページでうたい、同容疑者は月の半分は講演活動に従事。昨年の本紙の取材には、エイズ予防を呼び掛ける「街の風運動」を立ち上げ、青少年が立ち寄りやすいゲームセンターや商店などにボランティアで自販機を設置してきたと話していた。

 県警によると、1台7万2千円する自販機は、内縁の夫の山口竹夫容疑者とともに役員を務める会社が設置。自販機には「売り上げの一部はエイズ予防の活動へ募金されます」とうたっていたが、売上金の回収や商品補充などはしていなかった。

 岐阜県本巣市で経営する飲食店に昨年12月、自販機を設置した男性は「江崎容疑者は新しい高級外車に乗ってやって来たので、ほかの仕事でもうかっているんだと思った。熱心に活動していると思っていたのに、けしからん」と憤った。

 

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