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2009年12月16日

布川事件 ~「検察官は不利な証拠を隠したまま平然と特別抗告した。」

  「検察官による証拠隠し、捜査官の偽証」

    「検察官や警察の不法行為はひどすぎる」 と非難した。

     逮捕から42年、開かずの扉が開く
     ・・・・
       率直に喜びたい

遅きに失すること腹立たしいが、なんで42年後の今なのか?
再審はこの疑問に答えてくれるだろうか

いったいいつから不法行為をやっているのか
冤罪事件がなんで多発しているかについて考えているのですが、もっとも大きな原因が警察にあるとみています。
冤罪事件を並べてみるとある仮説が浮かんできます。
それは見出しに対する答えになるものですが、実は、警察のDNAは戦前からずっと先輩から後輩にうけつがれ、今に至っているのではないか。
敗戦により国はズタズタになりました。が、警察組織や官僚機構は形は変われど温存されました。ということは、そこで従事していた人間はそのまま横滑りしたはずです。警察においては明治以来の治安警察法が廃止され、警察法が新設されましたが、組織に属していた人間はひきつづき業務に携わったはずなので、たとえ根拠法が変わろうがいままでの価値観や行動様式が一夜にして一変したとはとても思えません。人は簡単に変われないからです。
他方、新規に採用されたものは新法に縛られるのは当然ですが、実際の職場は昔の人ばかりであり、そのやり方にすぐに染まっていったのではないか。そして時は流れ、60年もたてば世代が交代するわけですが、しかしDNAは連綿として先輩から後輩に伝えられ、深いところで今も生きているのではないか、と。

そうでも考えないと冤罪事件が多発していることや、警察がやりたい放題であることの説明がつかないからです。真に新法に忠実に行動するおまわりさんだけなら、全国津々浦々のすべての警察署で行われていた裏金作りの領収書を捏造することもないですし、怖いお兄さんがたと裏でつるむこともなく、ましてや証拠の捏造までして無実の人を貶める発想なんかでてこないはずだ、と思うからです。

そして、冤罪をつくりだしているもう一つが、最良証拠主義です。
その実態を知れば知るほど身の毛がよだつほどの恐ろしい冤罪製造システムです。これがニッポンでは大手を振ってまかり通っています。いきなり小難しい用語がでてきて恐縮ですが、簡単にいってしまえば、警察・検察にとって「この証拠を出したら無罪になってしまう、マズイ。」と思ったらその証拠は隠しておいて、被告が不利になるものだけを厳選して裁判にだすことができるというやり方です。これが実際の裁判の現場では許されています。
ですから、有罪率が99.9%となってしまうのは当然なことであるわけです。警察もしかり、検察官ならなおのこと、起訴して被告を有罪にするのが彼の仕事そのものですから、わざわざ無罪になるような証拠を出すオバカはだれもいません。

この欠陥を併せ持つ仕組みこそが大問題ですが、そこにいよいよメスが入ります。新政権が刑事訴訟法を改正するとマニフェストにも載せています。6カ月をめどにやりたいとのことです。最終的な法案はまだ出来てないとのことですが、欧米では当たり前になっている「すべての証拠を出させる」という考え方がベースになります。
「そんなの当たり前じゃん」というツッコミが来そうですが、そんな当たり前のことがニッポンでは行われていなかったのですからホトホト呆れます。冤罪が多発するのは当然なことだったわけです。
   ■ 「最良証拠主義」 --> 有罪率99.9% こんな裁判所はいらない! 元凶の最高裁

ただでさえ、最良証拠主義でガンガンこられたら、たとえ無実の人でも難グセを付けられ有罪になってしまうかもしれないのに、それにダメを押すべく「証拠の捏造」や「証言の偽証」までやられた日にゃ、そりょうもう、完全にアウトです。
そのダブルが仕掛けられたのが「高知白バイ事件」でした。
偽造や偽証をやってしまったら、れっきとした犯罪となり刑事事件となります。が、しかし、そんなことは百も承知、オカマイなしでやってしまうのですから、警察法もヘッタクレもありません。極めて悪質だと言わざるをえません。

