ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン鹿児島> 記事

児童天窓事故 報告と事実に食い違い

2010年04月09日

写真

鹿児島市の向陽小では児童が天窓に直接触れないよう、高さ約2メートルのフェンスを設置している=同市田上町

 安全なはずの学校で繰り返される転落事故。霧島市の陵南小学校(和田敏郎校長)で小学3年生の男児(8)が、屋上の天窓から3階に落ち、頭の骨が折れる大けがをした。県教委は2008年に東京で起きた児童転落死亡事故を受け、県内の小中学校を調査。危険な天窓のあるすべての学校がさくを設けるなど対策を済ませていたはずだった。ほかの学校でも危険はないのか。県教委は改めて、学校に安全管理の徹底を求める。
 県教委学校施設課によると、2008年6月、東京都杉並区での転落事故があった翌日に、安全点検の実施と注意喚起を求める通知を各市町村教委に送った。12月には、県内公立学校の天窓設置状況を市町村を通じて調べた。
 その結果、小学校で111校、中学校で59校に天窓があることがわかった。しかし、天窓がある場所への立ち入りに関しては多くの学校が「不可」と回答。陵南小も「不可」と答えていた。
 「立ち入りが可能」と回答したのは26校で「授業で使用する場所に天窓がある」としたのはわずか4校だった。26校は、現在ではすべてでフェンスを設置するなど安全対策を講じているという。
 「立ち入り不可」と回答した学校では、天窓がある屋上の扉が常に施錠されていたり、天窓設置場所は人が歩いていける場所ではなかったりするため、県教委は「特別に安全対策をする必要はない」と判断していた。
 ここに分類されていた陵南小は、実際には授業で使い、今回の事故を招いた。事実とは違う報告になったことについて、和田校長は「よく分からない」と話している。
 対策は「必要なし」と判断されたほかの学校では天窓をどう管理しているのか。
 鹿児島市田上町の市立向陽小学校では屋上に天窓が四つあるが、高さ約2メートルのフェンスで区切られた場所にある。授業などで屋上に上がった児童が直接触ることはできない。フェンス上部は斜めに折り返した「忍び返し」になっており、簡単に乗り越えるのは難しい。
 同校の徳田博校長や市教委によると、校舎が建った1983年からフェンスはあるという。徳田校長は「屋上に出るドアにもフェンスの入り口にも鍵がある」と安全性を強調した。
 児童が屋上に出るのは授業やスケッチ大会の際などで、年間5回程度。同校ではこれまで危険を感じるようなことはなく、徳田校長は「児童の安全についてはしっかり気を配っているので大丈夫」と話した。
 東京での転落事故直後に実施した鹿児島市教委の調査では、天窓があるのは小学校78のうち16校、中学校39のうち6校と三つの市立高校。天窓はすべて児童、生徒が直接触ることができないようになっていた。ただ、今回の事故を受け、8日、市内の学校すべてに注意喚起の通知を文書で出した。
 県教委学校施設課の福山徳治課長補佐も「立ち入り不可としている学校でも、実際に入って授業をしている実態が明らかになった。事態を重く受け止め、改めて各校に注意喚起をしたい」としている。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり