哨戒艦沈没:引き揚げ方法とは(下)

 業者の説明によると、順調に進めば作業は15時間から20時間で終了するが、気象条件が悪い場合には、どれだけ時間がかかるかわからないという。88水中開発のイ・チョングァン専務は、「天候がよくて1日に4時間作業できれば、5日ほどで引き揚げ作業は完了できる。しかし気象条件が悪いと、何カ月かかるか分からない。潮の流れ、波の高さ、水温の低さ、視界の悪さなどで作業が難しくなることも考えられる」と述べた。

 引き揚げ作業を行うに当たっての条件は、非常に悪い。引き揚げ計画の取りまとめに参加した海軍関係者は、「天安が沈没している海底は、地盤が非常に固くて細かい砂に覆われている。そのため船の下にトンネルを通すのは容易ではない。沈没した船にケーブルなどの障害物が絡まっていることも考えられるため、チェーンの連結も難しいだろう」と述べた。この関係者はさらに、「爆発で割れた天安の船尾は耐久性も低下しているはずで、重心を取るのも難しいだろう。そのため、チェーンで引き揚げる際に船体が崩れることも考えられる」と述べた。

油や武器の流出に神経を尖らせる

 軍当局は、天安を引き揚げる過程で、燃料タンクから油が流出して海が汚染される事態に備えた対策も準備している。天安には現在、七つのタンクに13万6000リットルの燃料が積まれている。引き揚げ作業の際にこれらの燃料が流出しないよう、船体の周囲にオイルフェンスを設置し、流出を防ぐ計画だ。

 軍は、甲板に設置してあった誘導弾や魚雷、爆雷などはすでに流出した可能性が高いとみている。これらを安全に処分するために、機雷探索船のソナー探知機や韓国海洋研究院の探査船「離於島」に搭載された高性能サイドスキャンソナーを利用し、船体周囲の残骸を3次元の立体映像で撮影し、回収する作業を行っている。

 船体を引き揚げて排水を行う過程で、行方不明者が負傷したり、遺体が損傷・流出する可能性もあるため、これを防ぐために艦艇の周囲にネットを張って作業が行われる。

李衛栽(イ・ウィジェ)記者

アン・ジュンホ記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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