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[15226] オルタ世界にオリキャラ10人詰め込んでみた(チラ裏より移動)
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:987b36d2
Date: 2010/04/04 14:38
この作品はチラシの裏に上がっている「マブラヴの世界にオリキャラ100人入れちゃった」からアイデアを頂いてます
元作品の作者のまりね様には無断でアイデアを使わせていただいたことをこの場でお詫びさせていただきます

筆者はSS書くのは初めてなのでお見苦しい点が多々あると思いますが、笑って許してもらって楽しんでくれると嬉しいです



このSSは以下の要素を含んでいます

・原作とは異なる独自設定、独自解釈があります
・原作キャラクターの性格が原作とは異なる場合があります
・主人公はオリ主で、オリ主的な立場のオリキャラが他に9人います
・オリジナル戦術機や兵器が登場しますが、空想科学を基にしている事が多いので現実の技術と矛盾する点があります
・オリ主たちは原作のシナリオに沿わない行動をとる事が多々あります
・オリ主たちは全然最強ではありませんが、なんだかよくわからないチート能力がある、かもしれない?

以上の事を踏まえて、それでもOKと言う人はプロローグへどうぞ





2010/1/9
ピアテフ→ピアティフに修正しました
進行に矛盾が出てしまうためストーリー開始日を2001/6/1→2001/4/1に修正しました



[15226] プロローグ
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:987b36d2
Date: 2010/01/02 15:35
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『俺は某大型掲示板で釣り中に寝落ちしたと思ったら、見知らぬやつらと雑魚寝していた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…拉致だとか凸されたとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


などと混乱のあまり思わずポルナレフごっこしてしまった
OK、俺。KOOLになれ!
もう一度見回してみると寝息をたててる7人の男と2人のおにゃのこ・・・・・・おにゃのこ!?
まてっ なんだこの状況
はっきりいって認めたくない事実かつ、まことに遺憾ではあるけど俺に女友達はいない
もちろん彼女いない歴=年齢で、今年ついに魔法使いになっちまいましたよコンチクショーッ!!
それが何でおにゃのこ二人と添い寝なんて素敵空間?(彼と女の子の間には他の男が寝てるので添い寝ではありません)

「ハァハァハァ・・・・・・」

うはっ寝ているおにゃのこ見てハァハァしてるとか俺自重。自重しろ俺w
でもしかたないよね
なんか視覚に勝手にとっても強烈な情報が飛び込んできちゃうんだもん。
おかっぱ頭の小柄なおにゃのこはスレンダーな体型で服の上からおぱーいの存在はまったくわからんけど、それがいい!
小さいつくりの顔とか、ぷっくりした唇とか、ひきしまってるけどぷにぷにしてそうな肌とか
ぶっちゃけ俺ロリコンです、サーセンw

そんな変態紳士を自認する俺のストライクなおにゃのこを目の前にしても、暴力的に目を奪う存在が語りかけてくるのですよ
そう、もう一人のおにゃのこのお・っ・ぱ・い
なんていうかもう山ですよ、山!
仰向けに寝てるのにしっかりそびえたつ二つの山
2次元でツルペタ最高とか言ってました。巨乳とかマジかんべんとか思ってました。サーセンwww
もうねリアルの迫力?
巨乳もありだね、巨乳マンセーー!!
つついたらぷるんぷるんっとかするのかな・・・・・・

「・・・・・・ゴクッ」

気がついたら巨乳ちゃんの横で正座して、その柔らかさを確かめようと指を伸ばしかけていました
いやいやいや、さすがにそれはまずいだろ
寝ているおにゃのこのおぱーいをつつくとかしたら、変態紳士じゃなくただの変態になってしまいますよ
その両者の間にはけして踏み越えてはならないヒマラヤ山脈よりも高い壁があるのですよ
別に本物のおっぱいに触るのが怖いとかへたれてるわけじゃないんだからねっ!いえ本当に
そうだ!こんな時こそ素数を数えるんだ!!
・・・・・・素数っていくつだっけ?
リアルでこんな場面になったら素数とか浮かんでこねーよっwww
そうだ、汚い部屋でも見て落ち着こう

・・・・・・あれ?ここどこ?・・・・・・俺の部屋じゃない
絨毯の床にクリーム色の壁、雑然とはしてるけど俺の部屋よりもよほど綺麗で、窓から見える外の景色は

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

廃墟でした

うん、なんかね、廃墟以外に窓の半分ほどを占めてるものがあるんですよ
でもね、それ認めちゃうとなんか色々\(^o^)/してしまいそうで・・・・・・

現実逃避してもしかたないよね

うん、もう認めちゃおう
半壊した隣の家になんかロボ状のものがつっこんでいるんですよ
で、その光景によく似た絵を俺知ってるんですよ
そう考えるとこの部屋もどこかで見たことある部屋で
ロボも壊れてて確信もてないけどおそらく他の要素と照らし合わせてみると、戦術機とか言われるもので
つまりマブラヴオルタネイティブの世界です。本当にありがとうござい(ry

しかしものは考えよう。何事もポジティブにいかんとね
ここがマブラヴの世界だとしたら所謂トリップってやつですよね
チート能力とかあるのかな?
いや、それよりもスイートロリータ社霞がいるってことですよ。うはwテンション上がってきたwww
そんなことを考えていると他の連中も眼を覚ましはじめたみたいで
「え?誰?どこここ?」
などとざわめきが聞こえてきました


それからしばらく、静かだけどちょっとした騒ぎになりましたね
そりゃね、起きたら知らない部屋で知らない人たちがいたらビビリますよ
おまけに全員が見知らぬ他人同士だったようで、誰とも相談もできないし
おろおろとうろたえる者、ぶつぶつと何かつぶやき続ける者、じっとしたまま自分の考えに入り込む者
皆さん絶賛パニック中です。まいったね、こりゃ


「よしっこのままこうしてても何も変わらないし、とりあえず皆で自己紹介してみないか?
見たところ皆、知り合いがいないようだし」

メガネをかけたかっこよさげな男に視線が集まる

「まずは言いだしっぺの俺から
名前は瀬谷孝輔(せやこうすけ)27歳。
SEをやってる。あ、SEってのはプログラマーのことな、一応
横浜市在住で、あとは、なんだろ?まあ、俺ばかりしゃべってもしかたないから今はこんなところで」

SEとかエリートですか?お顔も整っていてリア充ですか?
でもわけわからん状況なのに落ち着いてるように見えて、皆を率先していくような態度は安心感を与えて素敵!
俺が女だったら惚れちゃうかもわからんね

「では、次はわたくしが
都筑由希子(つづきゆきこ)です。フェリシダ女学院大学国際交流学科2回生です
わたくしも横浜の茅ケ崎町というところに住んでいます。よろしくお願いします」

俺に新たな属性を目覚めさせた先ほどの巨乳ちゃんです
さっきはおっぱいガン見で気がつかなかったけど、パッチリ二重の大きなおめめにウェーブのかかった栗色のロングヘアで物腰柔らかく優雅にお辞儀をした仕草はアニメに出てくるお姫様とかお嬢様を連想させますなー
フェリシダって言ってるし、ほんまもんのお嬢かもしれんね、などと思っていると

「しっ質問。都筑さんてずっとフェリシダっすか?」

と俺の正面に座ってる男が期待に満ちた声で尋ねた
でも不躾な質問にも都筑さんはにこやかな笑みを浮かべながら答える。うーんプリティー

「はい。中学からずっとフェリシダでお恥ずかしながら世間知らずなんですよ」

「おおー」とか「本物のお嬢だ」とか感嘆の声が上がる
もちろん俺も感嘆の声を漏らした
フェリシダ女学院てのは中高付属を持つミッション系の由緒正しいお嬢様学校で横浜に住んでれば知らぬもののいない男の憧れの園だ
巨乳お嬢様!!
なにその反則属性

「あ、流れ切ってすんません
自分は西博史(にしひろし)です
えー、浪人生、て言うかぶっちゃけニートですwあっ19歳。桜木町在住です」

お嬢発覚?で和みを見せた場がなんともいえぬ空気につつまれちゃいましたよ
空気嫁、西!ニートのあとに自分でwつけてんじゃねーよ。ギャグになってねーよ
静まり返る空気に西も気まずく感じたのかあわてて言葉を付け足した

「あっ自分、戦場の絆ってゲーム好きなんですが、もし他にやってる人がいたら今度チーム組んでください」

「えっマジ!?俺ジオンだけどあんたは?」

すかさず喰いついたのは一番年下っぽいガキ
年上にその言葉遣いはどうよ?と思ったけど西本人は気にしていないようで敵軍同士とわかってガキに文句言われてもフヒヒwサーセンwwwとか言っている
うーむ、やつからは俺と同じにおいがする・・・・・・
それはさておき、絆は俺も好きだし話しにのることにした。盛り上がってないと不安になるだけだしね。俺チキンorz
すると他の人も加わってきて、全員が、驚いたことにおにゃのこ二人も、かなりやりこんでいることがわかり、オフ会ような雰囲気になってまいりました

「戸塚忠男(とつかただお)14歳
絆の愛機はケンプファーだ!中尉だけど大佐クラスの活躍するぜっ!鳥が丘の青い流星ってのは実は俺のことだぜ」

はいはいリアル厨ニ乙

「金沢慎吾(かなざわしんご)能見台ニ高の3年生で生徒会長をやっているよ
ここがどこでどうしてこんな状況になってるのかわからないけど、これもなにかの縁でしょう、もうすぐ学園祭があるので皆さんを招待しますから遊びに来てください
今年は僕が無理を言ってかなり面白い趣向を凝らしたから是非楽しみにしていてください」

イケメンで生徒会長、なのに男から見てもいやみを感じさせないさわやかー
瀬谷以上のリア充ですな。もげろっ!

「磯子直樹(いそごなおき)ですっ。社会人一年生で22歳ですっ
上中里の自宅住まいですが会社の近くに引っ越そうと思ってますっ
休日は絆の他にもパソコンだけどゲームやったり、ネットにプレイ動画投稿したりして過ごしてますっ」

磯子君からも同類のにおいを感じるけど、ノリは体育会系なんだね

「青葉里香(あおばりか)16歳。
・・・・・・家は美しが丘で道場やっててずっと剣道・・・やってます
・・・・・・ごめんなさい
こんな大勢の男の人の・・・近くで・・・しゃべったことなくて・・・緊張・・・してましゅ」

うはっ噛んだ!テラかわゆすっ
顔真っ赤にしちゃって俯く姿は小柄なせいもあってとっても小動物チック
頭撫でてーー でも無理です。ナデポスキルとかないから、俺。
撫でたら好感度下がるどころか変態呼ばわりされるでしょう・・・・・・悔しくなんかないもんっ

「泉真一郎(いずみしんいちろう)です
横浜大学工学部2年で、将来はガンダム作りたいとか妄想してます
自宅は西が岡です」

お台場にガンダム見にいったけどあれは感動したね
操縦して動くような物ができるまでまだまだ何十年もかかるんだろうけど、彼にはぜひ妄想を現実にしてほしいねっ

「保土谷太一(ほどがやたいち)25歳。自衛隊員だ。泉君の夢は男のロマンだな
俺もロボットに憧れて気がついたら自衛隊に入っていた。最もパイロットどころか警衛隊隊員なんだがな
厚木基地勤務だが住まいは皆と同じ横浜市だ」

ガハハッと豪快に笑う筋肉マッチョ

そして最後に俺

「鶴見健二(つるみけんじ)30歳です
仕事は普通のサラリーマンで住まいは弁天町です
なんか一番年上みたいなんだけど皆みたいに誇れるものとか語れるものがなくてマジピンチって感じです
なもんで皆からパワーもらえたら嬉しいです」

「ちょwそれ俺に対する皮肉っすかwww」

「うっせwお前は俺と同類だ。悔しかったらさっさと脱ニートしやがれw」

人がせっかく綺麗に〆たと思ったら西がツッコミを入れてきやがったけど、俺と西のやり取りに軽い笑いが起こって和やかムードにつつまれたので良しとしよう


「自己紹介が終わったところで本題にはいろうと思う
皆気がついてるだろうけど、どうやら俺たちは何かわけのわからない事態に巻き込まれたらしい」

瀬谷の声に皆が窓の外を見る
言ってしまえば何か取り返しのつかない事が起きるのではないかという不安からか、あえてそのことに触れなかったようだけど、いつまでも現実逃避はしていられないよね

「自己紹介で皆横浜近辺に住んでいること、些細なことかもしれないが戦場の絆のプレーヤーという共通事項が2つ
これは俺たちがこうして集まっていることと何か関係があるんだと俺は思う
・・・・・・だけど外はどう見ても日本の街の様子じゃない
何よりも向いの家につっこんでいるアレ
・・・・・・何か少しでも思い当たることがあったら話してほしい」

言った方がいいんだろうか?
でも、マブラヴなんて一般人が知るはずないし、何よりゲームの光景と同じとか話しても、なんぞそれ?だしなー

「あの・・・・・・いいっすか?」

俺がどうしようか迷っていると西が話し始めた

「あくまで仮定の話で聞いてほしいんすけど
この部屋もそうだし、外の廃墟やあのロボットみたいなの、全部ひっくるめてこれとよく似た景色知ってます
マブラヴってゲームの中の光景なんすけど」

マブラヴという言葉が出ると皆、思い出したような納得したような驚いたような顔をした

「で、ゲームの内容はひとまずおいといてっすね
ネットに二次創作小説って作品がたくさんあって、そのジャンルにトリップって言われる「えぇー!だってっそんなまさかっ」」

「ちょっとまってくれ。青葉さんも落ち着いて、ね」

西の説明は青葉ちゃんのあげた驚きでさえぎられたけど瀬戸が青葉ちゃんをなだめて話を続ける

「実は俺もマブラヴを知ってるけど
マブラヴって言葉に他の人も反応してるように見えたけど、確認のために聞きたい
この中でマブラヴをプレーしたことのある人はいる?」

その言葉に顔を見合ったりしながらも全員が手を上げた

「青葉ちゃんと都筑さんもやったことあるの!?」

二人ともおにゃのこだし青葉ちゃんは年齢的に、都筑さんはお嬢ということでまさかと思いおもわず尋ねてしまいました

「はい。ゼミの友達が布教というのですか?そうおっしゃって貸してくださって
それまでパソコンでゲームなどしたことありませんでしたが、クリアーした時はカルチャーショックを受けました」

そういってころころと笑う都筑さん

「わっ私も友達から借りて、武ちゃんかっこよくて、SSも読んで…ます」

青葉ちゃんはそういって最後は顔を赤くしてまた俯いてしまいました。
この子は俺を萌え殺す気ですね

「確かに、武さんは格好いいですね」

都筑さんがすかさず合いの手を入れる
うーむ。恐るべし白銀武。ゲームの中だけでなくリアルのおにゃのこまで惹かせてしまうとはさすが恋愛原子核というべきか
でも、全年齢版もあるし、絆好きっていうのもあるし二人がプレーしてても不思議じゃないのかな?
だが戸塚14歳は18禁版のほうをプレーしてそうだ

「それじゃあ、小説やトリップについて知らない人は?」

「あ、俺それ知らね」「俺もだ」「僕もです」「わたくしも」

続けて瀬戸がたずねると戸塚、保土ヶ谷、金沢、都筑さんがそれぞれ返事をした

「西君。悪いけどさっきの続きをお願いできるかな?」

「あ、はい。えーと
トリップってのはゲームやアニメの中に現実世界の人間が転生や来訪とかの形で迷い込んで原作とは違う展開の物語へ進んでいく作品っす
つまり、今の俺たちの状況と非常によく似てて、俺SSも書くんすけど、あ、SSってのは創作小説のことっす
で、目がさめたらゲーム、俺たちの場合マブラヴっすけど、の世界だったって言うのもよくあるパターンで
この部屋、よく見ればわかると思うけど、武の部屋、ですよね
で、外の景色を見るとULかオルタの世界じゃないかなって・・・・・・」

沈黙が落ちる
話している西自身信じられない気持ちなんだろう
俺もまだ夢だかドッキリじゃないのかって気持ちを捨てられない

「よろしいですか?」

「あ、はい?」

都筑さんが西に尋ねた

「もし今の状況がトリップだとしたら原因はわかりますか?
それと元の世界に帰れるのでしょうか?」

「それは・・・・・・まったくわかりません」

「そうですか・・・・・・そうですよね。益体もないことを聞いてしまいすみませんでした」

「やっ そんなことは」

そうして二人とも俯いてしまう
いかん、不のスパイラルが渦巻いてる気がする
こういうときこそ最年長者が何とかしなきゃね。無理です。すいません
でもこんな鬱な雰囲気は嫌なので無責任に明るく言っちゃいます

「でも原作の武も最後はオルタから新しい世界へ旅立ったし、俺たちも原因さえわかれば帰れるんじゃないかな?」

「てかさー、ゲームの世界だろここ?ならシナリオわかってるしラクショーじゃん
てか武のかわりに俺が世界救っちゃうし?BETAなんてフルボッコにしてやるよw」

誰かーこの厨二病止めてー

「いや、そう簡単にはいかないと思うよ」

俺が戸塚14歳の戯言に頭抱えていると金沢が反論をしてきた

「武も未来を知っていてオルタでより良く世界を変えようとしたけど、その結果、知らない出来事が発生して取り返しのつかない失敗もしてしまっていたし
何より僕らというイレギュラーな存在がある以上、すでにULともオルタとも違う世界になっている可能性もあるね
それに何もしなければ元の世界に帰るどころか死ぬ確率のほうがはるかに高い世界だし、本当にここがマブラヴの世界だとしたら、僕は世界に介入していくつもりだよ」

「そうだな。何よりこの世界の人たちには幸せになってもらいたいって気持ちもあるし、俺たちに何かできるならそれをしたいな」

その瀬戸の言葉は俺たち全員の本音だったかもしれない
桜花作戦、オルタネイティヴ4の完遂は人類を滅亡の危機から救ったかもしれない
でもそれは決してハッピーエンドではなかった
だからこそ再構成された世界ではなく、オルタの世界で皆が笑ってエンディングを迎えられる話があったならと一度ならずとも思っただろう
だから瀬谷のその言葉に全員がそれぞれ異なった言葉であったが同意の意を示した

「それはともかく、いつまでも部屋の中で顔つき合わせていてもしかたあるまい
本当にゲームの世界なのか周辺探索をざっとでもせんか?
何よりもあの戦術機だったか?近くで見たいしな」

胡坐を組んでいた膝に両手を打ちつけて保土ヶ谷が大きな声で言う

「実は俺もずっと気になってたんだよ。撃震、いいよなー。無骨で重厚なところが男のメカって感じだよな」

俺は撃震やサンダーボルトのような重装甲メカが大好物なのだ
絆も当然ドム系が愛機です
そして生メカを間近に見られると思うと興奮が湧き上がってくるのはしかたないことだね

「俺も行くぞー!」

「僕も壊れてるとはいえ実物の人型巨大ロボットがどんな構造なのか気になります」

「そうだな、事態がどうあれアレはやっぱり生で近くで見てみたいよな」

「あら、面白そうですわね」

「私も」

「俺も行きますっ」

「ちょっ待てって、皆」

「うん、この部屋でまだやることも話し合わなくてはならないことも残ってるよ」

状況の整理も納得もできてないだろうけど、そこは絆でMSを駆っていた者たち
本物のロボを目の前にワクワク感が押さえられず皆で移動しようとすると西と金沢に止められた

「はやる気持ちはわかるけど、ここは慎重にね
おぼえてないかい?この部屋、人がいなくなると廃墟に戻ってしまうって」

「「「「「「「「あ・・・・・・」」」」」」」」

そして続く金沢の言葉に取り返しのつかないミスをするところだったのに気がついた

「そ、そうだったな。すまん。
この部屋は確かEXの武の部屋だよな。ならオルタ世界にないものを持ち出せば、間接的にでも俺たちがこの世界の人間ではない証拠の一つになるんだよな」

瀬戸が決まりが悪そうにしながらもそう言うと都筑さんが先を続ける

「それにわたくしたちのことを一番信じてくれそうなのは香月博士ですけど、あの方に無策で当たるのは下策としかいえませんわ
時系列をまとめ、交渉材料と方針を決めてはいかがでしょう?」

そうだよなー 夕呼先生との交渉をクリアーしないと霞に会えないんだよね
でも情報はごまんとあるし対策さえ立てておけば何とかなるか?ならないとやだなー

「その方向で問題ないだろうけど、一つ重大なことを確認しないといけないんじゃないかな?」

そう言った金沢へ皆の疑問の視線が集まる

「皆、死への覚悟はあるかい?」



[15226] 第一話 VS香月夕呼
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:987b36d2
Date: 2010/01/09 07:49
「皆、死への覚悟はあるかい?」

金沢の言葉にまた沈黙が降りました

そりゃね、オルタをプレイして死というものをいやというほど味合わされました
ヒロインの死に涙しました
けど、どんなに感動しても所詮はゲーム
自分の身に死が降りかかるなんて考えられないし、覚悟なんて毛ほどありません
当然それは他の皆も同じわけで
死なないことを第一目標に作戦を練ることになりました

その結果
現在日時がわからないので横浜基地へ向かう者と帝都へ向かう者で二組に分かれて行動、状況把握をし、1週間後に白銀家で合流する

白銀武がいるのか(あるいはこれからこの世界に来るのか)わからないので夕呼先生だけでなく殿下にも事実を伝え協力を得る
そのため帝国組は可能なら帝国軍に接触を図る

死ぬ確率を下げるための新兵器の提唱をする

A-01メンバーとまりもちゃんの死亡フラグをへし折るためのあらゆる努力をする

オルタ世界でないことを考慮して夕呼先生にあらゆる知識の提供、および武ちゃんが新理論を思い出すようにしむける

チート能力が備わっている可能性もあるので各自あらゆる試みと努力をする

いのちをだいじに

という大筋の方針が決められました

でも日付がわからないのは一番辛いね
町の状況から見て明星作戦後から横浜基地襲撃前だろうということはわかるんだけどね
ゲーム開始前だったりするのはいいとしても、ULのオルタ5発動後なんて詰んでる状態でこの世界に放り込まれるなんてことはないだろうという希望的観測でなんとか納得しましたよ

でも死ぬ覚悟も決まらなければ、死なないための方法も結局見つけられなかったんだよね
何もしなければ夕呼先生に現実世界へ帰る方法を見つける協力も得られないし、最悪オルタ5発動で全滅まっしぐらだからなー

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

脳みそ部屋で霞とちゅっちゅして過ごしたいお


ちなみに組み分けは
横浜基地組
リーダー瀬戸。都筑さん、青葉ちゃん、泉、俺

帝都組
リーダー金沢。西、保土ヶ谷、磯子、戸塚

おにゃのこ二人は帝都に徒歩で移動するから体力考えて横浜組みに
俺と西は同じくらい原作知識があったのでどっちがどっちに行くか最後まで決まらなかったけど、夕呼先生相手には多少は処世術を身につけてる俺のほうがいいだろうということで決まった
戸塚がなんか横浜基地で衛士になるとかわめいてたけど知らん
やったー。霞に会えるぜーw





そんなわけで2組に分かれて移動しましたけども
只今わたくしひじょーにてんぱっとります

「で、あんたたち何者?」

B19フロアの横浜の魔女の巣窟には銃をかまえたこの部屋の主と俺と都筑さんの3人のみ
( ^ω^ )どーしてこうなった!





さかのぼること数時間前

やってきました横浜基地
まだ建設中だったりしたらどうしたものかと思ったけどとりあえず一安心かな?

「やっぱり5人全員で行くのはまずいと思うんだ」

「そうですね。身元不明の不審者として拘置される可能性もないとはいえませんし
そうなってしまっては帝国組みの皆さんと連絡をとることはできなくなってしまいますね」

「だからまずは俺と、原作に詳しい鶴見さんの二人で香月博士と交渉して、残りの3人には基地周辺の、そうだな、告白の丘の木の場所で待っててもらえないかな」

なるべくばらばらに行動しないって約束だったけど、確かにそのほうがいいかもしれんね
ま、交渉は瀬戸がやってくれるだろうから俺は要所で補足すればいいだろうし
ぶっちゃけちゃえば待機組に回りたいんだけど、間違ったゲーム知識があるといけないから俺の知識と照らし合わせるってことで横浜組みに組み込まれた以上そうは言えないのが辛いです

「いえ。わたくしと鶴見さんで行くのがいいと思います
瀬戸さんには不測の事態があったときのためにも待機していただいたほうがよろしいでしょうし
男性二人よりも女性がいたほうが相手も多少は気を許してくれる可能性が高いと思います」

危険の可能性もあるということで都筑さんを止めたけど
「これでも多少は交渉術を心得ているんですよ」と朗らかな笑顔で押し切られました
のほほんとしたお嬢様をイメージしてたけど都筑さんは意外に芯が強いんだねー
とどめに「何かあったときは守ってくださいね」なんておっしゃいましたよ
これフラグ?それとも死亡フラグ?
3人からは「頼んだぞ」って表情向けられてるし、特に青葉ちゃんにそんな顔されちゃったら、おじさんがんばっちゃおうかなーと思うわけですよ

そうしてさらに二手に分かれて基地へと続く地獄坂を登り始めたけども

「ここがあの桜並木なんですね」

「そうだね。でも墓標はないみたいだし、ちょっと安心かな」

「ふふふ。がんばらなくちゃいけませんね」

よく考えたら都筑さんと二人っきりなんだよね
やべっ 緊張してきた
いや、夕呼先生と交渉しなきゃいけないから緊張はしてたんだけど、今の緊張は別種類のものなのだよ
だっておにゃのこと二人だけで並んで歩ったことないんですもん

なんてプチパニックしてる間に正面ゲート前についちゃったよ

「二人とも、そこで止まって許可証と認識票を提示してくれ」

おー!伍長ズですよ
脇役でも実際に登場人物を見るとマブラヴの世界なんだなーって実感するね
でも武のときよりぴりぴりした雰囲気だな
白稜柊の制服着てないからね、警戒されるのは考慮済みです

「わたくしたちは香月博士に招かれてやってきましたが、ゲートで暗号を伝えるよう言われているだけで許可証も認識票も所持しておりません
申し訳ありませんが確認を取っていただけませんか?」

「は?いえ、失礼しました
それで伝える暗号というのは?」

胡散臭いことこの上なかったけど都筑さん必殺の和みスマイルで伍長ズの警戒は解けましたよ、これ

「「鏡の道への案内係が空への道を絶つためにやってきた」と
博士の研究に関する重大事項なのでそれ以上は直接伝えるよう言い付かっている
通信越しでかまわない、博士に連絡を取って我々に話させてくれ」

似合わない言葉使いだってことはわかってるんだけどね
しっかりとした態度じゃないと逆に怪しまれるからってことでがんばってますよ

「私は都筑由希子。彼は鶴見健二です」

「では、至急確認を取りますのでしばらくそのままでお待ちください」

そしてアジア系伍長が確認しにいったけど数分もしないうちに詰め所?の通信席の前に案内してくれた

「あんたたち誰?」

武じゃなくてもやっぱそう言うんですねw

「お初にお目にかかります、香月博士
わたくしは都筑由希子と申します
わたくしたちは「外の世界」からやってきた者ですが、香月博士はもちろん社霞さん、鑑純夏さんのこともよく存じています
暗号のことも含めて詳しくお伝えしたいのですが、なにぶん騒がしいご時世です
お会いしてはいただけませんか?」

夕呼先生の目が怖いです
都筑さんは笑顔で受け流してるけど、俺は下半身の一部がキュッて縮み上がっとりますよ
「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」と必死に心で唱えてますが、帰りたいです

「迎えの者をやるから、そこで待ってなさい」

夕呼先生がそういうと通信画面はブラックアウトした

「第一関門突破ですね」

そういう都筑さんの言葉にも引きつった笑い顔を浮かべるので精一杯だよ
これから直接対面かー 霞同席してくんないかなー


その後ピアティフ中尉がやってきて、みっちり検査をさせられたあとB19フロアに案内してくれました

「副指令。鶴見さんと都筑さんをお連れしました」

「ご苦労だったわね、ピアティフ
あなたは下がっていいわ」

そうしてピアティフ中尉が退室すると夕呼先生はおもむろに銃をかまえて

「で、あんたたち何者?」

と一言

いやいやいや、展開速いですから先生
やっぱアレか?主人公補正ないせいか?

「ちょっ まっ」

「先ほども申し上げましたが、「外の世界」からの漂流者です
因果律量子論といえばご理解いただけますね?」

やばい、都筑さんに惚れそうです。ロリじゃないけど
きょどる俺を無視して見詰め合う美女と美少女
俺、置物でいいや
なんて考えたらちょっと落ち着いてきて霞がリーディングしてることを思い出した

霞ー!俺だ 結婚してくれ!

夕呼先生がすごい形相で俺をにらみましたよ
すいません。自重します

「最初に申し上げますと、わたくしたちはこれからこの世界がたどるはずの二つの未来を知っています
なぜわたくしたちがそれを知りえたのかは、私たちの世界ではこの世界の出来事がゲームとして伝えられているからです」

「いいわ、続けて」

「その前に銃を下げてはいただけませんか
香月博士が銃の扱いは不得手と存じていますが、わたくしたちは民間人なのでそういったものを突きつけられると肝を冷やしてしまいます」

夕呼先生は短く息を吐いて、拳銃を机に放り出し椅子に腰掛けると口元に微笑を浮かべて先を促した
夕呼先生、悪役顔似合いすぎです

「それと、今日の年月日を教えてください」

「なによ、未来を知ってるなんて大風呂敷広げたくせにそんなことも知らないの?
今日は2001年4月1日よ」

「ありがとうございます
なにぶん突然この世界へと放り込まれは身ですので
それと、私よりも彼のほうが詳しく知っていますので
鶴見さん、お願いします」

「へー・・・・・・」

OH!わかっていたけど説明をふられちゃったぜ
どうでもいいけど夕呼先生の珍獣を見るような目が痛いです
でもここが正念場、きょどりながらもミッション遂行しますよ

そうして、2001年10月22日に鑑純夏の幼馴染、白銀武がこの世界へやってくるところから話しはじめた

武がこの世界と非常によく似た、けれどBETAのいない世界からやってきたこと
夕呼先生によって207B分隊に配属されて衛士を目指すこと
しかし12月25日にオルタネイティヴ4が打ち切られ5に移行したこと
それを問い詰めた武に夕呼先生が150億個の半導体を手のひらサイズにすることができなかったと漏らしてしまったこと
その後夕呼先生の行方は知れず、B19フロアには霞だけが残っていたこと
衛士として任官した武たち元207B分隊が実践に出ることなく3年過ごし、最後の大陸反抗作戦に参加したらしいこと

そして気がついたら武は再び2001年10月22日の自分の部屋に戻っていたこと
人類を救うために再び横浜基地に訪れオルタネイティブ4を完遂する決意をしたこと
戦術機訓練課程に移りXM3の開発を夕呼先生に依頼したこと
将軍復権を目論み狭霧尚哉首謀でクーデターが起きたこと
武が理論の間違いに気がつきエクストラの世界へ新理論を取りにいったこと
XM3のお披露目トライアルで交渉手段にできるほどの性能だと認められたがBETA出現でまりもちゃんが死亡したこと
新理論によって00ユニットが完成し甲21号作戦がおこなわれたこと
しかし伊隅大尉と柏木が死亡したこと
横浜基地襲撃で反応炉を破壊して失い、A-01の先任が死亡と負傷で全員リタイアしたこと
その際BETAの情報伝播モデルがオリジナルハイヴを頂点とした箒型構造であることがわかり人類の情報がもれてることもわかったこと
そして桜花作戦がおこなわれ元207B分隊の少女たちの献身であ号標的を倒したこと


夕呼先生は説明が終わるまで黙って聞いていた
これ関門突破したんじゃね?

