熱血!与良政談

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

熱血!与良政談:「白か黒か」ではなく=与良正男

 昨秋、鳩山政権が発足した直後にライバル(!)朝日新聞の研究誌「Journalism」(ジャーナリズム)から頼まれて、「発想の転換と取材手法の変革がいま私たちに求められている」と題して、こんな話を書いた。

 「いきなり、不安や懸念ばかりを書き立てることが、今度の衆院選で『チェンジ』を求め、政権交代を選んだ多くの有権者の期待に応える報道だろうか」「性急に結論を求めるのではなく、ここは一つでも二つでも改革が進むよう政権の背中を押すのがマスメディアの仕事ではないか」

 ところがその後、「週刊現代」1月9・16日号誌上で、評論家、立花隆氏に「要するにいまの鳩山政権は相当にひどい状態で、不安と懸念がいっぱいなのだが、それには目をつぶって、現政権の後押しをするのが、メディアの役割といっているのだ」と断定されて、戦中の「大本営発表の時代」に等しいとまで酷評されてしまった。

 この世界の大先輩に名指しで批判されてとっても光栄だ。でも、その文でも書いた通り、権力を厳しく監視するのがマスコミの大前提なのは当然だけれど、単純に政治を批判していれば済む時代ではなくなったのではないか。そう問題提起をしたかったのだが、通じない人にはなかなか通じない。

 一方で小沢一郎民主党幹事長の政治資金問題に関し、私は政治家としての責任を再三問題視してきた。が、そう書くと少なからぬ読者から「なぜ新政権のじゃまをする」「あなたは自民党政権の方がよかったと思っているに違いない」と便りが届く。10年以上も前から私は「日本には政権交代が必要」と書き続けてきたのに。

 やれやれ。

 愚痴を言っても始まらないから、先週、約束したように、新聞の「小沢氏報道」について書く。結論を言えば、東京地検特捜部の捜査のあり方に対し、あまりにチェックが足りなかったと思う。率直に認める。「リーク報道」批判に対し、各紙は「私たちは関係業界や弁護士らから夜を徹して取材して報道している」と反論を載せたが、懸命に仕事するのは当たり前で説明にならない。捜査を最も身近に取材しているのも新聞記者だ。事件報道も変わらなくてはいけない。

 「政治=悪」、「捜査=正義」ではないし、その逆でもない。重ねて言うが、世の中、そんなに簡単に白か黒か、決めつけてはいけない。灰色部分を丁寧に解き明かしていくのが新聞の仕事だと信じている。(論説副委員長)

2010年4月8日

PR情報

熱血!与良政談 アーカイブ

4月8日「白か黒か」ではなく=与良正男
4月1日「小沢氏報道」の消耗戦=与良正男
 

おすすめ情報

注目ブランド