「日本は第2の鎖国状態にある」三木谷浩史・楽天会長兼社長インタビュー
(前編)

2010年03月17日(水) 田原 総一朗
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田原 ベトナムとかインドにはそういうメディアはあるんですか?

三木谷 そうですね。それぞれのローカルなポータルがあったり、インドだと英語圏なんで、グーグルがけっこう強いですね。

田原 今テレビ局は不況ですよね、新聞もですけど。一緒にやりませんかと言ってこないんですか?

三木谷 局地局地ではやってるんですよ、読売テレビさんといろんなことをやったり。ただキー局とは・・・あんまりやってないですね。でも「ショップチャンネル」というテレビ通販とは、毎週水曜日30分の枠をもらって、一緒にやっていたりします。そういう動きは増えると思うんです、これから。

田原 なるほど。ところで今の日本の不況です。今度の世界不況の震源地はアメリカですよね。サブプライムローンから始まって、リーマンブラザースが倒産し、金融パニックが起こった。そのアメリカでさえ経済成長率は日本より高いですよね。なんで日本はこんなに不況なんですか?

三木谷 ひとつは、未来に向かって成長していこう、新しいことをチャレンジしようという人を、どちらかというと、まあ英語で言うとdiscourage(落胆させる、くじく)してる。規制、規制、また規制をやっているということでしょうね。

田原 つまりチャレンジ、リスキーなチャレンジするのが、向こうの文化とは違うんですね。

三木谷 そうですね。例えば郵政民営化を元に戻すとか。

田原 なるほど。

「IT力=国の競争力」という現実を政治家は知らない

三木谷 新しいジェネレーション、つまりインターネットの前と後では違う世界なんですよ。

田原 違うってどう違うんですか?

三木谷 今までの国の競争力の源泉というのは知的な財産の集合体だったわけですよね? あるいは工場などの生産設備もそうですね。けれども、いわゆる情報の流れというもののスピードが全然変わっちゃった。スピードこそ競争力なんです。

田原 スピードね。

三木谷 たとえばプロダクトデザインにしてもですね、昔日本のクルマはかっこいい、中国のクルマはかっこ悪かった。ところが、いまは世界中のどこにいる人にも最新の商品のプロダクトデザインがその日の間に行きわたっちゃうわけでしょう。その日の間に最先端のものをコピーし出しちゃう。今までと違って。

田原 物の動きは、最も早く動いても飛行機。今や光ですね。

三木谷 1秒かかんないです。世界の裏側まで0.6秒ですね。サーバー経由しても、ですね。プラス、もっと端的に言えば、MIT(マサチューセッツ工科大学)の最先端の研究資料にインドの山奥に住む子どもがアクセスできるってことですよ。

田原 なるほど。

三木谷 これの意味することはどういうことなのか? よく考えるべきです。

田原 ちょっと聞きたい、どういうことなんですか、それは。

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