「ふーん
作り話としてはなかなか面白かったわ
ご褒美にこれから一生独房で監禁してあげる」

「ちょっw」

「香月博士
わたくしたちは、こと貴女に対しては駆け引きをするつもりはありません
それはわたくしたちでは覚悟もなければ、貴女に智で到底及ばないことを理解しているからです
ですから利用価値が失われると考慮しながらも全ての情報を明かしました
それに少なくともわたくしたちが嘘をついていないことは社さんの能力で証明されましたよね?」

「ふっ・・・・・・ふふふっ あーはっはっはっはっは」

なんという悪役三段笑い

「あんたいいわ。面白いわね
確かにありえない話じゃないのよね
あんたたちの世界ではゲームとして伝わっているというのも因果律量子論で説明がつくし、件の部屋から持ち出したという物からもこの世界との差異は認められるわ」

「ありがとうございます
つきましては情報提供の対価にわたくしたち10名の保護と身元の証明を博士にお願いしたいのですが」

「なんですってぇ 10名!?」

夕呼先生のあんぐりと口開けたレアな表情ゲットだぜ
まあ都筑さんのお手柄なんだけどね
それよりも決して長くはないやり取りで「あの」夕呼先生に気に入られたようなのは、さすがは国際交流学科生というところなのかねー

夕呼先生は「何で10人も」とか言って自分の世界へ旅立っちゃいましたよ
監禁って最悪の状態を免れてほっとため息をつくと都筑さんがニッコリと微笑んでくれた

「まあいいわ、現状じゃわからないしこの件は保留ね
今気分いいからまとめて面倒見てあげるわ
認識票を届けさせるからそれまで話しに付き合いなさい」

「「はい」」

「ところで、鶴見だっけ?あんたロリコン?
社が酷く怯えるてたわよ」



\(^o^)/



[15226] 第二話 衛士強化装備の技術は世界一ぃ!
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:987b36d2
Date: 2010/01/09 07:51
あ~あぁ~、あ、あ、あ、あ、あぁあ~♪
ああぁ~、あ、あ、あ、あ、あぁ~♪

「あんたロリコン?」そうぼくに問いかけた夕呼先生の目には
面白いおもちゃを見つけた子供のような光が宿っていたわけで・・・
ロリコンにはYesロリータ Noタッチという鉄の掟があり
それを話しても先生の態度は変わらないと思われ・・・
都筑さんの可哀相な人を見るような目も痛いわけで・・・
だけど・・・
思うことは自由だと言うけれど、他人の思っていることが見えてしまう人にとっては
ときにそれは暴力と変わらないものであり
対人関係が不慣れな霞にとって一方的に寄せられる好意というのは
恐怖にしか感じられなかったと思われ・・・
白銀武は天然だったけど、自己紹介から初めて、理由も話して
何度も会話を交わし、あやとりで遊んだりし
少しずつ心の距離を近づけていったわけで・・・

それなのに・・・ぼくは結婚してくれといい・・・まだ会ってもいない霞に・・・結婚してくれといい



「何訳わかんないことぶつぶつ言ってるのよ
こいつ、大丈夫なの?」

「は、はぁ・・・・・・」

「まあいいわ
まとめて面倒見るとは言ったけど、ただ飯食わせておくほどこの世界に余裕は無いの
この基地にいるいじょう軍属になって働いてもらうわ
で、あんたたち何ができるの?」

「はい。わたくしは情報処理、対外交渉の心得があります
他にプログラムに精通した者、機械に詳しい者、軍隊ではありませんがそれに類する組織での経験のある者などがおります
その他の者は、わたくしもまだ出会ったばかりで、どのような才能や経験をもっているのかはわかりません
博士が希望するのでしたら、後ほど本人たちに直接お尋ねください
また、わたくしたち全員の共通事項ですが、2001年10月22日から20002年1月2日までという非常に短期間ですが、先ほど鶴見さんが話したとおり、激動する情勢を裏の事情も含めて知っています
次に、私たちの住んでいた世界は2009年で、この世界よりも進んだ、あるいは違う技術がある可能性があり、それらの中で提供できるものがあると思われます
最後に、やがてこの世界へ来るはずの白銀武がそうであったように、わたくしたち全員に戦術機操縦の適正があると思われます
これは戦術機シミュレーターと類似したコックピット型のゲームで日常的に遊んでいた為、またその他にもこの世界では発展しなかった様々な遊具施設での経験もあり三半規管がこの世界の人よりも発達している可能性がある為です
もっともあくまで遊びとしての経験なので精神的に衛士として戦えるかと問われれば疑問ですが」

「なるほどね。そっちの世界の情報なんかはおいおい聞かせてもらうわ
とりあえず都筑、あんた今から私の第二秘書で少尉よ
それから鶴見!いつまでボケーとしてるの。あんたは他の連中をここに連れてきなさい」

「へぁ?」

なんか、いつの間にか話が飛んでるんですが

「その事ですが、はか・・・副指令
日付がわからなかったこともあり、一週間後に白銀宅で合流することにして、現在横浜基地と帝都との2組に分かれて行動しているんです」

「あんたたちの状況じゃ仕方なかったんでしょうけど、まったく、面倒なことね
まあ、いいわ
とにかく残ってる連中をすぐに連れてきなさい」

「でも俺、まだ認識票とか貰ってませんよ?」

「こっちで話し通しておくから、さっさと行きなさいっ」

「イエスマムッ!」

そう言って脱兎のごとく廊下へ飛び出しましたよっと
混乱していたっていっても流石に今のは不味かったね
夕呼先生って馬鹿は嫌いだろうし、もっと言葉の先を見て行動しないと、こき使われるだけ使われてあぼーんされかねん
それよりも霞に最悪の第一印象与えちゃって死にたいですorz

霞を怖がらせるつもりじゃなかったんだ、ごめんよー

基地内の道が判らなくて迷いながらも3人が待っている丘に着くまでエンドレスで霞に呼びかけましたとも
まあ、観測してくれてるとは思えなかったけど、誠意です




【 都筑由希子 SIDE 】

目が覚めたら転移という力でゲームの世界へ迷い込んでしまっていて混乱しましたが、香月副指令との面会はわたくしの人生の転機だったのでしょう

友人に強引に進められてプレイしたマブラヴと言うゲーム
そのゲームでわたくしをひどく惹きつけたのは香月夕呼という人物でした
人類滅亡という厳しい状況を前に、それを己が信じる方法で救おうと死すら生ぬるい道を歩み続ける彼女の姿は、やがて両親の事業を引き継ぐ事になるわたくしに畏怖と憧れを抱かせ、人生の道標の一つとなりました

その彼女に秘書へと請われ、オルタネイティヴ4をより完全な形で成功させる手伝いをすることが、この世界でのわたくしの成すべきことになりました
奇天烈な事象に流されて、早急で安易な決意をしてしまったのかもしれませんが、この限りなく困難なことを成し遂げなくては、元の世界に帰っても前に進むことは出来ないと思ってしまったのです

「しっかし、あななたちがやって来たおかげで、考えたりやらなきゃいけない事がまた山ほど増えたわ
あなたなりの見解でいいから問題点を挙げてみてちょうだい」

香月副指令ほどの人でも急に大量の、しかも重大な情報を手に入れ困惑しているようです

「まず、00ユニットの強烈な感情によって起こるODLの異常劣化の解消、または軽減。それによる稼働時間の向上
甲21号作戦、横浜基地へのBETA襲撃、桜花作戦。いずれもそれらがクリアー出来ていればより良い成功を収められていたと思います
そして、反応炉からの人類情報漏洩への対策
この2点が最優先事項で、白銀さんがやってきて理論を回収するまでに対処を完了させておくべきでしょう
また、XM3の早期完成はその性能により交渉材料として反オルタネイティブ4派に対する牽制が出来ます
それと併せて帝国、将軍殿下とのパイプを強固なものとし、クーデターをこちらでコントロールして反対派を日本から一掃し、その勢力を弱めるべきでしょう
これにより失われるはずだった戦力も温存でき、人類の反攻戦力、士気をより強く出来、第4計画完遂へのメリットになります」

秘書とはいえ、この世界にとっては異邦人のわたくしに求められているのは、副指令が方針を決定する上で指針の一つとなる提案をすることと考え、ゲームをして、もしこうだったならと思っていたことを述べました

「はぁ・・・・・・まさかここにきて計画の見直しをすることになるとはね
あんたたちの情報を鵜呑みにすることはできないけど、どれもやらないよりやったほうがいいって容易に想像できるのが癪にさわるわね
前の2つは早急に調査、対策をするとして
まずはXM3? それの・・・・・・あら社、どうしたの?」

空気の抜ける様な音がして扉が開くと社さんが入室してきて、副指令のもとに歩み寄り何事か耳打ちしています

「・・・・・・まったく、使えないやつね

ピアティフ?
さっきの鶴見ってやつが迷子になってるからゲートまで案内して、他の連中を連れて戻ってきたらここまで連れてきてちょうだい」

呆れ顔でピアティフ中尉に通信してますが、副指令、その言葉は可哀相です
この基地の廊下はどこも似たような造りで、鶴見さんじゃなくても初めてでは迷ってしまうと思います
それにしても鶴見さんは、頼りなさそうに見えますが悪い人ではないと思いますのに、社さんを怯えさせるなんて一体どのようなことを考えていたのでしょう?


【 都筑由希子 SIDE END 】





「遅いっ!」

「すいませんでしたっ」

瀬戸たちと合流して戻ってきたら夕呼先生がお怒りでした
そりゃ迷子になって時間かかったのは悪かったと思うけど、それ以上に、部屋には霞がいたので怖がらせちゃったことを申し訳なく思って、一部の隙も無いジャンピング土下座をいたしました

ていうか、ナマ霞可愛え~ LOVE!

うわっ 見なくてもビクッて気配が判った
いやいやそうじゃなくて、ごめん、霞。怖がらせるつもりじゃなかったんだー

「は、はじめまして、香月博士。
瀬谷孝輔と申します」

「泉真一郎です」

「青葉里香です・・・・・・」

うむ、俺のことをスルーしてくれるのは非常にありがたい
俺は今、霞に弁解と本心を伝えることで手一杯なのでござる

「私は香月夕呼。って詳しく紹介なんてしなくても判ってるのよね。手間が省けて助かるわ
あんたたちのこともおおよそは都筑に聞いたけど、瀬谷、あんたプログラマーらしいけどXM3の基礎プログラム組める?」

「は、はあ。現行の戦術機のOSを確認する必要はありますが、おそらく問題ないと思います
が、あの・・・・・・・俺たちの立場ってどういったものになるんですか?
いきなりで状況がつかめないんですが」

そ、そういえば霞にまだ自己紹介してなかったよな
俺は鶴見健二。もう知ってるだろうけどこことは別の世界の人間なんだ
それで俺の世界のゲームでだけど、この世界のことが描かれてて、この世界に生きてる人は皆一生懸命で、悲しい現実ばかりだけど俺はその姿に憧れてて
だから霞のことも知ってて、社霞って人は俺にとって癒しで、実際に同じ世界にいるって判ったら嬉しくて、さっきは気持ちを暴走させちゃったんだ

「あら、そこの唐変木に伝えてなかったかしら?
都筑や瀬谷のような技術を持った者には技術士官として第4計画をサポートしてもらうわ
これといった取り得の無いやつらは、そうね、お得意だっていう戦術機の操縦を見せてもらってから決めましょうか
あんたたち全員知りすぎてるから、使い潰すつもりでこき使ってやるわよ。せいぜい気合入れなさい」

「あ、あの俺、戦術機や武装の改良や新兵器考えてるんですけど、現行の設計図って見れないですかね?
帝国が開発中の電磁投射砲とかでも実戦配備出来れば相当な戦力になるはずなんですけど」

「あとで資料を届けさせるから企画書作って持ってきなさい
使えるようだったらその先考えてあげるわ」

「あっありがとうございます」

でもそんなこと霞は知らないのに怖がらせちゃって、ごめん
それにここにいる霞は俺の知ってる霞と違うのに同一視しちゃって失礼だった
嫌われちゃったかもしれないけど、それだと俺の生きる希望がなくなってしまうので嫌わないでほしいなーなんて
それで友達になってくれたりすると大変嬉しかったりするんだけど・・・・・・

なんてことを必死に考えてても霞が観ててくれていなかったら悲しすぎるね、俺
そう思いながら顔を上げたら霞がゆっくり首を振ってくれた

それは聞いてたってことで、許してくれないって事じゃないよね?(びくびくっ)

おお、こくんって肯いてくれた
霞は優しいなー やっぱ好きだーっ!

ああ、ビクッてした また怖がらせちまったい/(^o^)\

「で、あんたは何やってるの
まさか社に劣情した思いをめぐらせてた訳じゃないでしょうね?」

「ちっ違いますよ
事情と謝罪を思い浮かべてだけですって」

夕呼先生の目がとってもブリザードです
わざわざ霞のほう向いて無言で確認しないでください

「・・・・・・本当です。謝ってくれていました」

「ふーーん・・・・・・」

「なんか夕呼先生、俺に対して風当たり強くないですか?」

「未来説明とやらの時から気になってたんだけど、その「先生」ってのは何?」

「あーそれは、白銀武の元の世界の夕呼先生が高校の物理教師で、そのときの呼び方がこっちでも変わらなくて、ずっとそれを聞いてたから俺もうつっちゃってですね
やっぱ呼び方変えたほうがいいですか?」

「別にー
私が不快に感じなければ、なんて呼ぼうがかまわないわよ」

あれ?最初の質問はぐらかされた?
そうですか、嫌われましたか・・・・・・

「それじゃあ、シミュレーター室へ移動するわよ
話しの続きはそれからね」





そういう訳でシミュレーター室に移動しましたが・・・・・・パラダイスですっ
戦術機に乗った事の無い異世界の素人がどれだけ操縦できるのかってことで全員搭乗する事になったんだけど
衛士強化装備やばいね、これ。エロ過ぎですwww
都筑さんのおっぱいは今更説明の必要もないけど、青葉ちゃんの凹凸の少ないばっちり浮き出ちゃってまともに見れません。ごめん、嘘。ガン見してますw
あ、泉が鼻血吹いた これが若さか・・・
俺?俺は大丈夫ですとも。ちょっと前傾姿勢になってるだけですよ
瀬谷はさりげなく視線を外して気にしてないよう振舞ってるし
都筑さんは別に恥ずかしがってるようには見えないけど、おっぱい見てて視線が合っちゃったら「めっ」みたいな動作で窘められました。うはw
青葉ちゃんは熟れたトマトみたいな顔になってますよー。可愛ゆす
夕呼先生の執務室で落ちたテンションが上がってきたっ
今の俺なら単機でもアムロに勝つる!

「それじゃあ、3番から順番に適当に搭乗しなさい」

準備が整ったことを伝える夕呼先生の姿が網膜投影に映し出された
網膜投影もなにげにすごい技術だよなー
これのおかげでコックピットにモニター要らないし、データリンクで各種情報がリアルタイムで視覚化されて判り易いしねー
まあ、慣れないと情報処理しきれないだろうけど

「状況は防衛戦、BETA殲滅で状況終了。5機で特別小隊を組んだ状態よ
5分待ってあげるからその間に機動の確認なり作戦立てるなりしなさい」

「それじゃ、鶴見さんと青葉さんが前衛で、俺は2人の後方で支援、都筑さんと泉君が砲撃支援を」

「コールサインはどうしますか?」

「ロンドベルはどうかな?」

やっぱ絆プレイヤーとしてはガンダムに部隊名をあやかりたいよね

「じゃあ、俺がロンドベル01で
ロンドベル02が鶴見さん
ロンドベル03、都筑さん
ロンドベル04、泉君
ロンドベル05、青葉さん
残り時間でなんとか機体に慣れてくれ」

「ロンドベル02了解」「ロンドベル03、了解しました」「ロンドベル04、了解」「ロンドベル05了解です」

機体は最強の第二世代戦術機と名高い陽炎
本当は撃震に乗りたいけど、余計なこと言うと夕呼先生に突っ込まれそうだから我慢ですよ
主脚走行はMSと大差ないか
でもやっぱ、予備動作のせいで反応鈍いなー。これ緊急回避出来なくて完全に乙るよなー
んでブースト使った匍匐飛行はっと
おおー速え~!戦術歩行戦闘機の名は伊達じゃないってか
でもこれって予備動作のせいで余計に機体性能潰してるよな。OS作ったやつ何考えてんだ?完全にクソゲー要素じゃないか
しかしあれだね、この機体速度はMSってよりACぽいね

結局機体操作を確認するだけで時間になってしまいましたとさ
戦闘中に慣れていけって事ですね。わかりません
いくら死なないからって、夕呼先生ドSです



[15226] 第三話 VS社霞?
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:987b36d2
Date: 2010/01/09 09:26
「距離4000mに旅団規模のBETAを確認いたしました
先頭の突撃級との接触まで約90秒です」

「ロンドベル01、02、05は突撃級をかわして背後から迎撃。03、04は後続の敵を警戒」

「ロンドベル02了解。絆と違って光線級の一撃で落ちちゃうから皆高度には気をつけて
青葉ちゃん、匍匐飛行で突撃級を回避するよ」

「ロ、ロンドベル05。了解」

「ロンドベル04了解。ところで旅団規模ってどれくらいの数なんですか?」

「ロンドベル03了解。およそ1万ですね」

「あ、あの人は何考えてんだー(泣)」

「あら、でも中型種以上は2000程ですよ」

「慰めにならない数字だな、それ。各機迎撃用意」

5対1万ってどんな戦力比だよw
おまけにこっちは操作にもまだ慣れてないのにそれなんて無理ゲー?

なんて考えてるうちに突撃級をスルーして背後から36mmを叩き込む
うはwもろすぎwww
次々と撃墜されていくよ

「02より各機。突撃級の背面マジもろい
敵の数多いから無駄弾使わないように注意」

「「「「了解」」」」

ちなみに兵装は俺が突撃前衛、青葉ちゃんが強襲前衛、瀬谷が強襲掃討、都筑さんと泉は制圧支援
武装減っても盾無しは心許ないんだよね
青葉ちゃんは内気な感じがしてたけど剣道やってるって言うし戦いじゃ攻め重視なのかな?
それにしても突撃級って旋回速度遅いし最初の突撃かわしちゃえば食い放題だね
劣化ウランのデザートはいかが?ってかw

「後続の接敵まで30秒切りました」

「うわー・・・・・・あれ、近づかないとダメですか?」

「がんばろ・・・・・・?」

「ぅぅ・・・・・・」

突撃級はそんなことなかったけど、要撃級とか戦車級とかとてもキモいです
おまけに小型種はわらわらいて、あれに取り付かれるとか発狂ものだね。マジカンベン
でも涙目の青葉ちゃん可愛ゆす
網膜投影とデータリンクも最高。通信時はバストアップの映像が出てエロスーツ見放題ですw
青葉ちゃんは心細いのか通信つなげたままだし、テンション上がりまくりwww

「92式多目的ミサイルで一掃します」

「「「了解」」」

「ミサイル着弾後突出します。05は援護を、01は周辺の敵をお願いします」

泉がミサイルで空けた敵の穴に、長刀を抜き、サブアームで突撃砲を保持して突貫!
要撃級に斬りつけて離脱、すかさず次の要撃級を一閃
BETAに警戒しつつも青葉ちゃんのエロスーツ姿をチラ見して常にテンションはMAX
ACのつもりでブーストを使い機動にも慣れて一撃離脱を繰り返す
フゥハハーw戦える、BETA相手でも俺は戦えるぞーwww
予備動作での機体硬直が気になるけど小型種は青葉ちゃんが駆逐してくれてるし、砲撃してこない分、絆よりもぬるい気がする

そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
倒しても倒してもBETAの数減らねーっ
BETA最大の脅威はその物量って意味よくわかりました
てか盾意味ねー
敵の攻撃は機動でかわすし、予備動作のせいで緊急防御なんて出来ないし、せいぜい要撃級を殴りつけるくらいだけど腕に余計な負荷がかかるし、それなら長刀で切りかかるほうが全然効率がいい
そりゃ前衛が兵装に強襲掃討選ぶ訳だよ
救いなのは敵の数が圧倒的といっても一度に相手にする数はせいぜい数十匹
青葉ちゃんと二機連携を崩さないよう気をつけながら常に動き回って要撃級を切りつけ、撃ち殺す
近づいてくる小型種は瀬谷が掃射して安全域を確保してくれる
それでもその後ろに壁のようにBETAが控えてて囲れたら乙るので都筑さんが戦域全体を警戒しながら泉と共に常に退路を確保してくれてる
最初はぎこちなかった皆の動きも今はもう見られないし、絆で連携の重要さを承知してるから即席チームだけど常に全体をカバーしあい死角を作らないようにしてるおかげで何とか戦えている
でも混戦になって青葉ちゃんなんて半泣きになりながら長刀振るってて、おかげで俺こんな状況でもとってもハイテンション!
青葉ちゃんツルペタと思ってたんだけど、激しい機動のせいでわずかに揺れ動くんですよ。ちっぱいがw
もちろん青葉ちゃんの通信画像は視界中央に配置してますw
戦況が見難いじゃないかって?それが不思議なことに青葉ちゃんを凝視するほどBETAの動きが良くわかるんだよね。なんだろねーこの感覚
まあ、おかげで支援も的確に出来てるんだけど、そろそろ武装も推進剤も心許ないです

「敵後方に要塞級を確認っ」

「くっ 03、04はミサイル正射。着弾と同時に全機反転して補給コンテナまで全速後退」

「「「「了解」」」」

108発のミサイルがBETA目掛けて空に舞ったと思ったら無数の光によって撃墜されてしまった

「レ、光線級ですっ」

「全機、前面の敵を一斉射後、匍匐飛行で緊急離脱っ!」





【 香月夕呼 SIDE 】

この世界がゲームとして記録されてる平行世界からやってきたと自称する5人
最初に面会した2人がそう前置きすると、この世界がたどるという2つの未来を話し始めた
普通に考えればお粗末な妄想。でも話の端々に機密情報が含まれていて私は驚きを表情に表さないよう努めなくてはならなかった
諜報員だとしても知りえない情報まで知り過ぎているし、社のリーディングで嘘を言っていないことは確かだ
もっとも鶴見というやつを見れば諜報員だなどという考えは霧散してしまう
こいつは間違いなくただの馬鹿だ
年齢は私よりも上だろう。その体型は弛んでいて、それは精神にも影響している
社から「結婚してくれ」と呼びかけられたと通信された時は何を考えてるのかと呆れたが、量子伝道脳の理論が間違っていると言った時は、何故こんな緩いやつに言われなければならないのかと殺意を覚えた
頭のおかしなやつの戯言と片付けられなくもないが、都筑という女性の存在が私にそれを否定させる
陰を含んだ言動に、頭の回転も速いようで私の問いにも理路整然と答える
何よりも全てを信じてしまおうとさせる微笑が私の興味を引きつけた
おそらくその微笑のせいで不審人物でしかない2人を門兵は警戒するのも忘れ言われるままに私へと連絡を取り次ぎ、私自身も尋問も命じずに直接会うなんてことをしてしまったのだろう
彼女の微笑には何がしかの力があると私の直感が告げている
そして彼女は私に協力的な姿勢を見せているし、うまく利用すれば鬱陶しい交渉に私の手を煩わせる時間が減るかもしれない

同様にこの世界へやって来た者が彼女らを含めて10人存在するそうだが、何故同時期に同じ場所に出現したのかは現時点ではわからない
が、他にも彼女のように使える人間がいないとも限らないし、何よりも彼女たちの持つ情報は驚異だ
00ユニットがBETAの諜報員にもなりかねないという一点だけでも、その真偽を問わず、米国に知られてしまえば第4計画は即時凍結させられるだろう
10人もの身元を改ざんするのは手間だけど、なんとしても私の下で全員を確保しなくてはならない
行動をコントロールすればメリットを多く産み出すかもしれないし、使えないやつは軟禁してしまえばいい

そう考え、憂さ晴らしもかねてシミュレーションをさせてみたけど・・・・・・悪夢を見ているようだわ
頬をつねってみるが痛くない

「・・・・・・痛いです、博士」

この私としたことが動転してるらしい。どうやら社の頬をつねってしまっていたみたいね

「ああ、社。ごめんなさいね」

しかしモニターに移る光景は本当に現実なのだろうか?
都筑は全員に衛士の適正があるだろうと言っていたが適正があるどころの話じゃない
体型を見れば5人とも衛士訓練を受けていないことは判る
その彼女の言うシミュレーターに似たゲームというものがどんなものかは知らないが、所詮は子供のお遊びだろうと高を括っていた
先ほどいいように主導権を奪われた仕返しに、小隊で旅団規模の殲滅という馬鹿げた設定で泣きっ面を見てやろうと思っていたのに
開始から30分、一機も失わずに4000匹ものBETAを殲滅している
その驚異的な殲滅数を支えているのが彼女たちの機動だろう
光線級の脅威で制空権を奪われて以来、二次元機動をもってBETAに当たるのが常識とされている
しかし彼女たちはとにかく全員がよく跳ねる
光線級を一応警戒しているようで高度こそとらないが、BETAの攻撃を交わすときはもちろん、移動する際にもバッタのようにピョンピョンと
その彼女たちの中でも一際奇妙な機動をしているのが、あのロリコン男だ
跳ねるのに加え、噴射滑走を巧みに使い、滑るように高速移動して一撃離脱を繰り返す
かと思えば片側の跳躍ユニットだけを噴かしてその場で急旋回し、背後の敵に対応したり僚機を援護しBETAを蹂躙している
あの弛んだ体でどうしてこれ程のことが出来るのか甚だ疑問だけど、操縦技術「だけ」は本物なのは疑うべくもない

だが彼女たちの善戦も光線級が出現するまでだった
光線級の出現と共に補給のために戦線を離脱し、再び戦闘を始めたが、やはり跳ねることが難しくなったようで、行動が制限され大量のBETAに対応しきれなくなってきた
そのうちにBETAが海を割るように左右に別れ、その行動に虚をつかれた青葉という子が光線級の一撃で消滅した
その後「ちっぱいが」などと訳の判らない事を言っていたロリコンが撃墜され、残りの3人もBETAの物量の海に沈んでいった
最後はいささかお粗末ではあったけど、殲滅数は5000を超えていた
おそらく伊隅たちでも小隊ではこのスコアーを超えることは出来ないだろう
なるほど、精神的に衛士足りえないというなら、その軟弱な精神を叩き直してやればいい
これ程の戦力を使わないなど馬鹿げている
異世界からの来訪者、大いに結構。残りの5人も早く試してみたいわ
彼女たちの言う情報を裏づける為にも、まずはXM3とかいうOSを早急に完成する必要があるわね
量子伝道脳の理論も時期が来れば完成するという話だけど、他人任せなんていうのは私の主義に反する
彼女たちの世界の技術や発想を基にすれば私自身で理論を完成することも出来るかもしれない
反応炉とODLの対策を行いながら、やはり理論の研究も続けていくべきね

「ふ・・・・・・ふふふ、面白くなってきたわ」


【 香月夕呼 SIDE END 】





「殲滅は無理だったようだけど、まあいいわ。状況終了よ~
全員シミュレーターから降りて管制室まで来なさい」

つ、疲れた
青葉ちゃんが落ちて、ちっぱい効果が切れたとたんテンションがガタ落ちするのと一緒にそれまでの疲労も一気に襲い掛かってきて、動きが鈍ったところに要撃級の一撃を喰らってあっという間に落とされちゃったよ
あれだけ激しく操縦してたから手も足も筋肉引きつってるし、キモいBETAに物量で押されるってのは想像以上に精神の負担になってたみたいで全身だるくて動きたくない
といってもいつまでもここにいるわけにもいかないし、霞の顔を見るためと思って管制室へ行くとしますか

管制室につくと霞は装置をなにやらカタカタといじっていて、夕呼先生がとってもいい顔してますよ
激しく嫌な予感がする

「都筑以外の4人には衛士になってもらうわ」

皆困惑の表情を浮かべてるよ
まあ、そうならなきゃいいなーとは思ってたけど予想もしてたんだよね。白銀もそうだったし

「あの、何故都筑さんは除外されてるのかとか含めて理由は聞かせてもらえますか?」

「なによ、面倒くさいわね」

瀬谷の質問に本当に面倒くさそうに夕呼先生が答える
うん、こういう人だよね。夕呼先生って

「あんたたちこの世界で何の当てもないから私の所へ来たんでしょ
私は身元の証明と衣食住の世話をするわけだけど、当然あんたたちは私に借りが出来るわけだから何とかしてその借りを返さなきゃいけないわよねぇ
で、あんたたちの今のところ一番有益な能力は戦術機の操縦だから衛士になるってわけよ
都筑が抜けてるのは私の秘書になったからよ
まあ、戦うのが嫌だって言うならそれ以外の有能なところを見せれば、それに見合った処遇に変えてあげるわ
瀬谷と泉はその機会があるんだし、鶴見と青葉は無いなら死なないように自分を鍛えなさい」

「でも今まで話した情報で対価になったんじゃないですか?」

無駄だと判ってても一応反論はしとかなきゃね
都筑さんも確かそう言って身元の証明と保護を頼んでたし

「馬鹿ねえ、あんたたちが話した情報は何一つ証明されてないのよ。そんなもの取引材料になるはずないじゃない
それに、判ってると思うけど、この世界に使える者を遊ばせておく余裕なんて無いんだから」

ですよねー

「博士、終わりました」

「そ、ご苦労様
まだ聞きたいことがあるから部屋に戻りましょう」

そういって歩き出した夕呼先生の後ろに俺たちもついていく
もちろん霞に「お疲れ様」とねぎらいの言葉を心の中で言いましたよ
何の作業をしてたのかはわからないけど霞みたいな小さな子も夕呼先生を手伝って働いているんだ
俺も根性決めんといかんね・・・・・・死にたくないけど

執務室に戻ってくると夕呼先生はデスクの席に座り、俺たちもソファーに腰を下ろすと、さっき霞がプリントアウト?した書類を見ながら話しだした

「あんたたち戦闘中に飛び跳ねてたけど、あれはどういう概念なの?」

「俺たちが遊んでいたゲームでは主脚で移動するよりも、ああやって移動することが多かっただけで特に概念とか言うものではないです」

顔を見合わせてから代表して瀬谷が答えた

「ふーん
でも鶴見だけ他とは違った動きをしていたわよね?」

「それは、戦術機動かして判ったんですけど、戦術機のブースト移動ってかなりスピード出るからMSよりもACに近い感じがしたんですよ
でも予備動作のせいでブーストで姿勢制御が出来なかったからOBのつもりで使ったらけっこううまくいったってわけです」

「なるほどー。確かに戦術機の巡航速度はACと似てますね」

「そのMSやACやOBっていうのは?」

「あー、そういう説明は泉の方が詳しんじゃない?」

うまく説明できなさそうだったから相槌うった泉に丸投げしたら、設計理念やら運用思想やらその他色々詳しく説明してくれました。うん、俺が知らなかったこともね

「なるほどね。ビーム兵器なんてのは現実的じゃないけど、実用出来そうなものもありそうね」

「あれ?でもXG-70に荷電粒子砲がありますよね」

「荷電粒子砲とあんたたちの考えているビーム兵器は別物よ
その荷電粒子砲にしたってXG-70のサイズだから搭載できてるけど戦術機の武装サイズほどの小型化の目処なんて立っていないでしょうね」

「やっぱ、ビームは無理ですか・・・・・・」

ビーム兵器実用化の夢が絶たれて落ち込む泉
うん、わかるよ。ビームもロマンだもんな
てことで援護射撃してみることにした

「でも戦術機の武装って火力不足ですよね
物量相手のBETAに要撃級一匹倒すのにも36mm数発使うし、120mmmは弾数少ないし
バズーカとかもっと大火力欲しいよなー」

「あの・・・・・・私ずっと疑問だったんだけど、戦術機ってBETAと戦う主力ですよね?
でも支援砲撃のほうがたくさんBETA倒せてるし
なのにどうして同じ威力の武器を戦術機に持たせないのかなって」

「それはおそらく積載量の問題でしょうね
戦術機は運動性が最大の武器でしょうから、大口径の武装を装備すると重量も増えますし、機動にも影響するでしょうから長所を潰してしまう、ということではないでしょうか」

「でも、実際シミュレーションしてわかったけど、あの物量の前じゃ機動でどうにかするのは限界があるよ
光線級がいれば3次元機動も制限されるし、そうなるとやっぱり火力は欲しいな」

「そうなるとやっぱり99型電磁投射砲が現実的ですね
あれって確か耐久性と電力に問題あったはずだから砲弾を120mmから36mmに変えれば・・・・・・
鶴見さん、99型の完成って何時頃でしたっけ?」

「悪い、俺TEは詳しくないんだ。西ならわかると思うんだけど」

「はい、ストーップ
そういうことはレポートにして持ってらっしゃい
それじゃあ、これからの事を話すわよ
都筑以外の4人に衛士になってもらうと言ったけど、あんたたち軍隊経験無いでしょうから訓練兵から始めてもらうわ
と言っても残りの5人も同じ処遇になるでしょうから1週間後に合流してからね
その間に瀬谷はXM3の雛形を完成させなさい。手が欲しかったら社に手伝わせていいわ
泉は端末を用意させるから資料を参考にしてあんたたちの持ってる知識で実用できそうなものを企画書にしてきなさい
鶴見と青葉は自主訓練でもして体力を上げておきなさい。特に鶴見、あんたの弛んだ体じゃ訓練についていくことも出来っこないんだからサボるんじゃないわよ」

「わ、わかりましたよ
それで、自主訓練てグラウンド使っていいんですか?」

「あー、そうね。今の段階であまり他人と会うのは上手くないわね
セキュリティ承認レベル上げておいてあげるから90番格納庫を使っていいわよ
都筑と瀬谷はまだ話があるから残ってもらうけど、あとの3人はもう部屋へ行っていいわ
あ、そうそうあんたたち全員同じ部屋だから」

「「「えっ!?」」」

「当たり前でしょー
身分も無いやつに個室なんて与えられるわけ無いじゃない。ベットで眠れるだけでも感謝しなさい
それに都筑なんて個室にしてあげるっていったのに、あんたたちと同室でいいって言ったのよ
あとでピアティフに必要なものを持っていかせるからうろちょろ出歩くんじゃないわよ
社、悪いけど案内よろしくね」

「はい・・・・・・」

そういって夕呼先生は手で追い払うようなジェスチャーをしたので、俺と青葉ちゃんと泉は仕方なく霞の後についていった
いやでも、おにゃのことも同室ってのは嬉しいけど、やっぱ色々まずいでしょう、ねえ?
なんか気まずくて誰も話さないで歩いているうちに部屋に着いちゃったみたいだし

「ここです」

「へー、広くて・・・・・・殺風景な部屋だなあ」

霞に教えてもらった部屋の扉を開けて、部屋の様子をネタに雰囲気を変えようと思ったけど、無理!
2段ベットが3つにロッカーと机、後はカーテンで仕切られた風呂?壁も床も真っ白で明るい話題にするようなものなんて何一つありません
どーしたものかと困ってると、霞が部屋を出て行ったのであわてて追いかけた
だってねえ、脳みそ部屋に行く理由が俺には無いし、このまま接点ができなかったら次にいつ霞に会えるかわからないし、それじゃあこの世界で生きる俺の気力がマックスダウンしてしまうんですよ

「霞・・・・・・」

後姿に声をかけたらビクッとして、ゆっくり振り向いてくれた

「なんか何度も怖がらせたり驚かせたりしちゃったみたいでごめんな」

「・・・・・・」

う、そんなつぶらなおめめでジーッと見られると照れるZE

「・・・・・・あなたは私が怖くはないんですか?」

「へ?」

俺が霞を怖がる?こんな可愛いのになんで?むしろ怖がらせてるのは俺じゃないの?
あ!そうか
霞は自分の能力のせいで人に怖がられたり嫌われたりするのを恐れているんだっけ

「別に霞に心を読まれるのは怖くないよ
霞に能力があるのは知ってるから観られるのが当たり前だと思ってるし
それより純夏や世界を救うには霞の能力は絶対必要なすごい力なんだぞ
ただまあ、観せちゃって驚かせちゃったり、エロいことも考えちゃうから恥ずかしい思いさせちゃっうかもしれないけど」

「あなたは・・・・・・変な人です」

ずがーーーーんっ!
か、霞さん、それは酷いです
そりゃね、世間一般では「ロリコンは病気です」って言われてるし自分が普通じゃないのは自覚してるけどね
それでもやっぱ霞に変とか言われると凹むわけで

「ロリコンですか?」

NOーーー!もうやめてっ俺のライフは0よ!

「あー・・・・・・うん。霞にはわかっちゃってるだろうけど俺は霞のこと好きだから仲良くなりたいし、友達になりたいんだ
そりゃまあ、やましい気持ちが全く無いって言ったら嘘になっちゃうから、霞は嫌かもしれないけど・・・・・・」

「ごめんなさい・・・・・・違うんです」

「へ?」

「あなたのような人は今までもいましたが、あなたは他の人と違って暖かい色をしているので、恥ずかしいけど・・・・・・嫌じゃありません」

あれ?なんか俺意外と好印象?

