ロザンの「新聞のススメ」
「ニュースはテレビ、インターネットで十分」「新聞をわざわざ読まなくても...」と思っていませんか。クイズ・バラエティー番組で活躍中のお笑い芸人ロザンさんは新聞を熱心に読んでいます。お2人に新聞の読み方、読んで得したことなどを楽しく語っていただきました。その様子を動画で配信中。初回は新聞との~出会い編~、シリーズで展開していきます。お2人のトークを是非ご覧ください。インタビュー記事とともにお楽しみください。
次回、その2~学生編~は、5月にアップ予定です。
学生時代に受験勉強で新聞をどのように役立てたかなどを語っていただきます。お楽しみに!
【インタビュー記事】
学歴を問われないお笑いの世界で、京大法学部を卒業した芸人の宇治原史規さんは異色の存在だ。
大学在学中の1996年、友人で大阪府立大経済学部の学生だった菅広文さんと「ロザン」という高学歴コンビを組む。受験勉強のころから芸能界に入っても役立ててきたのが、新聞だ。
宇治原さんは今や、かなりツウな読者だ。「一番楽しんで読んでいるのは総合面」。一つの記事に過去からの継続性を感じて興味を深めている。
たとえば、取材した日の紙面には「高校授業料の無償化対象から朝鮮学校を除外」という話題が載った。紙面の中の「閣内また意見バラバラ」という見出しを指さし、「『また』って何のことやねん、ってなるじゃないですか。前もそうだったと、読み続けていると分かってくる」。
数年前から、複数紙を読み比べるようにもなった。社説上で「ケンカ」している新聞があることに「面白いなあ」と感じた。
なぜ、違う意見を知ろうとするのか。「自分の考えの幅ができますよね。いろんな見方が分かってから、自分がどれを選択するか、となるほうがいい」。そんな視点で読むと、記事に結構記者の気持ちが入っていることに気づくという。
かつての宇治原さんにとって、新聞はニュースとその解説が書かれた「教科書に近い」ものだった。だから「新聞ごとに意見があるなんて知らなかった」。
それでも、高校時代から自宅で購読していた新聞の1面や社説に触れ、1面下のコラムは「面白いな、とか、勉強になるなと思ったきっかけ」になった。
宇治原さんは「毎日11時間」の受験勉強をしたという。新聞を国語の文章力アップに生かした。「国語力は活字を読んだ量にかなり比例する。新聞の文章はプロ中のプロが書いているので、むっちゃきれいだし、正しい日本語が書いているのを見過ごすのはもったいない」と強調する。
相方の菅さんも、芸人になって新聞を意識するようになった。漫才やコントのネタ作りを担当しており、「ネタができないときにワラにもすがる思いで、ヒントでもないかなと思って」本格的に読み始めた。テレビに出てニュースについて発言する機会もあり、「知っとくこと」の大切さをかみしめている。
菅さんが新聞に対して思うことは、読者にもっと分かりやすく書いて親しみやすくするのか、読めない若者にも「カッコイイ」と思われるあこがれの存在になるのかという点。本の執筆経験から「読みやすくする努力は必要」とも思うし、逆に「読まそうとせえへんほうが(気になって)読むんちゃうかな」という気持ちもある。
2011年以降は、学習指導要領の改訂で小学校、中学校の授業の中でも新聞の活用が義務化される。宇治原さんは、小学生が読むのなら、1回の授業で記事の最初の段落をじっくり読んでいく方法を提案した。
日本航空の会社更生法適用についての記事を例示しながら「会社更生法って何?」というところから、かみ砕いて説明を聞く。「ゆっくりやって『なんや、この程度のことやったんや』とわかると面白くなる」
若者らに向けて新聞も変わっていかないといけないのだろうか。「前に記事の文字の大きさも変わりましたし、『どこまで字がおっきなんねん』と思う。読みやすくしなくてもいいから、解説記事に図や表を入れてもらうと分かりやすくていい」と宇治原さん。
新聞社によって意見が違うことが広まったらいいとも言う。「記者の主観が入った記事とかも、もっとあっていいやろなあ」
プロフィール
菅広文(すが・ひろふみ)と宇治原史規(うじはら・ふみのり)で1996年コンビ結成。共に76年、大阪府生まれ。同じ高校で出会う。菅は大阪府立大学経済学部中退、宇治原は京都大学法学部卒業。98年デビュー。大阪にて劇場・テレビ・ラジオなどで活動、人気を集める。現在、テレビのクイズ番組などで活躍中。自伝的小説「京大芸人」「京大少年」(菅広文著)がある。コンビ名は、漫画「聖闘士星矢」にでてくる必殺技に由来する。