初めまして。今回初めてssを書いてみました。
なおこのssは、パワプロサクセスのssとなりますが、
原作設定とは異なり、作者の独自設定で進めていきます。
それでもokという方は本編にお進み下さい。
それではどうぞ。
「はぁ~やっと着いたぁ」
門の前に手をつき乱れた呼吸を整える。大きく息を吸い、ゆっくりと息を吐く。それを二、三度繰り返す。足りなくなった酸素が体に流れ込んでくるのが実感できる。
「ふぅ。流石に一時間も走りっぱなしじゃ疲れるや……。明日から自転車にしよ」
そんなことを考えつつ、大きく開かれている門を見る。その横には、これから三年間自分が通う高校の名が彫ってあった。【パワフル高校】と。
パワフル高校。それが今日から僕こと橘 一球(たちばな いっきゅう)が通う高校の名前だ。偏差値はそこまで高くなく、勉強がいまいちな僕でもギリギリ入学することができた。実際は、僕が行けそうな高校はここしかなかったんだけど……。
でも、僕がパワフル高校に進学することを決めたのは他にも理由がある。それはここが公立高校でありながら、運動部に力を入れていることだ。
僕は小さい頃から野球が好きで、今までずっと野球一筋で頑張ってきた。小学校ではリトルリーグ、中学校ではシニアに所属していた。残念ながらレギュラーにはなれなかったけど、高校ではレギュラーを目指して、いや、甲子園を目指してこれからがんばっていこう!!
そんな思いを秘めながら、クラス発表されている掲示板に足を運ぶ。そこは既にたくさんの生徒が掲示板を囲んでいて、人ごみによる熱気が僕にも十分伝わってきた。
「僕のクラスは何組かな~」
僕はそこそこ身長が高く、視力もいいので、背伸びをして自分の名前が書いてあるクラスを探す。
「おっ、あった」
【一年一組 橘 一球】と名前が書いてあった。自分の名前を確認し、いざ教室に行こうとしたが、一人の女の子が何度もジャンプをして名前を確認しようとしていることに気がついた。
ピョンピョン跳ねている姿はなんとも微笑ましい。僕は苦笑いしながら彼女に近づいて行った。近くまで来て、僕は彼女の顔に驚愕した。
(この子、姉さんにそっくりだ)
自分の姉と瓜二つの顔に驚きながらも、彼女へ声をかける。
「あのーすいません」
「えっ?なっ、なにかな?」
「もしよかったら、僕が見てあげましょうか?」
「えっ?ほんと?お願いしてもいい?」
「ええ、もちろん」
「じゃあお願いするね。あっ、ボクの名前は【早川あおい】だから」
「早川さんですか。ちょっと待っててくださいね」
そういって僕はまた背伸びをし、掲示板を見た。
一組は……ない。二組は……まだない。三組は……見つけた!!
「見つけましたよ。早川さんは三組みたいです」
「ほんとに?ありがと~」
早川さんは満面の笑顔で僕にお礼を言った。その顔はやはり、どことなく自分の姉の面影を残している。
「いえいえ、どういたしまして」
僕は一言早川さんに伝えて自分の教室に向かった。
「あっ、名前……」
早川さんが何か言っていたような気がしたが、朝の登校の疲れを早く癒したいので、すぐにその場から去った。
教室に入ると、同じクラスメイトであろう生徒がたくさんいた。早速友人を作っている人もいれば、一人で席についている人もいて、教室は独特の雰囲気に包まれている。
僕は後ろの空いている席にカバンを置き、席についた。
ふぅと一息ついて机にひれ伏す。トレーニングがてら、走って学校まで行くというのは予想外に体力を奪った。まだ先生が来るまで時間があることを確認し、少しの間仮眠を取ろうとしたが、横から自分に話しかける声が聞こえた
「あれ?もしかして一球君でやんすか?」
だらけきった体をなんとか起こして声の主を確認しようとする。そこには同じ中学の友達の矢部君がいた。
「おぉ~矢部君だ。ひさしぶりー」
「やっぱり一球君でやんす。ひさしぶりでやんすね」
矢部 明雄(やべ あきお)君。僕が中学で初めて仲良くなった友達だ。
矢部君は僕に色んなことを教えてくれた。自慢できることではないが、僕は野球以外はほとんど無関心だ。だから最新の流行なんかは全く知らない。
そんな僕に矢部君は最新の流行を教えてくれた。確か前はモエがどうとか言ってたような。たまに意味が分からない用語を言ってくるのだが、これが今時の流行なんだと勝手に理解した。家に帰って母さんに聞いてみたが母さんも知らないらしい。
そして矢部君は野球もうまい。矢部君はシニアではなく中学の野球部に所属していた。以前野球部の練習を見させてもらったのだが、矢部君の俊足と守備のうまさは特に光っていた。
何度かシニアで野球をしようと誘ったのだが断られてしまった。矢部君と同じチームでプレイしたらとても楽しそうなのに……。
あっ!!でも矢部君もパワフル高校の野球部に入るかもしれない。いや、絶対入ると思う。矢部君野球が大好きだって前に言ってたし。
~回想~
「そういえば矢部君って何で野球始めたの?」
「それはもちろん野球が好きだからでやんす。(女の子にモテる的な意味で)」
「そっか~。うん、やっぱり野球は最高だよね」
「でも結果が伴わなければ意味がないでやんす!!(何でオイラはモテないでやんすか!!)」
「(結果か……確かにそうだよな。いくら練習ではうまくても、試合で活躍できないと意味がないかもね……)うん、そうかもしれないね」
「そうでやんす!!一球君。お互いがんばるでやんす!!」
「うん。がんばろう」
~回想終了~
あんなに熱くなるほど野球を語ってたんだからきっと矢部君はこの高校でレギュラーを狙ってるんだろうなぁ。僕も見習わなくちゃ!!
「それにしても一球君がパワフル高校に来てたなんて意外でやんす」
「あはは、まぁ僕の頭じゃ行ける所は限られてるし。とりあえず野球部さえあればいいかなぁ~って思って」
「?何言ってるでやんすか?パワフル高校に野球部はないでやんすよ」
「……へ?」
「だから、ここの高校には野球部はないでやんす」
……カレハナニヲイッテルンダ。ヤキュウブガナイ?……
「ホントニ?」
「マジでやんす」
「……うそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
こうして一人の高校球児の三年間が始まった。
あとがき
ss書くのがここまで大変だったとは……
もっと精進していこうと思います。
誤字・脱字・アドバイス等ありましたらよろしくお願いします。