「えっと、それは友達になってくれるってことかな?」

「・・・・・・私でも、友達になれるでしょうか?」

「もちろんさー
友達ってのはおたがいになりたいって思えばその瞬間から友達なんだよ
それに霞は思い出も欲しいだろ?
友達になったのは立派な思い出だし、これから話したり遊んだりすること全部、霞の思い出になっていくんだぞ」

「思い出・・・・・・欲しいです」

おー、ウサ耳がピコピコ動いてるw
俺も霞とまさかの友達になれて嬉し過ぎるし、霞も喜んでるみたいで最高です!

「あ、あの、私も霞ちゃんと友達になりたいです」

ぎゃーーーーーす!?
振り向けば青葉ちゃんと泉が扉を開けてこっちを伺っておりましたよ
何も言わないで霞を追いかけて部屋を出て、部屋のすぐ前で話してた俺が悪いんだけども
問題は二人とも何時からいたの?どこから聞いてたのー?

「俺もいいかな?」

「・・・・・・よろしくお願いします」

まままままだあわてる時間じゃない
このまま何事もなかったように会話を続ければいいんだ
うん、うっすらとほっぺを染めてお辞儀したままピコピコ忙しなくウサ耳動かしてる霞を見て落ち着くんだ
照れてる霞も可愛いなー
おや?霞がなんか顔上げて不満そうな顔してこっち見てるよ。眉がわずかに八の字になってほっぺも微妙に膨らませて、何この可愛すぎる小動物

「なあ、霞。俺たちには霞の考えてることは判らないから言いたいことがあったらちゃんと言ってくれよ
俺たちもちゃんと言葉で霞に伝えるからさ」

「そ、そうです」「うんうん」

ふぅ、2人もうなずいてくれていい感じで誤魔化せたようだ

「ロリコン・・・・・・のところから2人ともいました
それから、結婚は・・・・・・わかりません」

ザ・ワーーールドッ!時よ止まって~~~~っっ





















はい、ロリコンこと鶴見健二です
この世界に転移してまだ一日も経っていないのに5人にロリコンとばれました
俺は自分がロリコンてことに誇りを持ってます。でもそれが人にばれるのはまた別の話な訳です。社会的立場の意味で
でもここは異世界でーす。旅の恥はかき捨てって言うし自重やめちゃいまーす。旅してる訳じゃないけどねw
という訳でーせっかく2人がスルーしてくれたのに空気を凍らせてくれた社霞ちゃんにお仕置きしたいと思いまーす

(ビクッ)

でもYESロリータ Noタッチは譲れないのでエロエロな妄想で霞を食べちゃおうと思いまーす

(ビクビクッ)

シチュエーションは触手で・・・・・・

(スパーーーーンッ)

「痛ってー
・・・・・・青葉ちゃん、何すんの?」

いつの間にか脱いだ靴で青葉ちゃんに頭を殴られました
なんか真っ赤な顔して肩で息してるしどうしたんだろ?

「いいい今鶴見さん、霞ちゃんに絶対変な電波飛ばしてましたっ
霞ちゃん、あんなにビクビクしちゃってるじゃないですか!」

「・・・・・・あーいや、ロリコンてばれちゃったし開き直っちゃおうかなーって?
それにほら、俺が妄想したって霞が観なければ問題ないじゃん」

「強制受信させるような怪しい電波ばら撒いておいて何言ってるんですかっ!!」

あれー?青葉ちゃんて内気って設定じゃないの?なんかキャラ変わってますよ?
俺、廊下で正座させられて怒られてるし、泉は事態が飲み込めないのかおろおろしてるし
青葉ちゃん怖いから謝っちゃいますけどね

「わかりましたか!?」

「はい」

「それじゃ、霞ちゃんにもちゃんと謝って」

「霞、ごめん。本当悪かった」

青葉ちゃんの後ろに隠れてる霞に頭を下げて謝る
強気な少女と怯える少女のツーショット、いい!萌えっ☆

「・・・・・・食べま、せんか?」

「食べない食べないっ」

首をブンブン振って否定してあげたら霞は安心したのかビクビクしなくなった
でも霞、そんなに簡単に人の言葉信じちゃ駄目だぞー

「ふぅ、それじゃあ、これで仲直りです
はい、仲直りの握手」

そう言って青葉ちゃんは俺と霞の手をつかんで握らせた
霞は突然でびっくりして目を大きくさせてるし、俺も驚いた
でも霞の手ちっちゃー、暖けー、青葉ちゃんありがとー

「霞ちゃんは今日はまだ仕事あるの?」

ずーっと握手してたかったけど青葉ちゃんが話題を変えたので仕方なく霞の手を離してあげた

「ありません」

「それじゃ、基地の案内してもらうのお願いしてもいいかな?
私たちまだ全然わからないから霞ちゃんに案内してもらえたら嬉しいな」

「あの・・・・・・はい、私でよかったら
でも、ピアティフ中尉が来るまでは部屋にいてください」

「あ、ピアティフ中尉が色々もって来てくれるんだったね
うん。それじゃ、その後にお願い」

「はい」

「それまで部屋でお話してようか」

「はい」

「鶴見さんと泉さんも廊下に立ってないで部屋に入ってくださいよー」

なにやら打ち解けた様子で部屋に入っていくロリッ子2人

「青葉ちゃんて人見知りの激しい子なのかな?」

「さ、さあ?」

青葉ちゃんの素?に戸惑う男2人だった





それから10分くらいでピアティフ中尉が認識票や制服、携帯式端末などを持ってきてくれた
私服で動き回るのはまずいと言われたので青葉ちゃんと泉は制服に着替えたけど、さすがにこの歳になって真っ白い学ランは正直勘弁して欲しいので訓練着に着替えて、霞に基地を案内してもらう事にした
PXに案内された時はこの世界に来て初めての飯(夕食)を食べたんだけど合成食不味いっていうか食感が変。味はその料理っぽい味がするのにもっちゃりしてたりぱさぱさしてたり・・・・・・腹減ってたから完食したけどね
それより訓練兵としてスタートするまでは207のメンバーに会わないようにってことで原作とは別のPXだったのには(´・ω・`)ショボーンですよ
やっぱヒロインたちには早く会ってみたいよね。たまとかたまとかたまに・・・・・・まあ、1週間の辛抱と思って我慢しますよ
そして主要施設を一通り回った頃には霞は青葉ちゃんの申し出とおり名前で呼ぶようになってた
俺も「お兄ちゃん」と呼んでほしいとお願いしたら「鶴見さんのは犯罪っぽすぎです」と青葉ちゃんにスリッパ(PXで購入してた)で頭叩かれますた
脳みそ部屋に行くと言う霞とは部屋の前で別れて、部屋に戻ると都筑さんと瀬谷も戻ってきていた

そして、おにゃのこズのシャワーが終わるまで時間を潰してこいとの青葉ちゃんの御達しでPXで男三人たむろしております

「んで結局XM3のプログラムは瀬谷が作る事になったん?」

ずずーっと合成玉露を飲みながら瀬谷に尋ねる。うん、これはちゃんとお茶の味がする

「ああ、元の発想がバルジャーノンだから俺のほうが理解してるだろうって丸投げされた
それで、君らが戻ってくるまで現行の戦術機OSプログラム見てわかったんだけど、この世界はハードは俺たちの世界より進んでいる部分もあるけどソフトに関しては20年は遅れてるな」

そう言って瀬谷はコーヒーモドキを飲んで微妙な顔してる。ハズレだったみたいだ

「ハードでも遅れてそうなところはありそうだけどな。あの端末、スペック低そうだしHDも付いてないだろ?」

「メモリースティックの容量がやたらでかいし、OSもWindowsみたいに重くないからHDは普及しなかったんだろうな」

「兵器も遅れてる、と言うより発想が古いですね
BETAと戦い続けてて余裕がないんだろうけど、戦術機の開発に偏重してて、武器の方はBETA戦開始の時からほとんど発展してませんね
第三世代機もハードだけで発展させようとするせいで色々無理があるみたいです。不知火好きな機体なのに、本当可哀相ですよ」

泉が興奮して合成烏龍茶を一気に飲み干す。お茶系はハズレがないみたいだ

「発展性が無いって言われてるけど、そこまで酷いのか?」

「発展性の無さは機動性と反応性の為にぎりぎりまで機体をシェイプしたからなんですけど、そのせいで機体の耐久性も落ちてるんですよ
たぶんXM3の性能をフルに使った機動をするなら一回ごとにオーバーホールが必要でしょね
武が横浜基地襲撃の時に機体をスクラップにしてたけど、207隊全機同じだったから機体疲労が貯まってたのが最大の原因だと思います」

「耐久性が問題だっていうならさ、撃震をベースに第三世代機並みの改良って出来ないかな?
F-4Eをさらにパワーアップさせたみたいな」

「なんで撃震ベースなんですか?」

「それは俺の趣味とロマンだ!」

「くくくっいいですね。趣味とロマン最高です」

俺と泉はいい笑顔でサムズアップを交わした

「F-4Eベースなら駆動系を換装してスラスターも各部位につけてACみたいにしましょうよ
ジェネレーターも不知火・壱型丙のに変えて、F-4なら重量が多少増えても問題ないだろうから燃料タンクも増設して
あとは弐型なみの跳躍ユニットにもしたいですね」

「XFJ計画って何時から始まるんだったかな?
弐型完成って確かユウヤのせいで遅れるんだよなー
電磁速射砲の事もあるし、いっそのこと計画自体横浜基地で行うよう夕呼先生に頼んでみるか?」

「それならこういうのはどうだ?
量子伝道脳の技術使わせてもらって管制サポート用の対話式AIを作ってその機体に組み込むんだ
XM3と合わせて第四計画のスピンオフ機体ってことにしてしまえばXFJ計画誘致も出来そうな気がするぞ」

「「それ最高!」」

そしてさらに夕呼先生を丸め込む作戦を練って、長い長い一日はようやく終わるのだった



[15226] 第四話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:fd683f9c
Date: 2010/01/14 20:48
2001/4/2

「却下」

ノリにノって徹夜で仕上げた撃震魔改造計画書を携えてハイテンションのまま早朝の夕呼先生の執務室に乗り込んだ男3人組だったけど、夕呼先生の一言で切って捨てられてしまいましたよ

「あいやしばらく、せめてプレゼンを、プレゼンさせてくだされ」

「嫌よ
確かに泉には企画書を持ってこいとは言ったけど、子供の遊びに付き合うほど私は暇じゃないの
今更撃震の改修機なんてのに誰が予算を出すと思ってるの?
それに要求仕様はほとんどが第三世代の技術転用じゃない。これなら初めから第三世代機を改修すれば済むわよ
XFJ計画誘致ってのもなんなのよ。確かにまだ始動してない計画だけど、ユーコン基地で行われる事は内定していて、関係部署は動き出しているはずよ
そんな計画と撃震改修機との共同プロジェクトなんて組めるわけが無いでしょう
それに瀬谷、私は一日でも早くXM3を完成させろと言っておいたはずよ
それが何?対話式AI?アビオニクスをしゃべらせて一体何の意味があるの?」

そりゃね、発想の根幹が趣味とロマンだから色々と問題あることなんてわかっちゃいるんですよ
でも、無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ!!

「夕呼先生、世間を「あっ」と言わせてみたくないですか?」

「・・・・・・」

不敵な笑いを顔に浮かべてみせた俺を見て夕呼先生が怪訝な顔をした
夕呼先生に話す機会を与えずに勢いとはったりで押し通すんだ!
EXの夕呼先生だってはったりで生きてた部分があったじゃーないか

「俺たちに言わせてもらえば第三世代機ってのは少し間違った発展をしてるんですよ
BETAの攻撃を受けない事を第一にして世代を重ねるごとに機動力、反応性を求めた為、機体の軽量化が進みました
それ自体は間違いじゃないでしょうけど、悲しいかな装甲材や各部品素材の強度の発展が追いついていなくて耐久性が低いんですよ
ひとたびBETAが攻めてくれば整備もままならなずに戦わなきゃならないなんて珍しいことじゃないのに、耐久性が低いのは致命的欠点です
それに現行OSじゃ、どんなに機体反応速度を上げたって予備動作のシーケンスが終わるまでは衛士の操縦を受け付けなくて咄嗟の反応が出来ないなど機体性能が十分に発揮されていません
でもそれを解消するのがXM3ですが、ここでも耐久性が問題になってきます
XM3で機体本来の性能を十二分に発揮できるようになりますけど、機体にかかる負荷を殺していた予備動作もキャンセルして素早い機動を可能にしてる為、今までよりも機体消耗速度が上がってしまいます
軽量化を進めた第三世代機じゃ機体コンセプトを保ったままXM3の機動の負荷に耐える耐久性を得る事は今の技術では難しいです

そういった訳で俺たちが持ってきた撃震改修案は第四世代機開発の準備プランなんですよっ」

「第四世代機?」

よっしゃ、夕呼先生の興味を惹いたぞ
泉に目配せして続きを促すと、待ってましたとばかりに話し始めた

「撃震をベースにするのは第一に機体耐久力が高いからです
構造に余裕もあるから、アクチェーターや関節部分を強化して、マグネットコーティングという技術で磁気反発で摩擦を低減させて金属疲労を避けて反応性も向上させます
肩部と脚部にはスラスターを設置して運動性を上げて、弐型に搭載されるはずの跳躍ユニット、ジネラルエレクトロニクス製F-140エンジンを搭載して機動力も強化します
不知火・壱型丙の大型ジェネレーターを選んだのは出力向上と標準武装にする電磁投射砲に電力供給を見込んでです
XFJ計画を横浜基地に呼びたいのは、その計画で研究、完成される技術を楽に取り込みたいのと、それ以上の技術を早く完成させたいからです
特に試製99型電磁投射砲は旅団、師団規模のBETAを殲滅できる武装なのに、ロシアや米国の陰謀で完成させられなくなるから、それを絶対避ける為でもあります
それと重量をどこまで増やしてもデッドウェイトにならないかは実際に造ってみないとわらないけど、背部に燃料増槽タンクと電磁投射砲用弾丸コンテナをマウントして稼働時間を延長。肩部にY-23のように4基の可動兵装担架システムをマウント、前腕部はナイフシースに変えて2連装グレネードランチャーを内蔵したダガー付小型シールドを、頭部には対小型種用バルカンを装備して火力を大幅に上げて戦闘継続時間も伸ばします
ここまでやっても準第三世代の性能だろうけど、それを3.5世代機に引き上げるのがXM3と管制用対話式AIです」

泉の言葉を瀬谷が引き継いで止めを刺す

「まず何故、管制AIが対話式なのかですが
戦場では情報が飛び交い前線では目まぐるしく戦況が変わる為、衛士は視覚では危機的な警告情報を見落としてしまう事があります
事実俺たちは、BETAの物量に対応し切れなくて死角から攻撃を受けたり戦車級にたかられたりして多くの戦術機が落とされる様子や、母艦級の大深度地下侵攻は戦術機のセンサーでも拾えるにもかかわらず砲弾や機動の振動のせいで気づかずに奇襲を受け壊滅するさまを見せられました」

「ちょっと待ちなさいっ 母艦級って何よ?」

母艦級と言う言葉に夕呼先生が声を上げた
そういや、まだ報告してなかったっけ。これは怒られるかなー?

「母艦級はその腹にBETAを搭載して地下侵攻してくる未確認種です。BETAが地下侵攻してくることは知られてますが、その時地下で穴を掘ってるのがそいつです」

「なるほど、と言うことはハイブの横坑もその母艦級が・・・・・・」

「あの・・・・・・説明に戻ってもいいですか?」

「ちっ 仕方ないわね」

舌打ち!?

「そういう訳で管制AIに情報を管理させ音声報告させることで危機的状況に事前対処できるようになり、音声入力による事で操縦の手を休める事無く迅速に状況に対応することが出来るようになります
また、量子電動脳の技術を流用することで従来のアビオニクスよりも数倍する性能を持たせることが出来るでしょうから、広域戦況の監視をさせることでHQと通信不可能な状況下でも戦況を把握できるようにし、残弾数や接近武器の磨耗度の管理、報告や音声入力で武装のオート交換を出来る様にすることでも衛士の負担を減らせます
俺たちの世界の娯楽作品には、このようなしゃべるAIが登場する作品が数多くあって、重要な役割を果たしています

XM3には、三大機能よって機体にかかる負荷が高くなるというデメリットを解消する為、より柔軟で無駄の無い姿勢制御プログラムを新たに組み込みます
ですがXM3は本来、白銀武独自の概念機動を再現させる為のOSで、その性能を完全に引き出すには白銀による教導が必要なようでした
これは、β版をA-01も使っていましたがキャンセルと30%上がった即応性に目が行き、先行入力、コンボ、そして3次元機動は白銀が入隊してその機動を見るまで理解していなかったことでもわかります
そこで教導用プログラムを作り、XM3の機能を正確に理解させ、跳躍の際の光線級の脅威度をAIに監視、報告させることで3次元機動を忌避する衛士の意識改善を促し、その有効性を認識させます」

そして最後は俺が〆ますよ
さあ、おののけ夕呼先生!

「撃震改修機は耐久性、機動性、反応性を兼ね備え、XM3で機体性能をフルに引き出し、管制用対話式AIを搭載し、重火力装備で単機でもBETAの大群と渡り合える第四世代のプロトタイプとします

どうです。世間が躍起になって新戦術機を開発してるのを傍目に、第一世代機を第四世代の雛形にするって面白いと思いませんか?」

「そうね・・・・・・60点って所かしら」

orz
やっぱ夕呼先生を丸め込むなんて無理ですか・・・・・・
そう思って3人とも落胆すると

「穴は多いけど確かに面白いわね
ただ米国が絡んでるいじょうXFJ計画をここでやるなんて簡単にはいかないわ
まずXM3と対話式AIを完成させて撃震の改修機もここの技術だけで準第三世代の性能にすること
その上で技術交換を条件に交渉すれば誘致も可能でしょうけど、そこまで出来れば無理に誘致する必要も無いようにも思うけど
でもXM3もAIも第四計画のスピンオフとして発表すれば反対派も押さえ込めるし、私の満足の行くものに仕上げれば考えてあげてもいいわよ」

マジですかっ!?
俺たちはガッツポーズをとったり手のひらを叩き合わせたりして喜びを表した

「ただし
瀬谷はXM3とAIを、泉は改修機の設計図を1週間で形にすること
出来たら技術士官として機体の開発をさせてあげるけど、出来なかったら残りの5人と一緒に訓練兵よ」

「「はい」」

瀬谷の仕事量がハンパ無くて顔が引きつってるけど2人とも頼むぞー
・・・・・・あれ、俺いらない子?

「でー、なーんの役にも立たない鶴見だけど、機体が開発されることになったら「特別に」テストパイロットにしてあげるから死ぬ気で訓練なさい
6月には総戦技演習があるから一発で合格してみせなさいよ」

「りょーかいしましたっ」

テストパイロット、キタコレ!
激しく夕呼先生の手のひらの上で踊らされてる気はするけど無問題
みwなwぎwっwてwきwたwww

「瀬谷と泉は今すぐ作業に入りなさい
鶴見にはまだ話し忘れていることが無いか確かめるから残りなさい」

「「「はっ」」」

3人でぎこちない敬礼をしてから瀬谷と泉はやる気をみなぎらせて足取りも軽く退室していった



「さて、鶴見
まだ話してない知ってることを今すぐ全て話しなさいっ」

一人残った俺も撃震魔改造機のテストパイロットっていう新たな可能性に興奮しまくりだったけど、夕呼先生の言葉で現実へと強制帰還されました
ああーーやっぱり怒っていらっしゃる!?
でも機嫌損ねられて改造計画はやっぱ無し、なんて言われたらたまらないから記憶を総動員して話しますよ

まず未確認種の母艦級に加えて門級と重頭脳級「あ号標的」のこと
BETAに戦略があること、兵士級が捕食した人間を再利用して生成されてること、珪素系生物の存在とBETAが資源回収用の機械ということと人類に対しての認識
そして、BETAが人間を研究していて純夏がその過程で何をされたのか、何故白銀がループするのかを

純夏のことを話したときは、さすがに夕呼先生も複雑な表情をしてた。やっぱこの人、本質は情に厚いんだよね

夕呼先生の質問にその都度説明を付け加えてたからかなり詳しく話せたと思うけど・・・・・・ここまで話せば第四計画の目的達成してね?
そう思って夕呼先生に尋ねてみたら

「馬鹿ねー。今の段階じゃあんたの説明したことは全て仮説に過ぎないのよ
立証するためには00ユニットのリーディングが不可欠だし、BETAの脅威を取り払うにはハイヴの殲滅が必須条件で、G弾無しでそれを成すには詳細なハイヴ情報の入手が必要よ」

と叱られますた

「その00ユニットの根幹を成す量子電導脳の理論をあんたは否定してくれた訳だけど・・・・・・」

やっぱ根にもってましたか
この流れはやばいっ

「あんた理論についても何か知ってるでしょっ
全部吐きなさいっ!!」

「はいぃぃっ!
でもゲームでも完成した理論がどんなものだったのかは説明されてないんですよ、本当」

「それでも何かあったでしょ?
シロガネタケルが思い出すきっかけになったものとか」

「ええとそれは、白銀が偶然この部屋で理論のレポートに書かれた図を、並列に置かれたコンピューターの図だと思いますけど、それを見て元の世界の夕呼先生が授業で、それは間違い、古いって言ってた事を思い出して」

夕呼先生めっちゃ睨んでるー
お願いですから襟裳締め上げてガクガク揺らさないでくださいよ~。それ白銀の役だから

「で、その世界の夕呼先生はクソ面白くないゲームをやってたら思いついたらしくて、発想の転換が必要だって前置きして「所詮脳は一つしかないなんだから、いくらコンピューターを並列に配置しても脳の機能を再現することは出来ない」「モーションキャプチャのように脳をキャプチャしてしまえばいい」とか、そんな感じのことを言ってたと思います」

「そのモーションキャプチャってのは何っ!?」

「ええと、物や人間にセンサーをつけて動きをデジタル的に記録する技術で、ゲームでキャラクターとかの動きをリアルに再現するのに使われてたりします」

「キャプチャ・・・脳をキャプチャする・・・・・・発想の転換・・・・・・脳は一つ・・・・・・」

夕呼先生はブツブツつぶやきながら思考の海に浸かっちゃったようで、わたくし絶賛放置プレイ中です
邪魔して怒られちゃたまらないから退室したいけど、話が終わったのかどうかもわからないから出て行くこともできなくて・・・・・
まあ、夕呼先生がこうなったら、もう用は無いって事なんだろうけど
なんて考えてたら

「そう、そういう事だったのね!
鶴見、でかしたわ!!」

て言って物凄いスピードでキーボードを叩きはじめましたよ

鶴見健二はクールに去るぜってな感じで退室してきました
なんか白銀の役をぶん取った気もしなくもないけど、夕呼先生が機嫌良くなったから魔改造機の道も明るくなったっしょ
テストパイロットの為にも自主訓練も全力全開で励んじゃうよ
ていうか今気がついたけど自主訓練って青葉ちゃんと二人っきりじゃん
なにこのパラダイス展開www



スキップでPXへ行って朝飯のうどんを啜ってたら90番格納庫への行き方を知らない事に気がついた
夕呼先生の所に聞きに戻るのはいろんな意味で避けたいなー
都筑さんなら秘書になったし知ってるかも?あ、でも何処のブロックで働いてるのか聞いてないや
そうだ、部屋の端末で調べればいいじゃん
それにもしかしたら青葉ちゃんが待っててくれるかもしれないしNE☆

なーんてほのかに期待して部屋に戻ってみたら・・・・・・部屋にいたのは泉だけでした

「あ、鶴見さん、おかえりなさい」

「ただいま・・・・・・あの、他の皆は?」

「あの後PXで偶然女性陣に会ったんですよ
それで朝食済ませた後、瀬谷さんと都筑さんは昨日のうちに仕事する場所を言い渡されてたみたいでそこへ、青葉さんは社と一緒に90番格納庫へ行きましたよ
俺は仕事部屋もらってないからここでやってます」

「え、霞もいたの?なんで?」

「朝起こしに来たみたいですよ。それで本当は俺たち4人を90番格納庫へ案内するはずだったみたいです」

ええー!何そのイベント?昨日友達になったから白銀の代わりに思い出作りイベントが発生したの?こんなことなら寝て待ってるんだったーーーorz

「それで鶴見さんはいつ帰ってくるかわからなかったから90番格納庫までの地図預かってますよ」

イベント見逃して激しく落ち込んだけど、なんとか泉から地図を受け取った

「道わかんなかったかったから助かった
で、壱型と弐型のパーツ使えないで改造大丈夫?」

「最初に考えてたよりも出力は落ちるだろうけど整備兵の人たちと相談しながらなんとかしますよ
瀬谷さんも今日中にXM3のプロトタイプを上げるって張り切ってたし、俺も負けられません」

「2人に任せちゃって悪いな。手伝えることあったら言ってよ」

「鶴見さんこそ頑張ってくださいよ
俺たちはこれが上手くいけば後方勤務になるけど、鶴見さんは衛士になったら戦わなくちゃいけないじゃないですか」

「あんまその辺は考えたくないんだけどなー・・・・・・
んじゃ、自主訓練にいってくるわ」

実戦とか考えちゃうとぶるっちゃうから話を打ち切って90番格納庫へ向かうことにした
早く霞分を補給してテンション上げなおさないと



そして迷うこと15分、やってきました90番格納庫。広っ!

「鶴見さんやっと来たー。遅いですよー」

「おはようございます」

「2人とも、おはよう」

「あ、おはようございます
もう・・・・・・泉さんも仕事が出来て、鶴見さんもいなかったから、こんなところで一人じゃ心細いし、瀬谷さんに手伝い頼まれた霞ちゃんに無理言って一緒にいてもらったんですよ
ありがとうね、霞ちゃん」

「ごめんごめん
霞もありがとうな」

「・・・・・・いえ」

やっぱ霞可愛え~心が潤いますなー

「って、霞もう行っちゃうの!?」

ウサギが格納庫から出て行こうとしてるから大声出しちゃったよ

「・・・・・・はい
訓練、がんばってください」

「うん。霞ちゃんもお仕事がんばってね」

「あ・・・・・・うん。霞も頑張って」

あぁー行ってしまいましたよー
まだ全然霞分補給できてないよ

「・・・・・・鶴見さんて本当に霞ちゃんが好きなんですね」

「え?なんで?そんな判りやすい?やばいかな、俺?」

「見てると丸分かりですよー
でも変なことしないならいいんじゃないですか?
そんなことより自主訓練がんばりましょー!」

「そ、そうだね。頑張らないとな
実は今朝遅れたのは夕呼先生に改造機作る許可もらいに言ってたからなんだけど、作ることになったらテストパイロットにする代わりに訓練しっかりやれって発破かけられたんだ」

「あ!聞きましたよ、それっ
どーして鶴見さんだけテストパイロットなんですか?
ずるいですよー、私だって同じ訓練するのにぃ~」

「ご、ごめん
青葉ちゃんもテストパイロットにしてもらえるように夕呼先生に頼むよ」

「・・・・・・絶対ですよ?」

うはwほっぺ膨らませて上目遣いって・・・・・・青葉ちゃんも可愛いです!

「うん、絶対」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「それじゃーテストパイロット目指してがんばりましょー」

「おおー」

霞分は補給できなかったけど青葉分でテンション上がってきたw

まずは体を慣らそうってことで青葉ちゃんが普段しているトレーニングを一緒にすることになってランニングから始めたんだけど・・・・・・床が冷たくて気持ちいいです

「鶴見さーん、だらしないですよー。まだ2kmしか走ってませんよー」

青葉ちゃんの声が遠くから聞こえる・・・・・・

「鶴見さーん?」

そういえば徹夜明けだったんだよね・・・・・・

「ちょっと、大丈夫ですか、鶴見さん?」

「いや・・・完徹だったから・・・もう・・・だめぽ」





【 西博史 SIDE 】

2001/4/3

ども、西博史っす
気がついたら自分が異世界転移物の主人公になってたとかありえない状況でした
主人公じゃない?サーセンwww
でもマブラヴのULかオルタに転移って、開始から死亡フラグ立ってるとかありえないからw
せめて武への憑依物でチート全開だったら・・・・・・
ぶっちゃけオルタードへの転移を要求するっすwww

「おーい。飯もらってきたぞ」

保土ヶ谷さんが配給をもらってきてくれたみたいっす

転移した初日の昼に帝都に辿り着いて、日付やBETAのいるマブラヴ世界だってことはわかったけど、やっぱり横浜組になっとけば良かったっすー
帝都は第二嫁候補の悠陽たんがいるからって納得したのが間違いだったっす
情報収集はすぐ終わって、帝国に伝手を作ろうと行動したけど収穫0
エロゲなら町を徘徊すればメインキャラに出会えるのに現実は世知辛いっす
飯を食うにも金が元の世界のものと違って、仕方ないから金沢君の提案に従って難民キャンプで過ごすこと3日目
早く横浜組と合流して第一嫁候補の遥たんに会いたいっす

「それにしても、味はともかくこの量で1日2食はやっぱ辛いな・・・・・・」

「まあ、そう言うな。俺たちは無駄飯ぐらいなんだから
餓死しないだけマシってものさ」

磯子さんもさすがにまいってるのか愚痴がこぼれたけど保土ヶ谷さんに窘められたっす
戸塚君も最初は散々文句を言ってたけど、そのたびに保土ヶ谷さんの拳骨を喰らってたから今は文句言わなくなったなーと見ていたら

「そういえば保土ヶ谷さん。西に確認しなくていいのか?」

「おお、そうだった
この世界に来て初めてマブラブっぽい髪型の人間を見たんだが、どうにも記憶に無いもんでな
戸塚は笑いを堪えるのに必死だったし話しかけるのも憚られたんで、飯食いがてら西に確認しようと戻ってきたんだ」

「だってモヒカンに横だけとんがった髪でマッチョなんだぜ。笑うって」

「ゲーム中に登場しない人物でそんな特徴的な人がいるんですね
西さん、わかりますか?」

金沢君が聞いてくるけど、そんな特殊的すぎるキャラなんって一人しかいないってwww

「それ紅蓮大将に違いないっす
サプリに登場する冥夜の師匠で、オルタじゃ悠陽たんにも近いはずの人で超VIPっす」

自分の言葉で探してたチャンスがついにやってきた事がわかって、金沢君の「急ごう」って言葉を聞いて戸塚君以外の全員で走り出したっす

「ちょっまだ飯食い終わってねーじゃん」



【 西博史 SIDE END 】



[15226] 第五話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:641f253a
Date: 2010/01/24 19:19
【 金沢慎吾 SIDE 】

小学生の時にIQテストで200を出してから僕を取り巻く世界は変わってしまった
それまで優しかった両親は異常なほど教育熱心になり、先生は腫れ物を触るように接し、子供たちは僕を自分とは違うものと見るようになって、いじめも受けたが直接的なものを排除していたら完全に孤立していた
世界は色を失い、僕は両親に言われるままひたすら勉強をするだけの存在になっていた
とはいえ僕の本質はごく普通の子供だったから、そんな状態に精神が堪えられるはずもなく中学に進学した時にはじけてしまった
『面白いか否か』
それが全て。そこに善悪は関係ない。ただ犯罪や素行を乱すことに、リスクを覆すほどの面白さを見出せなかったのは幸運と言うべきなのだろう
そんな僕が一番興味を惹かれたのは、不思議なことに僕を孤立させた『人間』そのものだった
僕は人当たりの良い仮面をかぶる様になり積極的に他人と関わる様にして人間関係の再建と構築を果し観察を続けた
時に実験と称して行動や思考をコントロールし、思うとおりに操ろうともしてみた。大概は上手くいくが、こちらが想像もしていなかった反応や行動をするときもしばしばあった
その度に原因を洗い出し、修正を加えて、次の実験へとつなげるが、完全にコントロール出来ているように見えてもやはりどこかで想定外の事が起きる
人間は本当に面白い
そんなことをしているうちに高校へ進学し、僕は一人の人物と深く関わるようになった
彼は所謂オタクというやつでクラスでは浮いた存在でいつも一人でいた。その孤立した姿にかつての自分が重なり、僕は興味を惹かれてしばしば話しかけた
彼は、アニメやゲームの世界は奇想天外な出来事で彩られ、それに比べて現実はつまらないと語った
現実に目を背けた内向的な人物かと興味が失せてきた時、彼は誰一人気がつかなかった仮面に隠された僕の本質を見破っていた
都合が良かったから被った仮面で、それを暴かれることはまったく問題ではなかったが、現実との乖離を望む彼がそれを成した事が俄然僕の興味を惹き付けた
それまで聞き流していた彼の話しによく耳を傾け、彼が傾倒するアニメを見、ゲームをやった
なるほど、そこには現実とはかけ離れた世界があった
空想科学やファンタジーは言うに及ばず、僕らと同じ学園を舞台にした話でさえ現実では起こり得ないような物語であふれていた
しかしここで僕の中で疑問がわいた
超常な出来事は兎も角、学園という治外法権な閉鎖空間で集団をコントロールして導けばアニメのようなドタバタ劇が繰り広げられるのではないか、と
僕は彼を引っ張り込み、彼の想像する在りそうで在り得ない学演劇を次々に現実にしていった
そして学園生活最後の学園祭、大々的に企画したお祭騒ぎを成功させるために連日学校に泊り込みを続けていたそんなある日、目が覚めてみたらそこは異世界だった

彼が行ってみたいと夢想していたゲームの世界、彼が好きだと語ったマブラヴという超常の世界
そんな世界に何故僕が迷い込んだのか。僕一人ならまだしも全部で10人。だけどそこにはこうなることを夢見ていた彼の姿はない
神様だか悪魔だか知らないが、そんな存在がいるのならたいしたへそ曲りだ
ここは死にあふれた狂った世界。そんな世界で懸命に生きたヒロインたちがハッピーエンドを迎えられないのは許せないと彼は泣いて語った
なら僕は、彼が望んだ面白おかしい世界へとこの世界を変えていこう
そして戻ることが出来たら、彼に語って悔しがらせてやろう

面白いか否かが僕の行動原理

そして今、僕の眼前にはこの物語を面白いものに変えるキーの一つとなる人物がいる
さあ、ゲームを始めよう



「紅蓮大将とお見受けします」

突然語りかけた僕たち五人の前に護衛と思わしき人たちが紅蓮大将の姿を隠すように立ちふさがろうとしたが、紅蓮大将本人がそれを押しとどめた

「いかにも、わしは紅蓮だが。おぬし達、わしに何か訴えたき事があるといった顔じゃな
ここに参ったのも難民キャンプの現状を視察し最善すべき事柄を吟味する様、殿下に仰せつかった故、何かあるなら遠慮なく申してみよ」

「ありがたきお言葉でございますが、我々の申し上げたい事はここの生活のことではございません」

「ほう、では一体どのような事だ?」

「はい。帝国の未来に関する看過出来ぬ事柄です
無礼は承知していますが、事が事ですので紅蓮大将お一人と会談できるよう、人払いできる場を設けていただけるようお願いします」

ここに駆けつけるまでに西さんに聞いた紅蓮大将の人となりは「愚直なまでの一本気な武人」という事だったからストレートに訴えた
もちろん護衛の反感を買い、色めきたったが、予想通りに紅蓮大将が再び押しとどめた

「帝国の未来などと、戯言ではすまされぬぞ」

恐ろしく威圧的な眼光が僕たちを射抜く
今まで味わったこともない重圧に体が震えて押しつぶされそうになる
しかしこれは真贋を見極めるためのもの。怖気づいて目を背けるわけにはいかない
どれほどの時間か、あるいは数瞬だったのか、紅蓮大将は眼光を収めると破顔した

「うわっはっはっは、震えながらもわしの殺気を堪えるか
これは存外瓢箪から駒かもしれぬな
いいだろう、ついてまいれ」

当然護衛は止めようとしたが「わしが5人とはいえこの者たちに後れをとると思うか?仮にわしに害成すというのなら切って捨てるまでよ」という一言で押し込められた
こういう豪快実直な人物は一度信用を勝ち取れば、決して裏切らない味方になってくれる
この偶然の出会いは最初で最後の最大の機会だろう。面白い未来の為に、まずは彼の信頼を得る為に一世一代の大芝居を演じよう



【 金沢慎吾 SIDE END 】




【 戸塚忠男 SIDE 】

紅蓮とかいうおっさんマジパネェw
見た目は変な髪型のマッチョなのに殺気とか漫画みたいな事言って睨まれたらマジぶるった
保土ヶ谷さんも怖えと思ったけど、このおっさんは化けもンだぜ

おっさんとだけ話すことになってボロっちいビルに来たけどこのビル崩れないだろうな?

