【コラム】民主党は北朝鮮の「代弁者」なのか(上)

 哨戒艦「天安」沈没事件の渦中で、野党の民主党は北朝鮮による関与説を徹底して排除し、北朝鮮に罪はないと主張するなど、「北朝鮮の代弁者」の役割を買って出ている。民主党指導部は「北朝鮮による攻撃の可能性は非常に低い」などと、北朝鮮による関与はないと断定するかのような発言をはばからない。

 責任ある当局者も、「天安」の沈没が北朝鮮の攻撃によるものだと断定したことはない。むしろ大統領府(青瓦台)は北朝鮮の関与を示すいかなる証拠や手掛かりもないと説明している。このため、一部からは大統領府が南北関係の悪化を懸念し、意図的に北朝鮮による関与説を抑えようとしているのではないかとの懸念も聞かれるほどだ。国防部長官も「外部」または「魚雷」という表現を用いただけで、北朝鮮を名指ししたことはない。

 それにもかかわらず、関与説を先に否定した北朝鮮を民主党が擁護する理由は何か。民主党が沈没の内幕を知ることができる情報やルートを持っているならいざ知らず、そうでなければ、民主党の主張は彼らの本心を示すものにすぎない。民主党は北朝鮮の無罪を主張する理由として、▲金正日(キム・ジョンイル)総書記の動向・平壌のムード・北朝鮮軍の動きを考えると北朝鮮による攻撃の可能性は低い▲米軍が北朝鮮による関与に根拠がないと述べた点—などを挙げている。民主党はさらに、韓国軍の管理ミスや内部事故などの可能性を指摘している。その上、民主党関係者は「保守層を結集できる「北風疑惑」(北朝鮮による関与疑惑)を政略的にでっち上げようとするものだ」と述べ、陰謀説まで示唆した。

 しかし、民主党が掲げた理由や根拠には説得力がない。まず、水面下で南北首脳会談の可能性を模索しているとされる李明博(イ・ミョンバク)大統領は、南北関係の行き詰まりを懸念しているようだ。そんな政府が証拠もなく、北朝鮮のせいだと言うのは矛盾する。第2に、北朝鮮による関与を示す手掛かりがある程度明らかになったとしても、政府は北朝鮮側が認めない限り、対応は限られる。報復すれば大規模な衝突を招くリスクがあり、司法的に解決しようといっても明確な証拠がない上、数年の時間を要する。その上、李明博政権は政局混乱が韓国経済に与える影響を最も懸念している。第3に、明らかな証拠もない北朝鮮関与説に傾斜するほど、韓国国民は未熟ではなく、時代がそうした動きを認めることもない。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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