【ワシントン】オバマ米政権は6日、核兵器により阻止を目指す脅威の数は縮小していると宣言し、米国のミサイル防衛と通常兵器の進展は、核拡散防止条約(NPT)を順守する国への核攻撃がもはや必要ではないことを意味していると主張した。
オバマ政権はこの日発表した核戦略の指針となる「核体制の見直し」(NPR)のなかで、生物・化学兵器で米国が攻撃された場合でさえ、NPTを順守している非核保有国からの脅威に米国が核兵器による対処を表明する必要はもはやないと言及した。今回のNPR発表は、ブッシュ前政権が2001年の対米同時多発テロの数カ月後にNPRを発表して以来となる。
しかし、今回の戦略見直しでは、核攻撃の阻止が米国の核兵器の「唯一の目的」だと宣言するには至っていない。また、今回の報告書では、NPTを順守しない国が存在することから、米国の核兵器が米国とその同盟国に対する従来型攻撃もしくは化学兵器による攻撃を阻止する役割を果たす「狭いレンジの不測の事態」が引き続き存在する、と主張している。
今回の戦略見直しでは、「米国は米国とその同盟国ならびにパートナーの重要な国益が侵害されるような極めて重大な局面にのみ、核兵器の使用を検討するにとどまることを強調したい」と宣言している。