「まだ名も明かしあっておらんかったな
わしは帝国近衛軍司令官、紅蓮醍三郎大将だ」

司令官とかおっさんメチャ偉いんじゃね?
説明役の金沢が俺たちの名前を答えてる。「お前は何もしゃべるな」って言われた時はムカついたけど、このおっさん怒らせたらマジ殺されそうだし言われたとおり黙っててやるか

「して、帝国の未来に関してとはどのような事だ?
わざわざ斯様な場まで設けたからには、話如何ではお主たちニ度と陽の目を見ること叶わぬぞ?」

うおっ おっさんまた殺気出してきやがった。本当に大丈夫なのかよ、金沢。責任取れよな

「はい。ですが話の前に、まず我々が何者かという事を説明しなければなりません
にわかに信じられない内容と思いますが、どうか最後まで話を聞いてください」

「ふむ、申してみよ」

金沢が俺たちがここにやってきたこととか説明し始めて、保土ヶ谷さんが持ってた荷物をおっさんに渡して見せた
ボディチェックとかされたとき、荷物を取り上げられそうになったけどおっさんに話すことの証拠って言って阻止したんだよな。それでもなかなか返そうとしなかったし、まったく空気読めよな、雑兵

「それらの雑誌はこの世界では既に失われた世界各地の景色が掲載されています。そしていずれも昔の景色ではなく巻末の記載のとおり2000年のものなのは写っている人々の服装を見ていただければお判りいただけると思います
しかし我々の世界ではこのような雑誌は旅情報誌としてごくありふれたのもです」

それ嘘w 雑誌は全部武の部屋から持ってきたもんなんだぜ
でも武の説明とかまでするとややっこしくなるって事で俺たちの世界の物って説明してるし、おっさんはもろ騙されてるしw

「ですが、そのような雑誌はこの世界でも簡単に偽造出来る為、我々が異世界からやって来た証拠とは言えません
が、こちらの携帯電話をごらんください。こちらはそれら雑誌よりもさらに普及している物で・・・・・・」

携帯とiPhoneの説明したら、おっさんマジ驚いてて超うけるw

「プレアデス程のサイズで多彩な、しかし無駄としか思えぬ機能を有した端末とは・・・・・・
異世界云々は未だ信じられぬが、斯様な技術もこの世界のものとも思えぬのもまた事実
そしてお主たちの他に横浜基地へも5人赴いたと言ったな?」

「はい。二手に分かれたと申しても本命はあくまで横浜基地へ向かった者たち。我々はいわば彼らのスペアーです
と申しますのも、我々の知る最悪の未来を防ぐにはオルタネイティブ第四計画の成功が絶対条件だからです
しかし、こうして紅蓮大将と出会えましたからには、更に良い未来を導き寄せる為に大将の御力と御協力得たいと愚考しています」

「ほう、これはまた随分と大きな話になってきたな」

なんか真面目な話になってきたし、だりー。こっちは不味くて量が少ない飯しか食べてなくて腹も減ってるってのに、椅子くらい用意しろよな
横浜行ったやつらは今頃戦術機乗ってるんだろうなー。武御雷に乗れるかもって言われてこっちについてきたけど、こんなことなら横浜に行けばよかったぜ
でも撃震とか雑魚機だけはマジ勘弁。どうせ乗るならやっぱ最強機体の武御雷だよな。んで改造して専用機にしたりな
でもドラグーン・システムとかあればBETAなんて楽勝なのにビームライフルすらねーのがなー。ま、俺が乗れば楽勝だけどw
おっさんと仲良くなったら乗せてくんねえかな

「ふむ・・・・・・第5計画の実行などもってのほかだが、クーデターなどと馬鹿げたことを。米国も然りだが利権や移住に目の眩んだ鼠共に踊らされる衛士たちのなんと不憫なことか
しかしお主たちの出自が事実だったとしても、今語った事柄が事実だとはどう証明するつもりだ?」

「情報省の鎧衣課長ならば私の話した事が現実と成りえる状況証拠を既にいくつか掴んでいるでしょう
特にクーデターはその規模からいって現段階で実行可能な直前まで準備が済んでいると思われます」

「鎧衣の事まで知っておるか・・・・・・しかし、なるほど彼奴ならば事実であれば知らぬはずがあるまいな
それにしても彼奴の殿下への忠誠は疑うべくも無いが、情報を隠匿しすぎるきらいがあるのには困りものだ」

なんかしんないけどいつの間にかいい感じの流れになってるんじゃねえ?

「あいわかった
しかしお主たちをここから帰すことは叶わなくなったな」

おいおいおい、だめじゃん金沢、どーすんだよ

「はい。我々の知っている情報は無用な混乱を招くものです。しかし大将に保護されるのは我々には願ってもない事。大将が納得できるまでお調べください
ですが我々も横浜へ向かった者たちと1週間後に落ち合うことになっていますので、それまでに一度横浜基地の香月博士に連絡を取っていただけるようお願いします
連絡さえ取っていただければ、このまま彼らと別行動になるのはなんら問題ありませんし、彼らが上手く事を運んでいれば、あるいは香月博士が我々のことを証明してくれるでしょう
更に申しますれば、より良い未来を手繰り寄せる為にも大将と博士には強固なパイプを作っていただきたいと愚考しています

「こいつ、ぬけぬけと言いよるわ
わしがお主の言うとおり動くお人好しなどと、よもや思うてはおるまいな」

「いいえ、そのようなことは思ってもいません
しかし大将が我々が元の世界で知ったとおりのお人柄ならば、BETAから地球を取り戻してより良い未来を紡ぎたいと願う我々の言葉を無視なさるとも思えません
ですが身一つで異世界へ投げ出された我々には大将に報いるには、命をお預けするほかありません
もし話したことに偽りがあったと判った時は切って捨ててください」

「ちょっおまっなに勝手な」

痛ってー。保土ヶ谷さんにおもいっきり殴られた。おっさんもギロリって感じで見るし、なんだよちくしょー

「他の者の命まで勝手に差し出すのはいただけんぞ
しかし・・・・・・うむ、気に入った
お主たちはなかなかに興味深くもあるしな。客人として我が屋敷に迎えよう」

「「「「ありがとうございます」」」」

痛、痛いって保土ヶ谷さん。頭下げるとこなのはわかったから、んなにグイグイ押さえつけんなよ



【 戸塚忠男 SIDE END 】





こんにちは、鶴見です
って誰に挨拶してんだろ、俺?
まーともかく、昨日睡眠不足でランニングしてたと思ったら、気がついたら今日の朝でしたよ。うん、気絶したってことですね
青葉ちゃんには心配と呆れを2:8の割合でされて、今日も元気にランニング中です
・・・・・・いや、10km走るのランニングとか言わないから。それもうマラソンだから。運動なんて何年もしてないのにそんな距離無理だから
と、そんなこと言っても某狂犬のようにプチ化した青葉ちゃんには通用しません。何処から手に入れたのか竹刀片手に追い立てられてます。嗚呼、馬車馬のようってこういうことを言うんだなー

「ほら、鶴見さん。また速度落ちてきてますよっ。そんなことでテストパイロットなんてなれませんよっ」

「ハヒー・・・ハヒー・・・」

やめてー、尻は叩かないでー。青葉ちゃん最初の頃と全くキャラ変わってるよー。人見知り激しい熱血少女ってなんだよー
いやそれはそれで萌えるけど、それは傍から見てるときの話な訳で、自分にも熱血を求められてもおじさん答えられません
二人っきりで自主訓練でもっとキャッキャウフフな空間を想像してたのに・・・・・・やり直しを要求する!

「それじゃあ、5分休んだら筋トレいきますよ」

「フヒー・・・フヒー・・・フヒー・・・」

これは死ねる・・・・・・やらなきゃ駄目なことはわかってても体がついてこない
白銀も一週目は似たような感じだったけど、彼には若さがあった・・・・・・あ、やばい。なんか泣きそう
なんかもっと目に見えるご褒美がないとなー。霞にちゅーしてもらえるとかだったりしたら死んでも頑張れるんだけど・・・・・・

「あれ、霞ちゃん。瀬谷さんの手伝いはもういいの?」

霞のことを考えてたら現れるなんて、もしかして俺のラブテレパスィーが通じた!?

「・・・・・・新OSのプロトタイプが出来たので、これからお二人にシミュレーションしてもらうので呼びにきました」

「なんですと!?」

「な」を「あ」に変えてしゃべるのって難しいよね。でも、あゆは君望のジャスティス!

「もう出来たの?
はー・・・・・・瀬谷さんって凄いんですねー」

本当にねー。いくらSEっていっても戦術機のOSなんて畑違いだろうに。なんぞチート能力でも開花したのかねえ?
でも自主訓練が打ち切られるのは素直に嬉しい。瀬谷様様ですな
さっさとシミュレーター室に向かいますか

「・・・・・・ちゅーしたら、訓練頑張れますか?」

はい?このウサギは今何を申しましたか・・・・・・?て、やっぱりばれてたかー
いや、それよりなんか霞、俺のこと読んでるの多くない?もしかしてしょっぱなの「結婚してくれ」念波で興味持たれた!?

「うん!」

「・・・・・・・・・・・・そうですか」

スタスタと歩く速さが上がったよ
あれ?答えそれだけで投げっぱなし?

「鶴見さん・・・・・・自重って言葉知ってます?」

ナニソレオイシイノ?





強化装備に着替えて、更衣室の出口で霞と青葉ちゃんに合流したけど、青葉ちゃんはまだまだエロスーツに慣れてなくて手で体隠して真っ赤な顔しててテラ可愛ゆす

「鶴見さん、目がえっちぃです・・・・・・」

あー、まだ自主訓練で消耗したロリパワーが補充出来てないのに、青葉ちゃん、霞の後ろに隠れちゃったよ
霞もなんだかジト目で見てるし・・・・・・

「ごめんごめん」

仕方ないから先頭になって管制室までやってきました

「来たわね。早速だけど5番と6番のシミュレーターに乗ってちょうだい」

昨日の上機嫌が持続してるのか、夕呼先生は俺が気絶したのも冷やかさないで、いい顔で本題に入った
藪蛇は嫌だから言われたとおりに乗り込みますよ

「とりあえず三大機能は再現したけど、急いで作ったからバグが多いはずだ
まずは好きに動かして、慣れたらコンボやアクロバット機動もやってみてバグを洗い出してくれ」

ヘッドセットから瀬谷の説明を聞いて、どんだけ変わったのかと期待して起動したら、青葉ちゃんと二人して見事にこけたw
ちくしょー。夕呼先生大笑いしてくれやがってー
それにしても予備動作って大切だったのね。そういえばまりもちゃんも座学で転倒を防いでくれるような事言ってたっけ?
5分かけて何とかバランスのとり方を覚えて、夕呼先生の笑い声をBGMにして歩き出す
歩きから駆け足、急停止、そして転倒
第三戦術機って肩に重心あるとかおかしいって。慣性殺すのに絶対これ余計な負荷機体にかけてるって
まあでも30分も動かしてるとそれなりに慣れてくるもので、徐々にコツを覚えてくるとヌルヌルと気持ちよく動かせるようになってきた
いやー、革新的なOSって伊隅大尉たちが言ってたのわかるわ
まんまACを操縦してるみたいで気持ちいい~w
でもバグは確かに多いけど、それ以上に燃料消費の激しさと機体耐久力が気になるな。アクロバット機動始めたらあっという間に腰から下の耐久値が真っ赤になったよ
やっぱ撃震魔改造は必須だなー

それから2時間ぶっ続けで動かしてたら休憩を言い渡されて管制室に呼ばれた

「バグ取りとコンボの基礎入力が終われば元々のXM3は完成すると思います
それまでは社に任せて、俺はAIの製作に入ってもいいですかね?」

「いいわよー。話を聞いてただけじゃどんな物かわからなかったけど、実際見ると面白そうなものが出来そうじゃない
瀬谷にはAIに使う量子電動脳の説明と資料を渡すから、これから執務室まで戻るわよ
社、悪いけど後はお願いね」

「・・・・・・はい」

「ああ、それから。鶴見と青葉は午前はOSのバグを洗い出して、午後からは自主訓練しっかりやんのよ」

これからシミュレーション三昧だ、ひゃほーい。って思ってたのに見抜かれてーら/^o^\
まあね、太股とかぷるぷる痙攣してて戦術機操縦するにも体力は必要ってわかったけどね

「・・・・・・頑張ってください」

「ちゅーは?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・鶴見さん」

夕呼先生が瀬谷をつれて出て行ったシミュレーター室には沈黙と青葉ちゃんのため息一つだけが残ったとさ





あとがき
書き進めるごとにSSの難しさを実感させられてます
都筑や金沢のSIDEは楽に書けるのだけど戸塚なんて苦労しました。厨二臭さが出てればいいんだけど・・・・・・

今回から感想のレスをあとがきで書きます。作者コメで感想板を長文で埋めるのもなんですので(;^_^A

>雪林檎様
フロム脳はたぶん瀬谷が一番激しいと思ってます。インテリだしねー(偏見)
OBとかAIとかはネタバレになっちゃうので作中で仕様を明かしていきますのでその時までお待ちください
でもAIの声をどうするかは全く考えていませんでした。鶴見にやる気を出してもらうためにも霞に頑張ってもらうことにしましょうw
長刀はどうなってるのかな・・・・・・物凄く重量が重いとか?

>TAKI様
今回新たに2人のSIDEを書きましたが帝国組もこれから個性が出てくるはずなので、いらない子と思わないで活躍を待っててください
改造機をカッコいいと想像してもらえて嬉しいです
絵にするなら撃震にF-15・ACTVの肩部と跳躍ユニットを換装して、足首もスラスター付けるため太ももよりも太くしたイメージです
機体コンセプトはごつい速い壊れにくいです
歩兵や支援車両の改造も・・・おっとこれ以上は作中でいずれ

>灰原聖志様
しまった、西あんなカッコよくないよ
オリキャラたちの苗字は横浜市18区から取ってて、名前は奇抜にならないようにと考えてただけで某マッドサイエンティストとか全く連想してませんでした
武ちゃんは果たしてやってくるのかは・・・・・・私、武ちゃん大好きですとだけ明記しておきます

>higashi様
鶴見はいい意味で子供な大人として書いてるんですが、まだまだ違和感を与えてしまうようですね
プロローグに関しては自分でも強引な展開とも思うのですが・・・・・・まだまだ精進たりないので頑張ります
戸塚14歳君は書くの難しいですがある意味キーマンになるはずなのでご期待ください

>XNガイスト様
夕呼先生が60点もくれたのは鶴見の〆の言葉が全てだと思ってます。面白い事好きな人ですから
西の名前にあんまりつっこまれると設定してないチート能力が付きそうなので怖いです



[15226] 第六話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:641f253a
Date: 2010/01/27 20:18
【 青葉里香 SIDE 】

2001/4/4
こっちの世界に飛ばされてごたごたしてたけど、今日からまた日記をつけることにした
ごたごたって言っても私は動転して状況に流されてただけだったんだけど・・・・・・
ゲームの世界に転移するなんてSSの中の出来事を自分が体験しちゃったんだからしかたないよね
一人だったらどーしたらいいかわからなっかったと思うけど、一緒に転移してきた人たちがいてくれて本当に良かった
中でも都筑さんは同性で落ち着いててとっても頼りになる人で仲良くなれて凄く嬉しい
おばさんにも少しでも都筑さんを見習ってほしいよ
大体私がマブラヴにはまったのだって中二の夏休みにおばさんに無理やり無印からぶっとうしでプレーさせられたせいだし・・・・・・凄く面白かったからいいんだけどさ
それでも性教育とか言って小学生の頃からエロゲをプレーさせるのはやっぱり駄目な大人だと思う
おかげで変な趣味にすっかり目覚めちゃったし。EXで武ちゃんと鎧衣君のどっちが攻め受けかとか、ULから鎧衣君が女の子になっててがっかりしたあと武御雷と不知火はどっちが攻め受けかで議論したのはこんな状況になってみるといい思い出・・・なのかなー?
でもおばさんに無理やり教えられた遊びが役に立つなんて思ってもみなかった。マブラヴもだし戦場の絆も。私がこの世界で何とかやっていけそうと思えるのもきっとそのせいだと思う。おばさんには一応感謝しておこう
でもこの世界で死んだらやっぱり本当に死んじゃうのかな・・・・・・?
私はこのままいけば衛士になるはずだし、瀬谷さんたちが死なないように色々準備をしてくれてるけど、考えちゃうと怖くてしかたなくなる
だめだめ、考えるのやめっ
明日もまた霞ちゃんや都筑さんと話して、鶴見さんをしごいて楽しくすごすんだ
ごめんね、鶴見さん

2001/4/5
今日、鶴見さんに「俺の事きもいと思わないの?」って聞かれた
なんでかわからなかったから聞いてみたら、ロリコンで霞ちゃんにセクハラ発言してるからだって
でもおばさんはBLだけじゃなくロリも大好きな人だったし、実際ゴスロリ服着せられて襲われそうになったことなんて数え切れない。その度に面打ちで気絶させて逃げてたけど
そんな私にしてみれば、手を出すわけじゃない鶴見さんなんて可愛いものです
そう話してみたら「そんな剛の者の女の人がいるなんて」とか凄く驚いてた

2001/4/6
都筑さんから夕呼先生の機嫌が悪いと聞いた
理由を聞いてみたけど秘守義務の一環というもので教えてもらえなかったどころか、話をこぼしてしまったことを申し訳なさそうにされてしまった
こういうときどんな対応をしたらいいのかわからなくて私はまだまだ子供だなと思う。せめて都筑さんの気晴らしの役に立つようになりたい
でも鶴見さんが量子電動脳の理論のことで何か話した後は機嫌が良さそうだったのに何か問題が起きたのかな?
楽しく過ごせてたからうっかり忘れそうになるけど、やっぱりここは戦争をしてる世界なんだよね・・・・・・
何も起きませんように

2001/4/7
霞ちゃんへの鶴見さんの行動がだんだん積極的になってきてる
どうも私がおばさんのことを話してしまったのがいけなかったみたい
責任を感じて素早くスリッパでツッコミを入れるようにはしてるけど、困った
霞ちゃんにも「嫌な時は嫌ってしっかり言わないと駄目だよ」と言ってみたけど余計に何か考え込んでしまった
日記を書く前に都筑さんに相談してみたけれど「あらあら、鶴見さんもお若いのね」ってほがらかに笑われただけだった
都筑さんはロリコンがどういうものかわからないみたい
私がしっかりしなくちゃ

2001/4/8
霞ちゃんは鶴見さんの行動に困ってはいるけど嫌ではないらしい
午前中のバグ取りが終わった時に「どうしたらいいのかわからないんです」って相談されたから、午後の自主訓練に引っぱっていって鶴見さんには1時間で10km完走したら私と霞ちゃんがちゅーしてあげると言って追い払って詳しく話を聞いてみた
そしてわかったのは
・鶴見さんが霞ちゃんのこと考えてるときは電波?が強いらしく意識をガードしてないとつい読まされてしまうらしい
・でもいつも暖かい色だから嫌じゃなくて、こんなことは初めてで、だんだん鶴見さんのことが気になってきた
・ちゅーすることで鶴見さんが頑張って強くなって死ななくなるならしてあげたいけど恥ずかしくてできなくて、どうしたらいいかわからない
霞ちゃんは武ちゃんを好きになるはずだったのに、これっていいのかな?
でも別に鶴見さんは霞ちゃんに好きになってもらうようにしてるどころか、嫌われるようなことばっかりしてるから、それでももし霞ちゃんが好きになっちゃったらしかたないのかな?
鶴見さんが報われるとはあまり思えないけど
結局どうしたらいいか霞ちゃんと一緒に悩んでるうちに鶴見さんは10km走り終わってた
1時間は過ぎてて鶴見さんは泣きそうになってたし、今までよりも段違いに速いタイムだったから、同部屋のよしみとこれからも今みたいに頑張るようにと言って、特別に私だけだけどほっぺにちゅーしてあげた
そういえば男の人たちと一緒の部屋で寝るのもすっかり慣れちゃったな

2001/4/9
やばい。ちょーやばいよ
昨日のほっぺちゅーが霞ちゃんをたきつけちゃったみたいで、AIの音声を霞ちゃんの声で再現することになったって笑顔で霞ちゃんに言われた
あ、そういえば最近霞ちゃんの微妙な表情の変化わかるようになってきたんだよね
ってそんなこと書いてる場合じゃないよ
昨日私たちと別れた後、霞ちゃんは鶴見さんのために自分も何かしてあげたいって考えてたら、執務室で瀬谷さんが夕呼先生にAIの音声の相談してたから立候補したんだって
霞ちゃんがウサ耳ピコピコさせて嬉しそうだったから「頑張ってね」なんて言っちゃったけど、確実に霞ちゃん、鶴見さんのこと好きになりはじめてるよね?
私はどーしたらいいのー??
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
明日は朝早くから夕呼先生の執務室に全員で行くようにって都筑さんから言われたから今日はもう寝るっ



【 青葉里香 SIDE END 】






2001/4/10

軍隊の朝は早い
午前6時の起床ラッパに叩き起こされて一日が始まる訳だけど、都筑さん以外は俺たちは軍属じゃないから寝過ごしても特別咎められる事はない・・・はず
でも、瀬谷は仕事部屋にこもりっきりで返ってこないし、泉も整備格納庫で夜を明かすことも多い。もちろん都筑さんはラッパ前に起きるし青葉ちゃんもそれに習ってる
そんな状況で俺一人寝坊が出来るかと言われれば気持ちの上では否だけど、連日ハードな肉体酷使してるから正直体が休息を欲して自力で起きるのなんて無理
しかーし、初イベントに遭遇出来なかった次の日以降も霞が毎朝起こしに来てくれてるから、きっかりラッパ5分前に起きられるのですよ。おまけに午前はシミュレーションで霞も一緒に行動するから朝食も一緒
こちとら体力の無さに定評のある魔法使い。夜はおにゃのこ二人と俺一人というここに来るまで在り得なかった素敵空間が発生しても即寝して、朝の霞分補給で日々を乗り切ってます

そして今日は一つの区切りとなるこの世界に来てからの10日目
撃震改造機が作れるかが決まり、帝都組とも合流して、いよいよ207隊に配属され本格的な訓練が始まる
そういう重要な日だって言うのに今朝に限って霞はやって来なくて青葉ちゃんに叩き起こされた
やべー。なんぞ霞の機嫌損ねるようなことしたかな?うーん・・・・・・青葉ちゃんのおばさんを見習って今までよりちょっとだけ積極的なスキンシップを取るようにしたくらいだし、またく心当たりがない

「ほら、鶴見さん。霞ちゃんが起こしてくれなかったからって、いつまでもボーっとしてないでください
今朝は執務室に呼ばれてるんだから、早く仕度しないと朝ごはん食べる時間なくなりますよ」

「あ・・・・・・うん」

青葉ちゃんて言えば一昨日ほっぺにちゅーしてもらっちゃったんだよな。でもそれから余計ツンツンになっちゃったし。やっぱりデレなんて都市伝説に過ぎないのか?

霞の事は気になったけど遅くなったら夕呼先生に何言われるかわからないし、青葉ちゃんと都筑さんの3人で朝食を済ませて執務室に向かうことにした
瀬谷はXM3のプロトタイプが組みあがった時から会ってないし、泉は昨日も部屋に帰ってこなかったみたいだし、二人ともAIと企画書は大丈夫なのかな?
他力本願極まりないけど改造機への不安を持ちながらB-19の執務室のドアをくぐると、既に二人は来ていて夕呼先生と何か話していた
って、うお!霞がソファーで寝てる!?

「来たわね
あー、社はそのまま寝かせといてあげて」

きっと徹夜の仕事があって今朝は起こしにこれなかったんだな・・・・・・それにしても霞の寝顔もテラ可愛ゆす

「当初の予定と状況が変わってきたから改めて今後の予定を伝えるわよ
・・・・・・鶴見、いつまでもだらしない顔してないでちゃんと聞きなさいっ」

「ああ・・・・・・夕呼先生。そんな大声出したら霞が起きちゃいますよ」

「今すぐ歩兵として大陸の最前線に送り込んであげましょうか?」

「申し訳ありませんでしたっ今後の説明をお願いします」

うへ~、やっぱ夕呼先生だけは怒らせちゃ駄目だね

「たくっ・・・・・・それじゃ、都筑。先をお願い」

ビシッと直立不動になった俺の姿に溜飲を下げてくれたのか夕呼先生は都筑さんに説明を促した

「はい。当初、本日午後に帝都組と白銀宅で合流の予定でしたが、帝都組は偶然の機会に恵まれ現在近衛軍司令官、紅蓮大将の庇護下にあります
そして紅蓮大将とのホットラインでの協議により、金沢、西の両者は帝都に留まり、保土ヶ谷、磯子、戸塚の3名が鶴見、青葉の両者と共に当基地で訓練兵となる事に決定しました
それにより本日1000に紅蓮大将が第四計画視察という名目で5人を伴って来訪し、訓練兵となる3名の引渡しが成されます
その後、大将の立会いの下、α版XM3と試作AIを搭載したシミュレーターの実験機動を行った後に我々10名で再度の情報交換の為の会談の場が設けられます
尚、AIの実験機動の結果如何によっては、その会談でXFJ計画についても協議が成される事になります
瀬谷技術大尉、AIの説明をお願いします」

西たち紅蓮大将のところにいるなんてえらい上手くやったなー
ていうか瀬谷が大尉?いつの間に?
いや、という事は撃震改造機は作れることになったのか!?

「階級で呼ばれるとなんか照れるな・・・・・・ん、ごほん
まだまだ何度も改良の必要があるけど、対話式AIの試作版は一応完成した
Innovative Super Interface System 略してI.S.I.S.(イシス)だ
仕様書が出来てないから簡単に説明すると、管制と武器、機動の制御をサポートするしゃべるAIだ
二人はナイトライダーって知ってるか?」

「ああ、K.I.T.T.だろ」

「あ、おばさんに教えてもらったことあります」

「I.S.I.S.もK.I.T.T.と似たようなものと思ってくれればいい
試作版はトップダウンだけど、何をやってくるか予想できないBETAが相手だし、衛士の長所を伸ばす為のシステムでもあるから、完成版ではボトムアップとのハイブリッド型になる予定だ
そのせいでワンオフになってしまうけど、XM3搭載もあるから専用コックピットに換装するし、I.S.I.S.は取り外し可能なボックス構造で機体への載せ変えは簡単に出来るからその点は問題無い
それよりも問題なのはXM3とは違って、俺たちの発想によるオリジナルだから実戦証明が全くされていない事と、一からAIを育てないといけないって事の二点だ
実戦証明はβ版が出来てからじゃないとどうにも出来ないけど、AI育成はA-01と別に訓練兵組みの5人にも夜間にしてもらうことになったから、大変だと思うけどよろしく頼む」

「育てれば自分用の個性が出てくるってことだろ?それなら喜んで引き受けるよ」

「私も頑張ります」

「はいはい。興奮するのは結構だけど自分の言った事には責任持ちなさいよ
それから瀬谷は昨日付けで技術大尉、泉は今日付けで技術少尉になったから、今後人目のあるところでは言葉使いにはせいぜい気をつけなさい
鶴見が息巻いて説明してた撃震改修機も泉が予想以上の設計書を提出したし、XFJ計画をここでやったほうが都合がいい事もわかったから、その方向で計画を進めるわよ
まずは紅蓮大将にXM3とI.S.I.S.の有用性を見せ付けて、XFJ計画誘致を実現する足がかりにしなさい
時間も無いことだし鶴見と青葉はシミュレーターで時間まで完熟機動。瀬谷は二人への指示とI.S.I.S.の問題点の洗い出しを今すぐ始めなさい」

「「「はい」」」

これはすごくいい展開になってきたんじゃないかい?





「・・・・・・という事で、まずはI.S.I.S.の予測精度を計るから管制指示はあまり気にせず好きに動かしてみてくれ
最後に、初期機動で音声入力でパーソナルコードを決定するけど、これは各々のI.S.I.S.の名前にもなるから自分が呼びやすいものにしろよ」

「「了解」」

いいねいいね。自分専用の名前をつけるなんて瀬谷もわかってるじゃん
さて、なんて名前にしようかな。ルリ、さくら、フェイト、梨花、サーニャ・・・・・・
ワクワクしながら名前を考えてるとシミュレーターが機動を始めた

<パーソナルコード、ヲ、ケッテイ、シテクダサイ>

え?この声って・・・・・・

「瀬谷・・・・・・AIの音声って、霞?」

「ああ、そういや言ってなかったっけ
最初は電子ボイスだったんだけど、やっぱり戦ってる衛士には人の声の方が安心感をもてると思って香月博士に相談してたら社が自分にやらせてくれって言ってきたんだよ
こんなに早い時期に社が自分の意思を表に出して驚いたけど、君らの力になりたいからって言ってたぜ
そんな社嬢の気持ちに報いる為に突貫で今日に間に合わせたから、イントネーションがおかしいのは許してくれ」

「いや、とんでもない。最高だよ!」

「ははは、その言葉は動かした後に聞かせてくれ」

霞は本当にええ子や~

<パーソナルコード、ヲ、ケッテイ、シテクダサイ>

名前なんてもう考えるまでも無い

「パーソナルコードは『カスミ』だ」

<パーソナルコード、ヲ、カスミ、ニ、ケッテイ、シマシタ
オハヨウゴザイマス、マスター
マスター、バイタル、ガ、キョクド、ノ、コウフンチ、ニ、タッシテ、イマス
ダイジョウブ、デスカ>

いいよ、これスゴクいい!かつて無いほどみwなwぎwっwてwきwたwww

「ないない、まったく問題なしっ
これからよろしくな、カスミ」

<リョウカイ、シマシタ>



それから2時間のシミュレーションはあっという間だった
最初はカスミの管制指示どおりに動かしてたけど、自分の判断と違うところは無視すると、その度に修正されて自分の判断に即した指示になってきたし、見落としがちだった情報処理も全部引き受けてくれるから戦闘に集中できるし、機動の癖を学習して衝撃を緩和する動作を取ってくれて機体耐久の消耗速度が飛躍的に下がったし、何よりも霞の声のおかげでテンションぶっちぎりだったからBETA相手に一度も撃墜されることは無くシミュレーションを終了した

<シミュレーション、ヲ、シュウリョウ、シマス
オツカレサマデシタ、マスター>

「カスミもおつかれさま」

瀬谷を絶賛しようとスキップで管制室にやってきたら

「おつかれさまでした」

いつの間にか眼を覚ましてやって来ていた霞が出迎えてくれた
あー、やばい。霞の頭をすげー撫でたい・・・・・・撫でちゃってもいいよね?撫でちゃえ!

