【コラム】中国の経済民族主義(上)
世界の産業界で最近一番話題になっている企業は、米国のIT企業グーグルと、世界第3位という英豪資源大手リオ・ティントだ。中国政府によるインターネット検閲で2カ月以上も対立してきたグーグルは、このほど中国支社を閉鎖し、香港移転を決めた。西側社会からは「加入者4億人のインターネット市場を放棄した勇気ある決断」と称賛されたが、中国政府からは「報復対象第1号」に挙げられている。
リオ・ティントも中国のおかげで有名になった。中国国営の鉄鋼企業・中国アルミニウム(チャイナルコ)のリオ・ティント買収が失敗に終わった昨年 7月、リオ・ティント中国支社社員4人が収賄や産業スパイ容疑で中国当局に突然逮捕された。この件は、オーストラリア国内で中国に反発する世論を巻き起こすなど、両国間の大きな懸案になったが、中国支社社員はこのほど裁判で収賄容疑を認めた。だが、リオ・ティントは13億5000万ドル(約1250億円)を投資するチャイナルコとアフリカ・ギニアの鉱山開発事業を共同推進することで先日合意した。
興味深いのは、グーグルとリオ・ティントの決断はそれぞれ違うものの、両社に対する中国政府の姿勢は「譲歩なしの圧力攻勢」で一致しているということだ。漢陽大学のミン・グィシク教授は「中国は経済大国戦略の一つとして『敢于闘争 善于勝利(闘うことを恐れなければ勝利できる)』という兵法の原理を実践している」と話す。いわば「中国で事業を行いたいなら中国の法律に従え。嫌なら荷物をまとめて出て行け」ということだ。
実際、こうした動きは今年に入り、一層強まっている。先月発効した中国の新特許規定がその代表例だ。この規定は、外国人投資家がバイオ・製薬などの新成長産業に進出する場合、多額の特許関連費用を負担させるようにし、進出を阻むものだ。また、海外の製薬各社は、中国政府が一方的に決めた価格で現地企業にライセンスを与えなければならない。また、エルメス、ベルサーチ、トミー・ヒルフィガーなど30の輸入ブランドに対し、今月「85製品中48製品が中国の品質基準に満たなかった」と、中国当局が「あら探し」したのも同じ意図だ。
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