布川事件に話をもどしますが、この事件においても検察は自分たちに不利になる証拠を隠したまま裁判をしていたことが再審の場で争点になるはずです。同様な事件が他にもありました。遡ること56年前、1953年徳島ラジオ商殺し事件でも検察は重要証拠を隠していました。その隠ぺいが明らかになり無罪となりましたが、再審が重さなって時間がかかり過ぎてしまい、その知らせを聞く前に被告は亡くなってしまいました。

この布川事件でも警察・検察の不法行為を明らかにしないと事件は終わりません。再審が開かれることになった本当の理由は?ですが、もしかしたら不法行為が争点になることも織り込み済みであって、それを否認する手はずが済んだので、じゃぁ開こうかと。そんな穿った見方もできてしまうくらい警察・司法の信用信頼は失墜しています。果たしてどんな展開になるのか、注目です。

なんで42年後の今なのか
足利事件のように裁判所の外堀が埋められ、その結果裁判所が動かざるを得なくなったのか、それとも政権が代わったことでその流れを察知し、裁判所自身が変わらざるを得なくなってきたことがあるのか、それとも準備万端整ったからGOサインがでたのか、その他の理由があったのか。
どんな理由にせよ、再審の扉が開くべく地殻変動が起きてきたというなら、それはそれで大歓迎です。もろ手を挙げて喜びたいところです。が、気がかりなこともあります。富山事件では警察が強く否認している、高知白バイ事件では警察・検察にとってヤバイ証拠はトコトン出さないという徹底抗戦が進行中であって、結局従来通り裁判所がそれを忖度(そんたく)して門前払いにしてしまうかもしれません。まだまだ予断を許さない状況です。

裁判所の気分しだいで、霞が関の住民(役人、元役人)には有利になるように扉も開けるが、そうではない人々に対しては平然と門前払いをやってのける。
そんな恣意的なことがまかり通る裁判所であっていいはずがありません。


中日新聞2009年12月16日
chuniti091216.gif

投稿者 hal : 2009年12月16日 23:21

コメント

布川事件で再審決定

再審決定後、1996年から仮釈放中されている桜井昌司さんと杉山卓男さんが、記者会見で警察と裁判所への怒りをあらわにした。

http://www.videonews.com/asx/press/091215_fukawa_300.asx

投稿者 jbh : 2009年12月19日 23:40

jbh さん

いつもリンク情報ありがとうございます。
生会見がアップされていたとは知りませんでした。
文字からは分からないニュアンスは貴重な情報です。

必見のビデオですね。

プレスクラブ(2009年12月15日)
「第二の足利事件か
布川事件で再審が決定」
videonews.comビデオニュース・ドットコム インターネット放送局

http://www.videonews.com/asx/press/091215_fukawa_300.asx
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プレスクラブ (2009年12月15日)
第二の足利事件か
布川事件で再審が決定
 物証に乏しく事実上自白のみで有罪が確定し、既に被疑者が18年間服役していた殺人事件で、14日、再審が決まった。
 1967年に茨城県で男性が殺された「布川事件」で、最高裁は14日、強盗殺人の罪で無期懲役の判決を受けていた2人の男性の再審請求に対する特別抗告を棄却し、再審が確定した。
 この事件は物証がほとんどなく、自白が決めてとなって有罪が確定していたものだが、犯人とされた2人が有罪確定後も一貫して無罪を主張していた上に、自白内容と犯行現場の状況が矛盾するなど不審な点が多く、1983年から支援者らの手で繰り返し再審請求が行われていた。
 今年6月、栃木県で女児が殺された「足利事件」では、やはり殺人容疑で無期懲役の判決を受け服役中だった菅家利和さんが、DNAを再鑑定した結果、犯人ではなかった可能性が明らかになり、再審が行われることが確定している。
 再審決定後、1996年から仮釈放中されている桜井昌司さんと杉山卓男さんが、記者会見で警察と裁判所への怒りをあらわにした。
この記事へのコメント

面壁9年を終えた禅僧にも似た澄んだ雰囲気がある。何も加えず淡々と一部始終を伝えるカメラが素晴らしい。ズームの使い方も見入る人の気持ちに合致している。名画を見終えた後に似た感懐が残った。
”支援者の心にふれ自分は変わった。これがなかったら、こそ泥を重ねる小悪党の人生を送ったかも知れぬ”
この一言が耳底に響く。
晩晴 | 2009年12月16日 13:02
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投稿者 管理人 : 2009年12月20日 07:29

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