「ありがとうな、霞
霞の声のおかげで初めで一度も撃墜されなかったよ」

夢だった頭撫でをしても霞はくすぐったそうに目を細めるだけで嫌そうな感じはないし、良かったー
いやー、でもこれ撫でてるほうも気持ちいいなー。心が癒される~。撫でくり撫でくり

「私も、霞ちゃんの声のおかげで凄く安心できたよ
ありがとー」

「・・・・・・・・・・・・役に立てて、嬉しいです」

「おいおい、I.S.I.S.の評価は声だけか?」

あ、瀬谷のことすっかり忘れてたw

「そんなこと無いですよっ
いろんな事やってくれるし教えてくれるから今までと比べられないくらい操縦しやすくなりましたよ」

「うん。あのAIは本当凄いよ
もしかしたらXM3よりも凄い発明なんじゃないか」

「I.S.I.S.な。頭文字で名称になるようにちょっと考えたから覚えてくれよな
でも今のシミュレーションで色々問題点もわかったし、会話プログラムも改良するから、これからはもっと流暢にしゃべって使い易くなるぞ」

「マジか!瀬谷、お前天才だったんだなー」

「うんうん、凄いです」

「ははは、サンキュー
さて、もう時間も無いし着替えて急いで執務室へ戻ろう」

ここまで霞の頭撫でっぱなしです。これやめらんねー
霞も顔赤くして撫でられるままだし、やばw萌え死にそうwww



と思ったけど青葉ちゃんのスリッパが炸裂してそんなことはなかったんだぜ
執務室に戻った俺たちは夕呼先生に簡単にI.S.I.S.の報告をしてから、そろって会議室に移動した
そして時間通りに都筑さんに案内されて紅蓮大将と初日に別れた5人がやって来た
しかし紅蓮大将って髪型といい筋肉隆々な体といい、実写にすると恐いんだけど、近衛の赤服がまた似合って無くて笑えるねw

「わざわざ当基地まで足をお運びいただいてありがとうございます。紅蓮大将」

「なに、わしも香月博士には直に会ってみたいと思っておったから、礼をいわれるには及ばん」

挨拶もそこそこに、元々この世界に戸籍の無い事もあって、口頭でのやり取りだけで帝都組三人の受け渡しは簡単に済まされた
帝都組との再開は素直に嬉しくて色々話したいと思ったけど、まずはXM3とI.S.I.S.のお披露目と夕呼先生に促されてシミュレーター室に移動して、瀬谷が説明をしてる間に俺と青葉ちゃんはシミュレーターに乗り込んだ
そして再度カスミの管制の下、BETA殲滅戦とハイブ攻略を行ったけど、初めてやったハイブ攻略の結果には我ながら驚いた。テンプレどおりにスピード最優先でBETAを無視しながら進んだんだけど青葉ちゃんとの二機連携だけで中層を突破しちゃったんだからね

「まるで夢でも見ておるようだ
おぬし達、本当にもとの世界とやらではただの民間人だったのか?」

驚きの結果に気分良く管制室に戻ってまた霞の頭を褒め撫でちゃおうと思ってたら、そんな紅蓮大将の言葉で迎えられた

「彼らの操縦技術は確かに目を引くものがありますが衛士としては正真正銘全くの素人です
今の結果は新OSとAIによるところの方が大きいでしょう」

「それにしても陽炎2機でこれ程の結果を出すとは
いや、我々は戦術機そのものの性能を向上させる事ばかりに眼を奪われていたという事か・・・・・・
香月博士、そなたは実に偉大な発明を成しましたな。これは対BETA戦略を一変させますぞ」

「お言葉ですが、紅蓮大将
私のしたことといえば技術を多少受け渡しただけです
全てはこの者たちの異世界独自の発想と、XM3とI.S.I.S.を一から作り上げた瀬谷の功績ですわ」

夕呼先生、人の功績って言うわりにはなんでそんな自慢げな顔なんですか?

「なんと!
いやはや、これはそちらに3人を引き渡したのは早計だったやもしれんな。わっはははは」

「あら、今更返せなどとはおっしゃらないでくださいよ」

どうでもいいけど、ここだけ聞いてると人身売買でもしてるようで凄く怪しいです





会議室に戻って、運ばれてきた食事で遅めの昼食をとって食後のお茶を飲みながらおたがいの近況報告を済ませると、紅蓮大将が、もう待てんっと言い出さんばかりに夕呼先生に話を投げ出した

「して、香月博士
XFJ計画についても事前に話しに上がっていたが、そちらの話しに移ってはもらえんかな」

「わかりました。都筑、資料を」

都筑さんが表紙に『撃震改修機:厳影(げんえい)』と書かれた冊子を全員に配ってくれた
って、うぉい!いつのまに機体名まで決めたんだよ
機体名は一緒に考えさせてくれって言っておいたのに。あれか、夜即寝してたからそんな時間無かったからか・・・・・・霞ー、慰めてくれ~
霞がコクコクうなずいたと思ったら、暖かいイメージの色が心に満ちてきた
おお!これはもしかしてプロジェクションってやつか。なんか癒される~。ありがとな、霞
言葉と一緒に頭撫でる姿も思い浮かべたら、赤くなってる赤くなってるw可愛ゆす

「それじゃ、泉。はじめてちょうだい」

今更撃震改修機ということに拍子抜けした顔をしてた紅蓮大将だったけど、泉が説明を続けていくうちに驚きに変わり、説明が終わる頃には期待感を感じられる表情になっていた
好感触みたいだし、いい感じだ

「ふむ・・・・・・これも発想の違いというものなのか」

「説明の補足になりますけど、厳影はXM3、I.S.I.S.の搭載が前提の初の戦術機になり、続く第四世代機の試作試験機でもあります
ですがこの機体は帝国や米国の技術無しでは完成させる事が出来ません
第四計画も戦術機開発自体は計画に含まれていませんので権限を行使する訳にもまいりませんし
仮に強権を振るって機体を完成させたとしてもF-4の改修という事と第四計画と直接関わりが無い事を理由にして、国連を隠れ蓑にした米国に技術ごと徴発される可能性すらありますわ
そういう事情を踏まえて、紅蓮大将に御力添いいただいて帝国主導のプロジェクトとして、要求する技術の提供予定のあるXFJ計画に組み込むかたちで当基地で計画を実行していただきたいのです」

「うーむ。それだけの事になるとわしの一存ではどうすることも出来んな
しかし、博士やお主たちはこの機体の開発の功績が帝国のものになる事に異存無いと申すのか?」

「紅蓮大将。私も今まで何も好き好んで帝国に無理な要求を出していた訳ではありませんのよ
彼らにしても機体が完成され配備されれば、何処が開発したなんてたてまえは気にしませんわ
それでも、そうですね。厳影を計画誘致の担保にしていただいて、計画で開発された機体は当基地に優先的に配備していただくという条件でいかがでしょうか?」

「それでも帝国が利するところが大きいが・・・・・・いや、承知した
XM3とI.S.I.S.を見た今となっては、正直に申せば目の届かぬ露西亜の地よりも横浜基地でXFJ計画を実行するのが良いと思っている
しかし、事ここに至ってはもはやわしの身の内だけに留めておいて良い事ではなくなってきた
まずは殿下に事の全てをお伝えし、然る後にXFJ計画主任を伴って再び訪れる事になろう」

「それで結構ですわ
もっとも、彼らの予定では紅蓮大将との懇意を築く以前に殿下に事の真実をご報告するつもりだったようですが」

「わははっ そうであったな」

帝国に恩を売ってるように見えてその実、名誉はやるから開発コスト出して出来た機体よこせって事じゃん
おまけにXM3とI.S.I.S.の技術は提供するとは言ってないし、計画で開発された機体って事は不知火弐型とかもぶん取る気まんまんじゃん
夕呼先生の怖ろしさを再確認すますた

「あのー・・・・・・
話が終わったところで、俺たちからもお願いがあるんっすけど」

「なにかしら?」

「僕たち二人は今後も紅蓮大将の下で行動することになりましたが、やはり帝都と横浜で離れていると、僕たちの知識に間違いが無いか確認したり、一方で補完出来てない知識が出た時に聞いたりしたくても容易に出来ないのでホットラインを結んでほしいんです」

確かにそれは俺もあれば便利だなと思った
特に西はサプリ、TE、オルタードから体験版まで網羅して作中で語られて無い年表も良く覚えてるから、帝都に残って色々聞けないのは痛いんだよな

「夕呼先生。俺たちの持ってる知識は何よりの武器です
いざという時後手に回らない為にも、俺からもお願いします」

「いいわよ、それくらい
ただ、あなたたちの立場上独自の回線を持つのは無理だから、紅蓮大将と私を介してのホットラインという事になるけど
紅蓮大将もそれでよろしいですか?」

「うむ、問題ない
戻り次第、博士とわしの屋敷との直接回線を設けさせよう」

「「「ありがとうございます」」」

知識まで夕呼先生の監視下に全て置かれるって事だけど、元々先生を出し抜こうなんて思ってなかったからいいか

「他には何もないわね?
・・・・・・
では、紅蓮大将。本日はご足労いただきありがとうございました」

「いや、わしの方こそ今日の視察は実に有意義なものになった
次に訪れる時はXM3とI.S.I.S.についてじっくりと話をしたいものだ」

「あら、大将もお人が悪いですわ
では次回までにまた新しいものを用意しておかなくてはなりませんわね」

不適に笑いあう女狐と大狸
((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル





最後に見事な狸っぷりを披露して紅蓮大将は西と金沢を連れて帰っていった。ドナドナド~ナ♪いや、売られた訳じゃないけどねw
それにしてもやりましたよ。撃震魔改造機、厳影が現実のものになってきました
I.S.I.S.も霞ボイスだし、これで戦場に出ても生き残れそうって思えるよ
俺と瀬谷と泉はハイタッチして喜びあったね

「まったく・・・・・・あんたたち見てると、一人で研究に行き詰ってた私が馬鹿に思えてくるわ」

夕呼先生に呆れられても、帝都組3人がテンションについてこれなくて呆然としてても気にしませーんw

「まあ、いいわ。あんたたち全員今日はもう上がっていいわよ
ああ、都筑は悪いけど伝達事項があるから執務室へ寄ってから、ピアティフのところにある新しく来た3人の荷物を持っていってちょうだい」

そう言って夕呼先生も手をひらひらさせながら、都筑さんを伴って会議室から出て行った
時間はまだ午後3時に差し掛かったところ。気力は十分でも体は限界だった俺としてはこの突然の休暇もとても嬉しい
いい事ばかり過ぎて悪い事が起きそうな気もするけど、そんなバランスなんてないんだから素直に喜んじゃうZE
俺たち先行横浜組4人+霞は新しく横浜組になった3人に基地内を案内しながら部屋へと戻った
んで興味に惹かれた戸塚があっちこっちとうろちょろするもんだから部屋に着くのが遅くなって、都筑さんが先に戻ってましたよ

「それでは、伝達を済ませてしまいましょうね
まず、瀬谷さん、泉さんは明朝7時に副指令の執務室へ出頭してください
そこで今後の方針について詳しく打ち合わせがされます
鶴見さん、保土ヶ谷さん、磯子さん、青葉さん、戸塚さんは明日から正式に207隊C小隊として訓練部隊に編成されます
同じく明朝7時に入隊宣誓式が執り行われますので、時間までに講堂に集合していてください。こちらが入隊宣誓の言葉ですので明日までにしっかり暗記してくださいね
宣誓式の後は神宮寺軍曹の指示に従うようにとのことです
また、今回の正式な人事決定に伴いまして部屋割りが変更されました
瀬谷さん、泉さん、わたくしの3名は尉官として個室が宛がわれました。各人の個室の場所はこちらのとおりになります
それに伴いこの部屋は鶴見さん、青葉さんの両者に、保土ヶ谷さん、磯子さん、戸塚さんの3名を加えた5人の共同部屋になりました」

「えぇ~~~!?」

「青葉ちゃん。気持ちはわかるけど、今更そんな大声出して驚くことないじゃない」

「そんなことありますよーっ
今までは都筑さんもいたし、瀬谷さんは全然戻ってこなかったし、泉さんも半分くらい部屋に帰ってこなかったし、鶴見さんはすぐ寝てたじゃないですか
2:1みたいだった男女比がいきなり1:4になるんですよー」

「いや、これから本格的に軍隊訓練が始まるし、夜間にI.S.I.S.の学習もあるから保土ヶ谷さんは兎も角、俺たち三人は部屋に戻ったら即寝だろうし、今までとそんな変わんないと思うよ?」

「体力が厳しくなるのは私も一緒ですよ
そんな状態で狼たちの群れに少女が放り込まれるなんて、抵抗も出来ずに食べられちゃうじゃないですか
それだけならまだしも写真撮られて脅されたりとか無理やりで嫌だったのが良くなってきちゃったりなんかしたら・・・・・・」

駄目だこの子・・・早く何とかしないと
青葉ちゃんのおばさーん。あなたの姪っ子はすっかりエロゲに毒されてますよーーー
仕方ない、ここは霞に頼ろう
霞、霞。至急青葉ちゃんを慰めたし
(おろおろおろ・・・・・・)
ふーむ。どうしていいかわからないで俺と青葉ちゃんを交互に見ておろおろしてるな
霞、霞。俺が霞にしたみたいに頭撫でてあげるといいぞ
(・・・・・・なでなでなで)

「か、すみちゃん。慰めてくれるの?」

(コクコク)

「うわ~んっ私の味方は霞ちゃんだけだよ~」

青葉ちゃんの抱きつく勢いを受け止められなくて霞は押し倒されてあわあわしてるw
思いもかけず美味しい光景を作り出すなんて・・・・・・霞グッジョブb

その後、都筑さんの慰めと保土ヶ谷の「ふとどき者には顔の形が変わるほど鉄拳制裁をくれてやる」と頼もしくも恐ろしい言葉で青葉ちゃんはようやく納得して霞を解放した
ちなみに、保土ヶ谷は危なくないのかとの問いで、彼が老け専な事がわかり「京塚曹長っていいよな」という言葉に男全員が凍りついたのはまた別の話





あとがき
やっと青葉のキャラを書く事が出来ました。個人的にはオリキャラの中で一押しな子ですが、どうだったでしょうか?
I.S.I.S.については作中でナイト2000を例えに上げましたが、モデルは実はガンバスターだったりします
ノリコは計器を見て情報を処理しながら操縦する事が出来なくて一人ではRX-7ですらろくに動かせないのに、五話で二人乗りの完全なガンバスターになってお姉様が管制を担当するとノリコの身体能力の高さを出せるようになって、あの出鱈目な強さを発揮したのが今でも強烈に印象に残ってます
つまりI.S.I.S.は衛士という火を炎に変えるもう一つの火なので科学的なことはつっこまないでくださいー(汗)

>雪林檎様
金沢は非常に危うい存在です。反対勢力にならないようにと考えてはいるんですが、それもありかな?と悪魔のささやきも聞こえちゃって
それにしてもジャック・Oですか・・・・・・「まっがーれ」な超能力者をモデルにしてただけに私の中でますます「いい男」化がw
フロート脚造れる技術あったらニ脚の問題点なんてとっくに解消してそうですよねー
全国の鶴見さんと鶴見地区の皆さんごめんなさい

>TAKI様
体力が落ちていくのがわかるのってセツナイですよねえ。学生時代運動部だったときは10kmなんて日課だったのに・・・・・・
正解です。オリキャラたちは10人で1人分です。なので1人でも死んじゃったらトゥルールートには行けません
四脚とか多脚も大好きです。格好いいです。でも全てを戦術機で造る必要もないと思うので違う形で[以下の文章は省略されました続きを読むにはロリ神に祈りを捧げてロリパワーを補充してくだい]
それと武ちゃんがいらない子なんて言っちゃ駄目です!

>カードは勢いで選ぶ人様
感想ありがとうございます
AIの声は霞に決まっちゃいました
ただオリジナルプロトタイプと完成版のAIには構造上完全に違うところがあるので、もっともらしい理由をつけて音声の変更をするのもありですね
というか555も大好きなのでそこに刺激されたとも言いますがw
でも心理学的にはこういうのは女性の声のほうがいいって言うのを聞いた気もするし、でもあの声でCompleteとか言われたら・・・・・・ああ。悩む悩む・・・・・・



[15226] 第七話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:641f253a
Date: 2010/02/28 14:02
『私は、国際平和と秩序を守る使命を自覚し、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、責任感を持って専心任務の遂行にあたり、事に臨んでは、危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって人類の負託に応える事を誓う!』



2001/4/11

いよいよ今日から、マブラヴヒロインズたちとの交流解禁ですよ
まあ、俺的には霞と過ごせる時間が減って、訓練も厳しくなるってデメリットの方が大きいんだけど

「きさま等は副指令の極秘計画の為に、新たに徴兵されたという経緯は聞いている
夜間の特殊任務についても聞いているが、訓練に手心を加えてやるつもりなど毛頭無い
甘い気持ちを持っているなら、この場で捨てろ
きさま等に課せられているのは、一日でも早く衛士になる事だ
それを忘れずに訓練に励め」

「「「「「はいっ」」」」」

「よし
では、きさま等と共に訓練をする、第207衛士訓練部隊の連中に紹介してやる
ついて来い」

「「「「「はいっ」」」」」

まりもちゃん、じゃなくて神宮寺軍曹、めちゃくちゃ怖いです
昨日、衛士じゃなくて訓練兵にされた事に散々ぶーたれてた戸塚も素直に返事してるくらいの迫力です
神宮寺軍曹なまりもちゃんの訓練兵への愛の鞭って事は知ってるから反感なんてわかないけどね

あ、そうそう。俺、この世界の戸籍上では25歳ですw
兵役経験の無い三十路男が今更訓練兵に、しかも、いわくある横浜基地に配属されるのは余計な興味を買うって事で、同期入隊と言う事になる保土ヶ谷と同い年にされました
5歳くらいサバ読んでも怪しい印象を与えるのはそんなに変わらないと思うけど、20代を名乗れるのは素直に嬉しい
配属の名目は、夕呼先生が開発指示してた戦術機の新システムに適合する資質がある為、衛士にする。と言う事になってて、夜間訓練の理由も同じ

「敬礼っ」

座学で使ってる校舎の教室にまりもちゃんに続いて入ってきたら、207隊のおにゃのこ10人が一斉に敬礼すて迎えてくれましたよ
いやー。この世界に来て初めて大勢での軍隊式の挨拶を見たけど壮観だね

「昨日伝えたように、新設されたC分隊に配属された訓練兵を紹介しよう
鶴見訓練兵」

「鶴見健二です。C分隊の分隊長を任されました。よろしくお願いします」

先行横浜組って事と最年長って理由で分隊長にされたけど、俺に指揮官の適正なんてあると思えないんだけどいいのかなー

「保土ヶ谷訓練兵」

「保土谷太一です。C分隊副隊長です。よろしくお願いします」

「磯子訓練兵」

「磯子直樹ですっ。よろしくお願いしますっ」

「青葉訓練兵」

「青葉里香です。よろしく、お願いします」

「戸塚訓練兵」

「戸塚忠男。よろしく」

「見てのとおり、年齢も性別もばらばらで、きさま等より年上の男もいるが、諸事情により全員兵役経験は無い
先任として色々教えてやれ
昼休憩の時にA、B分隊の各自の紹介をして、まずは交流を深めるといいだろう」

『はい』

「よし。ではC分隊は空いている席に着け
本日の座学は復習も兼て、今まで教えてきた事を駆け足で説明していく
A、B分隊の者は覚え忘れが無いか確認し、C分隊の者はしっかり頭に叩き込むように」

『はい』

こんなにおにゃのこ比率の高い教室で勉強するなんて初めてだし、教室中に少女臭が満ちてそうで興奮するねwww
もちろん席は、たまの隣をキープしましたよ。たま可愛いよたま





【 瀬谷孝輔 SIDE 】

「陽炎・改については大空寺重工に打診しておくわ」

「はい、よろしくお願いします」

「とりあえず、今はこんなところでいいでしょう」

昨日の紅蓮大将との会談でXFJ計画誘致の見通しが立ったので、今朝はXM3、I.S.I.S.、厳影の開発スケジュールもそれに合わせて修正する話し合いが行われていた

「時間もちょうどいいし、打ち合わせはこれで終わりにしましょう」

「すいません、香月博士
内密にお話したい事があるんですが、少しだけ時間いいですか?」

「なによ、今話せないことなの?」

「はい・・・・・・」

これから話す事は第四計画の根幹にも関わる事もあるから、いくら転移者仲間であっても、この世界で生きている以上は安易に知る事は許されないと思って、博士に人払いをお願いした

「ふーん・・・・・・ま、いいわよ
それじゃ、泉は下がって良いわ
都筑はブリーフィングルームへ先に行って、準備をしておいてちょうだい」

「「はい」」




「・・・・・・で
同じ世界からやって来たお仲間にも話せない事ってのは何かしら?」

「はい。量子電動脳の技術を擬似生体脳に移植する事って出来ませんか?」

博士の眉が一瞬だけど跳ね上がった

「ああ、やっぱりこれが正解でしたか」

「あんた、一体どうしてっ!?」

「俺も一応プログラマーですからね。世界最高の演算ユニットである量子電動脳が、どんな構造をしてるのか気になるんですよ
でも、ゲーム内ではきちんと説明されませんでしたから、色々調べたり、自分なりに考察しました
その時は結局、確信を持てる答えにたどりつけませんでしたけど、I.S.I.S.を作る為に資料とコアチップを提供してもらって、そうなんじゃないかと
だいたいおかしいと思ったんですよね
白銀の元の世界の香月先生は、平行世界間の転移装置の実験を行っているのに、理論に関しては論文にまとめても実験をしてたくだりが、作中じゃまったく描かれてないんですよ
だというのに、この世界の香月博士は理論を手に入れてから、わずかな日数で00ユニットを完成させてます
それで、元の世界では実験したくても技術が追いついていなかった。一方この世界では理論さえ完成していれば簡単に作り出せる技術があった、という事が考えられます
元の世界には無くて、この世界にはある技術
俺たちの世界もそうでしたが、たぶん元の世界でも電子工学に関しては、この世界よりも技術が進んでいます
では量子電動脳、いや00ユニットを作り出すのに、この世界だけが持っている技術とは?
答えは生体工学。つまり擬似生体です」

「・・・・・・はぁ、まいったわ
瀬谷、あんたプログラマーより科学者の方が向いてるわよ」

「恐縮です
それで、ここからが本題ですが、00ユニットと同程度の性能でリーディングとプロジェクションをオミットした量子電動脳で人格をAIにした、プロトタイプI.S.I.S.を作らせてください」

「どういうこと。今の性能でI.S.I.S.は十分のはずでしょ?」

「これはI.S.I.S.を作って浮かんだアイデアなんですけど
俺たちの世界の漫画で、人間の能力を超越した騎士という存在が操縦するロボットの操縦をサポートする、人工生命体で生体コンピューターであるファティマというのが出てくる作品があります
ファティマの性能はESP能力の無い00ユニットに人を超えた肉体能力と反射速度を付加したもの、と思ってください
しかし、そんな超生命体ともいえるファティマたちの戦う相手は、自分の仕える騎士に敵対する騎士です」

「馬鹿な話ね・・・・・・」

「・・・・・・はい
ですが、本来ファティマは人を傷つけることも出来ないほど情緒不安定で、戦闘のストレスに耐えられず人格崩壊を起こす恐れをはらんでいます
また人型である事を疑問視する声も強く、演算能力とリアルタイムコントロールだけにオミットした、大脳に筋肉と神経だけの非人間型エトラムルというものも作り出されました」

「つまり、そのエトラムルというのをI.S.I.S.で作りたいって事ね」

「甘いと言われるでしょうけど、ゲームで登場した人たちはもちろん、鶴見たちにも死んでほしくはないですからね
でも、戦争なんて経験した事の無い俺たちですから、XM3、I.S.I.S.、厳影を作り上げても、彼らの精神が一人前の衛士に育つ前に死ぬ確率の方が、はるかに高いでしょう
彼らを補佐して、気絶や恐慌態になった時には代わりに操縦をして、生きて帰ってこさせれるくらいのものを持たせてやりたいんですよ」

「あんたも大概ゆがんでるわね
そんなに心配なら実戦に出ないで済むように尽力してあげればいいのに、そうはしないで彼らに力を与える為に非人道的と言われる様なものを作って手を汚すという訳?
それとも自分は実戦に出ないで済む罪悪感からかしら?」

「・・・・・・さあ?そこまで難しく考えてませんでした
ただ・・・・・・自分が作りたいって言うのが一番の理由ですね、きっと」

「そういう考えは嫌いじゃないわよ」

「ありがとございます
それと、プロトタイプI.S.I.S.を作りたいと言った理由はもう一つあるんですよ」

「あら、まだあるの?」

「『2回目』の世界で香月博士が言っていた仮説なんですが、BETAは人間を使って何某かの実験を行っていて、この横浜基地はやつらの実験施設だったのではないか、と」

「確かに、その仮説は既に立ててるわ」

「そして、佐渡島ハイヴを消滅させた後、残存BETAは鉄原ハイヴへ撤退すると予測していましたが、結果は横浜基地に大量のBETAが侵攻してきました
このとき博士は、BETAの人類に対する実験は終了し、残存BETAが横浜ハイヴを取り戻しにきたのではないか、と言いました」

「・・・・・・・・・・・・カガミスミカの脳の反応の消滅が、BETAの横浜侵攻のトリガーだと言うの!?」

「おそらくは・・・・・・
00ユニット完成後もODL浄化作業で反応炉に新たな情報が流れてた為、実行が佐渡島ハイヴ攻略まで見送られてたんだと思います
でも、今回は00ユニットからの情報漏洩は防ぐように準備を進めていますよね
そうすると00ユニット起動後しばらくして、あるいはもっと最悪なのは、佐渡島攻略中に横浜を攻められる可能性があります」

「・・・・・・つまり、00ユニットを起動した後は擬似生体脳のI.S.I.S.をカガミの脳のダミーに利用するという訳ね」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいわ
幸い、鶴見のおかげで理論の研究が進んで、00ユニット用に擬似生体脳を作らせてたから、それをプロトタイプのオリジナルとして使いましょう
瀬谷はオリジナル用に、より高度なAIプログラムを構築して搭載し、AIの教育をしなさい
ああ、それに通常のI.S.I.S.のデータバンクにも利用すればデータの統合、修正にも使えるわね」

「了解しました」

「ぷっ・・・・・・まるで様になってないわよ、それ」

自分なりには精一杯気張って敬礼したつもりだったけど香月博士に笑われてしまった
でも、博士もやっぱりこんな風に笑うんだな。思わずこんな顔を見せてくれたのは、少しは信用してくれるようになったからだったら嬉しいんだけど

「せっかく大尉なんて高い階級いただきましたからね、敬礼くらいは慣れておかないとと思って」

「私がそういうの嫌いだって知ってるでしょ」

「まあ、俺もいつも肩肘張るようなことするつもりありませんけど、気になる女性の前では見せかけだけでも格好くらいはつけたいですからね」

「ふーん、なかなかいい趣味してるじゃない」

「お気に留めておいていただければ幸いです」

俺がマブラヴをプレーして一番心に残ったのは、白銀の戦いでも、ヒロインたちの悲壮な生き様でもなく、香月博士の孤独な戦いだった
だから、この世界に転移して俺が生きる為の覚悟、と言うよりも目標を、香月博士の負担を少しでも多く減らす、と決めたのは当たり前の事だった
天才の彼女の隣に並ぶ事は出来なくても、後ろから支える事くらいは出来るはず。その為なら、倫理なんて糞くらえだし、手を汚す事も怖くない
I.S.I.S.の製作が一段落着いたら、ハッカーとしての腕をフルに使って、妨害工作をかけてくる連中の弱みや隙を調べ上げ、爆弾を仕込む事でも提案しよう

「それじゃあ、A-01にXM3とI.S.I.S.の説明しに行きましょう」

「はい」

俺と香月博士は不適に笑みを交し合ってヴァルキリーズの待つブリーフィングルームえと向かう事にした
さて、戦乙女たちは一体どれだけ驚いてくれる事か



【 瀬谷孝輔 SIDE END 】





【 伊隅みちる SIDE 】

新しく副指令の秘書になった都筑中尉に、副指令が遅れてくると伝えられ、私は昨日聞かされた新OSとAIについて考えた
今までとはまったく異なる概念の元に作り出された物らしく、副指令は「明日動かすのを楽しみにしていなさい」とおっしゃっていたが、聞けばOSもAIも最近着任した技術大尉の開発したものだという
2月のBETA新潟上陸の迎撃作戦で3名も戦死者を出してしまい、補充要員は訓練兵が任官するまで見込めない現状で、不安要素はすぐにでも排除したいというのに、実戦証明もされていない新装備の実験台になるのは、正直願い下げたい
いや、副指令の命令とあれば従うまでだ
しかし、新装備が使えない物だった時の事を考えておかなければ・・・・・・・・・・・・


「待たせて悪かったわね」

「敬礼っ」

「はいはい、ごくろうさま」

今後の事を考えるのに没頭してしまい、副指令の入室の声に現実に引き戻され、あわてて号令を掛けるはめになってしまった

「早速だけど、紹介するわ
一昨日付けで正式に横浜基地に着任した、瀬谷よ」

「A-01の皆さん、はじめまして。瀬谷孝輔技術大尉です」

「こう見えてなかなか優秀なやつよ」

「プレッシャーかけないでくださいよ」

驚いた。副指令が優秀などと紹介するなんて、初めての事ではないだろうか?
私は気を引き締めて瀬谷大尉を観察した
長身で細身の体は服の上からでは筋肉がわからず、我々衛士のような覇気を身に纏っている訳でもない
彼の優秀さは技術大尉の階級のとおり、目に見えない頭の中に詰まっているのだろう

「それじゃ、瀬谷。あとよろしく」

「はい。では、これから新OS、XM3とアビオニクスを統括するAI、I.S.I.S.についての説明をします
質問は後ほど受け付けますので、まずは2つの特徴を覚えてください」

都筑中尉から資料が配られ、瀬谷大尉の説明が始まった
しかし、説明を聞きながら資料に目を通していくが、その性能はいささか眉唾物に感じられる
隊の連中の顔を見ても、皆、怪訝そうな表情をしている
そして一通りの説明が終わった後に、新OSとAIを換装したシミュレーターの映像が再生されたのだが
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
なんだ・・・これは?

「・・・・・・すごい」

誰かが漏らした呟きが、映像に眼を奪われ、誰の声かが結びつかない
戦場を跳ね回り、途切れる事の無い連続動作で、次々とBETAを倒していく姿は、まるで舞っているようでもある
戦術機にこんな動きが出来たのか?
しかし、跳躍を駆使するその姿は、光線級の餌食になる事を危惧させるが、レーザーの初期照射を浴びると同時に着地やBETAを盾にして、すぐさま回避し、無用な不安だとばかりに言っているようだ
着地地点にしても、BETAで埋め尽くされた周囲から的確にポイントを選び出し、無ければ撃ち殺して確保する
死角に入り込まれたと思っても、すぐさま的確に対処し、決して隙を作ることも無い
続いて流されたハイヴ攻略の映像では、四方八方から押し寄せるBETAを飛び越え、時には踏み台にして、最低限の戦闘だけでハイヴ奥へと突き進んで行く
見せられれば最も効率的なハイヴ攻略方法だということは理解できるが、しかし、一体あれほどの数のBETAの中で、BETAの攻撃をかわし続け、着地地点を見誤ることも無く侵攻していく事ができるものなのか
広間では天井から降ってくるBETAを避け、あっという間に中層を突破してしたが、噴射滑走を多用した為に推進剤が底を尽き、主脚走行でなおも横坑を進んでいったが、BETAに挟撃され、やがて武装も底を突き、状況は終了した

もはや、衛士の腕などというものでは語れない圧倒的戦果
何よりも驚愕すべき事実は、これら全てをたった2機の陽炎で行った事だ

「期待どおりの表情を見せてくれるわねえ~」

「ふっ副指令っ こ、これ本当にシミュレーターの映像なんですか?」

あまりに驚愕的な映像に隊員たちも呆然としていたようだが、副指令の声に速瀬が反応した

「瀬谷がそう言ったでしょ
わざわざ加工した映像なんて作ってどーするのよ」

「じゃあ、これが本当に新OSとAIの性能なんですか!?」

「信じられないかもしれないけど、そのとおりよ
ちなみに、あのシミュレーションで操縦してたのは、開発関係者で衛士ではないわよ」

副指令の言葉で騒然となった
私だって、あれだけの操縦をした者が衛士でないなど言われても信じられない
しかし、だとすれば、素人がAIの指示に従い操縦し、OSがその機動をカバーした事になる
それほどの性能だというのか!?
そう考えた時、私は血が沸き、体温が上昇するのをはっきりと感じた

「あのあのっ 新OSとAIっていつから動かせるんですか!?」

「み、水月ぃ・・・・・・」

「速瀬っ」

驚愕と興奮からあわてて立ち直り、速瀬の出すぎた質問をたしなめた

「伊隅、別にかまわないわ
速瀬以外も待ちかねてるようだし、早速シミュレーター室で操縦させてあげるわよ」

興奮を抑えられないざわめきがブリーフィングルームに溢れた
叱責しなくてはいけない立場だというのに、私自身もあれを動かせるという興奮で、体が動き出しそうになるのを押さえるのが精一杯だ

「それでは、強化装備に着替えてシミュレーションルームへ集合してください」

「敬礼」

副指令たちが退出すると

「行くわよ、遥!」

「ま、待ってよ、水月ぃ~」

「あっ速瀬中尉、私も行きますー」

速瀬が涼宮と館林を引き連れて、弾丸のように飛び出していった

「まったく、あいつは・・・・・・
02のコールナンバーを任せたというのに、いつになったら自覚が出てくるのか」

「速瀬中尉の辞書には、自制という言葉は載っていないのでしょうからしかたありませんよ」

「そうよー、みちる
猪突猛進が水月ちゃんの長所じゃない。思慮分別出来る水月ちゃんなんて気持ち悪いわー」

「あはは、速瀬中尉も散々な言われようですね」

「三咲中尉。速瀬中尉も戦闘中はしっかり周りに気を配っていますよ」

宗像の揶揄に、志乃が更に酷い事を言い、佐久間が囃し立て、風間がしっかりフォローを入れる
定員割れしている事など今まで何度もあったが、それでも日常でもしっかり連携を取れてる仲間たちを見ると頼もしく思う

「ふふ・・・・・・私たちも急ぐぞ
遅れて速瀬にぼやかれるのは癪だからな」





「B小隊、BETA掃討完了」

「よし、今のうちに補給コンテナまで下がって給弾する。補給はB小隊からだ
補給中の者以外は円壱型陣形で全方位警戒。I.S.I.S.があるからといって油断するなよ」

BETAの波状攻撃を撃退というシミュレーションを開始してから、2度目の侵攻を撃退した

「いやー、それにしても、このXM3って最高ね」

「本当ですね。これに慣れちゃったら、今までの機動なんて鈍くって「今までは一体なんだったんだー」って思っちゃいますよ」

現在、我が中隊は7名しかおらず、B小隊は速瀬、館林の二機連携を志乃がカバーし、後衛はA小隊のみの変則2個小隊で構成している
XM3は、この戦力の少なさを十二分に補ってくれるもので、特に激しい機動を求められる前衛の2人が絶賛する気持ちは良くわかる
最初は30%上がったという反応速度のピーキーさに手を焼いたが、慣れてしまえばキャンセルの機能とあいまって、今までよりも格段に戦術機を自分の手足として操縦できるようになったのを実感した
先行入力とコンボについては、今後の訓練でものにしていく必要があるが、速瀬などは早くも先行入力を使いこなし始めているようにも感じる

「XM3も凄いけど、私はI.S.I.S.のおかげで、二人のカバーが今までよりしやすくなったほうがありがたいわー」

「私も、今まで支援に気を取られてて、自分に接近してくるBETAに気がつかないのをいつも叱られてたけど、今日はI.S.I.S.が教えてくれるおかげで自分で対処できてます」

「三咲中尉とアンジュさんの言うように、戦況の変化や危険優先度の高いBETAを音声で教えてくれるので、今までよりも支援に集中できて、視野が広がった気がしますね
それに長距離砲撃の自動照準の精度も上がってますし、残弾警告とカートリッジの自動交換のおかげで隙も少なくなりました」

