2010年4月9日
鹿児島県霧島市の市立陵南小学校(和田敏郎校長)で8日、3年生の男子児童(8)が屋上の天窓から落ちて大けがをした事故で、市教委は同小が授業で屋上を使うとは認識していなかったことがわかった。学校は「児童が屋上に上がることはない」と市教委に報告していた。県警は、学校側に安全管理上の不備がなかったかも含め、事故の詳しい状況を調べている。
県警霧島署によると、男児は約4.6メートル下の3階部分の廊下に転落し、頭の骨が折れて大けがをした。天窓は高さ45センチの台座の上にアクリル製のドーム状の覆いがされ、内部にガラスがある構造。覆いは底辺が縦横84センチの正方形になっている。児童は覆いの上に乗り、覆いとガラスを突き破って落ちたらしい。
天窓の周りには防護さくなどはなかった。担任の教諭によると、事故の直前、2、3人の児童が天窓付近で跳びはねているのを見た児童がいるという。
東京都杉並区の小学校で2008年6月、児童が天窓から転落して死亡した事故を受けて、鹿児島県教委は各学校に同様の事故を防ぐよう通知を出していた。天窓の周囲に防護さくを設けることなどを求める文部科学省の通知を踏まえたものだ。
霧島市教委によると、同年6月と8月、市内の小中学校について天窓の有無などを調査した際、陵南小は2回とも「天窓はない」と回答。市教委は同年9月、校舎の耐震工事の事前調査で天窓があるのを把握した。それでも「出入り口を施錠しており、屋上に上がることはない」と学校側が説明したため、県の調査に対し「立ち入り不可で授業での使用も無し」と報告していたという。
しかし、実際は遅くとも08年4月から、社会科の授業で年1回ほど屋上が使われていた。市教委の高田肥文教育長は「授業で屋上を使うことは今回初めて知った」と話した。和田校長は記者会見で「天窓に上るとは想定していなかった。私の監督不行き届きで申し訳ない」と陳謝。「市教委の調査に天窓はないと報告したのは誰かよく分からない」と話した。