“徳力軌道”の名残
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これはあくまで自己満足的な記事で、廃線跡と言ってもその遺構は全く無く、
とてもローカルな話なので、それをご了解いただいた上でご覧願います。
さて、表題の“徳力（とくりき）軌道”は、現在の北九州市小倉南区を南北に縦断する国道３２２号線の、
北寄りは旧道に沿って、南寄りは現道に沿って設けられた馬車軌道。 文字通り馬力により牽かれていた鉄道です。 区間は、あくまで個人的推測ですが、上の地図の赤い線の部分。 駅は恐らく、バスの停留所のような簡素なものだったと思いますが、 北方（きたがた）駅から徳力（とくりき）駅までの約３ｋｍの区間に、 その２駅を含めて、合計４つの駅があったようです。
１８９７（明治３０）年頃、小倉の中心部から馬車鉄道が北方駅まで開業し、
これが小倉電気軌道となり、その後、西鉄北方線（路面電車⇒１９８０年廃止）となったのですが、 その路線と接続する形で“徳力軌道”を開業させたのが、１９２３（大正１２）年３月。 しかし、２年後の１９２５（大正１４）年２月に休止。 同年１１月には廃止されてしまった、まさに幻のような鉄道でした。
この路線に気付いたのは、後述する旧道と現道の交わる部分の様子から、
「ここに鉄道があった感じがする・・・けど、そんなワケないよナ。」という、自分勝手な想像からでした。 それが、先日掲載した“紺屋原（こんやばる）鉱山”の存在を調べていくうちに、 偶然現実のものとして、歴史に残っていたというワケです。
つまり、本来の敷設の目的は、沿線住民の足というより、
紺屋原鉱山の銅の鉱石を運ぶ方がメインだったようですが、 紺屋原鉱山の採掘が芳しくなく、鉱山の衰退期と馬車軌道の開業が重なってしまった為に、 短命に終わってしまったと想像できます。
前置きが長くなりましたが、そろそろこの“徳力軌道”のルートを辿ってみます。
先ずは、地図にもある、陸上自衛隊小倉駐屯地の前からスタートです。 下の写真で、手前の道路が西鉄北方線の終点・北方駅跡。 馬車軌道は、奥に見える道路、国道３２２号線旧道を写真右手へ伸びていたものと思われます。 これが旧道で、ここを道なりに進んでいきます。 写真右手に、この道と並行して現在の国道３２２号線があり、その上を北九州モノレールが通っています。 下の写真は、モノレールだと守恒（もりつね）駅の辺りで、 恐らくこの辺りに“徳力軌道”の北方の次の駅、現在と同名の守恒駅があったと思われます。 この辺りにも、産出量は少なかったもののいくつかの鉱山があり、 道路がこの部分だけ広がっているのも、積出の為の諸施設があった名残ではないか？と、 つい考えたくなってしまうのですが、定かではありません。 ここから少し道幅は狭くなりますが、尚も道路は真っ直ぐ続いています。 そして、現道に接近していきます。 右手に見える高架がモノレールで、その下の両側が国道３２２号線の現道です。 そして合流点。 先述のように、「ここに鉄道があった感じがする・・・」と妄想に耽ったのが、この地点です。 現道は、中央にモノレールが通り、片側２車線、計４車線ある広い道路になっているので、 最早どの位置に馬車軌道があったか判らなくなっていますが、 とりあえず東寄り（写真左側）を通っていたと仮定して、先に進みます。 モノレールの徳力公団前駅の手前左手に、先述の紺屋原鉱山跡が見えてきます。 下の写真の奥に見えるのが、徳力公団前駅。 この辺りに、次の南方（みなみがた）駅があったはずなのですが、 その痕跡は国道３２２号線の拡幅により、消滅してしまったのでしょう。 モノレールの次の駅は徳力嵐山口（とくりきあらしやまぐち）駅。 そこに至る途中の景色ですが、ここもまた国道３２２号線の拡幅により、全く痕跡はありません。 徳力嵐山口駅です。 鉱山跡も過ぎたことだし、この辺りが馬車軌道の終点・徳力駅かと思いましたが、 資料による路線の距離、全長３ｋｍにはまだ足りません。 この駅を過ぎるとモノレールは、３２２号線から東へ逸れてしまいます。 丁度その分岐点の先、３２２号線が紫川を渡る直前が、北方駅から３ｋｍの地点。 まさか、わざわざ橋を造り、川を渡ったところが終点とも考え辛いので、 多分この川の手前が終点だったのでしょう。 地元史にはハッキリと記されている馬車軌道ですが、 それが存在した期間はあまりにも短く、遠い昔のことでもあるので、 まさに「雲を掴むような話」で、冒頭で述べた通りあくまで自分の想像の域を出ませんが、 とりあえず“徳力軌道”の検証は終わりました。 しかし、馬車軌道という軽便鉄道よりも更に簡素な交通機関だったので、 道路の雰囲気以外、何も痕跡が残っていなかったのが残念です。 |
