液晶のバックライトに発光ダイオード(LED)を採用した「LEDテレビ」。ソニーが2004年に世界で初めて発売した製品だが、サムスン電子など韓国企業が世界市場を席巻し、日本勢との差は開くばかりだ。技術や販売開始は日本が先行したが、市場が成長し始めるとサムスンが新商品を大量投入して瞬く間に追い抜いてしまう。半導体のDRAMなどハイテク製品で繰り返された日韓逆転のデジャビュ(既視感)だが、日本のベンチャー企業がLEDテレビを低コストで実現する画期的な技術を開発して注目を集めていたことはあまり知られていない。
そのベンチャーはエム・アンド・エスフアインテック(M&SF、東京・港)。ソニーがLEDテレビを発売したのとほぼ同じ時期に試作開発した42型液晶テレビは赤、緑、青色のLEDを独自の配列方式で3300個搭載しており、これだけ多くのLEDをたった1個の駆動用IC(ドライバー)でコントロールできるのが特徴だった。
LEDは明るさの制御が難しく、当時、大手が開発したLEDテレビはドライバーを100個以上使うため、電力消費が少ないというメリットを生かせなかった。低消費電力と画質を大幅に向上させたM&SFの技術は注目を集め、日本の大手はほぼ全社が視察に訪れた。
M&SFは液晶業界では知る人ぞ知る存在だった。駐車場のターンテーブルをヒントに構造上不可能とされてきた大型液晶ガラス基板の機械研磨を1回でできる装置を開発して「液晶産業の縁の下の力持ち」と呼ばれた。第8世代(2.2メートル×2.5メートル)の液晶パネルに回路を形成するフォトマスクに使うガラス基板のほとんどは同社の装置で磨かれたものだけに、大手はベンチャーといえどもLEDテレビ技術に注目せざるを得なかった。
だが、各社とも「先を越された」とは感じても、採用する気はさらさらなかった。液晶テレビのバックライトは蛍光ランプを使うタイプが主流。水銀を含む蛍光ランプの代替品としてシャープなどはLEDを環境対応の切り札と認めていたが、韓国勢との安売り競争を強いられていたため、低価格の蛍光ランプからLEDへの乗り換えに踏み切れなかったのだ。
07年、M&SFの山本雪雄代表にLEDテレビに挑戦した理由を聞く機会があったが、「日本の大手液晶メーカーとの付き合いはほとほと愛想が尽きた」と怒りに満ちた表情になったことが印象に残った。「大手の要求は大型化あるのみ。価格競争に勝つことばかり考え、中小の技術を正当に評価せず、値段たたきを強いる」。もちろん大手がひしめく液晶テレビ市場の攻略が容易でないことは百も承知だが、一泡吹かせたいとの決意がうかがえた。ガラス研磨装置納入先のアジアの液晶メーカーに技術ライセンスする戦略だったが、思う通りに事は運ばず、起業家の野望は夢とついえた。
サムスンがM&SFの技術を採用した確証はないが、LEDテレビの試作機を公開した時の韓国勢の関心度合いは半端でなく、ソニーに追いつくため技術者を何回も派遣していた。関係者は「特にサムスンが技術情報の入手に熱心だった」と証言する。新技術の種とヒントが手を伸ばせばすぐそこにあるのに横並びで活用しなかった日本メーカーとの差は歴然だ。
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