この俺、大和戦斗の家庭はやや異常です。
……少々言い過ぎたかもしれない、ですが微妙に普通ではないのは確かです。
俺の親父、基本童話作家の大和陽介と年齢と外側が一致しない俺のお袋、バイオレンスマザー大和ミスラ
ごく危険な出会いをした二人は、ごく危険な恋愛をし、ごく普通の結婚をしたこの二人……ヒーローと悪の組織の幹部だったのです。
なんてナレーションが入ってしまう。
ちなみに二人とも引退している。というかヒーローが悪の組織をつぶしたお陰で今、俺がいたりするわけです。
敵味方のロマンスなんかがあったんでしょうが、赤の他人のコイバナならともかく自分の親の話だと少々恥ずかしいから詳しくは聞いていません。
あと、俺には弟がいます。大和一哉、どこにでもいるごく普通の青少年です。兄弟仲は悪くないはずです。
そしてこの俺もある意味普通じゃない、なんと前世の記憶を持っているのだ。きゃほー。
よくある転生系SSみたいに『あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 気がついたら赤子だった。なにをいってるのかよく分かるだろうが、
キ○ガイとか電波とかじゃ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ』というわけです。
おまけに生前にいた世界とはだいぶ違います。
世界征服をたくらむ悪の組織"HERA"に、その尖兵たる改造人間に戦闘員、そしてこれらの巨悪と戦う、"エクスター"と呼ばれるヒーローたちの存在。
正直、どこの仮面ライダーだよと思いましたが、この世界には特撮作品としての仮面ライダーは存在しませんでした。
代わりに、エクスターをモデルにしたドキュメントドラマが正義のヒーローに憧れる子供たちの心を、がっちりつかんでいます。
幼稚園ではライダーごっこではなくエクスターごっこが流行るわけです。
前世でよく読んでいたSSのジャンルと似た状況であるだけに、もしかしたらこの世界もどこかで物語になっているのかもしれません。
生憎と俺の記憶に該当作品はありませんでした。
たいていこういう場合、厨二病全開のオリ主だったりするのですが、幸い母さんの遺伝子のおかげか、
不細工ではないけれど際立って美形というほどでもない、つまり普通です。心が痛くなる必要が無くて本当によかった。
おまけに悪の組織もエクスター達が壊滅させたらしいし世界は平和を満喫しているのだ。
死亡フラグの高そうなどこぞの世界よりは、よほど安全だ、せっかくだから俺は第二の人生をエンジョイさせてもらうぜ、ひゃっほー。
そんなことを思っていた時期が俺にもありました。
えくすっ!?
第1話
『あのレベルで戦闘員ってTOPはどんだけー!?』
どうもこちらの改造人間ていうのは遺伝子レベルから合成された存在のようで
俺の母さんは最強幹部の一人だったらしくて、父さんは最強のエクスターだったりして。
ええ、そうです。
変身できるそうなんです。
俺も男の子、前世では仮面ライダーとか大好物でした。
最新のライダーの結末は見たかったなぁ
「通りすがりの仮面ライダーだ」は名言だと思います。
昭和は別腹ですがね。
それはさておき、変身です。
変身する際の掛け声には改造人間は”エクステンド”エクスターは”エクスチェンジ”と叫ぶそうなんですが
幼稚園のころ、夜中にこっそり試したのですが何故か駄目でした。
両方試したのですがなんにも起こりません。
そのときは遺伝しなかったんだろうと納得したのですが、
なぜか、弟は変身できてしまいました。
エクスターですよ、正義の味方ですよ、親父殿に似た姿と母さんに似た配色。
うらやましいにもほどがある。
ゴキブリ怪人でもいいから変身したいと思った俺は何なんでしょう?
俺と一哉は双子なのに、いったい何が作用したのでしょうかね?
コロシテデモウバイトル
なんてことは考えませんでしたよ?ええ、考えませんでしたとも。
よく考えたら変身ベルトじゃないですしね?
それに弟が学校で何かやらかしたらしく、もう変身はしないとか言い出したので
異端は排斥されるものだなぁ、平凡一番と思うことにしました。きゃほー
気になるのは最強の幹部とヒーローのある意味サラブレッドの俺たち兄弟って
主役的ポジションじゃね?とか、面倒ごとに巻き込まれそうじゃね?とか思いましたがこれは別の話……だったらいいなぁ
それはある夕飯時の弟の一言から始まった。
「オレだって思い切り走りたいッ!」
気持ちは分からないでもない。
両親が普通ではないだけあって、俺たち兄弟も普通の人間より優れた身体能力を持っている。
ほかの生徒が必死になって出した最高記録を、鼻歌歌いながら軽く超えることができるのだ。
『正々堂々」がうちの教育方針であるだけに、申し訳ない気持ちになるのは当然だろう。
事情をよく知る両親が理解を示し、母は望みをかなえてやった。
聖クレス学園
俺や一哉と同じように普通ではない生徒が通う学校だそうだ。
ぶっちゃけさっきも言った悪の組織の壊滅後の受け皿のようなところらしい。
組織が壊滅した後も全ての改造人間が滅んだわけではなく、こっそりと新世代の改造人間の開発が行われているらしく、
そのための学校だそうだ。
懲りない連中だなと思ったが、とりあえず世界征服なんてもう考えていないらしいので納得することにした。
そんないわく付きの学校に、メリットがあるとはいえ組織の反逆者と敵対者を両親に持つ子供が行くのは躊躇しそうなものだが、
男子1に対して女子9という男女比率は健全な青少年にとっては、かなり魅力的だったことは想像に難くなく、即答で決めてくれやがった我が愚弟であった。
まあ、弟が自分で決めたことだし、俺はまったり暮らせればそれでいいし。
「戦斗、あんたも通いなさい」
なんでさ。
そんなこんなで転入当日、あれよあれよという間に準備は整えられてしまった。転入試験も面接も無いってどうよ?
拒否権?そんなものはありません。
やる気の無い担任(美人なのにもったいない)から聞いたところ組織内では母さんは一戦闘員と駆け落ちしてしまったことになっていた。
プライドの高い母さんが聞いたら激昂しそうな内容だったが、父さんは母さんの尻にしかれているので上司と部下だったとしてもあまり違和感が無かった。
あとがき
GA文庫のEX!という作品の二次創作です。
一応転生系のクロス作品ですが、どこまでかかるか分かりません。
初挑戦なのであまり文章はうまくありません、誤字脱字その他気になったものがありましたらよろしくお願いします。