統一地方選:選挙応援に奔走する公務員たち(下)

■妻を派遣し「代理応援」

 選挙運動のために、個人情報が含まれる団体の名簿をはじめ、地方自治体の内部の資料を提供するよう求めるケースも多く、公務員たちが文書を流出させる可能性も高まっている。ソウル市松坡区のある職員は、「次期区長の候補者たちが、地域の事情をよく知るセマウル運動(農村振興運動)中央会、婦人会、“正しい生活運動協議会”などの団体の名簿を提供するよう求めてくる。候補者たちが同様の名簿を自分で作成しようとすれば、恐らく数カ月もかかるだろう」と語った。また、ひどいケースでは、地方自治体による長期間にわたる投資事業や業務計画、予算などを教えるよう求めることもあるという。ソウル市のチェ・ドンユン監査官は「選挙戦が激しくなるにつれ、一部の公務員らがパソコンを通じ、非公開の内部文書を流出させることが、最も懸念される」と話した。

 公務員たちは、自分が直接応援できない場合、妻を「代理運動員」として首長の応援に駆り出すこともある。ソウル市のある局長は「区長たちの選挙運動の多くは、区役所の職員の妻たちがやればよい」と語った。また、激しい選挙戦で、誰が当選するか分からないような場合は、妻を対立候補の陣営へ送り込み、二またをかけるケースもある。自分が推していない候補者が当選した場合、報復を受けるのを恐れ、一種の「保険」を掛けるというわけだ。

■「昇進や配転のために死活をかける」

 公務員たちが選挙の前に特定の候補者に付こうとするのは、昇進を狙ったり、主要な分野への異動を希望するため、躍起になろうとするからだ。ある区役所の関係者は、「区長が代われば、職員1000-1200人(洞事務所〈市の出張所と公民館の機能を持つ施設〉を含む)のうち、70-80人が一斉に交代するが、総務・監査・企画・広報などの主要な分野の職員はほぼ例外なく入れ替わる」と語った。現職の首長が不出馬宣言をしたり、連続で3期を務め、多選制限規定に引っ掛かる場合、公務員たちが有力な候補者として誰の名前が挙がるかについて、公務員たちが地域の政界関係者などの動向に注目するのもこのためだ。

 政府は最近、行政の効率性を低下させる、公務員による選挙応援を禁止するため、特別な取り締まりを行うという方針を打ち出した。これについて専門家たちは、「自治体の首長が代われば、自分を支持しない職員たちに報復人事を行う慣習がなくならない限り、公務員たちの選挙応援はなくならないだろう」との見解を示した。

(イラスト)李撤元(イ・チョルウォン)記者

李恵云(イ・ヘウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る