哨戒艦沈没:「政府は漁船乗組員に無関心すぎる」

第98クムヤン号の行方不明者家族ら、水中探索装備の使用を要請

海軍「流れが速く使用できない」

 8日午前6時ごろ、大青島から南側に55キロほど離れた第98クムヤン号の沈没地点。海洋警察の警備艇で現場を訪れた行方不明者家族7人は、甲板に出て焼酎を1本ずつ波打つ海に注いだ。行方不明になった船長キム・ジェフさん(49)の弟ジェフンさん(40)は、「兄さんが死んだとは絶対に思っていない。兄さん、絶対生きていると信じてる」とつぶやいた。家族らは涙を流し、最近遺体で発見されたキム・ジョンピョンさん(55)とインドネシア人のヌルカヒョさん(36)のための菊の花2本を海に投げ入れた。家族らは海洋警察関係者から、「遺体は必ず見つけます」という言葉と捜索状況についての説明を聞いた後、夜10時ごろ仁川に戻った。

 行方不明者家族は、進まない捜索活動と海軍の協力がないことに怒りをあらわにした。行方不明者家族対策委員長を務めるイ・ウォンサンさん(43)=行方不明者イ・ヨンサンさんの弟=は、「2日ほど前、水中探索装備の導入を海軍に要請したが、『天安』の捜索に海軍の装備と人員をすべて動員しており、支援は難しいと言われた。海軍を助けようとして行方不明になった船員たちに対し、政府や軍はあまりに無関心ではないか」と声を荒らげた。イさんは「金盛賛(キム・ソンチャン)海軍参謀総長と、われわれを助けると言った鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相に対し、『水中探索装備』を導入してほしいとの文書を送るつもりだ。海難救助業者は可能だと言っているのに、なぜ海軍は駄目だと言うのか」と話した。

 これに対し、海軍関係者は「水中で撮影可能な装備があるが、潮流が2ノット(時速3.7キロ)以上では使えない。『天安』の捜索作業でも使えない装備だ。事故が起きた地点の潮の流れがあまりに速く、装備の使用は難しい」と答えた。

 行方不明者家族は、「われわれに『天安』の捜索活動を要請した海軍は、いざ事故が起きても、「すみませんでした」の一言もなかった。2日前から仁川海域防御司令部の将兵2、3人がここを訪れ、まるでわたしたちを監視するかのように見ている」と話した。

 行方不明者家族は、船舶会社が準備したモーテルで宿泊し、家族待機室が置かれている仁川中区沿岸洞住民センターに随時集まっているが、パソコンすらなく、捜索情報や状況を知ることもできない。また、キム・ジョンピョンさんの遺体が安置されている家族愛病院には、焼香所すら設置されていない。行方不明者の家族らは、「遺体の収集、焼香所の設置などについては、第98クムヤン号が登録されている仁川中区庁と海洋警察が協議中だが、全く進展がない」と話す。中区庁関係者は「独身のキム・ジョンピョンさんの家族と連絡がつき次第、出棺の日時を決める」と話している。

仁川=李信栄(イ・シンヨン)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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