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【国際】

ロシア融和演出 『カチンの森』事件70年式典

2010年4月8日 朝刊

 【ベルリン=弓削雅人】第二次世界大戦中にポーランド軍将校らが旧ソ連軍に大量虐殺された「カチンの森」事件七十年の追悼式典が七日、ロシア西部の現地で行われた。ロシアのプーチン首相はポーランドのトゥスク首相を招待、同事件の追悼式典で初めて両国首相が同席した。

 式典でプーチン首相は「スターリンの名のもとに行われた弾圧は正当化することなどできない」とした上で「だが、ロシア民族すべてにこの責任を負わせることも間違っている」と語った。ロシアでは二日、事件をテーマにしたポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の映画「カティンの森」がテレビ放映されており、融和への演出とも受け止められている。

 ロシア側には、ミサイル防衛(MD)参加などで対米協調を強めるポーランドに歴史認識問題で歩み寄り、欧州連合(EU)への影響力を強めたい思惑があるとみられる。

 カチンの森事件をめぐっては、一九九〇年、ゴルバチョフ大統領(当時)がソ連の関与を認め、謝罪した。しかし、ポーランドの不信感は根深く、カチンスキ大統領は今回の式典に出席しなかった。

<カチンの森事件> 旧ソ連の秘密警察、内務人民委員部が1940年、ポーランド軍将校ら捕虜約2万2000人を銃殺、ロシア西部スモレンスク郊外の森に埋めた事件。ナチス・ドイツ軍が43年に遺体を見つけ発覚。ソ連はナチスの犯行と主張したが、冷戦終了後、独裁者スターリンの指示だったことを示す署名入り記録などを公開した。

 

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