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「検査の結果=①」 かんぽの宿の譲渡等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨) ニュース記事に関連したブログ

2010/03/26 18:20

 

 タイトルは長いのだが、ようは「かんぽの宿」の売却を会計検査院が再調査・検査をしたということである。

 

これは、参議院から昨年、会計検査院に「かんぽの宿」の売却の検査を要請をされたことで行われたのただが、検査をするという話が出たのは昨年の4月だったように思う。

 

ブログの文字数制限により、三記事に分けざるをえなかった。各新聞社も一応は記事にはしたのではあるが、わずか10行程度の短いものでしかなかったことを付け加えておこう。

 


 

かんぽの宿の譲渡等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)

 

 

平成2 2 年3 月

会計検査院

 

検査の背景及び実施状況

 

1  参議院からの検査要請の内容

 

(1)  検査の対象

総務省日本郵政株式会社

 

(2)  検査の内容

簡易生命保険の加入者福祉施設等の譲渡等に関する次の各事項

 

① 旧日本郵政公社及び日本郵政株式会社における簡易生命保険の加入者福祉施設等の運営管理等及びその承継に係る会計処理の状況

② 旧日本郵政公社等が締結した譲渡等に関する契約の内容、手続、予定価格の算定等及び譲渡等の後における施設の利用等の状況

日本郵政株式会社が締結した譲渡等に関する契約の内容、手続等の状況

 

2  検査の実施状況

会計検査院は、総務省日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)等から調書及び報告を徴し、施設の運営状況、減損会計の実施状況、契約の実施状況等を専門家の意見も踏まえて分析するとともに、総務省日本郵政の本社及び地方組織等計26か所の会計実地検査を行った。

 

検査の結果

 

1  加入者福祉施設等の運営管理等及びその承継に係る会計処理について

 

ア 簡易生命保険の加入者福祉施設について

平成21年3月末現在、日本郵政が運営管理しているかんぽの宿等(旧加入者福祉施設)は、全国の主な保養地等に所在する71施設となっており、その簿価は269億2599万余円、建設に要した費用は総額2666億2676万余円となっている。20年度の宿泊利用者数は、これらの施設の合計で211万人(1施設当たり平均3万人)となっている。

 

客室稼働率は71.2%、定員稼働率は50.8%となっていて、民間の中規模旅館より相当良好な状況にある。

 

宿泊単価は年々少しずつ上昇して20年度は平均11,034円となっているが、民間の中規模旅館の平均14,322円よりも23%低くなっている。

 

かんぽの宿等71施設における各施設損益を集計すると、20年度の経常収益は354億1690万余円、経常費用は379億5641万余円で差し引き25億3951万余円の赤字となっている。

 

個別のかんぽの宿等の施設損益は、15、16両年度では、かんぽの宿有馬のみが経常損益で黒字であったが、17年度から減損会計が導入され減価償却費が大幅に減少したことにより、20年度には黒字施設が12施設に増加している。

 

本社等経費を含めた宿泊事業全体の損益計算では、施設損益25億3951万余円の2倍以上の58億1573万余円の赤字となっている。

 

また、各かんぽの宿等における宿泊料金についてみると、施設によって土曜日や夏休み、連休等のシーズン料金の扱いが異なっており、中には高需要期にもかかわらず料金が比較的低廉に設定されているものがあった。

 

日本郵政は、20年度以降の3年間で、飲食部門等3部門の委託業務の直営化を実施することとしたが、直営化後の人件費率についてみると、20年4月から3部門を直営化した1施設では50.7%、6月に直営化がずれ込んだ9施設でも42.3%となっていて、いずれも中規模旅館の人件費率28.2%(19年度)を大きく上回っている。

 

かんぽの宿等における損益分岐点売上高を会計検査院で試算したところ、固定費(人件費のうち固定給与部分、光熱水料費等)の割合が高くなっているため、481億3176万余円と試算され、現在の営業収益352億1309万余円と比べて著しく高い数値となる。これは、仮に、売上高の増加のみによって損益分岐点売上高を達成する場合には、約129億円と4割弱の営業収益の増収が必要となり、固定費の削減のみによって損益分岐点売上高を達成する場合には、人件費等において約57億円の大幅な削減が必要となる。

