福岡市西区の能古島で3月15日、女性の胴体の一部が見つかった。県警のDNA鑑定で同月上旬に失そうした会社員、諸賀礼子さん(当時32歳)と分かった。遺体の状況から死後に切断され遺棄されていた。
県警は遺体発見から約2週間、博多湾を捜索し続けたが、他の部位は発見できなかった。胴体の一部が漂着しなければ事件は闇の中だった。「被害者の無念が『見つけて』と訴えたのだろう」。県警幹部はつぶやく。
諸賀さんの告別式が4日、市内の斎場で営まれた。親族のあいさつは涙で途切れ、参列者の表情は一様に固かった。出棺はなかった。
遺体発見から間もなく1カ月。容疑者の逮捕には至っていない。「無念」に応える県警の捜査が続いている。
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2010年4月7日 地方版