「日本は第2の鎖国状態にある」三木谷浩史・楽天会長兼社長インタビュー
(前編)

2010年03月17日(水) 田原 総一朗
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三木谷 つまり、日本の将来を考えたならば、なんとなくモラトリアム的に守ってるんじゃなくて、情報がわんさか世界に氾濫してる中で、この国はどうやって生きていくのか、どういう人材を輩出していかなければならないのか、ということを考えなくちゃいけない。
  ですから、フィルタリング規制とか、子どもはパソコンや携帯を使っちゃいけないとか、言ってる場合じゃないんですよね。いかに技術者をたくさん世の中に送りだしていくのか、最も最先端の情報産業を作るのか。そういうことをやらなくちゃいけないはずなんです。基本的には、国力=IT力なわけですよ。
  例えば、環境のいろんな技術に対してもネット上でavailable(入手できる)になって、それをいろんな人が一緒に研究開発しましょうというかたちになってくる。バイオなんて、ITそのものになりつつあるわけですよ、基本的には。そういう意味ではIT力=国の競争力になる。じゃあ、そういうことを政治家のトップの人達は理解しているのか? 門外漢、門外漢以上にわかってないでしょう。

「半分の予算で国は運営できます」

田原 もうちょっとそこを聞きたい。政治家のトップはわかってませんか?

三木谷 わかってない。というのは、まず自分がユーザーじゃないですよね。 

田原 ユーザーじゃない。

三木谷 それにどういうふうになっていくのか、という意味がわかってないと思いますよ。

田原 でも鳩山さん、ツイッターやってますよ。

三木谷 どうなんですかね、わかってないだろうなあ、経済的なインパクトまでは。高速道路の無料化とかじゃなくて、やっぱりITインフラでどうやって勝つかとかね。例えば僕が、日本の国という株式会社を経営しろと言われたら、半分の予算でできますよね、どう考えても。

田原 半分の予算でできる?

三木谷 ええ。絶対出来ます。

田原 どこが問題なんですか?

三木谷 人の数ですね、まず。

田原 ちょっと聞きたい、楽天は「楽天市場」だけで1兆円を超えたといいましたね。

三木谷 超えつつある。

田原 超えつつある。で、社員の数は何人? 

三木谷 グループ全部で約9000人です。

田原 9000人。

三木谷 楽天だけで3000人、楽天市場に携わってる社員が1000人ぐらいかな。

田原 ほう、それで1兆円を超えつつある。

三木谷 非常に端的なのが、旅行ビジネスです。宿泊数だけだと、もうJTBを抜いてるんです。楽天トラベルは。

田原 あっそう? JTBは社員1万人以上はいるんじゃない?

三木谷 3万人近いんじゃないかな。うちは、250人くらいなんです。

田原 えっ! 楽天は250人でそれでJTBを抜いちゃってる。

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