哨戒艦沈没:情報の解釈めぐり混乱(下)

 民主党の李鍾杰(イ・ジョンゴル)議員は行方不明者家族会から、「ある行方不明者が事故当日の夜9時16分に、“緊急事態だ”と言って電話を切った」という自らが収集した情報を基に、沈没時間とされる9時22分以前に、「何かが起こった」と主張した。これを基に複数のマスコミが、「9時16分に何かがあった」という疑惑を呼び起こすような記事を、1週間以上にわたり繰り返し報じた。しかし、生存者は誰もが「9時22分以前には何の異常もなかった」と証言しており、軍当局も、李議員が主張した「緊急事態」についての通話は存在しなかったと明言した。

同じ情報の解釈で政府内に混乱

 天安の事故を前後した時期における、朝鮮人民軍の潜水艦2隻の動きについて軍から説明を受けた金国防委員長は、「潜水艦が動いた」と明言したが、大統領府の関係者は「雲などの影響ではっきりと判読できなかった。動いたわけではない」と述べた。同じ情報を基に、まったく別の解釈を下したのだ。事故原因に関する大統領府と軍による情報解釈の違いは、今月2日に金泰栄(キム・テヨン)国防長官に手渡された「VIPメモ」までが国全体に公開されるという事態まで引き起こした。

情報の遮断が漏えいに

 事件初期の状況に関する情報について、過度の秘密主義が不信を呼び起こし、本当に守るべき情報までが公開される事態まで引き起こした。軍は本来、沈没前後の状況を観測した熱線観測装置(TOD)の映像については、「軍の監視能力が分かってしまう」として非公開の方針だったが、「隠ぺい」との指摘を受け、結局は3回にわたって公開した。2回目の公開の際、「これですべてだ」としていたが、7日には「警戒所で撮影した映像が自動的に保存されていることを知らなかった」として、追加で公開した。軍の説明が正しければ、高価な映像機器がどのように使われているのか、軍も把握していなかったことになる。その上、軍が機密としていたTODの映像は、1988年の麗水半潜水艇侵入事件の際、一度公開されたことがあった。軍が当初、「公開できない」としていたTODの映像を改めて公開したことから、今度は交信日誌まで公開せよという要求まで出てきた。国防長官を務めたハンナラ党の金章洙(キム・ジャンス)議員は8日、「交信日誌を公開すれば、韓国軍の暗号システムを北朝鮮に知らせる結果になる」として反対の考えを示した。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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