 

したがって、増収又は費用削減のいずれか一方のみで損益分岐点売上高を達成することは相当困難であると思料されることから、収益、費用の両面から改善を図ることとし、仮に、収益を10%増加させた場合の売上高を損益分岐点売上高とすると、固定費については、20年度実績から10%削減、また、変動費についても増収後の費用から10%の削減をすれば収益と費用が見合う計算となる。なお、この試算は、かんぽの宿等の71施設すべてを対象としたものであり、損益の悪い施設を除いた場合には、その分達成が容易になるものである。

 

会計検査院において、かんぽの宿等66施設を対象に、18年度から20年度までの償却前営業利益額(GOP)に基づき、A、B、Cの3類型に区分して、各区分ごとに各種の経営指標を比較したところ、下位のB、C区分においては、GOPを改善するため、新たな顧客開拓等による宿泊利用者数の更なる増加及び飲食単価の上昇による収益の増加に努めるとともに、民間旅館と比べ高率となっている人件費の更なる削減等を図る必要があると認められた。

 

そして、C区分については、その上でなお損益が改善されない施設は、21年12月に「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律」(平成21年法律第100号。以下「郵政株式処分停止法」という。)の施行により現時点での廃止はできないとしても、一時的な休業も念頭に抜本的な損益改善策を検討することも必要である。

 

イ 周知宣伝施設(メルパルク等)について

 

日本郵政が承継したメルパルク11施設の簿価は、21年3月末現在で346億4336万余円となっており、メルパルクの利用者は19年度には447万人となっている。日本郵政公社(以下「公社」という。)に移行した15年度以降、11施設すべてにおいて、収入から支出(減価償却費等を除く。)を差し引いた収支が黒字となっている。

 

メルパルク等の運営について、国、公社及び日本郵政は、20年9月まで郵便貯金振興会(19年10月からは財団法人ゆうちょ財団。以下「振興会」という。)に委託していたが、振興会は運営委託の結果生じた利益を積立金としており、14年度末における積立金の額は48億1716万余円となっていた。また、公社との運営委託契約においては、振興会は、委託事業に係る経理を行っていた特別会計における「剰余の資産」のうち、契約期間中に公社が負担した減価償却費等に相当する額までは公社に納付することとされていたが、19年度下期においては固定額を納付させることとしていたため、19年度の利益10億3815万余円が振興会に帰属している。

 

さらに、施設の運営に必要な職員を対象として引当てが行われていた退職給付引当金の残高は、20年度末には47億4393万余円になっているが、ゆうちょ財団は厚生年金基金を解散し、23年9月末までに清算を終了する予定となっており、その際に退職給付引当金の取崩しの結果として会計上の利益が生ずることが見込まれている。

 

以上のように、国が国有財産であるメルパルク等の運営を委託したことなどにより生じた利益等が、委託契約の終了に伴う積立金の処分に係る規定が法令及び委託契約書上になかったなどのためにゆうちょ財団に帰属することとなっている。しかし、これらの利益が生じた背景として、郵便貯金法(昭和22年法律第144号。平成19年10月廃止)の規定によりメルパルク等の運営は振興会に委託することとされていたことなど特殊な状況にあったことを考慮すると、これらの利益がすべてゆうちょ財団に帰属することについて、今後、検討の必要があると認められる。

 

ウ 加入者福祉施設等の承継に係る会計処理と減損会計の実施状況

 

日本郵政が承継した加入者福祉施設等80施設の承継価額は、土地198億8757万余円、建物等105億7044万余円、計304億5801万余円となっており、周知宣伝施設11施設の承継価額は、土地212億6557万余円、建物等149億8934万余円、計362億5491万余円となっている。

 