「確かにI.S.I.S.の補助はたいしたものだけど、それを即座に機動に反映して対処できているのはXM3の性能があればこそだな
大尉はどう思われますか?」

元々は後衛向きの志乃がI.S.I.S.の衛士をサポートする性能を評価すると、佐久間が的外れな感想を述べる。それを受けて風間がI.S.I.S.の性能を端的に上げ、風間がI.S.I.S.の性能もXM3のおかげで引き立っていると補足する
私の言いたい事はほとんど言われてしまっているが、さて、どうまとめたものか・・・・・・

「どちらの性能が優れているかは、それぞれの機能が違うから甲乙はつけられんな
しかし、この2つを使いこなせる様になれば、我々は更に強力な力を手に入れることが出来る
瀬谷大尉がこれ程のものを開発してくださったんだ。貴様たち、死ぬことは今まで以上に許されなくなったと肝に銘じて、よりいっそう鍛錬に励んで、必ずこの力をものにするぞ」

「「「「「「了解っ」」」」」」

「それから、I.S.I.S.に頼りすぎて情けない事を言った佐久間は、シミュレーター終了後に腕立て200回だ」

「えぇーーー!?」

<11ジホウコウ、ニ、アラタナ、BETAグン、ヲ、ハッケン、シマシタ。ソウスウ、ハ、オヨソ200タイ。セッテキ、マデ、10プンホド、デス>

「おしゃべりはお終いだ
各機、I.S.I.S.からBETA出現の報告はあったな?」

「「「「「「はい」」」」」」

「よし。では2000mほど戦線を押し上げて対処する」

<マスター。レーザーキュウ、ノ、ハンノウ、ヲ、カンチ、シマシタ。カズ16、デス>

「・・・・・・リコ、BETAと接敵後の光線級までの予想進行経路を出しておいてくれ」

<リョウカイシマシタ>

私は、幼い頃に母から譲り受けて宝物にしていた人形の名前をつけたI.S.I.S.に命じた
このシミュレーションはI.S.I.S.の評価試験でもある為、涼宮の管制無しで行われているが、それにしてもHQの報告無しに、事前に光線級の存在が判明したのは驚きと共に感謝の念が耐えない

「聞いたな?風間は直ちにALM弾に換装」

「はい」

「BETA接敵と同時にALM弾を全弾発射し、その後、傘壱型で突撃して光線級を叩くぞ」

「「「「「「了解っ」」」」」」

光線級が出現したここからが本番だ
新装備の性能の真価と、我々がどこまでその性能を引き出せるのか、思う存分試させてもらう事にしよう



【 伊隅みちる SIDE END 】





訓練部隊に入隊して原作のPXを使えるようになって、昼休みに全員でやって来たけど、京塚のおばちゃんの腕って本当に凄かったんだなーとしみじみ思ったよ
食感が天然物と同じくらいに感じられて、手間を加えられてるのがわかるし、今まで食ってた合成食と比べ物にならないくらい美味い
料理を注文する時に自己紹介して、背中におばちゃんの平手の洗礼を受けたけど、親しみやすくて安心感を与えてくれて、いい人だなー
保土谷が何やら熱い眼差しになってた気はするけどスルーで・・・・・・



「それじゃ、鶴見さんたちは戦術機開発の助手をしていたんですか?」

昼休みになって、A、B分隊の皆が自己紹介してくれた後、案の定俺たちの年齢に疑問を持たれてたので嘘経歴を言ったら、涼宮さんちの茜ちゃんがつっこんできましたよ

「助手じゃなくて関係者、な」

「その関係者さんたちが、どういう経緯で訓練兵になったかを聞きたいんだけどな~」

「えっと、実験で人手不足のときに戦術機のシミュレーションを私たちがやることがあって、そしたら衛士適正があることがわかって、ここの訓練部隊に異動になったんです」

年少者組みのほうが口を滑らせやすいと考えたのか柏木が、青葉ちゃんに矛先を向けたけど、昨日のうちにしっかり口裏合わせておいたから、青葉ちゃんも落ち着いて答えた

「ふへぇ~、なんかよくわからないけどエリートみたいだねぇ」

「あったりまえじゃん。なんたって俺たちが衛士になったら今作ってる新型に乗る事に(ゴスッ)痛ってー」

築地が感心してるのに気を良くしたのか、戸塚が口を滑らせやがった
すぐさま保土ヶ谷が鉄拳で黙らせたけど・・・・・・あー、皆興味津々な顔しちゃってるよ。やっばいなー

「ねえねえ、新型ってなんなの?この基地で造ってるの?」

自己紹介から口を挟んでこなかったB分隊から、鎧衣が期待に満ちた目をさせちゃいながら聞いてきたよ
和気藹々として気軽に接してくれるA分隊と違って、B分隊は相互不干渉なんて暗黙のルールを作ってるのを知ってるけど、途中入隊って事で警戒されてるのがビシバシ伝わってくると悲しいね
しっかし、この世界じゃ仕方ないんだろうけど、やっぱB小隊は親とか家とか気にしすぎだよなー
何とかしてやりたいとは思うけど、白銀が来た時のことも考えると現状維持がいいのかねえ・・・・・・

「すまんが、機密に関わることだから答えることは出来ない」

つい考え込んでたら保土ヶ谷がフォローしてくれた。本当は分隊長として俺が答えなくちゃいけなかったんだろうけど、憎まれ役感謝
おにゃのこたちは「ええー」と残念そうだけど、やっぱ訓練兵が知っていい情報じゃないし、ごめんよ~

「それじゃ、せめて年齢・・・教えてください」

「そ、そうです。男性3人は年上なのはわかりますけど、あとの二人が私たちと同い年なのかとか気になります」

「あ、私と戸塚君は16歳です」

「えっ、そうなの?それなのに中途入隊させられたんだ?」

麻倉と高原が質問を変えてきたのに青葉ちゃんが答えると、茜が驚きの声を上げて、他の子たちも怪訝そうな顔した
戸塚の年齢も、いくら男でも徴兵年齢前は問題があるって事で、16歳ってことになったけど、それでも途中から訓練部隊に編制されたのに疑問をもたれてしまった
これは矛先を反らさんといかんね

「俺と保土ヶ谷は25歳で磯子が22歳だよ
それと、教官は俺たち全員兵役経験無いって言ってたけど、保土ヶ谷は自警組織みたいなところにいた事があるから、彼だけは素人じゃないよ」

自衛隊員だった保土ヶ谷だけは初めから訓練をこなせるだろうから、そうしたらまたそれを疑問に思われるだろうし、これくらいは教えておいて問題ないでしょ
その後は俺たちからも質問して、雑談してるうちに昼休みが終わったけど・・・・・・築地もいいなー
オルタードやったときはなんとも思わなかったけど、巨乳属性も対応した今は、ロリ顔巨乳たんもサイコーですw
A-01も本編開始時ではリタイアしちゃってた人も、今は健在だろうし、これはますます楽しみが増えたね
ゲーム登場人物の死亡フラグをへし折ることを考えてたけど、この機会に親しくなった人全員の死亡フラグを回避するように考えを改めねば



なんて格好良く考えてたけど、自分が死にそうです
青葉ちゃんとの自主訓練で少しは体力ついてきた気がしてたけど、軍隊訓練はそんな甘いもんじゃなかったです
今までの全力で走っても、A、B分隊のおにゃのこ達と保土ヶ谷にはもちろん、青葉ちゃんと磯子にもついていけないし、少しでもスピードが落ちれば神宮時軍曹の怒鳴り声が飛んでくる
体力的にはもちろん、連帯責任で遅れてる俺と戸塚が走り終わるまで、他の皆も走り続けてるのは精神的にきつかった
おかげで、限界通り越しても走りとおせたけど、終わったあとはゲロりましたよ
戸塚よりは速かったっていっても何の慰めにもならないし、すごく情けないです
こんな調子で本当に訓練についていけるようになるのかねー・・・・・・





あとがき
やっとA-01と207小隊が登場しました。これでようやく話の進行速度も上げていけるようになります
この時期のヴァルキリーズは、もう少し隊員がいそうな気もしますが、訓練部隊任官後のバランスを考えて、ゲーム開始時と同じ7名にしました
ところで、オリ主たち以外にもオリキャラが登場してきましたが、オリキャラ紹介とかしたほうがいいでしょうか?

>キ83様
TEはどこまでキャラを出すかまだ検討中です。唯依姫は日本人だから確定なんだけど
霞がオリキャラになびいちゃってごめんなさい
ただ、青葉は勘違いしてたけど、今の状態は卵から孵ったひよこと同じで、霞の気持ちが確かなものになるかは鶴見の成長しだいなので、もう少し鶴見に夢を見させてあげてください

>雪林檎様
これ以上ガチネタを引きずるとやばいので、青葉は擬人化しなくてもシチュでいけるくらいは腐ってます。という事で締めますw
ハイブリットって訳わかんない事になったのは、今回瀬谷が提案したオリジナルI.S.I.S.が原因です。やっぱり人間の脳はトップダウンかボトムアップのどちらに決まってるって事はないですからね
I.S.I.S.の正式名は瀬谷のセンスの無さの現われなのですが、それにしてもやっぱりおかしかったでしょうかね?

>みゃま様
ああ・・・・・・最後の落ちで、まさかそんな超展開を示唆されるなんて
保土ヶ谷は初め年上好きでまりもちゃん一筋な設定だったんですけど、インパクトつける為だけに変えたばかりにorz

>灰原聖志様
本編の欝展開を自分が解消したい為に書き始めたので、初期プロットでは犠牲は最小限になってるんですけど、既にプロットと変わってきてるところがあるので不安が・・・・・・
という事は第四世代機は扱いの難しさに定評のある金騎士ですね\(゚ロ゚ )なんでやねーん
でも厳影の名前とI.S.I.S.のセットからMHを連想したのかしら?だとしたら筆者泣かせな鋭さです

>ポチ様
感想ありがとうございます
これからも楽しんでもらえるよう頑張ります

>黒うど様
武ちゃんはもちろん、オリキャラたちには夕呼先生の孤独も晴らしてほしいと思ってます
中の人のことはあえて考えないようにしてます。そうしないとA-01はI.S.I.S.の霞の声を遥と間違えそうな気がするし

>TAKI様
鶴見たちは初回テストで驚異的な結果を出したけど、XM3の実験機動では機体耐久値をあっという間にレッドゾーンにしちゃってたとおり、実際にはそれ程操縦技術が高い訳ではありません
なので、オリキャラ無双→こんな凄腕衛士がいたなんて→抱いて!な展開にはなりません
霞と鶴見をお似合いだと思ってもらえて嬉しいです。紅の姉妹も出したいとは思うんですけど、イーニァは兎も角クリスカが鶴見の射程圏外なのが・・・・・・
次のメカ改造は戦術機ではありませんが、ご期待ください



[15226] 第八話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:641f253a
Date: 2010/02/28 14:01
2001/4/11

午後からの地獄のような訓練を何とか生き抜いて、PXで晩飯の時に部屋の場所の話していたら、おにゃのこたちの部屋とは大分離れていることがわかった
訓練部隊に入るまでは出会わないように言われてたから、離れてて当たり前なんだけど、朝の点呼の時にまりもちゃんが大変そうだなーなんて思ったりもした
んで、俺たちの部屋の場所の話からC分隊だけ大部屋だとわかっちゃって、A、B分隊は個室でずるいって青葉ちゃんが拗ねてたけど、保土谷が戦場じゃ当たり前の事だし、団結力を育てる時期の訓練兵が個室な方がおかしいって言って、また憎まれ役を買ってくれた
俺?俺はリバースせずに飯を胃袋へ運ぶ作業で精一杯ですよ
それにしても委員長がめっちゃ睨んでるなー

「何か言いたそうだな、榊
俺たちは新参だが、同じ訓練をする仲間になったんだ。言いたい事があるなら遠慮する事は無いぞ」

「それでは伺いますが、保土谷さんは、私たちが特別扱いされるとおっしゃるんですか?」

なーんか、委員長も無駄に噛み付いてくるねー。出自を気にし過ぎてて神経過剰になってるよなー、あれ

「それ以外に聞こえたか?というより、榊が言いたいのはそんな事じゃないだろ」

あ、突っ込んじゃうんだ

「・・・・・・それは、どういう意味ですか?」

「はぐらかすなら言ってやるが、榊に綾峰、有名な人物と同じ苗字だな。珠瀬ってのも軍関係にいれば耳に入ってくる名前だし、御剣に至ってはある御方と非常によく似ている
A分隊と違ってB分隊はほとんど俺たちに話しかけてこないし、察するところ、個人的な事に触れてほしくないって事だろ」

「「「「「・・・・・・」」」」」

う~ん。とっても重たくて一部険悪な雰囲気
でもなー、自分の事でいっぱいいっぱいだった俺でも、委員長と綾峰の喧嘩を実際目の当たりにしてみたら、あれはないわーと思ったもんな。保土谷が突っ込みたくなる気持ちもわかるよ
ていうか、まりもちゃんがぎりぎりまで放置してるのがわからん
やっぱ上から、衛士にさせないために成長の障害になっている事は放置しろとか命令出てるんかね?

「あの、保土谷さん。それ以上は・・・・・・」

「まあ待て、涼宮。こういう事はきちんとしておいた方が、おたがいの為だ」

「でも・・・・・・」

心配と分隊長の責任感でか茜が止めに入るけど・・・・・・おしいなー。3年前バージョンならストライクなのに

「俺たちにも言えない事や触れられたくない事がある。これは誰でもにある当たり前の事だ
それに嫌いな奴やそりの合わない連中ってのはどうしてもいるもんだ。そんな奴にわざわざ話したくないと思うかもしれん
しかし、そんな事を理由にしていたら、戦場じゃ自分はおろか仲間の命まで失ってしまう事にもなる
だから仲間なら、相手の事を理解してやるべきだし、自分の事も知ってもらうべきだ
それでも、どうしても触れられたくない事なら、せめて理由くらいは話して、きちんと理解してもらう必要があるんじゃないか?
そういう努力を怠って、突っぱねているだけだと、いざという時に後悔する事になるぞ」

「あなたの勝手な考えを押し付けないでくださいっ」「余計なお世話」

委員長と綾峰が同時に反論したけど、やっぱりこの二人って、本当は相性かなりいいと思うんだ
それにしても、他のおにゃのこたちが不安そうにしてるし、体はきついけど飯も食い終わっちゃし、そろそろまとめた方が良さそうだね

「保土谷。初日なんだし、その辺でいいだろ?」

「ん?ああ、いきなり言いすぎだったかもしれん。すまなかった」

「「・・・・・・」」

「でも保土ヶ谷の言った事は覚えておいて損はないぞ
軍隊じゃなくたって社会に出たら、嫌な上司に言われたとおりに動かなきゃいけない事や嫌いな奴と協力して仕事しなきゃいけない事なんて当たり前なんだからな
でも、俺は皆と仲良くしたいから、話せる事はちゃんと話して仲良くしようよ~
B分隊の子は全然話しかけてくれないから、おじさん寂しいよー」

「ぷっ、あはは・・・・・・せっかくためになるっぽい事言ったのに、最後で台無しだよ、鶴見さん」

「だなやー。大人の人かと思ったのに、やっぱり情けない人みたいだやー」

「多恵、いいすぎ・・・・・・」

「え?ええ?」

柏木が笑ってくれて、皆も険悪な雰囲気から抜け出せたみたいだね。築地が何か言ったのは聞こえなーい

「私たちも少々他人行儀が過ぎたようだ。許されよ」

「そ、そんな。謝らないでくださいよー、御剣さん」

「そうそう。保土谷さんが言ったとおり、俺たち仲間になったんだから」

「別にいんじゃね?嫌いな奴となんて話さなけりゃ」

「んな事言ってると、戸塚だけ仲間はずれにされるぞー」

「んでだよっ」

「ふふ。そなたたちに感謝を
あらためて、C分隊の皆、よろしく頼む」

「あ、あの。私もよろしくお願いします」

「いやー、どうなる事かとヒヤヒヤしたけど、C分隊の皆がいい人たちで良かったよー」

鎧衣が自分だけ傍観者みたいなこと言ってるけど、お前もB分隊なんだけどな。
約2名納得いってないって態度だけど、せっかく雰囲気も戻ったから、このままおひらきになりました
そして、部屋に戻る事にしておいて207隊のおにゃのこたちと別れて、カスミの育成の為にシミュレーター室に向う。カスミの育成、とか言うとエロゲ的でなんか興奮するねw



「保土谷さん、何かあせってます?」

「ん?」

「いや、さっきのあれですけど」

「ああ・・・・・いや、すまん
あせってる訳ではなくて、榊と綾峰のやり取りを実際目の当たりにしたら、なんとも歯がゆくってな」

磯子が保土ヶ谷にさっきのやり取りについて尋ねると、保土谷は微妙な表情で答えた

「あー・・・・・・確かに。わかり合えるって知ってると、今の二人の状況って遠回りしてるなーって思いますよね」

「だが、余計な事をしちまったな」

「そんな事ないですよー」

「いや。ここがオルタの世界なら問題はそう無いかもしれんが、ULだったとすると俺たちがB分隊に余計な介入をするのは危険だろう」

「それってどう違うんだ?」

保土谷の言葉に青葉ちゃんがフォローをいれるけど、保土谷はB分隊への俺たちの介入を危険だと言い、戸塚がオルタとULだと何か違うのかと尋ねる

「俺たちが下手に影響を与えて、B分隊が前期の演習に合格してしまったらどうなる?
オルタの白銀なら訓練部隊を飛び越していきなりA-01に任官されても問題ないだろうが、ULの白銀はただの高校生だぞ」

「あ・・・・・・」

「そうか。一人で訓練兵じゃ戦う覚悟どころか、同級生だった彼女たちとの交流も持てなくて、この世界を否定したまま終わってしまうかもしれませんね」

「そんな事まで考えなきゃいけないなんて、めんどくせーな」

保土谷の説明で、青葉ちゃんと磯子が、俺たちの行動が未来を悪い方向へ変えてしまう危険に気がついたというのに、戸塚の奴は・・・・・・はぁ

「いや、そこは考えとけよー
俺らはもう存在してるだけで未来を変えちゃう立場にいるんだからなー」

「そうだぞ、戸塚」

「わ、わかったよ」

俺が重たい口を開けて突っ込んだら、保土ヶ谷も促してくれた
それにしても、体が重い・・・・・・足が痛い・・・・・・シミュレーター室にまだ着かないのか・・・・・・

「・・・・・・鶴見さん、くたびれてるね」

青葉ちゃんが、ゾンビのように歩ってた俺に気がついて、可哀相な人を見るような目を向けてきます。やめてー、そんな目で見ないでー

「座ってる分にはいいけど、もう歩くのも辛いんだよー
二日後が怖いです・・・・・・」

「はっはっは、だらしないぞ、鶴見。戸塚なんてもうぴんしゃんしてるじゃないか」

「そういや戸塚は訓練終わった時は、俺よりボロボロだったのに何で元気なんだよ?」

「おっさんとは回復力違うんだよ
シミュレータだけど、やっと戦術機に乗れんだもんな。飯食ったら疲れなんて吹っ飛んだぜ」

「おっさん言うなっ」

なんか余計疲れが増したよ

「ところで、何で二日後が怖いんですか?」

「この歳になると筋肉痛が中一日おいてやってくるんだよ」

「あー、それはなんつーか、すいません」

「だっせー」

「自主訓練の時もそうだったよねー、あはは」

「今まで体を鍛えてなかった証拠だな。こんな状況じゃ自業自得ってやつだ」

「いたわりを持った人間はいないのか・・・・・・」

「そういう事は時間内に訓練を終わらせた人が言う事だと思います
連帯責任で私たちだって余計に疲れてるんですよー」

「すんません・・・・・・」

心が・・・心が乾くよ・・・・・・
なんかもう、しおしおになりながら更衣室にたどりついて、一度青葉ちゃんと別れて強化装備に着替えて、夕呼先生と瀬谷と霞がいる管制室へやってきました

「あら、鶴見。いい感じにボロボロになってるじゃない」

「正直、早くI.S.I.S.の教育して寝たいです」

霞の頭を撫でて霞分を補給してあと二時間乗り切るぞ。撫でり撫でり

「大丈夫ですか?」

「・・・・・・うう。霞だけが俺の味方だよー」

もうね、感極まって思わず抱きしめちゃいましたよ。心配してくれるし、頭撫でても逃げないし、霞はほんにええ子や~

「馬鹿やってないで、社を離しなさい
今夜はまず、3人の衛士適正を計るわよ。保土谷、磯子、戸塚は1番から3番のシミュレーターに乗り込みなさい」

「「「はい」」」

夕呼先生の眼光に脅されて仕方なく霞を開放したらフリーズしてた。再起動するまで頭撫でてよっと
保土谷たちは訓練の疲れも見せずに嬉しそうにシミュレーターに走っていったけど、3人ともシミュレーション楽しみだったんだなー

「あの、夕呼先生。私たちはどうすれば?」

「あんたたちはその辺で待ってなさい」

「せんせー、ベンチ座って休んでてもいいですか?」

「・・・・・・好きにしなさい」

夕呼先生が呆れたような目をしてたけど気のせいだな、うん。
許可も下りたし、まだフリーズ中の霞の手を引いてベンチに移動して、霞を膝に乗せて座りますたw

(すぱーんっ)(びくんっ)

「・・・・・・痛いよ、青葉ちゃん」

「なに自然に霞ちゃんを抱っこしてるんですか!?」

「えー、霞分を補充してるだけなのに・・・・・・霞、嫌か?」

スリッパではたかれた時の音で再起動した霞に聞いてみた

「・・・・・・嫌じゃ、ないです」

真っ赤な顔して答えて、う~ん、愛いやつ。撫でり撫でり

「ああ・・・・・・霞ちゃんが毒されていく」

霞もまだ緊張してるのか体に力が入ってるけど、ウサ耳ピコピコさせてて喜んでるのがわかるのに、酷い事言うなー

「毒されてなんかないよなー、霞」

「はい・・・毒されてません」

「青葉ちゃんももっとピュアな心を持たなきゃ駄目だぞー」

「・・・・・・ぅぅ、私が悪者ですか」

ありゃ、青葉ちゃん凹んじゃったよ。言い過ぎたかな?

(ぽふ。なでなで)

「ななななにするんでしゅか!?」

不意打ちに弱い青葉ちゃんはしっかり噛んで真っ赤になってくれました。可愛ゆすw

「いや、霞だけじゃ不公平かと思って」

「もっもう、勝手にしてくださいっ」

「・・・・・・」

うっ・・・・・・霞がジト目になってる

(なでなで)(ぴこぴこ)

青葉ちゃんの頭を撫でながら、霞の頭も撫でてあげたら、またウサ耳をぴこぴこさせてくれた
いや~、癒されるね~。疲労感が消えていくよ

それから十分ほど、二人の頭撫でをたっぷり堪能してたら、シミュレーターが止まったので管制室へ戻ることにした
んで、管制室に着たんだけど、保土谷と戸塚が青い顔してぶっ倒れそうになってるし、夕呼先生と瀬谷は渋い顔してるし、どーしたんだ?

「まいったわね・・・・・・私とした事が、こういう可能性があることを失念してたわ」

「どうしたんだ?」

「保土谷と戸塚が適正値に届かなかったんだ」

瀬谷に耳打ちして聞いたら、思ってもみなかった答えが返ってきた
俺と青葉ちゃんは驚いて顔を見合わせてから、3人に目を向けると、磯子が肩をすくめて答えた

「訓練部隊に入れたものを、今更変更するのも面倒くさいし、あんたたち二人もこのまま訓練続けなさい
訓練続けてれば適正が上がる事もあるみたいだし、それに期待しましょう」

「「・・・・・・はい」」

「それじゃ、私は戻るわ。瀬谷、あとで報告書持ってきてちょうだい」

「はい」

夕呼先生はすっかり興味を失ったといった感じでシミュレーター室を出ていったけど、なんともいたたまれない空気です

「ゆ、夕呼先生もああ言ってたし、二人とも頑張りましょうよ」

「訓練の疲れや環境の変化のせいもあるだろうし、あんま気にしないほうがいいぞ」

「そうそう、皆で頑張ろう」

「二人が慣れるまでは機動のフィードバックは切っておくから、気負わないでやってくれ」

「・・・・・・頑張ってください」

「ああ、大丈夫だ。例え衛士になれなかったとしても、訓練は無意味にはならんしな」

「ふ、ふん。今日はちょっと調子が悪かっただけだ」

皆で励ましたけど、酔いが酷かっただけなのか、保土谷はしっかり前向きに答えたし、戸塚も悪態つけてるし大丈夫かな?

「それじゃ、後10分休んだらI.S.I.S.の育成に入ろう
イントネーションがおかしくて片言だったのが、A-01に不評だったから、午後いっぱい使って会話プログラムを修正して、流暢に話すようになったぞ」

「相変わらず仕事が速いな
ってA-01と会ったのか!?」

「なんだよそれ、瀬谷だけずりーな」

「ははは、そう言うなって、仕事なんだから
ああ、そうそう。ゲームにはいなかった人たちもいたぞ」

「どんな人たちでした?」

皆で興味津々に瀬谷を注目すると、瀬谷が説明を始めてくれた

「まず、速瀬中尉と二機連携を組む館林楓少尉は日本人形みたいな外見だけど、速瀬中尉以上に猪突猛進みたいだな
二人の後ろをカバーする三咲志乃中尉はおっとりしているようだけど、故意か無自覚なのか、ナチュラルに毒を吐く人だ
この3人がB小隊で、A小隊は伊隅大尉、宗像少尉、風間少尉の他に佐久間アンジュ少尉って言うハーフの人がいる
で、この人がどじっ子で、あー・・・・・・鶴見が好きそうな外見の人だな」

「それはロリっ子って事ですかい?瀬谷のだんな」

「・・・・・・鶴見さん」

うお!霞がかつてないほどジト目になってるっ。これは嫉妬フラグ!?

「・・・・・・・・・(じー)」

「いや、全然気になってないよ、うん。本当に」

「鶴見さんは自重するべきです」

う・・・・・・霞のジト目はなおらないし、青葉ちゃんにまで抗議されてしまった

「これにHQの涼宮中尉を加えた8名が今のA-01の全員だ」

「この時期で既に定員割れしていたのか・・・・・・
わかってはいたつもりだが、酷い損耗率だな」

「てか俺らがA-01に入れば人数増えんじゃん」

「そうそう、XM3に加えてI.S.I.S.だってあるし、俺たちとA分隊が任官すれば伊隅大尉たちの負担も減るんじゃないですか」

「君たちだけ戦場に送り出すのはすまないとは思うけど、頑張ってくれ」

なんだかまた暗い雰囲気になてしまいましたよ

「まあ、実戦なんて今の段階じゃぴんと来ないし、まずはI.S.I.S.を完成させようよ。自分たちとA-01のためにも」

主にまだ見ぬロリっ子少尉のためにもね

「鶴見さん・・・・・・余計なところまで声に出てて色々台無しです」

「うそぉん!?」

青葉ちゃんに呆れられて、男連中に苦笑されてるけど、暗い雰囲気は無くなったし、まあいいか
でも霞さん・・・・・・視線が痛いです

「・・・・・・・・・(じー)」

_○/|_ ゴメンナサイ





2001/4/15

【 金沢慎吾 SIDE 】

簡素ながらもアンティークな調度品でそろえられた応接室は、僕らの世界で言えば大正モダンとでもいうような趣のある部屋で、この部屋を謁見の場に指定した将軍の人となりに好感がもてる
そう、今日ようやく将軍煌武院悠陽殿下に謁見出来る事になった
いまだに戸籍もない僕と西君の二人の身の上では普通では叶うはずもない事だけど、横浜基地の視察で、紅蓮大将が僕たちの存在の有用性を確信してくれたようで、今日の日が設けられる事になった
この日のために香月博士とホットラインで折衝を重ねたけれど、オルタネイティヴ4の完遂を至上命題に掲げている彼女の計画通りにするだけでは、BETA戦後の日本帝国の状況はいささか面白みに欠ける事になるのはゲームが語っている
しかし、僕の目指すのはご都合主義なハッピーエンド
となれば、彼女の目が届ききらない今の立場を最大限に利用し、帝国をより良い状況に持っていく必要がある
そのためにも、今日なんとしても将軍殿下の信用を得て、自由に動ける身分を手に入れなければならない
幸い、西君に聞いた限りでは、再構成された世界での御剣悠陽はなかなかにしたたかな狸であったようだし、人類の窮状と将軍という立場の重荷を、明るい未来明確に指し示す事で軽くしてあげれば、本人の本質がより強く現われ、僕の良き理解者になってくれるに違いない

「煌武院悠陽殿下の御成りです」

侍従の言葉に合わせ起立すると、程なくして殿下がやって来た
凛とした表情で厳かな雰囲気の中に威厳のようなものが感じられる。ゲームでは何故僕と同い年の子が将軍などという地位にあるのかと疑問に思ったが、なるほど、実際目の辺りにしてみれば彼女が将軍であるのが素直に肯けた
しかし、僕がこうした人物評価をしている横で、西君が素っ頓狂な声を上げる

「うほっ。ナマ悠陽たん」

今日の拝謁に当たって、紅蓮大将からくれぐれも無礼のないようには言われていたけれど、西君は殿下に恋心に近いものを抱いてるらしく、初めて本人を目の当たりにして思わず声に出してしまったようだ
西君はなかなか面白い性格で、オタクなところが彼を思い出させて、僕にとっては非常に好もしいけど、さすがにこの場で「悠陽たん」はどうかと思うよ
いつの間にか、彼の背後に立って短刀を首筋に当ててる怖いお姉さんもいるし・・・・・・

「連れが失礼をしました。何分、武家や高家のしきたりなど解さぬ身なればご容赦ください」

「よい
月詠も下がりなさい」

「しかし、殿下・・・・・・」

「よいのです。この者たちは大切な客人
無礼はなりませんよ」

「・・・・・・はっ
それでは失礼します」

若干不満が見えていたけれど、主君の言葉に従って女性は音も無く消えた
あれが西君が言っていた月詠中尉の従姉妹の月詠真耶さんか。それにしてもEXの月詠さんといい、月詠の名をもつ人は忍術でも修めているのだろうか?

