独島:「日本政府の立場」をめぐる駆け引き

「歴史を直視する」鳩山首相、「独島問題についての立場は変わらず」

 日本の鳩山由紀夫首相が、「独島(日本名:竹島)についての日本政府の立場は変わっていない」という趣旨の発言した。独島についての日本政府の立場とは、「明らかに日本固有の領土(2010年外交青書)」であり、「(韓国によって)国際法上の根拠なく、不法占拠されている」というものだ。昨年9月、民主党への政権交代によって就任した鳩山首相は、韓国を訪問した際、「過去(の歴史)を直視する」と発言した。しかし、日本政府は自民党政権時代から、独島の領有権問題を植民地支配の歴史の一つとして把握するという視点を否定し、国家間の領土紛争だ、と言い張ってきた。こうした姿勢を、そのまま維持していくというわけだ。

 鳩山首相は今月7日、「竹島問題についてのわれわれの考えには、まったく変わりはない」と述べた。また、政府の報道官に相当する平野博文官房長官も、「これまで(独島問題について)日本政府が主張してきたことは、変えることはない」と語った。鳩山首相と平野官房長官はともに、独島問題についての日本政府の立場について尋ねた記者の質問に対し、このように答えた。

 記者たちの質問は、岡田克也外相がこの日、国会で行った答弁を受けたものだ。岡田外相は、自民党の小野寺五典議員が、「竹島は韓国によって不法占拠されているという認識を持っているか」と質問したのに対し、「ある程度余裕を持って交渉していく。不必要な摩擦を引き起こすことがないよう努力し、(『不法占拠』という表現を使わないことを)信念としていく」と述べた。その上で岡田外相は、「考えに変わりはない。認識の問題ではなく表現の問題だ」とし、表現によって相手を刺激することなく、交渉を進めていくための戦術にすぎない、という姿勢を明らかにした。日本メディアはこの発言に対し、「日本が譲歩している」と捉え、首相や官房長官の見解をただしたというわけだ。鳩山首相もまた、「まったく変わりはない」という表現を用い、日本政府の姿勢について強調した。

 だが、ロシアと係争中の北方領土問題とは違い、独島問題について、外交の舞台で「不法占拠」という表現を用いないというのは、自民党政権時代と変わらない。北方領土問題の解決の道筋が見えるまでは、韓国との本格的な領有権争いは避けたいという、日本なりの戦術があるからだ。その代わり、教科書では2005年から「不法占拠」という表現を積極的に用い、領土紛争に発展するのに備え、独島問題について国民の意識を高めることに力を入れてきた。岡田外相は「ある程度余裕を持って、(独島問題について韓国と)交渉していく」と述べたが、独島問題は交渉の対象ではないというのが、韓国政府の一貫した立場だ。民主党政権、野党の自民党、メディアが駆け引きを繰り広げつつ、「日本政府の立場」について改めて確認したというわけだ。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る