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[9381] いきなり勇者 (オリジナル)
Name: のばら◆9a22c859 ID:d1ce436c
Date: 2009/06/07 02:20
「目覚めよ勇者よ!」

いきなりの大声に目覚ます。
目覚まし変えたっけ?

「つーか……ここどこ?」

明らかに自分の部屋ではなかった。
周りには怪しげな薬や本。
そして俺が寝ていうr場所に書いてある魔法陣。
ついでに魔方陣の周りには何かの肉の塊。
塊はピクピクと動いている。
何の肉だ……。

「ふははははぁっ! 目覚めよったなぁ! 勇者よぉ! いひひっ!」

声の方を見る。
先ほどからの大声の主であろう老人。
目が逝っちゃってる。

「あ、あの……ここどこですか?」
「勇者ジャスティンよ!」

武ですけど。

「お前には魔王を討伐してもらう!」
「そういう系か」

良くある展開だ。
いや、良くあるけど実際に自分の身に起こるとは思わなかった。
どうせなら女子寮の管理人とかの展開が良かった。

「悪しき魔王! わが国を滅ぼそうと企む悪の権化! ふひひっ! 魔王を殺せぇ、勇者よ!」

良くある展開なんだが、普通は城の玉座の間とかじゃないのか?
ここ明らかに地下なんだが。

「えーと……俺、本当に勇者ですか?」
「そうともぉっ! 言い伝え通りマキプラ30匹を生贄に捧げ、処女の生き血を媒介に召還したぞ! よってお前は勇者だぁっ!」

明らかに黒魔術ですね。
普通は世界の危機に人々の願いが勇者を呼び寄せたりするんじゃなかろうか。
まあ、自分でもこういう展開に憧れてたりもしたが……。
世界を救う……誰もが想う夢だろう。

「さぁっ! 行け、勇者よぉ!」

あ! という間に俺は魔王がいるであろう城の前にいた。
地下から出て小屋らしい建物を出て、20メートルの所にあった。
近すぎだ。

「……でかい」

魔王城を見上げる。
とてもでかい。
そして禍々しい。

「……俺にやれるのか」

手に握った棍棒を見つめる。
ちなみにこれはじいさんからもらった物で無く、そこら辺で拾った物だ。
じいさん曰く
『勇者に武器などいらん! 必要な物は魔王を倒す勇気のみじゃぁ!』
らしい。
そんな精神論はいらん。

「……無理な気がしてきた」

勢いのまま、ここまで来たが……。
色々と間に起こるべきイベントが吹っ飛んだ気がする。
普通は魔王の城から遠い街に召還されて、姫が目の前にいたりして、仲間を見つけて冒険に出て、その途中にドラマとかがあったりするんじゃないのか。
間違っても、目の前にちょっと危ない感じのじじいがいて、そこ出るといきなり魔王城、なんて展開は無いんじゃないのか。
……しかしここまで来たら仕方ない!
もうやけだ!
巨大な門を目の前に佇む。
……どうやって開けるのかな。

「……うーん」

何か宝玉的な物がいるんじゃないだろうか。
エターナルクリスタルとか。

「……あのー」

ん?
誰かに呼ばれたか?
声がしたであろう方向を見る。
……。

「こんにちは」
「……ど、どうも」

メイドさんがいた。
ニコリといい感じのスマイルでこちらに挨拶。

「もしかして……お客様ですかっ?」
「はぁ、まあ……ちょっと魔王に」
「まあ!」

俺の言葉にメイドさんは笑顔で両手を合わした。

「魔王様にですか!? お友達の方ですか!?」

超嬉しそうだ。

「いや、あの……勇者なんですけど……一応」
「まあまあ!」

さらに嬉しそう。

「勇者様ですか! 遂に私達のお城の勇者様が来る程有名になったんですね!」
「……」

俺が黙ったままどうするか考えていると、

「ささっ! 入って下さい!」

腕を引かれ城の中に連れ込まれた。
扉は壁のスイッチで開いた。


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