哨戒艦沈没:「天安」引き揚げ作業、少なくとも10日間必要

ナム・ギフンさんも遺体で発見

 軍当局は「天安」沈没から10日が過ぎた4日、海底に沈んだ船体に入って行方不明者を捜索する作業を中断し、船体を引き上げる作業に取りかかった。故・ハン・ジュホ准尉や98クムヤン号沈没などの犠牲が相次いだことで、行方不明者家族会が捜索の中止と、船体の引き上げを要請したことによるものだ。軍関係者などは、気象条件が良好であれば、早ければ10日ほどで引き上げ作業は完了できると見ている。

 合同参謀本部情報作戦処のイ・ギソク処長(海軍中将)は「4日午前0時を期して、沈没した船体を海上に引き揚げる作業を開始することにした。すべては行方不明者家族会の決断に従ったものだ」と述べた。

 家族会は今月3日夜9時40分に会見を開き、「潜水隊員が船体に入った場合には、さらに犠牲者が出る危険性が高い。そのため海軍当局に捜索活動を中止するよう要請した」と明らかにした。

 引き揚げに関しては専門の業者が担当し、軍は天安沈没の周辺海域で、行方不明者や遺品の捜索に力を入れる。また海底に残っている可能性のある魚雷や機雷などの残骸を捜索し、沈没の原因も解明したい考えだ。海軍はこの日、ソナー(音波探知機)を装着した機雷探索船2隻を追加で現場に投入した。

 軍当局は船尾と船首を海面に引き上げた上で、船体をバージ船でえい航し、行方不明者を捜索する計画だ。船尾の引き揚げは88水中開発、船首は海洋開発公社がそれぞれ担当する。引き上げ作業は▲クレーンの固定と周囲の状況把握▲船体へのチェーン連結▲海上への引き上げと排水▲船体をバージ船に載せて行方不明者捜索▲平沢への移動という5段階で行なわれる予定だ。合同参謀本部の関係者は「4日には民間の潜水夫による船体下部と地形の把握、トンネル掘削予定位置の下調べなどが行なわれる」「船尾に関しては午後1時40分にこれらの作業は完了した」と明らかにした。

 これに先立ち3日午後5時59分、海軍海難救助隊(SSU)所属の潜水隊員らが船尾の食堂天井付近から、故・ナム・ギフン上士(下士官の一部の階級)=36=の遺体を発見し、収容した。この結果、天安の行方不明者は45人となった。

 軍当局は天安の事故発生時刻について、「当日夜9時19分ごろ、天安と第2艦隊司令部の間で交信が行なわれた」と明らかにした。これは軍当局が事故発生時刻を夜9時22分と発表しているにも関わらず、一部から「事故が起こったのは夜9時15分」という指摘が相次いでいることに対する説明だ。これについて金泰栄(キム・テヨン)国防長官は「(交信内容は)日常的なものであるため、軍の通信網には記録されなかったようだ。これは国際商船の通信網に記録されていた」と述べた。

 天安に対する民間と軍の合同調査団で団長を務めるパク・ジョンイ陸軍中将も、「この交信内容は日常的なもので、非常に穏やかな内容だった」と説明した。合同調査団は▲科学的な捜査▲情報・作戦状況の分析▲爆発の類型分析▲船体構造の管理の4つの分野ごとに、改めて調査を行なう計画だ。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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