現場から

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顔 /神奈川

 支局で初めて泊まり番に入った深夜。「女性の変死体が見つかった」と県警から電話があり、鳥肌が立って眠れなかった。死亡交通事故の広報文が出ると、現場の方向に手を合わせた。だが支局にいた5年のうち、4年にわたり事件を担当する中で、そんな「おそれ」の感覚はなくなってしまった▼殺人事件、死亡事故、震災……。5年間を振り返って自分のパソコンを見ていたら、亡くなった方々の顔写真を数多く保存していることに驚いた。何かとてつもない力を持っていて、気合を入れないと画面を直視できない。おそれの感覚がよみがえる。唯一無二の顔こそが、当人への想像力を最大限にかき立てると再認識した▼4月、東京社会部多摩総局に異動します。多くの人の顔を見て、真相に迫る原稿をたくさん書きたいと思います。そしてお世話になった多くの方々に、この場を借りて心からお礼を申し上げます。いつかまた、お顔を見にうかがいます。【池田知広】

毎日新聞 2010年3月20日 地方版

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