「日本は第2の鎖国状態にある」三木谷浩史・楽天会長兼社長インタビュー
(前編)

2010年03月17日(水) 田原 総一朗
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三木谷 宿泊数だけですけどね。

田原 それでもすごい。

なぜ日本にサムソンが生まれないのか

三木谷 僕がアメリカもヨーロッパもけっこう厳しくて、アジアが伸びるだろうと思っているのは、中国、インドを含めて今から伸びてくる国というのは新しいITインフラの上に国家を作れるからなんですよ。国のシステムも非常に軽く、日本が何百億円もかけたのをたぶん何千万円くらいでやっちゃうんですよ。

田原 そうか、日本も含めてアメリカ、ヨーロッパはなまじっか国のシステムができちゃってると。官僚もたくさんいる。中国やインドとかそういう国はまだ国のシステムができてないから、ITの技術などによって国が新しく作れるわけですね?

三木谷 そうですね。タイなんかも国家調達の何%はネット上でやるとか、政策的にやってるわけですよね。ファイリングもすべてネット。紙なんかないわけです。官僚の仕事はやっぱり「紙」を作ることじゃないですか?

田原 みんな夜中まで働いてるのは、書類を書いているだけですね。

三木谷 意味ないですよ、紙に書いてもね。いや本は意味あるんですよ。そういう意味で言うと、今日本は第二の鎖国状態にあると思う。

田原 どういうことですか?

三木谷 要するに世界でどういうことが起こってるかとか関係ない。企業も世界に出て行こうというんじゃなくて、とにかくなんとか心地よい、ゆるやかな衰退をずっと続けていくんだなと。ハードランディングした方がまだましだと思うんですけど。結局ジェネレーションチェンジも起こらない。サムソンみたいな世界にどんどん出て行こうというファイティングスピリッツのある企業も出てこない。

田原 サムソンで驚いたんだけど。サムソン1社の売上は、日本の電気業界、パナソニックなんかね、全部合わせた利益の3倍なんですよ。日本の全電気業界の売上の3倍。なんでこんなことが起きるんですか?

三木谷 いや、それは世界をマーケットにしてるから。日本はガラパゴスですよね。

田原 ガラパゴス。

三木谷 携帯電話もそうですし、また今度NTTがやろうとしてる、NGNという次世代ネットワークも次なるガラパゴスだと思うんですけど。例えば、サムソンは日本向けのテレビ作るのやめちゃったわけですよ。なぜなら日本だけ基準が違うから、そんなばからしいことやってられるかと。ヨーロッパの一流ホテルに行ってもほとんどサムソンですよ、日本ブランドは見かけません。

田原 そうですか。

三木谷 それくらいブランドスイッチが起きている。

田原 一番典型はこれよね、携帯。

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