「まったく、あれだけ言い含めてあったというのに。戯け者が
殿下の温情に感謝せよ」

「申し訳ないっす
殿下のご尊顔を拝謁して?舞い上がってしまいました」

「ふふふ。紅蓮から聞き及んでいましたが、そなたはなかなかに面白い人物のようですね
それに、この場にいるのは我らのみ。そう畏まらず、普段のとおりに話すと良いですよ」

「ありがとうございます、殿下
正直に申しますと、あまり畏まった物言いは肩がこってしまうので助かります
申し送れましたが、僕は金沢慎吾と言います」

「ありがとうございます。自分は西博士っす」

「金沢に西ですね。よしなに
紅蓮からは、そなたたちがこの世界とは別の世界からやってきた異邦人と聞きましたが、それは真なのですか?」

「はい。にわかには信じられないでしょうが事実です
そして僕たちの世界ではこの世界の事が物語の一つとして語られています
西君の話では、僕たちの世界は「観測世界」といわれるもので、無数に存在する並列世界を無意識に、無差別に観測した者たちによって架空の物語と誤認して綴られている。ということです」

「まぁ・・・・・・・・・・・・それは香月博士の提唱する理論と関係があるのですか?」

「はい。既に香月博士にはこの事を話したところ、そうであれば、僕たちの存在と知識が説明でき、おそらくこの仮説が正しいだろうと答えをもらっています
そして、この仮説が正しいならば、僕たちが知るこの世界が辿る二つの未来が真実ということになります」

「なるほど、そこに行き着くのですね
確か、オルタネイティヴ4が凍結される未来と完遂される未来ですね。そして、この世界を救うにはオルタネイティヴ4の完遂が絶対条件なのですね?」

「はい」

「詳しく話してくださいますね?」

「はい
西君、よろしくお願いします」

「ういっす
まず、物語は2001年10月22日から始まります・・・・・・」

そして西君から語られる「おとぎばなし」
それは本来の御伽噺がそうであるように、決してハッピーエンドではなく、苦味を残した結末へとたどり着く

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

「あの者は…冥夜は最後まで自分らしく逝けたのですね?」

「はいっす」

「そうですか・・・・・・」

西君の話が終わると、殿下は話の真偽を問うよりも、まず御剣冥夜の最後を確認してきた

「紅蓮。この者たちに引き合わせてくれた事、心より感謝します」

「ははっ」

「西。よく細かに話してくれました。そなたの話すあの者は、今まで伝え聞いていたとおり、いえ、それ以上に成長した姿で、私にそなたの話す未来が真実であると信じさせるには十分でした
そして、そなたたちと横浜にいるという、そなたたちの仲間にとっては、自らの意思とは無関係に異界であるこの世界にやってきた事は不運と思いますが、そなたたちの知る未来は我々に希望を持たせるものです
私はそなたたちがやってきてくれた事を嬉しく思います。心よりの感謝を」

「あ、いや、そんな高評価してくださいまして、こっちこそありがとうございますっす」

殿下は既に僕たちの存在と語られた未来を信じているだろう。しかし将軍という立場としては安易にそれを認めることは出来ず、もって回った言い方になっているのだろう
僕と同い年だというのに、なんとも気苦労の耐えない立場に立たされているものだ
まして実権を伴わない張子の虎となれば、聡明であるが故に悲劇の姫君としか言えず、沙霧尚哉を暴走させクーデターを起こさせ、それを利用し極東の実権を回復しようとアメリカにつけこまれるのも仕方のない事か
そもそも煌武院悠陽の即位自体、アメリカの関与があったのだろう

「ありがとうございます
しかし、殿下。僕たちは今語った未来のとおりになることを良しとはしていません」

「それは、どういう事ですか?」

「あまりにも犠牲が多すぎるんです
桜花作戦でオリジナルハイヴを攻略して人類には30年の猶予が出来たと香月博士は言っています
しかし、桜花作戦の被害総数は全世界軍のおそらく半数に達していると思います」

「桜花作戦後のハイヴ攻略作戦でわかってるのは2年後の錬鉄作戦だけっす
あ号標的が消滅して、BETAの指揮系統が無くなって、進化が止まったのに2年の空白期間があるのはどう考えても被害が大きかったと考えるしかないっす」

「確かにのう。攻略までに年数が空けば、間引き作戦も行わねばならぬ
オリジナルハイヴの陥落で各ハイヴのBETA数が増えることがなくなったと楽観しても、準備期間としては2年というのはいささか長すぎるの」

「しかし、それでは第四計画に見切りをつけるというのですか?」

「いえ、違います、殿下
人類がBETAに勝利するためにはオルタネイティヴ4の成功は絶対条件です。僕たちの知っている未来はあの時空の時点では間違いなく最良の未来でしょう
ですが、既にそれを知った以上は、より最良の未来を目指すべきではないでしょうか」

「確かに、そなたの言うとおりです」

「さて、そこで問題ですが、香月博士は何故国連軍に所属したとお考えですか?」

僕の質問で謁見の間に静寂が訪れる
殿下はわずかに眉根をを寄せて考えているが、せめてこれくらいは正解を出してもらいたい

「・・・・・・そうですね。いくつか理由があると思いますが、やはり最大の理由は帝国ではなく国連に身を置くことで、第四計画を成功させるための権限を広く行使できるからでしょう
ですが、そなたの望む答えはこのようなことではありませんね?」

「はい」

「これまでの話を考察すると、香月博士は国というものに対する依存心が無く、国すらを己の理想のための道具として利用しています
つまり、香月博士にとっては帝国も手ごまの一つに過ぎず、戦後統治を視野にいれてはおらぬため、かの者の立てた策にそのままのる事は下策である。という事ではないですか?」

「御明察です、殿下
ただ、香月博士は戦後統治を考えていないわけではなく、親オルタネイティヴ4勢力が実権を握ったアメリカに世界の統治権を握らせ、各国間の軋轢や齟齬を減らすつもりかと思います
そのため、佐渡島ハイヴ攻略までは未来情報とさして変わらぬ流れをとるつもりでしょう」

「ホットラインでの話し合いでも未来が読めなくなると理由付けして、流れを大きく変えるつもりがないように言っておったな」

「はい。ですが帝国としては11月のBETA新潟進行はもちろん、クーデターで無用の流血と戦力低下は避けたいことと思います」

「それは無論です」

殿下が力強く肯定するのを確認して、僕は話を続ける

「僕としても楽しい未来像のためには無用な犠牲は望みません
そこで、殿下には一日でも早く政威大将軍の権限を取り戻していただき、香月博士の手綱を握っていただきたいのです」

「そのような事、私に出来るのでしょうか?」

「出来ます
失礼ながら、殿下は御即位以来取り立てて御功績は挙げてないと思いますが」

「わが身の不徳のいたすところです・・・・・・」

「むぅ・・・・・・」

僕の指摘に殿下は意気消沈し、紅蓮大将も年端も行かぬ少女にそのような立場を強要している現状に顔をしかめる

「ですが、王に必要なのは、内治の才でも謀略の知恵でも剣の力でもありません。もっとも必要なものは人を惹きつける力です。そして王のカリスマの下に集まった才ある者を適材適所に配する事が出来れば国とは治まるものです
クーデターに参加した兵士は殿下に実権が戻れば、それで日本は救われると信じていました。殿下にはそれだけのカリスマ性があるのです」

実際に会ってみてわかったが、煌武院悠陽という人には想像以上のカリスマ性がある
沙霧大尉が偏向なまでに殿下を神聖視していたのも納得がいった

「うむ。金沢よ、良くぞ申した
是親とは予てより、殿下が御成人あそばしたあかつきに全権を奉還いたす所存であったが、年内に国が割れる可能性があるのがわかった今、そのときを座して待つのは愚である
殿下。わしも不肖の身ではありますが、よりいっそうのご助力いたしますれば、心安んじて征夷大将軍の本来の御姿に立ち返るがよろしいと存じます」

「そっすよ。偉い人たちはわかりませんけど、兵士や国民は殿下が立ってくれるのを待ち望んでるのは事実なんすから」

「・・・・・・そなたたちに感謝を
未来を聞き、より最良の未来をつかむためにも、私は将軍としての全権を取り戻し、真に征夷大将軍として立ちましょう
ですが、この身は非才の身。そなたたちの力を私に貸してください」

「ははっ」「「はい」」

殿下は少しの間俯いた後に顔を上げると、覚悟を決めた強い眼差しを持った表情をしていた
転機に当たって即断が出来るのは、有能である一つの証明だ
僕は、どうやら過小評価していた同い年のこの少女に、本気で仕えるのも楽しいかなと考え始めた

「時に、紅蓮。金沢と西の立場はいかように処するのが良いでしょうか?」

「はっ。斯衛に入れるにしても譜代の武家でもなく、しかし殿下に謁見を望む上では、あまりに低い階級にするわけにもまいりません。さりとて高官に任じるには実績があらず
さすれば将軍直轄という事で官位を持たせず、将軍直轄の御相談役とした「御伽衆」という新たな役職を作り、そこに任じ、必要に応じて殿下自ら召還できるようにするのがよろしいかと存じます」

「では、そのように差配お願いします」

「はっ」

「なんか、かっこいいすね」

やや時代劇的な役職ではあるけれど、現有の地位や勢力に邪魔される事なく殿下を会えるのは、今後の事を考えれば良い地位だ
それに将軍直轄という事である程度の自由も利くだろうし、ありがたい

「ふふふ、私もなにやらワクワクしてきました
さて、立つと決めた以上、今後の方針を決めねばなりませんが、まずはそなたたちの考えを聞かせてください」

「はい。まず、BETAですが。僕たちというイレギュラーの存在で、どのようなバタフライ効果があるかはわからないので警戒が必要ですが、現在までBETAに対して本来の歴史に無い行動をとってませんし、今後も時期が来るまで行動を起こさなければ、おそらく11月までは帝国に対しての動きは無いでしょう
しかし、何も11月のBETA進行まで待つ必要もありません
まず、横浜の僕らの仲間が提案したXFJ計画を横浜基地で行うという案件の実行していただき、BETA反攻への戦力を整えるべきです」

「おお。例の撃震改修機とXM3にI.S.I.S.であるな」

「紅蓮より資料を提出してもらい目を通しましたが、それほどのものなのですか?」

「はい。西君、説明をお願いします」

「うっす。まずは撃震改修機の厳影っすけど、自分らの世界の架空技術で、この世界で再現できるものを美味しいとこ取りしたものになってて、はっきりいって撃震とはまったく違うものっす
自分も第三世代機のかっこよさで気にしてたかったっすけど、厳影の資料を見た後だと、戦術機の火力不足とか跳躍ユニットの燃費の悪さは気になったっす
厳影はその点を解消してたり、三次元機動を前提に色々補強されてるみたいで、完成すれば今までとはまったく違った戦術機になると思うっす」

「技術廠の者にも見せたところいたく感心しておったが、わしには今一つ完成像が見えぬため不知火弐型の方が有用な機体に思えるが?」

「弐型もいい機体なんすけど、厳影は設計理念から今までの戦術機とはまったく違うんすよ
えーっとっすね。ちょっと違うんすけど、わかりやすく言うなら、厳影が零戦で、今までの戦術機が零戦出現以前の戦闘機って感じっすかね」

「ほう、それはまたずいぶんと心躍る例えであるな。ふむ・・・・・・」

紅蓮大将があえて厳影を疑問視するように尋ねると、西君は零戦を例に出して答えた
すると紅蓮大将は期待に満ちた目をして自分の考えに沈んでいった

「不勉強で申し訳ありませんが、私にはまだ良くわからないのですが、つまり計画が既に動き始めているXFJ計画を、横浜基地で実行に移すほどのものということですね?」

「はい。香月博士が開発を承認して、XFJ計画誘致を打診してきたことからも相当な機体になる事と思います
それに、弐型に使われる予定の技術を織り込んで設計されているのでスペックを満たすためにもXFJ計画を横浜で実施したいのでしょう」

「わかりました
ではXM3とI.S.I.S.についても見解をお願いします」

「XM3は自分らが話した未来で、既に実戦証明もされて、衛士の戦死者を半数に減じた奇跡のOSって言われてるものっす
I.S.I.S.は、一言で言えば単座で複座と同程度かそれ以上の性能を発揮するシステムっすね
それで対話式なのは、戦闘中だと文字報告じゃ見落とすかもしれないっすけど、音声報告なら戦闘に集中しながら目視以外の情報にも対処できるってことっす」

「うむ。シミュレーションも見てきましたが、あれらはまっことすばらしいものですぞ、殿下」

「紅蓮のその言葉は何度も聞きましたが、本当に紅蓮が手放しでそこまで言うほどのものなのですね」

「ぶっちゃけI.S.I.S.は萌え要素っす。瀬谷さん良くわかってるっす。衛士の戦意向上間違いないっすよ」

「もえ?ですか。よくわかりませんが戦意の向上が見込めるというのは素晴らしいです」

「付け加えますと、I.S.I.S.と常に対話する事で実戦での衛士のストレス軽減やパニック抑制も見込めると思います」

「まあ・・・・・・
そなたたちの説明を聞いて、紅蓮が褒めるのもわかった気がします」

具体的な説明を聞いたことで新兵器それぞれの実態像が思い描けてきたようで、殿下は明るく顔をほころばせた

「殿下。説明が終わったところでXFJ計画の話しに戻ります
I.S.I.S.に関してはAIということでオルタネイティブ4の技術が流用されているでしょう。その事から、香月博士は00ユニット完成までのつなぎとしてI.S.I.S.を利用するはずで、使われた技術を手に入れる事は、まず不可能と思います
ですが、厳影については、博士も言っていたとおり、帝国の発案としてその技術を全て接収できます
加えてXM3も戦術機OSという点を突いて帝国発案ということにし、帝国の技術にするべきです
これにより帝国の戦力を増強することが出来ますし、XM3に関しては各国への輸出やライセンス契約で財政を充実できます
この点のみでもXFJ計画を横浜で行う利点がありますが、横浜での計画実施を提案している本当の理由は他にあります」

「それは、どういった理由ですか?」

「実はっすね、アラスカでXFJ計画を行うと、かなり残念な結果に終わってしまうんす」

「なんと!それはいかなる事か!?」

僕がXFJ計画を横浜で実行する利点を上げ、もう一つの理由を示唆し、西君が説明をすると、紅蓮大将は驚きの声を上げて、殿下も眉根を寄せた

「帝国がXFJ計画で開発を目指してるのは99式電磁投射砲と不知火弐型っすよね
でも、99式電磁投射砲は性能要求をクリアーできなかったり、ロシアの陰謀なんかがあって結局完成しないんす
で、弐型っすけど、完成自体はするっすけど、ボーニング社の政治介入でF-15SEJって機体と次期量産機のトライアルされる事になって、自分の知ってる限りじゃ配備数はそう多くならないんすよ」

「わかりました
そこまで聞いては、計画が動き出しているからといって、そのままにしておくわけにはまいりません
私の責任でもって是親を説得し、XFJ計画の実施地を横浜基地へ変更しましょう」

西君の説明を聞くと殿下は即断した
確かに予測としての話だとしても、横浜で実施するのに比べてアラスカで実施するにはあまりにデメリットが大きい
横浜で実施する事にしても同様の事件が起きる可能性は無いとはいえないが、国内と国外では、それに対する対処の早さもまったく違ってくる
そうは言ってもXFJ計画は既に動き出していて、来月にはアラスカで開始される事になっている
この時期に計画実施地を変更することで少なくない混乱が起こる事を考えれば、殿下の決断は上に立つ者としては考えられぬほど潔く、気持ちのいいものだ

「御英断、ありがとうございます」

「ありがとうございます」

「二人とも、礼には及びませんよ。これも帝国のためです
それよりも、まだまだ考えねばならぬことがあります」

「そうですね。甲21号作戦以降は横浜との協力が不可欠なので今の段階では置いておくとして、まずはクーデターの根本原因でもある、帝国への米国の影を一掃することが先決かと思います」

「うむ。クーデターはなんとしても回避せねばならぬな」

「いえ。クーデターは起こしてもらわなくてはなりません」

「なに!?」

僕の言葉に、また紅蓮大将が声を上げたけど、殿下はなんだか期待を持った表情のまま聞いていた

「僕は予てよりこのクーデターに疑問な点がありました」

「それは如何なる事ですか?」

「各省施設を同時に強襲して、帝都を包囲し、脱出した殿下を追う戦力の他に、はっきりしているだけでも厚木基地に富士教導隊がクーデター側についています
彩峰萩閣の子飼いといっても高々大尉の者が首魁にしては、集まった戦力が大きすぎると思いませんか?」

「確かにの・・・・・・」

「ですがそれは米国の工作もあったからでは?
・・・・・・いえ、帝国の高官の中に黒幕がいる、ということですね?」

僕の疑問に紅蓮大将はうなずき、殿下はその先の考えにたどりついた
本当に、打てば響くような反応で嬉しくなる

「はい。仙台臨時政府の者たちは間違いなく米国の息がかかっているでしょうが、彼らは踊らされているだけです
実際クーデターに参加した衛士のほぼ全てが救国の志を持っているはずです。そういった志を持った衛士たちを動かせる程の人物というとそう多くはありません
そして帝国へ及ぼす影響の大きさを考慮しても、鎧衣課長が殿下へいまだ報告していない、いえ、報告を躊躇うほどの人物がついていると思います
これは沙霧大尉が最後まで自身を首魁としていたことからも、決して表に出していい人物ではないでしょう
紅蓮大将にこの世界の情勢をきちんと知るために様々な資料を見せていただきましたが、その中から、僕はクーデターの黒幕だと考えられる人物へたどりつきました」

一度言葉を区切って、僕は3人の表情を見る
この考えは、現時点では僕の憶測でしかなく、そのため、まだ西君にも話していない

「その人物とは、五摂家九条家党首、九条実久」

「まさかっ!」

「金沢、それはないぞっ
実久殿は現役を退いたとはいえ、BETAの本州進行の折には防衛線で指揮を取ったほどの生粋の帝国武人で高潔な方だ
まして、殿下が御即位してよりの後見であらせられるぞ」

当然の反応だろう
書類で見ただけだけど、九条実久という人は尊敬できる人物だ
だけど、それだからこそ、僕の考えが真実であると確信させる

「まだ、あくまで僕の推測に過ぎませんが、お二人の反応を見て確信しました
いいですか、簡単な事です
まず、大儀のためとはいえ国を乱す決心をさせる程に衛士の求心力になり、事を起こすまで発覚を隠蔽しながら準備を進めさせる力を持った人物でなくてはいけません
が、自身が殿下に取って代わることが無いよう、あくまでも衛士の忠誠は殿下へ向けさせる無心の持ち主
そして、本人は自身が泥を被るつもりなのでしょうが、アメリカに付け入る隙を与えないため、そして殿下が事件後権力を取り戻せたので、それ以上の無用な混乱を招かないため、ついに最後まで名前が上がることがなかった身分の方
以上の事から軍や政府の上に存在する五摂家が浮かんできます
そして五摂家の現状ですが、煌武院家は当然除外です
斑鳩家頭首は僕たちも知っているとおり、大きな戦いには常に戦場に立っている武人で、国を正すためとはいえ、国を乱す事を良しとはしないでしょう
斉御司家、崇司家は本土防衛線のおり、先代将軍と共に討ち死にしていて、代替わりした頭首では衛士の求心力としてはやや弱く、また裏から手を回すほどのパイプも築き上げていないでしょう
対して、九條家頭首実久様はそれら全てを満たしていています
そして、長くBETAと戦い続け帝国を守ってきたからこそ、アメリカの影に染まった内閣と殿下の立たされている現状に、決して容認できない思いを抱いていることと思います」

僕の考えを述べ終わっても誰も声を上げない

「・・・・・・いや、しかし、だとしてもまさか・・・・・・」

紅蓮大将が呟いたのを合図にしたように、殿下が僕に毅然とした顔を向けた

「金沢。この話は他の誰にも話していませんね?」

「はい。西君にも相談していません」

「はいっす。あまりの展開で呆然としたっす」

「では、この話はこの場にいる4人以外にする事を禁じます」

「はっ」「「はい」」

「この件については鎧衣に調査させ、事の真偽を確かにします。その結果、実久殿が関わっているのなら、早急に話をし、協力を取り付け、クーデターをコントロールし帝国に蔓延る米国の影響を一掃します
その後、私が内政を軍事を掌握し、真の征夷大将軍として立ちます」

「ははっ」「「はい」」

そう宣言した殿下の姿は、まさに将軍というのに相応しいものに僕の目には映った

「これでよろしいですね、金沢」

凛々しい姿から一転、茶目っ気を見せる表情で僕に話しかける
まったく、この人は僕の想像以上に楽しい人だ
柄ではないけど、王佐の才なんてものを目指してみるのもいいかもしれないという気持ちにさせてくれる
せめてもの意趣返しに芝居がかって返事をさせてもらおう

「全ては御心のままに。我が姫殿下」



【 金沢慎吾 SIDE END 】









あとがき
お久しぶりです。第8話をやっとアップできました
なんか当初の予定に反して、ネタ要素が激減してしまっていますがどうしたものでしょうか
まあ、兎も角やっとストーリーが加速できる段階に入りました
次回はこんなに時期をあけずにアップできると思います
それと、SSに書き慣れてきたので、次回からMuv-Luv板に移る事にします
板が変わっても読んでくれると嬉しいです

>大様
FSS以外にも、オリ主三馬鹿+西がこれからも他作品の設定を提案してくると思います
それでもBETA相手には、主要キャラが最後まで一人もかけることなくいくのは難しいイメージしかわかないんですけどね・・・・・・

>ガング様
オリキャラ×原作キャラのカップリングは賛否両論だと思うので、こいつならくっついてもしょうがないと思ってもらえるよう魅力的に成長させていくつもりです
XXX物ではないので直接描写をするつもりはありませんが、人類絶望の危機って状況でプラトニックを貫くのも不自然な気がするから悩みどころです
まあ、今の鶴見と霞はせいぜい叔父と姪のようなものだから恋愛に発展するの自体が困難なのですが

>雪林檎様
誤字報告ありがとうございました
一年間の受験勉強の間の良い息抜きになってくれると嬉しいです
士気高揚は見込めると思うけど、音波兵器はBETAに効かないのでひじょーに残念ながら出ません
脳だと部分によってボトムアップ、トップダウンが分かれてますね。乱暴な言い方だとボトムアップは思考、トップダウンは直感でしょうか
AIの霞音声プログラムは瀬谷が一晩で組んでるので片言になってしまいました。今回バージョンアップして普通に話せるようになりました

>34様
I.S.I.S.が霞の性格に育ったらADAになりそうです・・・・・・いいかもw
ACの表記の指摘ありがとうございます。AC=ノーマル、ネクストはネクストと認識してしまっていたので、作中のどこかで説明を補足します
光学兵器はオルタ技術で作れると思います。が、エネルギー変換率めっちゃ悪そうですし、動力炉がネックになってお蔵入りかと思うのです。登場するなら月面戦以降になるんじゃないかなーと

>蒼蛇様
武装に関しては今後も新装備が登場しますが、物量のBETAに対抗するためには戦術機以外の戦車とかの兵器の発展が必須だと考えてます。厳影はあくまでも鶴見たちの生存率アップが目的なので
ポジションについても新兵器によって既存のものと変わってくることになると思います
その他は作中で明かされていきますのでお待ちください
CVかぁ・・・・・・瀬谷=三木眞一郎、都筑=井上喜久子、泉=鈴
村健一、青葉=田村ゆかり、西=山崎たくみ、金沢=小野大輔、保土谷=三宅健太、磯子=神谷浩史、戸塚=愛河里花子、鶴見=立木文彦・・・・・・かな?

>三田様
作者としてはまだまだキャラ立てが甘いと思っているので、恐縮です
I.S.I.S.はチートなんですけど性能は劣化量子電動脳なので、作れないことは無いかなーと思って登場させてます
ドロレス知らなくて検索したら・・・・・・まんまI.S.I.S.ですね(;^_^A



[15226] 第九話
Name: ウサ耳娘◆24e1d7a2 ID:641f253a
Date: 2010/04/04 14:37
【 西博史 SIDE 】

2001/4/22

ども、西っす
悠陽たんとの初のご対面から怒涛の一週間がたったっす
ALもオルタも関係ない流れになっちゃった気がするっすが、主要キャラ全員生還エンドを目指してるので気にしたら負けかなと思うっす
そのために、仕事が山ほどできたのは仕方ないとしても、日曜くらいは休みたいっす。今も朝早くからサービス出勤で開発局に向かってるっす
それに、自分は巌谷のおっさんと毎日顔つき合わせてるっていうのに、金沢君は悠陽たんと一緒にいる事が多くて妬ましいっす。羨ましすぎるっす。せめて自分にも唯衣姫の同席を要求するっす

虚しくて疲れたっす
・・・・・・気持ちを切り替えるのに、この一週間を振り返ってみる事にするっす

一週間前の4月15日
悠陽たんと会見が終わった後に紅蓮大将がすぐ手配してくれて、自分と金沢君は「城内省侍従職付御伽衆」っていう身分になったっす
御伽衆って響きはいいっすけど、帝都城に出入りできる以外の権限はなくて身分としてはペーペーっす
でも、職務内容は将軍の話し相手から参謀みたいな事までやって、場合によっては将軍の意思を現場に伝えるために色々な現場へ出向する将軍専用便利屋っすね
金沢君が言うには、自分らのチート知識を生かして先手を打って色々出来る理想的な立場になった、という事っす
で、その日の夜、ホットラインで夕呼先生に報告したんすけど、紅蓮大将がXFJ計画の横浜に誘致を各方面に認めさせるためって言って、XM3を何台か帝国に貸し出させる事を認めさせてたっす
紅蓮大将って脳筋なイメージだったんすけど、夕呼先生とのやり取りは狐と狸の化かし合いって感じで、見てるこっちがガクブルしたっす
それで、いつの間にか自分が技術廠の開発局に出向する事になってたっす
ポルナレフ状態になってたら、事情を把握してて、御伽衆って身分もちょうどいいから、自分が開発局の内部をXFJ計画を横浜でやった方がいいって意見に傾けろって説明されたっす
無茶振りに涙目状態でいたら金沢君が口添えしてくれて、横浜から都筑さんがXM3の搬入に来て、そのまま開発局に出向して自分のサポートについてもらえる事になったのは本当に助かったっす

次の日、4月16日
顔見せって事で、金沢君とは別行動で技術廠第1開発局に出向して巌谷中佐に会ったっす
事前に自分の嘘経歴が回ってたらしくて、TEのとおり顔の割にフレンドリーな態度で話してもらえたんで調子に乗って自分の考えてた不知火の改良点とかしゃべったら、何でか気に入られたみたいで、厳影とXM3についても根掘り葉掘りと聞かれたっす
厳影とXM3についてっすけど、この二つは悠陽たんが前から夕呼先生に開発を依頼してて、今回XM3はα版まで出来たけど、厳影の開発が横浜基地単独では難しいからXFJ計画に押し込んじゃおうって事にしてるっす
ややっこしい政治的理由とかがあるらしいっすが、ぶっちゃけ帝国発案にしといた方が色々便利じゃね?って事っす
で、顔見せのはずが気がついたらオブザーバー的な立場になってて、弐型と99型電磁投射砲の開発会議に参加させられてて、都筑さんがXM3を搬入してきた昨日の4月21日まで色々駆け回る事になってたっす

そして、今日はXM3のシミュレーションの試作試験で、悠陽たんも見に来るんで、昨日は早く帰ってこれて久しぶりに金沢君とゆっくりと情報交換したら、金沢君のほうも色々あったことを聞かされたっす
どうでもいい事っすが、自分と金沢君は官僚というわけではなくて兵士でもないから、その手の施設の部屋をもらう事が出来なくて、いまだに紅蓮大将ん家においてもらってるっす
閑話休題っす
将軍悠陽たんがオルタードの性格だったら明るい未来に成りやすいんじゃね?って、金沢君と前から話してたっすけど、金沢君が啓発とかしてるらしくって、早くもその兆候が見え始めてるらしいっす
オルタもオルタードも同一存在だから、きっかけさえ与えればオルタードの性格を出させる事は難しくない、と金沢君は言ってたっすけど・・・・・・たった一週間で。金沢君・・・恐ろしい子
そんなわけで、GP01がGP01Fbへ換装したように機動力の上がった悠陽たんは榊総理に「凄いのできるからXFJ計画は横浜でやりましょう」と実施地変更するのを閣議決定できるように協力を求めたり
五摂家の九条実久翁に「クーデターの事知っちゃったけど流血は許しません。穏便に、でも米国はフルボッコにするから協力してください」と引き込みをしたりしてたそうっす

そんな事がこの一週間であって、今日のXM3の試験は自分と都筑さんが行う事になったのは、今の帝国にXM3を理解してるのが自分たちだけなので仕方ないんすけど、お偉いさんや九条翁まで見学しに来るのは勘弁してほしいっす
前から時間があるときに紅蓮大将ん家のシミュレーターに乗せてもらってたっすけど、それでも素人に試験やらせるなんてありえないっす
そう、巌谷中佐にも紅蓮大将にも夕呼先生にも言ってみたっすが、実は一週間前に決定してたらしくて「素人が乗ってもこれだけできる凄いOS」って事を見せるデモンストレーションだそうっす
夕呼先生は、A-01のシミュレーター映像も見せるから「気楽に、でも死ぬ気でやんなさい」って無茶振りしてくれたっす

もうやるしかないんで、今日は朝早くから開発局にやってきてXM3の完熟操縦をしてるっす
2時間ぶっ通しでやったらそれなりになれてきたっす。でも体力がきついっす
試験は午後一だから、あと2時間完熟操縦に時間取れるかどうかだけど、一回休憩にするっす
そして、シミュレーターから出たらモニタルームに巌谷中佐と都筑さんと、あとたぶん唯衣姫だと思う人がいたっす

『朝から精が出るな、西君』

「巌谷中佐。すんません、勝手にシミュレーター使っちゃって」

『かまわんよ。今日は俺も期待して見学させてもらう
だが、休憩するのだろう?
紹介したい者もいるから、こちらへ来てくれないかね』

マブラヴっていえば女性キャラが大勢いるっていうっすのに、スタートで間違ったのか、知り合ったのは悠陽たんと夕呼先生だけで、横浜組が羨ましかったすが自分にもついに新たな出会いがやってきたっすよ
しかもTEの正ヒロインっす。wktkしてきたっす



「では、私は強化装備に着替えてきます」

「案内がなくても大丈夫かね?」

「はい。昨日のうちに施設は見て回らせていただきましたから」

「流石に香月博士の秘書をやってるだけあって都筑中尉は抜かりが無いな」

「あら、中佐はお口が上手でいらっしゃいますね」

自分がモニタルームにやってきたら、都筑さんが強化装備に着替えに行くところだったっんすけど・・・・・・なんすかこれ?

「では、西さん。後ほどシミュレーターで」

「あ、はいっす」

都筑さんは自分に挨拶して出て行ったっすけど・・・・・・やっぱり巌谷中尉も国連軍嫌いなところがあるんすよねー
都筑さんが夕呼先生の秘書やってるから中佐が警戒するのもわからなくないっすけど、自分ら転移者にはそんなの関係ないっすし、武も言ってたとおり人類同士でいがみ合ってる場合じゃないと思うんすよ
金沢君も帝国の国連嫌いの風潮を早い段階で無くしておきたいって言ってたっすし、自分も横浜基地の登場人物好きだから、こういうのは嫌っすねー

「ふう、どうにもいかんな・・・・・・」

「どうかしたんすか?」

「いや、こちらの話だ
それよりも紹介しよう。こちらは篁唯依中尉だ
XFJ計画が立ち上がる以前から99型の開発に携わっていて、計画では開発主任を務める
先月からアラスカへ出向していたんだが、お前さんたちのおかげで計画が大きく変更されそうなんで呼び戻した
篁中尉。彼が侍従職付御伽衆の西博士君だ」

「篁唯衣中尉です
貴殿の噂は巌谷中佐から伺っていました。お目にかかれて光栄です」

巌谷中佐の独り言が気になったすけど、唯衣姫を紹介してもらってすぐに意識が移ったっす
悠陽たんも夕呼先生も三次元になっても美人だったっすけど、唯衣姫も負けずに美人っす
でも、唯衣姫の態度になんか違和感があるっす。光栄とかどういうことっすか?

「あ、西博士っす。よろしくお願いします
ところで中佐。篁中尉には自分の事をなんて話たんすか?」

「なんだ、西君でも風評は気になるのか?
安心しろ。俺は「殿下のお側役で、画期的な発想をいくつも提案して計画に貢献してくれている人物だ」としか話していないぞ」

おk把握っす

「あのー、中佐。そういう言い方は、なんか自分が凄そうな人に聞こえて激しく誤解されそうっすから勘弁してくださいっす」

「何を言ってるんだ。明言されてはいないが御伽衆がお側役のような立場なのは事実だろう
それにお前さんが発案したムーバルフレームは、次世代戦術機の根幹になるだろう革新的なアイデアといって過言ではないぞ
謙遜も過ぎれば嫌味と言うし、お前さんはもう少し自信を持つべきだな」

なんでか巌谷中佐の好感度がMAXになってるんすけど!?
でも、すんませんっす。今まで提案してきたのは自分の発想じゃなくて全部パクリなんす。著作権侵害で訴えられてしまうんす
なんて言い訳は、異世界転移の説明までしなくちゃいけなくなっちゃうっすから出来ないくて良心が痛いっす
唯衣姫の尊敬しちゃうなー的な視線が辛いっす
これは話題を変えないともたないっす

「え、えーと、篁中尉
操縦の事は置いといてっすね、シミュレーターの機体っすけど中尉的にはどう思ったっすか?」

「はい。一見、撃震の改修機に見えますが、反応速度が桁違いに早く、機体パワーも向上しているようで、まるで別の戦術機のようですね
西殿、詳しくお聞きしてもよろしいですか?」

「中尉はXFJ計画の開発主任だそうっすからもちろんっすよ
それで、あの、殿は勘弁してくださいっす」

「しかし・・・・・・貴殿は殿下のお側役を勤めておられる方ですから」

「・・・・・・」

こういうときは無言の圧力が効くのはエロゲで実証済みっす

「でっでは、西様とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「却下っす」

腕をクロスさせて全力で拒否したっす
唯衣姫が困った顔してるっすけど、過大評価で肩身が狭いっすのに、唯衣姫に殿や様付けで呼ばれてたら胃の病気になってしまうっす

「・・・・・・あの、それでは何とお呼びすればよろしいのでしょう?」

「普通に呼び捨てでかまわないっすよ」

「そんな事は出来ませんっ」

唯衣姫ってやっぱお堅いっすねー
でも、あわあわして困ってるのは可愛いっす。これがイジメテ光線っすか?

「いや、自分は武家じゃなくて一般庶民っすし、御伽衆ってのも有名無実な職っすから
その自分が殿や様で呼ばれるなら、自分は中尉を唯衣姫って呼ぶっすよ?」

「なっ・・・・・・!?」

真っ赤になったっす。やばいっす。唯衣姫可愛いっすwww
選択肢じゃなくてリアルで弄るのがこんなに面白いなんて衝撃の新事実っすよ!!

「わっわかりました。では、西さんと呼ばせていただきます」

唯衣姫はまだほっぺた赤くしてるっすけど、やっとまともな呼び方をしてくれたっす
でも、まだ自分のターンはまだ終わりじゃないっす

「ありがとうございます。あと敬語も無しでお願いしたいっす
本当は自分の方が敬語を使わなくちゃ駄目なんでしょうけど、自分はこんな話し方っすし
なのに、斯衛の黄色の篁中尉が敬語なんておかしいっすよ」

「いえ、ですが・・・・・・
あの・・・・・・何故私の家格の色をご存知なのですか?」

やっちまったっす!
ぽろって言っちゃったすけど、唯衣姫は帝国軍服を着てるから斯衛の黄色だなんて初見の自分が知ってるのはおかしいっすよね
適当にごまかさないとまずいっす

「ええと・・・・・・篁中尉ってホワイトファング中隊の篁中尉っすよね
それで篁家の人だと思ったんすけど違ったっすか?」

「いえ。そのとおりです
戦術機開発に携わっておられし、西さんほどの方なら我が中隊や私の事も耳に入ってくるのですね
しかし、それなら尚更敬語を使わないという事は出来ません」

何がどう尚更で出来ないのかわからなんいっすけど?

