哨戒艦沈没:漁船救助をめぐる問題点(下)

海上警察が初歩的なミス

EPIRBの誤作動を放置、国土海洋部にも責任

 EPIRBは、国際航海に従事する船舶や遠洋漁船に設置が義務づけられているが、誤作動が非常に多いのが難点とされている。昨年、海上警察が受信した173件の遭難信号のうち、93.1%に当たる161件が誤作動によるもので、実際の沈没などによる遭難信号は12件(6.9%)に過ぎなかった。この誤作動率は2006年には93%、07年91.6%、08年92%と、ここ4年間の平均が92.4%に達する。原因の内訳を昨年の場合に限ってみると、原因不明が31.2%(54件)で最も多く、取り扱い上のミスが27.7%(48件)、気象状況によるものが20.8%(36件)の順だった。乗組員がこの装置を誤って作動させたり、波の影響で装置が誤作動するケースが多いというのが、海上警察の説明だ。この装置が実際に使用され始めた1996年以降、誤作動問題は常に指摘されてきたが、これといった改善策は立てられていない。

 海上警察の関係者は、「遭難信号が誤って発せられるケースが多いため、連絡がつかないという理由だけですぐに警備艇を出動させることはきない。(信号が受信されると)まずは船主や、周辺で操業する漁船などと連絡を取り、船の状況について確認を行う。この装置を1年か2年に1回ずつチェックする国土海洋部が、まずはチェックの間隔を短くして、より根本的な対策を立てるべきだ」と語る。この関係者はさらに、「遠洋漁船は騒音が大きいため、通常は無線通信機の電源を切っている。そのため装置はあまり役に立っていない。ただし、周辺に別の船舶がない状況で遭難信号が送られてきた場合には、連絡がつかなければすぐに出動する」と述べた。

カンボジア船籍の貨物船を取り調べ中

 仁川海洋警察署は4日、98クムヤン号と衝突して沈没させた容疑で、カンボジア船籍の貨物船を大青島に停泊させ、取り調べを行っている。海上警察は「この船の船長は“小さな衝撃”があったことを認めている」と明らかにした。さらにこの貨物船の前の部分から、98クムヤン号と衝突した際に付いたとみられるペンキの跡を発見したと発表した。海上警察はこれを、5日に国立科学捜査研究所に送る予定だが、検査結果が出るまで10日以上かかるとみられる。

 98クムヤン号の乗組員で行方不明者の家族二十数人は4日現在、仁川中区の沿岸住民センター2階に待機している。

 「2年前の秋夕(チュソク、韓国の旧盆)で1度顔を見てから会っていない。危険なため船に乗るのはやめるよう、何度も言ったのに…」

 船長のキム・ジェフさんの弟ジェフンさん(40)は、顔を両手で覆っていたが、目から涙がこぼれていた。

 死亡したキム・ジョンピルさんと同居していたイ・サムイムさん(56)は、遺体が安置されている松島家族愛病院に駆けつけ、ハンカチで涙をふきながら、キムさんの遺体を見つめては顔を上げ、キムさんの冥福を祈っているようだった。

仁川=崔在鎔(チェ・ジェヨン)記者

李信栄(イ・シンヨン)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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