【ニューヨーク=阿部伸哉】大規模なリコール問題を起こしたトヨタ自動車に対し、米運輸省が制裁金を科した。これにより議会を巻き込んだ米側の対応は、一応の区切りを迎えたことになる。
今回、制裁の対象となったのはアクセルペダルの不具合にかかわるものと限定されている。米道路交通安全局(NHTSA)のストリックランド局長は「さらなる違反がないか調査している。トヨタには説明責任を求めていく」と言明しており、第2弾の制裁が科される可能性は捨てきれない。
ただリコール問題をめぐる米メディアの批判は沈静化している。米ABCテレビのトヨタ報道をめぐり、過剰ともいえる“演出”が発覚。カリフォルニア、ニューヨーク両州で3月に起きたトヨタ車の加速問題でも、ドライバーの操作ミスである可能性が高まった。
こうした中、3月の米新車販売台数が前年同月比で約40%増と劇的な回復をみせ、トヨタのブランドイメージが市場ベースで予想外に傷ついていない実態も浮かび上がった。
11月の中間選挙を控えて、米議会内には、雇用にも貢献しているトヨタへの批判が「得点にならない」との空気さえ出始めている。
批判がトーンダウンしているとはいえ、対応次第では再燃するおそれもある。当面、トヨタには米当局や議会の動向を注視しながら消費者の信頼回復を図るという、薄氷を踏みながらの経営が求められそうだ。
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