ペン先について                                               last up date 2008/04/15


<ペン先>

万年筆のペン先は、ペン芯によって、流れてくるインクを切割りに引き継いでペンポイントへ送り、さらに紙に接触して文字を書く、万年筆でも最も重要な部分です。
滑らかな書き味には、適当な弾力とペンポイントの滑らかな丸みが必要で、これが万年筆の命です。
従って、ペン先の製作には、細心の注意と、55工程もの手数がかけられているのです。
中屋万年筆で使用するペン先のアップ


<ペン先材料>

万年筆のペン先は、素材によって、主に以下の2種類があります。

 @18金・14金のペン先
 高価なため、高級万年筆につけられます。
 金は、さびたり腐食したりしない為、インクに含まれている硫酸・塩酸
 ・硝酸にも腐食されません。
 しなやかな書き味が魅力です。

 Aステンレス
 金ペンに最も近い書きやすさと耐酸性がある素材です。
 しかも低価格なため、中級以下の製品に採用されています。
  

さらに、ペンポイントには、ダイヤモンドに次いで超硬度の耐磨耗性のイリドスミンを熔着。いつまでも、使い始めた時の万年筆の書き味を保たせています。

イリドスミン
ペン先の先端についている銀色に輝く小さな金属です。イリジウム、オスミウム、ルテニウムが65%、白金その他金属35%で配合した合金です。
分子が非常に緻密で、金属で最高の硬さがあり、かつ一番重い金属です。ダイヤモンドの次、という超硬度!
磨いた表面は銀光沢のなめらかさがあり、紙の上をさわやかに滑ります。
耐酸性・耐摩耗性が高く、イリドスミンをペン先につけて筆記すると、距離で、 60km〜70km、字数で500万〜600万文字。1日1000字書く人でも約10年間の使用に耐えられます。

<特に14金のペン先が万年筆に最適>
 その理由は、以下の通りです。
 @耐酸性に優れ、インクによって錆びたりせず、長年の使用に耐える。
 A14金の柔軟な性質が、筆記時の弾力性にない良い書き味が得られる。
 Bペン先の先端のイリドスミンとの密着性が高く、
  耐摩耗性を維持したまま溶着できる。



<ペン先の種類>


ペン先の種類は、筆記線の太さで分類されます。
この種別は、ペン先に刻印されていますので、購入時には、確かめてください。


                             条件: 筆記圧 50g 筆記角度 60゜の場合で測定
種 別  筆記線の太さ(mm)  特徴 ・ 用途
 超極細  0.18〜0.24  特に細かい数字・文字に適し、簿記向き 
 極 細  0.24〜0.28  細かい数字・文字に適し、簿記向き 
  細   0.28〜0.34  一般的な細字・ノートなどの学生向き 
 細 軟  0.28〜0.34  ペン先が柔らかいので筆圧により少し太い文字も書ける 
 中 細  0.32〜0.38  中と細の間。一般的な手紙文向き 
  中   0.34〜0.44  滑りがよく、一般向き 
 中 軟  0.4〜0.5  ペン先が柔らかいので筆圧により少し太い文字も書ける 
  太   0.44〜0.54  原稿・宛名書き向き 
 極 太  0.66〜0.86  特に太い字を好む人向き 
 Music  0.9〜1.0  縦に太く横に細い線を書くことができ、楽譜、カリグラフィなども書ける 

※中屋では上記の中の『中細』ペン先はありません。ご要望の場合はカルテにより中字からの徴性となります。

※ペン先のデザインにつきましては予告なく変更になることがありますが、筆記性能には関係がありませんので
  ご了承下さいませ。

 →中屋の細軟・中軟・ミュージックの詳細

 各ペン先での筆記サンプル


上から、

ミュージック、

極太、
太、
中軟、
中、
細軟、
細、
極細、
超極細



<軟ペン加工>
 





ペン先の両サイドを部分的にカットすることにより、より一層の柔軟性を得ることができます。

 加工前  加工後
 ミュージック  ミュージック軟
 極太  極太軟
 太  太軟
 *中軟  *中・特軟
 *細軟  *細・特軟
 極細  極細軟
 超極細  超極細軟

*中屋既存の軟ペン(細軟・中軟)をベースにすることでさらに柔軟性のあるものができます。(特軟ペン)

・追加加工料金 ¥10,500
・ご参考  ミュージックの染分 \15,750 、 ミュージック染分の特軟ペン先は \26,250 となります。 
・染分けペン先は両サイドのカット部分が絵柄に干渉します。
・その他 上記にピンクゴールド、ルテニウム、ロジウムなどの表面処理をした場合の価格はこちら となります。


<ペン先の製作工程>

万年筆のペン先は、
地金 型抜き マーク・穴あけ 絞り イリドスミン付け 芯出し 切割り 先端研磨 先端バレル 仕上げバレル 仕上げメッキ、など
55の工程を経て、作られます。

詳しい工程 工程の詳細へ


<ペン先の耐久性>

万年筆のペン先は、10年20年も書くことができる耐久性を持っています。
書ける字数は、500万文字〜600万文字。
延べ筆記距離 60km〜75km。1日1000字書くとして、約10年間書くことができるのです。



<ペン先の弾力>

特に日本文字を書くには、ペンの弾力が命です。
ペン先の弾力を決めるのは、5つの要素。
万年筆を購入する時には、この5ポイントをチェックしてください。

@材質

  金ペン先と耐酸ペン先とでは、弾力がかなり違います。
  18金が最も柔軟で、次いで14金です。
  ステンレスは、剛性が強い金属です。
  しかも低価格なため、中級以下の製品に採用されています。

A地金の厚み

  地金を厚くすれば硬くなり、地金を薄くすれば軟らかくなります。
  また、先厚の勾配を適当に加減すると軟らかくなります。
    

Bわん曲度

  ペン先は、アーチ型に湾曲して絞り加工されています。
  わん曲が深いほど、弾力は硬く、浅いほど軟らかくなります。
  また、三角絞り、五角絞りなどの角型の絞りは、わん曲絞りに比べて
  若干硬くなります。  

    深い湾曲   浅い湾曲



Cハート穴

  ハート穴の形状・大きさ・位置によって、弾力がかなり変わってきます。
  ハート穴の形状が横広で大きいほど、筆記時に筆圧が横に逃げるため
  軟らかくなり、逆に円穴で小さいほど硬くなります。
  また、ハート穴の位置が先端に近いほど硬くなります。
  形状は、次のようにいろいろあります。





D穂先の長さ

  穂先が長いほど弾力は軟らかく、短いほど硬くなります。



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