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きょうのコラム「時鐘」 2010年4月7日
新天地での初戦で決勝打と初アーチ。やはりすごい選手である。赤いゴジラの打撃に、赤く染まった観客席が興奮した
海の向こうでも球春到来。熱戦を気にしながら仕事をする。昼夜が逆転する時差を恨めしく思う季節である。もう1人の注目、イチロー選手も初安打を放った 日本を代表する2人は、仲がいいのだろうか。番記者に聞くと、「まあね」と煮え切らない反応が返ってくる。両雄の間には微妙な緊張感があるらしい。打順は4番と1番。打者の役割が違う。所属球団も、常勝軍団と優勝に縁遠いチームという差がある。野球観に違いがあっても不思議ではなかろう 画家の梅原龍三郎が仲間と共に富士を描いた折の話を聞いたことがある。目の前の雄大な姿を画布いっぱいに描いたのは当人だけ。「もっと大きく描け」と言っても誰も耳を貸さず、思い思いの富士を描いた。高名な画家は、忠告にまるで従わぬ仲間たちに驚き、感心し、しまいに強い個性を喜んだという 松井選手の移籍で、野球に対する取り組みの違う2人が同じ地区で顔を合わせる。増える両雄の対決が楽しみになってきた。 |