【第164回】 2010年4月5日
一方、任天堂は 10年3月期決算内で、全世界で1000万枚級のヒットを3本飛ばしている。その3本とは「Wii Sports Resort」(1358万本)、「Wii Fit Plus」(1016万本)、「New スーパーマリオブラザーズ Wii」(1055万本)だ。
任天堂はもはや自社ハードにおける護送船団を形成する必要がなく、最悪、任天堂1社になってもやっていける状況だ。もちろん、有力ソフトメーカーとはケース・バイ・ケースで付き合ってはいくだろうが、業界全体を抱え込むような、コストのかかる護送船団方式はもはやとらないだろう。
それだけに、SCEに対する期待は高まっている。今秋SCEは、任天堂のwiiリモコンと同じように、振って遊ぶモーションコントローラ「プレイステーション ムーブ」を発売予定だが、それに伴って「夢よもう一度」ということで、SCEによるPS3護送船団の復活を望む声は強い。今後のSCEの行方を、業界全体が見守っている。
「ゲームのハリウッドを目指す」
新勢力「福岡」興隆の秘密
だが、ハードメーカーによる護送船団方式の復活は、本当に現在のゲーム業界の不況を救う手段になるのだろうか。たしかに、それは対症療法にはなるだろうが、抜本的な解決策にはなり得ないだろう。
それを実感させるのが、現在の福岡の状況だ。たしかに、シングの倒産という悲劇的な出来事はあったものの、福岡には「レベルファイブ」を筆頭に、「サイバーコネクトツー」、「ガンバリオン」といったソフトハウス、および関連企業が10社以上集積している。
特にレベルファイブの成長は著しい。起業10年あまりで、ソフトハウスからパブリッシャーにまで成長し、ナゾときアドベンチャーゲーム「レイトン教授」シリーズは全世界で900万本 以上の売上を達成している。この売上はコーエーなどパブリッシャーと呼ばれる大手ソフト メーカーも顔負けの数字だ。
それだけではない。レベルファイブは地元のサッカークラブJ2「アビスパ福岡」のホームグラウンドのネーミングライツも購入するなど、地元貢献度も高い。(写真「レベルファイブスタジアム」)
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