厚生労働省から自称障害者団体を郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書が発行された事件で、大阪地検特捜部は6日、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた同省元局長村木厚子被告(54)の上司だった元障害保健福祉部長が、昨年5月の特捜部による事情聴取の開始直後に相談したとされる元首相秘書官から当時の経緯などについて任意で聴いた。
関係者によると、元首相秘書官は特捜部に対し、「(元部長には)『後先を考えず、本当のことを正直に検察に話したほうが賢明だ』と電話で助言した」などと説明したという。2人は元首相が閣僚時代からの知り合いという。
元部長は元首相秘書官に相談した後、自らの判断で証明書発行をめぐる村木元局長への指示などを認める説明を検察側にしたとされるが、村木元局長の公判では「記憶がない」などと証言した。
この日の元首相秘書官の説明を踏まえ、検察側は元部長の捜査段階における説明の信用性が高まったと判断。元首相秘書官の供述調書を今後の公判で証拠として提出するとみられる。
元首相周辺は3月、朝日新聞の取材に「(元部長には)『本当のことを正直に話しなさい』とだけ言った」としている。