また、公社及び日本郵政における17年度から20年度までの加入者福祉施設等及び周知宣伝施設に係る減損損失額は、それぞれ1715億0239万余円、1138億9939万余円となっている。加入者福祉施設等における各施設の減損率(減損前の簿価に対する減損損失額の割合)は、17年度で平均52.0%となっているが、18、19両年度(公社実施分)においても引き続き高い水準で推移し、20年度までの通算の減損率は平均77.9%と著しく高くなっている。減損損失額は、不動産鑑定評価額を基に算定されていたが、鑑定評価の手法や鑑定評価額の算定方法が鑑定業者によって相違していたり、具体的な根拠が示されていなかったりしているなどの事態が見受けられた。

 

そして、日本郵政が20年3月期以降に減損の兆候ありと判定していることについては、「譲渡又は廃止の決定」及び「雇用維持」は過去の年度の事象であることなどから、これらを再度の減損の兆候とすることには疑義があると思料される。また、19年度の不動産鑑定評価は、本来求めるべき価格よりも相当程度低い価額となっている可能性があると思料される。

 

2  旧日本郵政公社等が締結した譲渡等に関する契約の内容等及び譲渡後の施設の利用状況について

 

ア 旧日本郵政公社が締結した譲渡契約に係る分(15年度~19年度上期)

 

(ア)  契約方式及び入札手続について

公社が不用資産として売却した土地、建物等の不動産は628物件、売却価格は総額1093億7632万余円に上っている。これらに係る146契約のうち、一般競争契約によるものが74契約、540物件(売却価格858億7866万余円)、随意契約によるものが72契約、88物件(同234億9765万余円)と、一般競争契約による売却物件が85.9%と高い比率を占めていた。随意契約72件について契約の相手方別にみると、地方公共団体が30件と最も多くなっていた。

 

複数の不動産を一括して売却するバルク売却は、16年度から19年度までの各年度に1件、計4件が一般競争契約により実施されており、また、グループ売却は、17、18両年度に計12件が一般競争契約又は不落随契により実施されているが、それらの物件数は、バルク売却で計431件(売却価格502億2400万円)、グループ売却で計66件(同32億8759万余円)となっている。

 

146契約のうち144件(個別売却128件、バルク売却等16件)の平均落札率は、個別売却128件で156.1%、このうち随意契約によるものは120.1%、一般競争契約によるものは201.3%となっていた。落札率が120%以上のものは、随意契約では65件のうち8件にとどまっているのに対して、一般競争契約では63件のうち40件に上っている。

 

バルク売却及びグループ売却による落札率は16契約で119.4%となっていた。このように、個別売却による一般競争契約において落札率が高い傾向が明確になっている。

 

個別売却による130物件のうち、売却価格が簿価を下回っているものは26物件(20.0%)、簿価を上回っているものは104物件(80.0%)となっていた。

 

(イ)  売却における不動産鑑定評価について

 

鑑定評価額が簿価を下回っていたものが626物件中323件あり、加入者福祉施設24件については5割にも満たない状況となっていた。また、鑑定評価額が固定資産税評価額を下回っていたものが620物件中241件となっていた。

 

予定価格の算定についてみたところ、短期間に不動産鑑定評価を2回行い低額な鑑定評価額を採用しているものなど、鑑定評価の徴取方法に疑義がある事態があった。

 

(ウ)  簡保事業団から承継した大規模な未利用地の売却について

 

簡保事業団当時に加入者福祉施設等の用地として取得され、公社が承継したものの、目的の用途に供されないまま売却された物件の中には、施設の建設を中止したため、地元地方公共団体に解決金を支払うこととなったものなどがあった。

 

(エ)  譲渡後の転売等その後の状況について

 

日本郵政の調査結果によると、売却された628物件のうち転売されているものが510件あり、その中には4回以上転売されているものが29件あった。

 

イ 郵政事業庁及び簡保事業団が締結した譲渡契約に係る分(13、14両年度)

13、14両年度に、郵政事業庁及び簡保事業団において売却された不動産は、郵政事業庁296物件、簡保事業団13物件、計309物件となっており、その売却価格は総額263億9921万余円となっていた。

 

3 日本郵政が締結した株式譲渡契約等の契約内容等について

 

