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トヨタ:大規模リコール問題 米制裁金15億円 トヨタ、受け入れ不可避

 ◇事実上「隠ぺい」認める形に

 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が5日、トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題で、アクセルペダルの不具合への対応の遅れを事実上の「欠陥隠し」と認定し、1637万5000ドル(約15億4000万円)の制裁金を科す方針を発表した。自動車メーカーへの制裁金としては過去最高額。トヨタは最終的に受け入れるとみられるが、事実上「隠ぺい」を認めた形になるだけに苦しい選択になりそうだ。【米川直己、ワシントン斉藤信宏】

 ◇訴訟にもマイナス

 ラフード米運輸長官は同日発表した声明で「欠陥を数カ月にわたり隠した」と指摘。トヨタ問題に関する米議会の公聴会では「十分に積極的ではなかった」(ロックフェラー上院商業・科学・運輸委員長)とNHTSA自身も批判されており、風当たりを和らげる狙いもあるとみられる。

 NHTSAの発表を受け、米メディアは早速「欠陥隠しが事実なら消費者がトヨタに抱く品質への常識は大きく覆る」(米紙ニューヨーク・タイムズ)などとトヨタ批判を展開。NHTSAは「アクセルペダル以外の不具合にも制裁金を科す可能性がある」と警告しており、調査の行方次第では更にダメージが深まりかねない。

 また、ニューヨーク州連邦地裁の大陪審は2月下旬、連邦検察局からの求めに応じ、トヨタにリコール関係の書類提出を求める召喚状を送付。刑事事件に発展する可能性は低そうだが、制裁金決定が大陪審の判断に影響する可能性もある。

 トヨタが制裁金を受け入れた場合、米国内で抱える100件以上の訴訟で不利に働くのは確実。とはいえ、受け入れずに当局と対立すれば批判の火に油を注ぐ結果になるため、徹底抗戦は事実上、取り得ない選択肢だ。

 トヨタは米国で3月の新車販売台数が前年同月比で4割増と急回復した。苦境脱出に光が差しているだけに、ここで問題を長引かせるより信頼回復を急いだ方が得策との見方が強い。

 トヨタは5日、制裁金を科される見通しとなったことについて「対応を検討している」とのコメントを発表した。トヨタ幹部は「制裁金を払った上で、言うべきことは言うという方法もあるが、簡単には判断できない」と頭を悩ませている。

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 ◆トヨタ自動車の品質問題の経過◆

 <09年>

 8月    レクサスES350に乗った家族4人の死亡事故が米カリフォルニア州で発生

 9月    米でフロアマットにアクセルペダルが引っかかり、カムリなど380万台で事故につながる恐れがあると発表

10月    マットを取り外すよう注意喚起を実施と米当局に通知

11月    米で8車種426万台のアクセルペダルの無償交換など自主改修を発表

 <10年>

 1月21日 米でペダルの不具合で8車種230万台を対象にリコール発表

   26日 米加で上記8車種の生産・販売の一時停止を発表

   27日 米で109万台を自主改修に追加

 2月 9日 「プリウス」など4車種をリコール

   24日 豊田章男社長が米下院公聴会出席

 4月 5日 米運輸省が制裁金を科すと表明

毎日新聞 2010年4月7日 東京朝刊

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