「唯衣ちゃんは相変わらず堅いな
西君とはこれからXFJ計画で付き合っていくんだ。あまり鯱張ってると気疲れしちまうぞ」

「おっ叔父、巌谷中佐っ。西さんもいらっしゃるのに、そのような呼び方をされては困りますっ」

「やれやれ、言った側からこれだ
少しは西君を見習ったほうがいいぞ、唯衣ちゃん」

「っ・・・・・・」

巌谷中佐が援護射撃してくれたっすけど、やっぱり中佐も唯衣姫弄るの好きなんすね
唯衣姫を見てニヤニヤしてたんでサムズアップしておいたっす

「それはそうと、厳影とXM3の説明してもいいっすか?」

「すっすいませんっ。よろしくお願いします」

唯衣姫に説明しながら、自分も厳影のスペックを再確認したっすが、この機体はアニメ技術が盛り込まれててマジ凄いっす
設計したのは泉君らしいっすが、専門家でもないのに設計とかチート能力っすか?あ、でも、ガンダム造ろうとしてたらしいっすし専門家なんすかね?
それにビーム兵器とか核融合炉とか、この世界でもオーバーテクノロジーになるような技術は再現できないのか使われてないっすし、良く考えられてるんすねー
そういえば、紅蓮大将も巌谷中佐も初めて厳影の設計図を見たときは驚いてたっすね。自分は第一世代の撃震をベースにした方に驚いたっすけど
唯衣姫も説明を聞いて驚いてるっすけど、唯衣姫や巌谷中佐は弐型開発の中心人物っすから第一世代機の性能をここまで引き上げられる事には驚きも大きいんじゃないっすかねー
良く考えたら、撃震てまだまだ配備数多いっすし、XFJ計画自体が耐用年数が迫った撃震の代替機の開発だから計画に組み込む意味もあるし、撃震を廃棄するんじゃなくて厳影にグレードアップ出来れば都合がいい事も多いんだろうし、発案をした横浜で計画を行うのも理にかなってるんすかね
あ、だから夕呼先生が鶴見さんたちが出したこの計画を実行したんすね。で、XM3まで付けて帝国に恩を売るつもりなんすね
やっぱ夕呼先生は2手も3手も布石を打ってるんすねー
これは試験でヘマしたらマジやばいっす

「というわけで、厳影は戦術機そのものに対する見直しを込めた機体で、XM3は今まで軽視されがちだったソフト面への新開拓を目指したOSって事っすね」

「・・・・・・厳影にXM3。双方とも目を見張るようなものですね
しかし、これ程の技術が技術廠のものではなく、横浜からもたらされたものというのは口惜しいです」

唯衣姫が悔しそうっすけど、そういえば唯衣姫も帝国の技術力は世界一イイィィィィ!の人だったすか

「俺も同じ気持ちだがな。しかしな唯衣ちゃん、厳影もXM3も殿下が横浜へ開発を依頼されたものだ
殿下が何をお考えになって横浜へ依頼されたかは俺などの知る所ではないが、こうしてあがってきたものを見れば、殿下のご慧眼は流石というもの
しかも、実機の開発は我々技術廠に任せてくださる。こいつはれっきとした帝国製だよ」

モニタルームに来たときに巌谷中佐の態度がおかしかったのは、これっすか
まあ、弐型の開発に難航してるところに、実は悠陽たんの依頼でこんなの作ってましたって言われて、これだけのスペックのものを出されたらプライドが傷つくっすよね

「はい。口が過ぎました、申し訳ありません」

「かまわんさ。吐き出せる場所では吐き出した方がいい
しかし、西君にはつまらん話を聞かせてしまいすまんな」

「!。申し訳ありませんでした、西さん」

「いやいやいや、自分の事は気にしないでくださいっす
それに、ほら。厳影に使われてる技術を弐型にも使えばもっといいものが出来るじゃないっすか
そうなれば技術廠の株も上がるっすし、XFJ計画ってそういう趣旨っすよね」

「まったく、そのとおりだな」

「はい」

本当に技術力はどんどん上げていって、そのうちオーバーテクノロジーなロボットを再現して欲しいっす
そして、佐渡とオリジナルハイヴを落として人類に余裕が出来たらデモンベインを作って欲しいっすよ。魔術は無理でもアニメ産の科学なら代用できそうっすしね
まあ、何年かかるかはわからないっすがロボット技術が確立してるっすし、BETAさえいなければこの世界は羨ましい世界っすから
皆には悪いっすけど、自分は元の世界に帰れなくてもかまわないんすよね
そう考えると、今の自分は悠陽たんとも知り合いで、技術廠にも顔が利いてかなり美味しいポジションすよね
これは午後の試験もやる気が出てきたっす

「それじゃ、自分は午後のためにシミュレーターに戻るっす」

「休憩時間を潰してしまってすまんな
俺たちはしばらく見学させてもらうよ」

「今話してて自分も新しい目標が出来たっすから全然OKっす
それより、自分の操縦なんか見てて面白いっすか?」

「西さんの操縦は、我々衛士とは異なる概念で操縦されてるようで大変興味深いです」

「それって訓練も受けてない素人がテストパイロット気取りでいい気になるなって事っすか?そうっすか・・・・・・篁中尉酷いっす
この傷心を癒すために、これから中尉の事は唯衣姫って呼ばせてもらうっす」

「なっ!?そのような事考えてもいません
それに姫はやめてくださいっ」

「でも、唯衣姫も敬語止めてくれないっすから」

「それはっ・・・・・・いえ、それとこれとは話は別のはずです」

「それに、唯衣姫の家は譜代武家っすから、姫なのは事実じゃないっすか」

「しかし・・・・・・」

「くくくっ。唯衣ちゃんの負けだな
しかし、西君。お前さんの操縦が参考になるのは本当だ。スジもいいし、時間が許すなら正規の訓練を受ける事を進めるぞ」

「時間すか・・・・・・厳しいっすね
でも中佐がそう言ってくれるなら考えておくっす」

実戦に出るのは死亡フラグ満載っすから勘弁願うっすけど、戦術機には乗りたいっすから衛士資格だけは欲しいっすね
でも、自分がサービス出勤してるくらいっすから、訓練を受ける時間がないっすよねー

そんなやり取りをして巌谷中佐と唯衣姫に挨拶をしてモニタルームを出ると強化装備に着替えた都筑さんに声をかけられたっす

「西さんも、帝国で上手くやっているようで安心しました」

「見てたんすか?だったら入ってきてくれればよかったすのに」

「横浜の者は嫌われているようですから遠慮させていただきました
でも、立ち聞きしてしまってすみません」

「あ、いえ」

わかってたけど女の人の強化装備って凶悪にエロいっす。おっぱいぷるんぷるんっす

「・・・・・・駄目ですよ。女性のこの格好をそんなに見ては」

見てたのばれてるっすw

「すっすいませんっす」

「私は気にしませんし、衛士の方たちも気にしないのかもしれませんが、そうは言っても男性の視線に女性は敏感ですから気をつけてくださいね」

「はっはいっす」

都筑さんは本物のお嬢で優しいっす

「それにしても、わかってはいたつもりでしたが、帝国の国連嫌いは深刻ですね」

「あー、そうっすね。今の国連は米国の傀儡っすから、米国嫌いがそのまま国連嫌いになってるんすよね」

「根は深そうですが、個人的な怨恨が原因ではありませんし、きっかけさえあれば改善は難しくなさそうですね
差し当っては、今回の計画をまとめる上で良い印象を与えるよう勤めましょう」

「でも、お偉いさんは米国絡みってより、夕呼先生の無茶振りで横浜嫌いになってるっすから難しいっすよ?」

「あらまあ、それは困りましたね」

都筑さんは困った顔はしてるんすけど、溢れ出る癒しオーラのせいで緊迫感が出てないっす
この雰囲気は遥たんや悠陽たんと同じものでいいっすね~

「ところで、西さん。内密の話がありますのでシミュレーションを早めに切り上げ、試験の前に時間を作ってください」

「え?はいっす」

「では、シミュレーションを頑張りましょう
試験は西さんとわたくしの二機連携で行いますので、連携を意識した対BETA戦闘の訓練をしましょう」

「よろしくお願いするっす」

そして、シミュレーションを再開したっすけど、やっぱり人と一緒っていいっす
シミュレーションでも、わらわらと溢れ出てくるBETA相手に一人で訓練するのは心が折れるっすよ
それに都筑さんの援護が上手くて、これなら試験も何とかなりそうな気がしてきたっす

それから、30分早く切り上げて、シャワーや着替えに食事も済ませて、都筑さんの部屋で内密の話って言うのをする事になったすが、夕呼先生とはホットラインで定期報告はしてるっすし何すかね?
都筑さんが紅茶モドキを出してくれたのを待って話を始めたっす

「それで、内密の話って何すか?」

「はい。西さんは「無限力」というものをご存知ですか?」

「え?無限力って護闘士が使う無限力っすか?」

「そうです
実はシミュレーターでは誤魔化していますが、厳影は現存のジェネレーターでは予定している機体パワーに達しない事が判明しました
そこで泉さんがご存知だった無限力転換炉を搭載する事にしては、となり大空寺重工へ打診したのですが」

「ちょっと待ってくださいっす
無限力や護闘士ってIF世界のオルタの話っすよ」

「やっぱりそうだったんですね
西さんのおっしゃるとおり、大空寺重工の返答は「そのようなものは開発していない」というものでした」

「これってやばい話っすよね。ああ、だから内密の話なんすね
厳影が張子の虎かも知れないって事っすし、こんな事紅蓮大将がいるところじゃ確認取れないっすもんね」

「確かにそのとおりですが、状況はそう悪くはないですよ
それに、西さんに確認を取ったのは、大空寺重工が情報操作を行っている可能性を考慮したためです
でも、これで厳影の開発計画が絞れました」

「えっと、自分の言う事を最終確認にしちゃっていいんすか?」

「問題ありません
香月副指令は未知のエネルギーを使用する無限力転換炉に興味を示されて、大空寺重工に様々な方面から探りを入れました
その結果、縮退炉の研究が実働可能な状態まで進んでいる事が判明しました
無限力に拘っていた副指令は残念がるでしょうが、XFJ計画に大空寺重工を参入させ、厳影を縮退炉の実験搭載機とすれば問題点もクリアーできます」

「縮退炉って、またトンデモなものが出てきたっすねー。いや、大空寺だし有りなんすかね?
でもそれって量産とか大丈夫なんすか?」

「その点も問題ありませんよ
縮退炉はあくまで次世代戦術機への搭載を目指した動力炉という触れ込みでいきますから、それとは別に予定通り不知火弐型用のジェネレーターを搭載した厳影の開発も行います
そちらの機体でも、予定推力の80%は見込めまして、不知火と同程度の性能は再現できるはずですから量産の目処は十分立ちます」

「色々考えて進められてるんすねー
自分なんて行き当たりばったりっすから感心するっす」

「うふふ。そうですね、やはり大きな計画ですから幾通りもの可能性を考えておく必要が有りますね
そして、ここからが本題ですが・・・・・・」

「えっ、今までのは前振りっすか?」

「ええ、これからの話は西さんと金沢さんまでで止めていただくよう、くれぐれもお願いします」

「わっわかったっす」

都筑さんが雰囲気を変えて釘を刺すもんすから、生唾を飲み込んでしまったっす

「私たちの知る物語では、香月博士はXM3を00ユニット完成までの繋ぎとして時間を稼いでいるようでしたが、この世界では第四計画完遂後を見越して帝国へ開発権利を譲渡しました
そして、その代わりにI.S.I.S.を第四計画の途中成果とするつもりです
ですが、I.S.I.S.は00ユニットに使われる根幹となる技術を流用しているため、XFJ計画を横浜で行う上での反対派への情報の流出を懸念されてます
そこで西さんに確認をしたいのですが、本来のXFJ計画に第四計画反対派の勢力の手は伸びていたでしょうか?」

「・・・・・・自分が知ってるのは、対BETA戦闘の実験段階でロシアの陰謀なんかがあった事っすね
その後、対戦術機戦の話の途中までしか読んでないっすけど反対派の事は描かれてなかったっす」

「ロシアの陰謀というのは詳しくわかりますか?」

「えっとっすね。この世界じゃソ連が存続してて、でもソ連の実情はロシアの特権階級がそれ以外の人たちを支配してるのは知ってるっすか?」

「ええ」

「その特権階級が同志っていうスパイみたいなのをプロミネンス計画にも送り込んでるんすけど、目的はかつてのソ連の繁栄を取り戻すって感じなんすが、ようは各国の先端技術をロシアのものにしようって感じなんすよ
それで、帝国の99型電磁投射砲が物凄い威力だったすからBETAに基地を襲わせて、そのどさくさで99型電磁投射砲を奪取するってものっすね」

「泉さんたちがアラスカでXFJ計画が行われると99型電磁投射砲が完成しないと言っていたのはそういう理由があったんですね」

「そっちでも大体はわかってたんすね」

「はい。でも命令の発信元など、詳細がわかりませんでしたから第五計画の急進派あたりが関係しているのかとも思っていたんです」

「あの、これは自分の感想っすけど、TEはオルタと別のストーリーっすし、急進派とかがまったく関わり無いともいえないっすが、オルタ4に関わってる事はないと思うっす」

「そうですね。わたくしもそう思います
ただ・・・・・・XFJ計画が横浜で行われると話は変わってくるとも思います」

「・・・・・・そっすね。横浜でやるならボーニング社に紛れ込んで何かしてきそうな気はするっすよね」

「ええ、私もその可能性を懸念しています
もっとも、副指令はそれなら尻尾を掴んで、こちらの有利に働く材料にするとおっしゃっていますけど」

「はは、夕呼先生らしいっすね」

「うふふ、そうですね
でも、私たちが介入して原作とは異なる流れになってしまっていますから、不安材料には事前に対処しておきたいんです」

「役に立たなくてすんませんす」

「そんな事ありませんよ
元々、XFJ計画は第四計画とは無関係のものですから無いとは思っていましたが、西さんに伺って確信がもてました
事前に根回しをされた陰謀では無いのでしたら、十分な対策を検討できます」

「凄いっすね
でも、都筑さんはもうすっかり夕呼先生の秘書ってのが身について、この世界の人間って感じっすね」

「そうですか?
そうだとしたら、それは副指令の行う事がこの世界を救う事になるのを知っていて、少なからずその手助けをしているという充実感のおかげかもしれませんね
でも、わたくしから見たら、西さんも開発局になじんでらして帝国の方という感じですよ」

「いやー、自分はまだ状況に流されてるだけっすよ」

「この世界にやってきてしまってからまだ一月も経ってませんもの。それが普通ではないかしら」

都筑さんがそれまでの仕事用って感じの話し方とは違う、この世界に来たとき武の部屋で皆で話してた時の話し方に変わって、そう言ってくれたのが凄く嬉しかったっす

「そうっすね・・・・・・武だって1週目じゃ最後の方まで状況に流されてたっすもんね」

「ええ。それに「目的があれば人は努力できる」ですよ」

「冥夜の名言っすね」

「はい。西さんはこの世界での目的がありますか?」

「ヒロインの皆を死なせたくないって大きな目的じゃなくて、もっと身近な目的っすよね」

「そうですね」

「・・・・・・よく、わからないっすね」

「それなら、身近な目的を探してみる事からはじめてはいかがですか?
西さんの身近な目的が見つかれば、状況に流されるままになる事もなくなると思いますよ」

「はいっす」

「横浜の皆も自分の身近な目的を見つけた人もいれば、まだ探している人もいます
この世界は厳しい状況ですけど、焦らないでしっかりと、自分だけの目的を見つければ私は良いと思いますよ」

「そうっすね
・・・・・・なんか横浜の皆に会いたくなったっす」

「XFJ計画が横浜で行われれば、その機会も多くなるはずです
そのためにも試験を頑張りましょう」

「はいっすっ」

帝都に来たときは5人だったっすし、それから金沢君と二人だけ帝国に残ったすけど金沢君は頼りになったっすし、この一週間は単独行動だったすけど忙しくてあっという間だったすけど、やっぱり自分もこの世界に来て不安があったんすね
素の都筑さんと話してちょっぴりホームシックになったみたいっす
皆とじゃないと出来ない話もあるっすし、そのためにもXFJ計画を横浜で出来るように試験を頑張ろうと、改めて思ったっす



【 西博士 SIDE END 】





2001/4/24

訓練兵になって2週間。成長が止まって久しい三十路の肉体でも地獄のような訓練を受け続けると適応していくものなんだと実感しとります
といっても、リバースしなくなっただけで、まだまだ皆についていけなくて連帯責任の発生源になってるけどね・・・・・・
それにしても白銀の凄さを実感したりもしたり
いや、肉体的な意味じゃなくてね。一週目の白銀もまだこれくらいの期間じゃビルドアップできてなかったと思う
凄いと思うのは、あの、神宮寺軍曹を「まりもちゃん」と呼べるその精神!
いくら同一存在っても実際に訓練受けたら、まりもちゃんなんてうっかりでも呼べないって
戸塚が何度かそう呼んじゃってたけど、その度に発せられる怒気と課せられる腕立て伏せで、今じゃうっかり口を滑らせる事すらなくなってるもんな
流石は純夏の想いにすら気がつかないキング・オブ・DONKAN
そのくせ、無意識にピンポイントで気配りしたりするからフラグ立てまくるんだろうなー。恐るべきは主人公体質か・・・・・・

それにしても今日の訓練は一段と酷かった
昨日、帝都に出張中の都筑さん以外全員が久しぶりに夕呼先生の執務室に集められて、XFJ計画が横浜基地で実行されるのが決定したって教えてもらったけど、関係各所の都合で一月後れの6月中旬から開始されるらしい
それで、俺たちをテストパイロットにするために6月頭には衛士として任官するよう訓練プログラムを短縮する事になったとか
それを聞いた時はこの地獄の日々が短くなるのかと喜んだけど、そんな甘い世界じゃありませんでした
今朝、まりもちゃんが207隊全員に訓練予定の変更がされて、5月20日に総戦技評価演習が繰り上げて実施する事を告げ、それに伴って今以上の訓練量にカリキュラムも変更するって死刑宣告をしてくれました
当然、今迄ですらやっとだった俺は、疲労によるリバース→昏倒→水ぶっ掛けられて覚醒、のループを繰り返しましたとさ
狂犬怖え・・・・・・

<マスター、どうしました?>

「おぉう、悪い。ちょっとぼーっとしてた」

<マスター、私の学習時間は1日2時間しかないんです。呆けるのは終わってからにしてください>

「・・・・・・疲れてボロボロの体に鞭打ってお前の学習をしてるのに、その言い方はどうなのよ」

軽く現実逃避してたけど、只今カスミの育成中です
会話での学習が1時間、戦闘シミュレーションでの学習が1時間を毎晩続けてるんだけど、瀬谷曰く、各自に合わせた処理の優先順位の最適化はもちろん、I.S.I.S.ごとに個性も出てきてて予想以上の成果が上がってる、らしい
しっかし、うちのAIはツン成分過多に成長してるんだよなー・・・・・・デレのみになるように育てようと思ってるのに、何が間違ってるのか・・・・・・

<バイタルではマスターの肉体疲労値はボロボロというほどではありません
ですから、疲労を考慮に学習を遅らせる必要は認められません>

おかしいな・・・目から汗が滲んでくるよ

「今日は今までにもまして、マジで死にそうなほどしごかれたのに、所詮AIにはこの辛さはわからないって事か」

<むっ、その言葉は聞き捨てなりません
マスターの言うほどの肉体疲労値に達している場合、マスターの休息時間では疲労は蓄積していき、3日ほどで起き上がる事も不可能な状態になります
でも、マスターは訓練開始から2週間になりますけど、その間翌日に疲労を残すほどのバイタルを記録した事はありません
つまり、全てマスターの気のせいです>

そう言われてみれば、初日に筋肉痛になるのに鬱になってたけど結局ならなかったな。その日その日の訓練を乗り切るので必死で気がつかなかった・・・・・・

「って、気のせいのわけあるかーーーっ
そりゃ、カスミに言われておかしい事に気がついたけど、気のせいで済まされるような訓練じゃないって、あれは
ここにきて何とかなくなってたけど、今日はリバースしすぎて胃液も出なくなってたんだぞ」

<不可解です
マスターの言うとおりの状態まで訓練を行った場合、マスターの体力では私の学習をする余力など残っていないはずです>

「だから疲れて死にそうだけど、お前の育成する前に霞分補給して乗り切ってるんだよ」

<なんですか、そのカスミ分というのは。私はマスターのケアをした記録などありません>

「なんという鬼AI・・・・・・お前じゃなくて、お前の名前に使わせてもらった霞の事だよ」

<了解しました
霞分についても説明してください>

「霞分てのは・・・・・・あー・・・・・・霞から出てる癒しとか萌えとか?」

<不可解です
そのような抽象的なもので肉体疲労が回復する事は無いはずです
・・・・・・データが欲しいですね>

「データってもなー。自分で言っといてなんだけど、そんなもんどーやって取るんだ?」

俺は霞が一番萌える訳だけど、萌える対象なんて人それぞれ違うしなー
でも、訓練終了後の夕飯の時は死にそうだけど、シミュレーター室に来てカスミの育成前に霞に癒されてると、確かに疲労が回復してる気はするなー
そもそも、毎日あれだけしごかれて一度も筋肉痛になってないのはおかしいよな・・・・・・

「って、カスミ?・・・・・・おーい。データ集めしてるのか知らんけど返事くらいしろー」

『鶴見』

「うお!?いきなりなんぞ」

カスミが応答しなくなったと想ったら、瀬谷が回線つなげてきてびびった

『なんだ、ってカスミの提案どおりに社をそっちに向かわせたって報告なんだが』

「へ?カスミの提案?てかなんで霞をシミュレーターによこす必要があるんだ?」

『鶴見の指示じゃないのか?霞分による肉体疲労回復のデータ収集だなんて言ってたけど』

「データが欲しいなんて言ってたけど、カスミのやつ勝手にそんな提案してたのか」

『勝手にって、マジか?』

「マジですが、なにか?」

『なにか?って、凄い事だぞ。AIが独断での行動をとるなんて』

「そうなん?俺的には最近反抗的で困ってるんですが」

<失礼です、マスター。私は反抗に該当する行動をとった記録はありません>

「おまっ(プシューッ)」

「おまたせしました、鶴見さん」

カスミが突然復帰して、ふざけた事言うから文句言おうとしたらシミュレーターの扉が開いて霞がおりました

「う、うん。ごくろうさま」

「・・・・・・あの、私は何をすればいいんですか?」

「えっと・・・・・・カスミ?」

<なんですか、マスター?>「はい?」

「ああ、いや、I.S.I.S.のカスミのほうな。ってややっこしいな」

<同じ名前をつけたマスターのせいです>

「そりゃそうなんだけど
それは兎も角、わざわざ霞を呼んで何をするんだ?」

<データ収集です
ところでマスター、霞分の補給とはどのように行うのでしょうか?>

「どのようにって・・・話したり、頭撫でたり、膝に抱っこしたりとか?」

<了解しました
では、社霞。マスターの膝に座ってください
マスターはその状態でシミュレーションを行ってもらいます
マイスター、防衛プログラムCの起動をお願いします>

「・・・・・・はい」

『社が同乗してるから機動フィードバックは切るけどいいのか?』

<今回はしかたありませんね。編成など詳細もマイスターにお任せします>

えーと、霞のお尻の感触が気持ちいいけど、これはどういう状況?

『鶴見、準備はいいか?カウント開始するぞ』

「いや、準備も何も、状況が飲み込めないんですが?」

<問題ありません。マイスター、お願いします>

「ちょっおまっさっきから何勝手に進めてんだよ
あと瀬谷もニヤニヤしながらこっち見んな」

俺の抗議も空しく網膜投影が荒野の映像を映し出してシミュレーションが起動してカウントが開始される

『小隊の衛士プログラムはサービスして伊隅大尉、宗像少尉、風間少尉にしておいたぞ』

<マスターの兵装は砲撃支援、コールサインはプラクティス4ですね
マスター、いつまでも呆けてないでしゃんとしてください>

「んなこと言っても、霞を抱っこしたままシミュレーションとかわけわかんないんだけど?」

<ですから、霞分を補給する事で肉体疲労が回復するのかのデータ収集です
まったく、マスターは物分りが悪いですね>

「泣いていいですか・・・・・・?」

「・・・・・・鶴見さん」

気の毒そうな顔を見せてくれる霞だけが救いです

「ごめんな、霞。なんか変な事になっちゃって
それにヘッドセット無しじゃ映像が見えないから暇だろ?」

「大丈夫です・・・・・・それにインカムをしているので会話は拾えています」

<マスター。会話も霞分補給条件にあがっていたので、社霞と積極的に会話するようお願いしますが戦闘にもしっかり集中してください
BETAまでの距離1000mを切りました>

「はいはい、わかりましたよ」

まあ、霞を抱っこしたままシミュレーションなんてレアで美味しいからいいけどさ
でも強化装備だと霞の体温感じられないのが残念だなー

「てかカスミ。霞を強化装備に着替えさせたほうが良かったんじゃないのか?」

むしろ霞のエロスーツ姿が見たいです

「・・・・・・///」

<確かにその方が望ましかったのですが、社霞のサイズの強化装備はロッカールームに装備されてませんので、次回までに準備してもらいましょう>

「次回って、今回だけじゃないんだな?Goodだ、カスミ」

<マスターを喜ばせるために実行するのではないですが・・・・・・データ収集ですから、何度か行うのは当たり前です
距離500m、プラクティス1より突撃級を迂回し、側面攻撃の指示が出ました>

「プラクティス4了解
霞、悪い。フットペダルの操作で座りにくくなるけど我慢してな」

「はい、気にしないでください」

「だけど、機動フィードバック切るとまんまゲーム感覚だよなー」

<マスターの元いた世界のゲームですか?
私には戦闘訓練でもなく、遊びとして架空戦闘をする意味がわかりません>

「まあ、AIのカスミじゃなくても、この世界の人にしたらそんなゲームなんて不謹慎なのかもなー」

「・・・・・・あの、鶴見さん」

「ん?」

<迂回成功です。先頭の突撃級が反転行動を取っています>

「プラクティス4、フォックス1。今のうちにBETAの数減らすぞ
あ、霞。気にせず話していいからなー」

「はい・・・・・・あの、鶴見さんはどうして衛士になるんですか?」

「どうしてって、夕呼先生に訓練部隊に入れられたからだけど?」

「でも・・・・・・鶴見さんたちはこの世界の人間じゃありません。無理に戦う理由もありません」

「んー、そりゃそうなんだけどっ・・・・・・霞には初めに伝えたよな?」

「?」

「俺はこの世界の人たちに憧れてるって」

「はい」

<プラクティス2の死角から戦車級接近。迎撃を>

「了解っ
んで、俺の知ってるとおりに未来が進んだら、その憧れてる人たちのほとんどが死んじゃうわけで、それは嫌だから
俺一人じゃ何にも出来ないかもしれないけど、一緒に来た皆もいるし、それに衛士になれば直接助けられる機会もあるだろうしね」

「でも、危険です・・・・・・怖くないんですか?」

「怖いよー
だから、死ぬ気で訓練してるし。それに瀬谷たちがカスミや厳影とか新兵器作ってくれてるしね
それに、元の世界に帰る方法もわからないし、何もしなかったらここにおいてもらえないし、その方が俺には危険なんだよ
第一それじゃ、霞と一緒にいられないから」

あー、BETAうざい。話しながら戦闘って思ってたより難しい
あと、霞の悲しそうな顔も可愛いけど、やっぱ笑顔が見たいです

「霞だってさ、皆で笑って過ごせる未来がいいだろ」

「・・・・・・はい」

「じゃあさ、そんな顔しないで笑っててよ。霞の笑顔は俺のパワーになるから
衛士になって実戦に出ても、霞が笑っててくれれば、必ずその笑顔を見るために帰ってくるて約束するからさ」

「はい」

<クサイですね>

『それにそのセリフは死亡フラグだろ』

「うっさい!てかなんで瀬谷は回線つなぎっぱなしにしてやがりますか??」

せっかく、ちょっといい話的なことを言ったのに余計なツッコミをしてくれくれて・・・・・・めっさ恥ずかしいじゃまいか



まあ、そんな感じで羞恥プレイ的なシミュレーターの時間が終わったわけですが

<マスター、人間ですか?>

「酷い言われようだ・・・・・・」

『だけど鶴見、社が乗り込んでからの疲労の回復値は、これ異常だぞ
A-01だってシミュレーション中は疲労が貯まっていくのに、鶴見は疲労値が変動しないどころか若干ずつだけど回復していってる』

「そう言われてみれば、霞が乗る前より疲れが取れてるような気がするな」

『面白いわね』

『博士!?』「ゆっ夕呼先生!?」

突然夕呼先生がモニタに割り込んできた。また息抜きにでも管制室にやってきたみたいだけど、瀬谷も気がついてなかったみたいで驚いてる

『鶴見、詳しく話し聞きたいからシミュレーター降りてこっちに来なさい』

「わかりました」

『鶴見のI.S.I.S.は』

<カスミです、ドクター>

『ああ、そうだったわね
まったく、いくら音源が社だからって、I.S.I.S.に社の名前をつけるなんて何考えてんのよ
まあいいわ。カスミは管制室に回線をつなげて話しに加わりなさい』

<了解しました>

シミュレータから降りてカスミと一緒に管制室へ行くと、夕呼先生はモニタを見ながら瀬谷とカスミと話してた

「先生、来ましたよ」

「ちょっと待ってなさい
で、訓練開始直後のバイタルがこれね」

<はい>

こういう時は話しかけるだけ無駄だから、霞と「無言あっちむいてホイ」をやって待つ事にした
最近、霞とのわずかな交流時間に、あっちむいてホイの他にも軍艦じゃんけんとかのじゃんけん派生ゲームや手遊び歌とか、どこでも簡単に出来る遊びを教えてる
霞の遊びっていえばあやとりが鉄板だけど、俺たちの中にあやとりを出来る人間がいないので仕方ない
でも、霞は十分楽しんでるみたいだしOKでしょ。まあ、霞は機敏じゃないから負けが込んでるけど

「こっちは社が乗り込んだときのもので、ここからがシミュレーターを動かしたものね」

<はい>

「・・・・・・へ~」

「ちょっと信じられないですよね」

「まったく、どういう体の構造してんのかしら。いっぺん解剖してみたいわね」

何か物騒な話になっているのですが・・・・・・

「鶴見」

「はい?」

あ、夕呼先生に呼ばれて振り向いたら霞の指差す方だった

「まりもが訓練カリキュラムをきつめに変更したって言うからどうなってるのか見に来てみたけど、随分楽しそうね」

「い、いや~・・・・・・」

「勝ちました」

霞は久しぶりの勝利に口元をわずかにほころばせて夕呼先生にVサインを送ってる

「そう。良かったわね、社」

「はい」

「あれ?夕呼先生、どうしたんですか?」

なんだかおかしな雰囲気になってるところに青葉ちゃんたちまでシミュレーターを終えてやってきてカオスになってきましたよ
で、瀬谷が今までの経緯を皆に説明すると

「ほう、社と一緒だと肉体疲労の回復力が変態的に速くなるのか」

「訓練が終わった夕食の時は死にそうなのに、その後I.S.I.S.の育成をやれてたのはこんな理由があったのか」

「そういえば、鶴見さんて前から霞ちゃんが絡むと異常な力出してましたよね」

「なあ、これってチート能力って奴じゃねえの?」

「チート能力って言うとあんたたちがここに来た時に言ってた、転移で身に付く特殊な能力の事ね?」

「そうですね。こんな説明のつかない回復力なんてチート能力かもしれませんね」

<能力名はさしずめ「ロリ魂(ろりこん)」ですね>

「「「「「「それだ(よ)っ!」」」」」」

上から、保土谷、磯子、青葉ちゃん、戸塚、夕呼先生、瀬谷、んで最後のカスミの言葉に前の全員が同意
当事者の俺の意見は誰も聞かないんでしょうか?

「カスミ、あんたAIのくせに上手いこと言うわね」

<ありがとうございます、ドクター>

「チート能力なんて眉唾で気にも留めてなかったけど、こうして目にするとなかなか興味深いわね
・・・・・・タンデム、は駄目ね。どこかに複座のシミュレーターなかったかしら?ああもう、都筑がいないと不便ね。まあ、ピアティフにやらせればいいわ
社」

「はい?」

「悪いけど明日の夜から複座のシミュレーターに搭乗して、このロリコンに付き合ってあげてちょうだい
社用の強化装備も用意させるから、明日の日中にピアティフのところへ行ってサイズの調整をしておくのよ」

「はい」

「カスミはロリ魂のデータを全て瀬谷に送る事
瀬谷はそのデータを訓練後に私のところまで持ってきてちょうだい」

<了解しました>「わかりました」

「他の四人は、今までの自分の能力と少しでも差異を感じたら必ず報告をする事」

「「「「はい」」」」

「あのー、先生。俺はどうすれば?」

「あんたは今までどおりやればいいわ」

「はあ・・・・・・そうですか」

もう夕呼先生の俺に対する扱いの悪さには慣れましたとも・・・・・・
それにしてもチート能力がわかったのはいいけど「ロリ魂」ねぇ・・・・・・ははは










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あとがき
テスト板からの方、お久しぶりです。Muv-Luv板方、はじめまして
前回のあとがきで時期をあけずにアップと書いていたのですが、こんなに遅くなってしいました
・・・・・・いえ、気がつかない間にSSのフォルダをデリートしてたんですよ。書きかけからプロットまで、そりゃもー綺麗さっぱりと(´・ω・`)
で、九話書き直してる途中にも、途中でセーブしてない時に突然再起動がかかったりil||li _| ̄|○ il||li
もう、馬鹿なの?死ぬの?と本気で思いましたよ
でもですね、思ったんですよ
当初ネタモノSSとして始めたにもかかわらず、話数が進むごとにネタ要素が弱くなってきたので、それを正す機会を神が与えたにちまいないと!
そんな訳で、これからはよりネタに力を入れて行きたいと思いますので、今後もよろしくお願いします
それにしても1番初めに書いておいた第零話(物語がもっと進んでから投稿を予定してました)が消えたのが痛すぎる・・・・・・・・・・・・

>雪林檎様
クラッシックすら放送媒体で流されてないみたいなオルタ世界だから、兵の息抜きとしても国家プロジェクトとして歌姫計画しそうだと思うんですよ
でも個人的に歌姫って癒しはあるけど士気があがる事は無さそうな感じがします
実際問題、未来への咆哮を流したほうが戦意向上するだろうし、それならジャム計画を作中で発動するのが・・・・・・

>大様
適性無しの二人はこの先・・・・・・お待ちください

>蒼蛇様
あのCVはあくまで私のイメージなので、読者さんそれぞれで自由にイメージしてもらいたいと思います

>TAKI様
8話の悠陽とのやり取りですが指摘されて説明が足らなかったと思い加筆しようとしてたんですが、あとがきの理由で更新が遅れてます・・・・・・
兵器のアドバイスありがとうございます。どんな兵器を登場させるかは本編登場までお待ちください

>34様
正解です。二足歩行機の振動なんて現代人でも体験した事ないし、訓練も受けた事が無い他のオリ主たちの方が武ちゃん並に変態なんですよね
前にもレス返しで書いたと思いますが、物量で攻めてくるBETA相手に開発にコストも時間もかかる戦術機だけ幅広く開発するのって、余裕の無い人類にとっては滅亡一直線だと思うんですよ
夕呼先生が戦術機を軽視してたのもこの辺だと考えてます。なのでどんなびっくりどっきりメカがこれから出てくるかお待ちください

>てん様
誤字報告ありがとうございました。8話加筆更新するときに修正します
将軍の即位に関しては、オルタ世界では江戸幕府以来続いている征威大将軍という職の歴史的意味から即位を使いました

>薺様
武ちゃんの存在に関しては10/22までどうなるのかお待ちください
兵器に関して知識が少ないのですごく参考になります

>鴎の水兵様
私は広く浅くのオタクなので、原作とは違う形でオルタ世界救うために妄想全開で他の作品からクロスさせちゃってます
その度に、調べなおして余計な時間をかけてる気がしますがw
兵器のアドバイスは本当ありがたいです
他の方も色々アドバイスしてくださっていますが、ここで合わせてお礼申し上げます

>LIA様
A3は良く出来てるので改造機やオリ戦術機を考えるのに参考にしてます。その中でもF-4の出来は秀逸だと思います
対戦術機戦闘に関しては機動以前に火力でごり押しできると考えて設定してます。なにせ、鶴見たち素人がBETA相手に生き残れる事を想定して設計されてるので
ヒロインたちの乗機もXFJ計画が横浜で行われる事になる以上、青い髪のポニーテールが黙ってないでしょうし不知火のままって事はないでしょねー・・・・・・


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