ア 加入者福祉施設等の処分方針について

 

かんぽの宿等については、24年9月30日までに譲渡又は廃止しなければならないという法律上の前提があった。日本郵政がかんぽの宿等の一括譲渡方式を採用するまでの検討過程についてみると、様々な譲渡方式のメリット及びデメリットを検討した上で、事業の一括譲渡の方針を決定している。しかし、公社が実施した施設の単純売却において、売残りなくすべての施設を売却でき相応の売却益が生じていたことを考慮すると、それ

ぞれの方法におけるメリット及びデメリットの定量的な評価や、それらによった場合の結果を事前に確実に予測することは相当困難であるものの、事業の一括譲渡方式以外にも選択の余地はあったと思料される。

 

イ かんぽの宿等に係る株式譲渡契約について

 

(ア)  本件株式譲渡契約の概要

本件株式譲渡契約は、日本郵政がかんぽの宿等の資産・負債、権利義務の一切を承継する会社を会社分割(新設分割)により設立して、その会社の株式を譲渡するものである。対象施設は、かんぽの宿等70施設と首都圏の9社宅の計79施設であり、20年9月末時点の簿価は123億余円と取得費用の約20分の1となっている。

 

(イ)  本件株式譲渡契約の実施手続

M&Aに関する専門家の意見も聴取した上で検討したところ、本件株式譲渡契約のプロセスは、M&Aでは一般的なものと認められた。そして、プロセスの各段階についての検査結果を示すと、次のような状況となっていた。

 

a  アドバイザーの選定手続

アドバイザーの選定手続についてみると、企画提案の審査に当たっての評価項目に、重要な判断材料であるアドバイザリー手数料は含まれていなかった。企画提案の第二次審査は第一次審査で審査した企画提案書をそのまま用いて審査することとして、評価委員も5名のうち3名までが第一次審査と同一の人物で構成されていたが、第一次審査と第二次審査との得点順位が逆転し、第一次審査で2位であったメリルリンチ日本証券株式会社(以下「メリル社」という。)が第二次審査で1位となってアドバイザーに選定されていた。

 

b  本件株式譲渡契約に係る手続規程について

日本郵政の公的な側面にかんがみれば、その経営に当たって、国民に対して十分な説明責任を果たすことが求められており、本件株式譲渡契約の契約手続等については、その重要性を考慮すれば、公平性及び透明性を確保する必要があったのに、これらに対する配慮が十分でなかった。また、本件株式譲渡契約のプロセスは企画提案の内容を審査して契約の相手方とするものであって、入札価格が最も有利な者を直ちに契約の相手方とする競争契約方式によるものではないことから、入札公告において競争入札と表示したことは入札参加希望者等に対して誤解を生じさせる可能性があり、入札公告に対する日本郵政の認識には問題があった。

 

c  予備審査及び第一次審査

予備審査の結果、27社のうち財務安定性や取得後の事業運営体制に問題があるなどとされた4社が落選とされた(その後、1社が辞退した。)。また、第一次審査の結果、オリックス不動産株式会社(以下「オリックス社」という。)ほか2社が第二次審査の買い手候補として選定されたが、ほぼ同額の取得価格を提示した2社の

提案の評価に差がつけられ、一方が落選とされていたが、譲渡価格の更なる増大を期待する観点等からも、上記2社のうち1社を落選とした判断にはなお疑問が残り、検討する余地があったものと思料される。

 

メリル社から、第一次提案書の提出期限の前日に、現行プロセスの中止・延期を含む提案がなされているが、プロセスの中止・延期に関する判断という重要な問題であるにもかかわらず、この提案に対する日本郵政の判断と具体的対応については、関係書類では確認できない状況であり、特に対応を執ることなく審査のプロセスを進めたことには問題があると認められた。

 

d  第二次(最終)選定プロセスにおける辞退の申出とその対応等

第二次(最終)審査に進んだ3社のうち本件手続の辞退の意向を申し出てきたA社及びE社に対して、日本郵政は、E社に対しては執行役が直接訪問し辞退の撤回を促しているが、A社に対しては特段の対応を行っておらず、A社はそのまま本件株式譲渡契約のプロセスから除外されていた。

