哨戒艦沈没:引き揚げのカギは「作業時間」(下)
1日当たり3時間なら7日、1時間なら20日
第2段階では、船体の下の海底に穴を掘り、鎖を通す。所要時間は少なくとも12時間。動員される装備は、海底地質によって異なる。海底が泥なら、掃除機のように泥を吸い込むことができるエアリフトを使う。砂や砂利などの場合は、ウォータージェットを使う。ウォータージェットは消火ホースのように強力な水流を吹き出し、海底にケーブルなどを埋設するのに使う装備だ。このほか、掘削機を搭載した小型の潜水艇を日本から借りてくるという手段も検討されている。掘削は、最初は細いロープが通る程度の穴を掘り、徐々に太いロープを通して穴を拡大した後、最終的に太さ90ミリの鎖を船体の下に通し、船体を吊る。鎖は1本につき長さ50メートル、重さは7トンに達し、船体の左右でそれぞれ330トンずつ、合計600トンの張力に耐えられる。
次の段階で船体を水上に引き揚げるためには、船体を吊る鎖に太さ70ミリ、長さ30メートルの鉄製ワイヤーを、左右それぞれ1本ずつつなぎ、海上のクレーンに連結しなければならない。所要時間は少なくとも4時間。鎖とワイヤーを結ぶときは、ワイヤー側に輪を作ってつなげるか、縄をなうようにワイヤーと鎖をよりあわせてつなぐ。ワイヤー1本は300トンの張力に耐える。鎖とワイヤーを持ち上げるには、120トンか150トン級の小型海上クレーンが使われる。海上クレーンが設置されたはしけには、4人のダイバーを収容できる減圧室が設置されている。ワイヤーまでつないだら、船体周辺を網で囲む。引き揚げの過程で行方不明者の遺体が破損したり、流失するのを防ぐためだ。
最後に、海上の3600トン級クレーン「大宇3600」や、2200トン級の「サムア2200」などの大型海上クレーンが、2-3時間かけて船体を少しずつ持ち上げ、はしけに乗せる。
■潮流と波が勝敗を分ける
この過程は、すべて「最適の作業状況」を想定した場合のものだ。問題は、気象などの作業条件だ。天安の船尾の引き揚げを担当する88水中開発のチョン・ホウォン副社長は、「理論的には、20時間で引き揚げを終えることができるが、決して簡単な作業ではない。潮流や波など、気象条件が随時変化する海では、予想外の状況変化により時間が余計にかかる可能性が高い」と語った。
引き揚げ作業が難航する要素は、潮流、波、水温、視界の4点。このうち最も大きな難関が、潮流と波だ。88水中開発のイ・チョングァン専務は、「水温は、ドライスーツなどを着用して体温を維持することができ、視界は、海底にサーチライトのような水中ライトを設置することで克服できるが、潮流と波は対策が極めて困難だ」と語った。潮流が速ければ、ダイバーの船体接近そのものが難しく、船体の重心を捉えにくくなるだけでなく、鎖やワイヤーが切れることもあり得る。また、波が高ければ、そもそも現場海域に作業船が接近できない。
ペンニョン島付近の西海は、今月7-9日に干潮と満潮の差が縮まる「小潮」が始まる。この時期は、潮流の速度が相対的に遅くなり、1日当たり5時間以上の作業が可能になると見込まれている。
アン・ジュンホ記者
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