読書端末にもなる米アップルの「iPad(アイパッド)」は、電子書籍の新たな地平を開くとの呼び声が高い。週刊誌大の画面サイズやカラー表示、音楽や動画も楽しめる多機能性が、書籍のもつ可能性を広げるとみられているからだ。しかし国内出版社は米国発の高波を前に、大同団結して身を固くするばかり。新たな舞台に踏み出せるか、岐路に立たされている。
2007年11月に米アマゾン・ドット・コムが「キンドル」を投入した米国。09年10月に発売されたバーンズ&ノーブルの「ヌック」など、電子書籍専用端末が覇権争いの火花を散らす。端末の普及に伴い、08年後半から電子書籍市場も急成長している。09年10~12月期は5590万ドル(約52億円、米IDPF調べ)と前年同期の3.3倍だった。
アップルがiPad向けに開設する電子書籍のオンラインショップ「iブックストア」には、ペンギングループなど米欧の大手出版社5社がコンテンツの提供を表明している。電子書籍市場の拡大に弾みがつくのは間違いない。