 

e  最終提案書

最終提案書における取得価格は、オリックス社105億2200万円、E社105億5500万円となっており、E社がオリックス社を上回っていた。しかし、両社の提示価格には対象事業の負債の承継に関する前提条件の違いがあり、同じ尺度で評価をするためE社の提示価格をオリックス社の前提条件に合わせると、85億7200万円となり、オリックス社の方が優勢と判断されることになった。また、オリックス社の最終提案書には、新設分割会社に日本郵政から登用するとされた取締役候補者1名の名前が記載されていたが、日本郵政からオリックス社に対して記載部分の訂正を求めるなどの方策はとられていなかった。

 

f  最終審査と株式譲渡契約の締結及び解約

日本郵政は、メリル社からの提案を受け、世田谷レクセンターを譲渡対象から除外して、宿泊事業と首都圏社宅をセットにして価格の更なる引上げを要請したところ、オリックス社から108億8600万円の再提案があったが、E社からは再提案がされなかった。日本郵政は、12月26日に、オリックス社を相手方として本件株式譲渡

契約を締結して、株式譲渡の実行日を21年4月1日と定めていたが、同年2月25日、日本郵政は、本件株式譲渡契約を解約している。

 

g  本件株式譲渡契約及びプロセスについての検討

各社の提案金額はM&Aのプロセスにおいて一般的かつ妥当と認められる方法によって算定されていたが、本件のような公的財産の処分に当たっては、公正性、透明性等を確保した上で、その説明責任を果たすことが重要となる。しかし、本件株式譲渡契約のプロセスは、実施基準等が定められないまま進められていたことから、譲渡価格の公正性等が確保されたとは必ずしもいえない状況となっていた。また、かんぽの宿等の簿価は減損会計の適用により公社承継時に比べて大幅に減額(平均減損率77.9%)されているが、減損損失の算定等に疑義があり、その減損後の簿価が必ずしも資産価値を適切に反映したものとなっているとはいえないと思料されることから、簿価との比較により判断することはできない。

 

日本郵政が本件株式譲渡契約のプロセスを中止せずに継続したことについて、20年8月及び11月にメリル社からなされた中止・延期を含めた提案については、担当部門のみで判断すべき事項ではなく、また、これらの段階で経営会議等に諮っていれば、このままプロセスを継続することは必ずしも時宜を得ていないとの経営判断

がされた可能性も否定できないことから、担当者段階で本件プロセスの継続の適否の判断を行ったことは適切でなかったと思料される。

 

譲渡対象施設についてみると、首都圏社宅、ラフレさいたま及び休館中のかんぽの宿については、その不動産価値や利用目的等を考慮すると、対象施設から除外して、個別売却により譲渡価格の最大化を図ることなどを検討する必要があったと思料される。

 

本件株式譲渡契約においては、日本郵政は、売却後1年間の正社員及び期間雇用社員に係る総人件費について、売主及び買主双方が合意する水準に達することを確実にすることを誓約していた。しかし、その決定方法や合意に至らなかった場合の措置は契約書には規定されていないため、オリックス社が、本件株式譲渡契約の解除や、提示した評価額から上記の水準を超える人件費相当分の減額を主張する可能性を否定できないものとなっており、売主である日本郵政にとって不利益な結果を招くおそれがあると思料される。

 

さらに、日本郵政内部の決裁手続について、本件プロセスの各段階で実施された事項のうち経営会議又は取締役会への付議あるいは報告が必要と思料される9事項の決裁状況を確認したところ、取締役会等への議又は報告の事実が確認できたものは4事項にとどまっていた。社長等に対しプロセスの各段階で口頭説明を行っていたとしても、取締役会等への付議又は報告を十分に行っていないことは、意思決定機関である取締役会等の本件株式譲渡契約に対する関与が十分でなかったものと認められ、本件プロセスにおいて経営判断が適切になされていたとは必ずしもいえない結果となっていた。

 


 「検査の結果=②」へ続く

 

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