中国ハッカー、インド国防省から情報入手
昨年3月、カナダ・トロント大学のインターネットスパイ活動追跡・研究機関「インフォメーション・ウォーフェア・モニター(IWM)」は、チベット亡命政府の指導者ダライ・ラマのパソコンをはじめ、103カ国の政府・民間機関に中国のハッカーが侵入していたことが判明したと発表した。
中国のハッカーはいかにしてこれだけ多くの国から情報を奪っていたのか。トロント大と米国の情報セキュリティー専門家が8カ月にわたり追跡したところ、中国のハッカーが愛用していたセキュリティー上の弱点がインド国防省だったことが分かった。
7日付香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、研究陣による逆探知の結果、ハッカーは中国のCNC(命令・制御)サーバー経由で、ツイッター、グーグル、ヤフーなど複数のオンラインサービスを利用していたことが分かった。研究陣はまた、インドの国防省や国家安全委員会から漏えいした情報の一部が中国政府と関係するものだったとの見方を示した。
英フィナンシャル・タイムズによると、米国、カナダの研究陣は、ハッカーが放棄したドメインを通じ、ハッカーらが9カ国のパソコン44台から奪った情報を復元した。このうち35台はインドにあるパソコンだった。米ニューヨーク・タイムズによると、インド国防省からは約1500個の電子メールアドレスをはじめ、インド、国連、北大西洋条約機構(NATO)などに関する機密度が高い情報が、中国・四川省成都市を拠点とするハッカーの手に渡ったという。
中国のハッカーは、インド国防省のパソコンから、アフガニスタンのカブール、ロシアのモスクワなどから送られた外交機密情報を入手していたほか、中印国境問題、中東、アフリカ、ロシアなどに関する情報など、インド国防省が「極秘」または「機密」として扱っていた情報が多く含まれているという。インド国防省は中国のハッカーにとって「宝の山」だった格好だ。
このほか、昨年1-9月には、ダライ・ラマの事務室から約1500個の電子メールを盗み出したほか、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のパソコンもハッキングしたという。
トロント大の報告書は「重要なことは、中国政府がハッカーの活動を中断させるため、どんな措置を取るかだ」と結論付けた。しかし、中国外務省の姜瑜副報道局長は「なぜそんな問題で中国政府をしきりに揺さぶろうとするのか分からない。中国はハッキングに断固反対しており、法に従い、サイバー犯罪と闘っている」と述べ、中国政府の関与を否定した。
インドのクリシュナ外相は、中印両国の国交樹立60周年記念行事に出席するため、6日から北京を訪問している。中国のハッカーの動きが急きょ問題として取り上げられる可能性が高まった。
香港=李恒洙(イ・ハンス)特派員
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