日めくり芸能界 4月
【94年4月5日】教育テレビの“壁”AV女優の「温泉ゴックン!」お蔵入り
1994年4月5日、NHKが人気AV女優の出演場面を放送直前で“お蔵入り”にしたことが明らかになった。出演していたのは“名付け親”がダウンタウンの松本人志として知られていAV女優・松本コンチータ(20)。わずか3日後の9日に教育テレビでスタートする予定だった知的エンターテインメント「金の斧 銀の斧」(土曜11時)の1コーナー「温泉ゴックン!」に準レギュラー出演する予定だったが、NHKは放送を延期するとを発表した。
関係者によると、このコーナーは全国各地の温泉を巡り、料理の味ではなく温泉の味を評価するという奇抜な企画。既に1回分の収録を済ませていたが、コンチータは水着に浴衣を羽織った姿で登場し、水着で入浴するシーンもあったという。
同番組は営業サイドの「最近、若い人たちが受信料を払ってくれない」との声を反映し、教育テレビの視聴率向上を目指してスタートすることになった番組。メーンキャラクターはタレントの高橋由美子(20)、“平成不況自慢”“1000人カラオケ”などの奇抜なコーナーが企画されていた。
コンチータの出演は週刊誌で報じられ明るみに出た。NHKは当初「裸を売り物にするのではなく、彼女の元気の良さ、軽い話術を生かしたい」(スタッフ)としていた。同局広報は「番組には様々なコーナーがあるが、ほかのコーナーと組み合わせを考えて“延期”することにした」と説明したが、局内、視聴者からの予想以上の反発から放送を見合わせざるをえなくなったというのが真相だろう。
これに対し、コンチータは「大変残念です。NHKは根性がないと思います」とぶ然。「NHKは“放送コードのギリギリまで勝負したい”と私に出演を依頼しました。収録では水着になりましたが、全然わいせつじゃありません。それなのに“番組にふさわしくないコーナー”との理由で放送を断られた」と説明。スポニチの「やっぱりAV女優だからだと思うか」との質問には「そういう感じはあります。でも今後もくじけず頑張る」と答えた。
一連の騒動でコンチータは逆に人気者となり、7月6日にはタレント・ポール牧(52)とのデュエット曲「お気楽で行こう」を発売。さらにビートたけし監督作品の映画「みんな〜やってるか!」にも出演した。NHKでお蔵入りとなった「温泉ゴックン!」は6月にニッポン放送「伊集院光のOh!デカナイト」の中で奇抜なコーナーを集める「バカ番組大賞」で復活。コンチータも「番組を思いっ切り面白くして、もしNHKの人が聞いてくれたら、もう一度企画を考え直してもらえるようにしたい」と張り切ったが、「温泉ゴックン!が日の目を浴びることはなかった。
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