2010-04-05
ボランティア団体の代表だった父から聞いた某運輸会社に寄付を募りにいった時に聞いた企業としての素晴らしい考え方と回答
ぼくの父はJVC(日本国際ボランティアセンター)という、第三世界をサポートするボランティア団体の代表を長らく務めていて、タイやカンボジアやエチオピアなどによく行ってボランティア活動に従事していた。その中で、日本の企業を回って寄付を募る営業活動もずっとしていたらしいのだけれど、そこでとても印象に残る出来事があったのだという。
それは某運輸会社に行った時のことだった。父のいつもの言い方で、「日本の企業は社会貢献をちっともしていない。欧米諸国では、寄付という形でそれをするのがある種の社会常識にもなっているのに、なぜ日本の企業ではそれができないのか。日本の企業も、金儲けばかりに走らないで、寄付をすることで社会貢献されてはいかがでしょうか?」といったような趣旨の提案をしたらしいのだ。
ところが、そこで返ってきた答が、非常に印象的だったのだという。細かい文言までは覚えていないそうなのだが、その某運輸会社の担当者は、社会貢献を説く父に向かって、こう言ったのだという。
「我々は、お客様を安全に目的地にお運びすることで、すでに社会貢献を果たしている」
そうして、父の依頼は、もちろんそれだけが理由ではないだろうが、結局断ったというのだ。
それで父は、依頼を断られて残念は残念だったのだが、その某運輸会社の担当者が言った「お客様を安全に目的地にお運びすることが社会貢献になっている」という視点、つまり「企業活動そのものが社会貢献である」という考え方に、なるほどとも思わされたのだという。
それまで父は、企業というのは金儲けのことばかりしか考えておらず、社会貢献とはほど遠いものだと思っていた。また、これまで訪ねていったどの企業からも、その某運輸会社のような考え方や回答は得られなかった。
だから、寄付を取り付けられなかったのは残念だったけれども、某運輸会社のその回答は、とても新鮮だったし、大いに学ばされるところがあったのだという。そこから父は、企業というものの見方が少し変わって、おかげでいい経験になったと語っていた。
ぼくも、この話を聞いてとても面白いと思ったし、また素晴らしいとも思った。この話の素晴らしさのポイントは、その某運輸会社の担当者が言った「業務そのものが社会貢献になっている」という考え方はもちろん、それを父に向かって胸を張って答えられたこと――にもあると思う。
これは、常日頃からそういう意識がなければすぐには出てこない考え方であるし、またもしそれを実践できていなければ、寄付を募るボランティア団体に向かって正々堂々答えることもできなかったと思うのだ。
「企業は社会に貢献するために存在する」
これは、ある種当たり前のことでもあるから、ことさらに取り上げるようなことではないという人もいるかも知れないが、ぼくはそれはちょっと違うと思う。これは確かに当たり前のことで、社会の原理原則かも知れないけれども、しかしそれだからこそ忘れている人は多いし、見失っている人も多いのではないだろうか。だから、こういうことをあらためて取り上げたり、確認したり誉めたりすることはとても重要なのだ。
そしてまた、それを伝え広めていくことも、ぼくはとても重要だと思う。だから、今回こうしてブログに書かせて頂いたし、またぼく自身も、それを忘れたり見失ったりしないために、生きている限り、伝え広めていく存在であり続けたいと思っている。
ちょうど今度、4月17日に福岡で講演会をすることになった。
これは、テレビの仕事でたまたま福岡に行った時にお会いした、福岡の若い雄志の方から、「ぼくの書いた本について何か話してくれ」という依頼を受けて決まった企画である。
ただそこで、ぼくは「この本のことを話すのはもちろんやぶさかではないのだが、それ以上に『ぼくがこの本でどう社会貢献しようとしたのか』ということや、あるいは『社会貢献する上で大切となってくる基本や原則』のことをお話しするのはどうか」と、逆にご提案した。その方が、聞きに来てくれる皆さんにより貢献できるのではないだろうかと考えたからだ。そうしたところ、それではぜひその内容を話してほしいとの快諾を頂き、今回お話をさせて頂くことになったのだ。
講演のタイトルは、そのものズバリ「今、福岡でどう生きるべきか」。
ぼくの持論に、「人間は自分のことが一番分からない」というのがある。人間の目が、自分自身の目を直接見ることはできないのと同じように、人間も、自分自身のことについては、実は分からないことがとても多い。そして、他人からは自分の目を簡単に見られてしまうように、人間も、自分では分からないのに、他人からは当たり前のように知られていることが実はとても多いのだ。
だからぼくは、福岡に住んでいないぼくだからこそ話せる、福岡のことがあるのではないかと思っている。ぼくはこれまで、福岡には仕事で三回しか行ったことがない。しかし、だからこそ分かる福岡というのがあるのだと思う。だからこそ見える福岡というのがある。そうしてぼくは、そのことをお話ししようと思う。ぼくはこれまで、何かを観察し、それをお伝えするということについて、長年修練を積んできた。だから、福岡のことを観察し、それを福岡に住む皆さんにお伝えするということは、ぼくの強みであり、また皆さんに最も貢献できることでもあると考えている。
もしよろしければ、これをお読みになった福岡にお住いの皆さんにも、ぜひ会場に足をお運び頂きたい。そして、福岡に住んでいないぼくから見た福岡を、皆さんにお伝えできたらと考えている。
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