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カチンの森事件:発生70年 ロシアとポーランド、両首脳そろい追悼

 【モスクワ大木俊治】第二次大戦中にポーランドの軍人ら2万人以上が旧ソ連で虐殺された「カチンの森事件」から70年に合わせた犠牲者追悼式が7日、現場であるロシア西部スモレンスク州の追悼施設で開かれた。ロシア主催の式典にはプーチン首相とポーランドのトゥスク首相が出席、両国間で政治対立の一因になってきた事件の「和解」を演出した。

 ◇関係改善に動く

 ロシア首脳の現場入りと、両国首脳そろっての追悼行事参加は初めて。インタファクス通信によると、プーチン首相は式典で「この犯罪を正当化することはできない」とソ連政権の責任を明言する一方、「ロシア国民に罪を押しつけるのも間違いだ」と述べた。

 ポーランドは99年、北大西洋条約機構(NATO)に加盟。05年に反露派のカチンスキ大統領が就任し、ロシアとの緊張が続いてきた。だが07年に首相に就任し、今秋の大統領選出馬が見込まれるトゥスク首相は対露関係改善に動いており、ロシアは今回あえて大統領でなく首相を招いたとの見方が強い。カチンスキ大統領は10日、同じ場所でポーランドが主催する追悼式に出席するが、メドベージェフ露大統領は参加しない見込みだ。

 ロシア国営テレビは2日、同事件を告発するポーランド映画「カティンの森」(ワイダ監督、07年製作)を国内で初めて放映した。インタファクス通信によると、ワイダ監督も7日、ポーランド代表団の一員として式に出席した。

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 ■ことば

 ◇カチンの森事件

 1940年4~5月、ポーランド人の戦争捕虜ら約2万2000人を当時のソ連秘密警察が銃殺し、遺体を埋めた事件。埋葬場所は、ロシア西部スモレンスク州の「カチンの森」やウクライナ東部ハリコフなど5カ所とされる。41年にソ連に侵攻したナチス・ドイツ軍が43年2月、大量の遺体が埋められているのを発見し、ソ連の仕業として世界に告発。ソ連はドイツ軍の犯行だと反論していたが、90年にゴルバチョフ大統領がソ連の関与を初めて認め、謝罪した。

毎日新聞 2010年4月8日 東京朝刊

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