大学院(心理学)試験の推薦図書(建設中)

 昔,大学院生の時に作ったページである。世の中には心理学の大学院に進みたい方も多いかと思いますので,ここ数年次のような本を薦めております.院試に限らず,日々の心理学学習の参考にどうぞ.


基礎編:まずは概説書で心理を知ろう

・Hilgard's Introduction to Psycholigy(Atkinsonら. 2000 Harcourt Brace)

 いきなりの洋書です.何が基礎編じゃ!と思うのも無理はありませんが,院試の基本は「英語」です.おそらく最もよくできた心理学の教科書で,これを丸暗記すれば,おそらく院試に必要な知識はほとんど網羅できるというしろものです.結構手に入りやすいので,是非もっておくおくことを勧めます.現在は、ブレーン出版から日本語訳も出ているので、こちらを参考にするのもよかろう。

・心理学(無藤ら 2004 有斐閣)

 現時点で、「最も充実し、信頼できる」心理学の概論書。上記のヒルガードの教科書に匹敵するくらいの質の高さを持っているといってよい。これと有斐閣の心理学辞典は今後必須の「二枚看板」となること間違いなしである。

・心理学キーワード(田島信元 1996 有斐閣)

 最も手軽に心理学を「知る」には良い本です。この本に書かれている用語からまず学習するのが良いでしょう.

・グラフィック心理学(北尾ら. 1997 サイエンス社)

 シンプルな一冊ものとしてはお薦めの教科書。図表が多いので非常に分かりやすい。

・キーワードコレクション 心理学(田島信元 1994 有斐閣)

 院試向きの項目が充実.これを使うのは筑波大学では一時期定番でした.

・心理学辞典(中島ら. 1998 有斐閣)

 おそらく,心理学のことを知るにはこれ一冊で十分の本.私の周囲には,これをひたすら丸暗記して院試に臨んだ強者もいたりします.

応用編:各領域に強くなるには


(行動・生理心理学)

・行動学入門(Hebb 出版情報なし)

 筑波大学では一時期心理学概論の教科書になっていました.

・脳の探検(ブルームら 1987 講談社ブルーバックス)

 基本的に生理系はこの辺を押さえておけば十分でしょう.

・心理学の基礎(今田ら編 1991 培風館)

 行動・生理に限らず,基礎心理学のまとまった教科書.古いけど,受験には便利です.

(認知・感覚知覚心理学)

・グラフィック認知心理学(森ら. 1996 サイエンス社)

 これを越える本はなかなか出ないですね.認知関係の出題は最近増えていますので,ぜひ手元に.

・認知心理学(各者編 1995 東京大学出版会)

 おすすめの本としてはちょっと量が多すぎますが,認知を究めたいならばどうぞ読んでみてください.

(教育・発達心理学)

・教育心理学ルック・アラウンド(山崎ら)

 院試というよりは,教職採用の基本書としておすすめ.非常に分かりやすいのがポイントです.様々な事情か,最近になって改訂版が出ました。

・教育心理学(大村,下山編 1996 東京大学出版会)

 反対に,最も充実した「専門書」,内容にやや偏りがないとはいえないが,これ一冊で教育は何とかなる,というのも事実.

・最新教育心理学(桜井編 2004)

 最近の教育心理学の教科書としては,もっとも「偏りが少なく」,「コンパクトにポイントを突く」良書であると勧めたい。

・キーワードコレクション 発達心理学(子安増生 1995 有斐閣)

 前述の本の続刊.この程度の知識があれば,院試はやはり十分かと.

(社会心理学)

・グラフィック社会心理学(池上・遠藤 1998 サイエンス社)

 このシリーズは実によくできていると言っていいでしょう,図表が多いことは,研究センスをつけるのに向いています.

・新編社会心理学(堀ら 1997 福村出版)

 なぜ社会心理には素晴らしい本が多いのか,上記の本と2冊あれば,今の日本の大学院ではまず困らないのでは.

(臨床心理学)→筆者自体がこの領域には弱いので,ちょっと問題アリです.

・異常心理学「(デビソン・ニール著 村瀬ら訳 2000 誠信書房)

 タイトルからは誤解をしやすいが,「Abnormal psychology」の一大図書。心理臨床の基礎から発展まで,病態別に実に細かく解説された「ハンドブック」である。カウンセリングの技法などについては別の本に譲る必要があるが,クリニカルな知識の習得には薦められる。価格も高いので,臨床や発達臨床などを志す学生以外にはおいそれと薦められないが,持っていても損はないと考える。

・臨床心理学「ベーシック現代心理学」(坂野ら 1996 有斐閣)

 ちょっと前なら,臨床心理学の基礎からカウンセリングまで,実にまんべんなく網羅されているとして薦めた本.人によっては取りつきにくいという人も.後述の本にそろそろ譲る時期が来ているかもしれない。

・よくわかる臨床心理学(下山編 2003 ミネルヴァ書房)

 最近出た,よくまとまった教科書。臨床を目指す初学者の必携としては薦められるように思う。

・臨床心理学キーワード(坂野ら 2000 有斐閣)

 こちらは「臨床ではない」院試の受験者に向いているだろう。安価で多項目。内容も分かりやすい。「ミニマム・エッセンシャルズ」を目指すならこの本は推奨して良いだろう。

(心理統計・研究の方法)→心理統計の本は,別ページにリンクがあります.

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