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【社会】

ウナギ「完全養殖」成功 水産総合センター

2010年4月9日 朝刊

 独立行政法人水産総合研究センター(横浜市)は8日、人工ふ化したニホンウナギから取り出した精子と卵子を使い、次の世代を人工ふ化させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。

 現在のウナギ養殖は、天然の稚魚(シラスウナギ)を捕まえて育てているが、その漁獲量はこの40年で10分の1に減少しており、完全養殖は関係者の悲願だった。

 現状はふ化したばかりで、完全養殖による量産化が可能かどうかは、まだ分かっていないが、同センターは「天然資源に頼らないウナギの再生産の道が開かれ、資源の保護に役立つ」と話している。

 同センターの養殖研究所(三重県南伊勢町)は2002年に人工ふ化させた仔魚(しぎょ)をシラスウナギにまで変態させることに成功。この技術を使って、ふ化から2〜5年たって成熟させたウナギから、精子と卵子を取り出し、人工授精させた。3月26日に25万個の受精卵ができ、75%がふ化して現在、約10万匹が生存している。

 人工ふ化では、原因は解明されていないものの、ウナギの多くが雄になってしまうが、ホルモン投与で一部を雌にして成熟させた。

 今回の研究は、養殖研究所のほか志布志栽培漁業センター(鹿児島県志布志市)で実施した。

 養殖研は1998年には、サメの卵がふ化したばかりのウナギの餌として有効であることを解明した。

 

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