ここから本文エリア 不祥事続く桑名市役所「モノ言えぬ」指摘も2010年04月05日
■「にらまれると不利益」「会話しにくい」 取引業者から4千万円をだまし取ったとして、桑名市の元環境政策課長が先月30日、詐欺罪で起訴された。昨年11月には水道部の元職員が加重収賄罪で有罪判決を受ける汚職事件があった。取引業者との金銭のやりとりをめぐって半年間で2人の逮捕者を出す異常事態の背景に、「モノ言えぬ」市役所内の体質を指摘する声もある。 「競走馬を持って、飲み歩き、私生活が派手なのは、市役所職員みんなが知っていました」 詐欺罪で起訴された元市環境政策課長太田耕史被告(54)の同僚だったベテラン職員はこう語る。同僚らに借金を繰り返していたのも有名だった。 しかし、同僚らから、太田容疑者の業者との癒着ぶりや借金問題を上司などに指摘する声は出なかった。ベテラン職員は「市役所内で、上に意見を言う職員はほとんどいない」と話す。 太田容疑者は2001年4月に環境安全課係長に昇進後、市民や業者の苦情処理の手腕などが認められ、2年3カ月という異例の早さで課長になった。さらに水谷元・市長ら幹部の信頼が厚い「主流派」とみられていた。 この職員は、水谷市長が旧桑名市長を含めて14年の長期にわたって市長の座にあることも、職場風土に影響していると指摘する。「上ににらまれたら飛ばされますから」 市の元部長は、退職間際に主要な部の部長職を外された。思い当たるのは、市の発注工事で業者からの参入の働きかけを拒み、公正な業者選定に努めたことだった。 元部長は「市長の周りはイエスマンばかり」と指摘する。市長には都合のいい報告しか上がらず「まるで裸の王様。市長もかわいそうだ」。 「2度と市役所本庁舎では働きたくない」 桑名市と合併した旧町から本庁舎に異動した経験がある若手職員は、市役所本庁舎の仕事をこう語る。上司は気に入らない部下に書類を何度も書き直させたり、怒鳴りちらしたりして、職員は指示された仕事だけを黙々とこなしていた。「仕事中に冗談はもちろん、会話もしにくかった」 桑名市議会も、太田容疑者逮捕後の先月12日、市職員の度重なる不祥事に関する決議を採択。「市の組織体制、職場風土のどこかに問題がある」と批判した。 水谷市長は先月10日の緊急幹部会で、不祥事防止には「風通しが大切」として、副市長室や部長室の仕切りを取り払うことなどを指示したが、市役所の体質を根本的に改革しようという意識は薄い。中堅職員は「トップの発想がこれでは情けない」と嘆く。 先月31日には、水道部汚職で、上司2人が工事費の水増しを指示するなどの関与をしていたことが新たに判明したが、水谷市長は「他にはないと思うので全庁的な調査はしない」と話す。 ベテラン職員は「市民に納得してもらえる調査をしない理由が分からない。調査したらまずいことがあるのではと疑ってしまう」とあきれた。 ◇◆道徳心欠如■人事、公平にやった◆◇ 水谷元・市長は職員の不祥事が相次いでいることについて、朝日新聞の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。 ――半年間に職員が2人も逮捕されました。今回は管理職の逮捕です。 大きなショックです。もう少し客観的に、そういった悪いことができないようなお互いのチェック機能、監視と言うとちょっときついですが、それをしっかり働かせなければいけないと思います。 ――太田容疑者の逮捕後の記者会見で「そういった風土もあるのかもわからない」と述べた真意は何ですか。 汚職的な風土(という意味)ではなく、事件の一番の核心は公務員倫理の欠如以前に社会人としての道徳心がまったく欠如していた。2人とも同一職場で長く勤め、職場でのなれ合いがあり、チェックが入りにくかった。風通しが悪かったということです。 ――一部職員は、市長ら幹部の偏った人事評価で、職員が意見を言えず、業者との癒着も注意できなかったと指摘しています。 そういう指摘があれば気を付けなければいけませんが、私自身は非常に公平にやってきているつもりです。ゴマすり的なことが嫌いですから。 ――水道部汚職では、上司が裏金づくりや工事費水増しを指示していました。全庁的な調査はしないのですか。 何かあれば調査することは当然あると思いますけど、そういった事案はありませんので、調査の必要性はないと考えています。
マイタウン三重
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