【コラム】「生き金」を使う方法(上)

 敬老優遇による無料乗車で、ソウル市内から温陽温泉(忠清南道牙山市)まで通う高齢者が現れ、地下鉄公社が苦慮しているというニュースが報じられた(本紙3月15日付「敬老優待乗車制度に苦心する韓国政府」)。「放漫経営による赤字を高齢者のせいにしようとしている」という反発がある一方で、「高齢者が地下鉄を占拠しているのは事実だ。ひと月に無料で利用できる回数を制限すべき」という声もある。回数制限をめぐり、国土海洋部も苦慮しているそうだ。

 回数を制限する前に、考えなければならない問題がある。地下鉄公社は、高齢者のために電車の運行を増やしているのではないということだ。高齢者が乗るからといって、運行コストが急増するわけではない。高齢者や障害者がよく外出する国は健全な国だ。どの路線までが無料なのか、その周辺にはどんなおいしい店があるのかを研究し、最低限のコストで最大限楽しむ高齢者は、「生活の達人」として敬われるべきだろう。もし、高齢者に対しひと月に一定額を「レジャー費」として策定・支給することになったら、それは孫のおやつ代や夕食のおかず代にすり替わり、無駄になる可能性が高い。しかし、そうではなく地下鉄に乗ることでライフスタイルが変わり、生活の質が向上しているのだ。それでこそ「生き金(使っただけの価値があるお金)を使った」といえよう。

 お金を有効に使うべき分野はほかにもある。それは青少年に関する分野だ。

 釜山少女誘拐・暴行・殺害事件のキム・ギルテ容疑者に関しては、数多くのニュースが報じられたが、このうち最も印象的だったのは、キム容疑者は知能指数(IQ)86でも、犯罪に関する限りは知能がかなり高いのでは、という3月17日付の本紙記事(「釜山少女暴行殺害:キム容疑者は知能犯?」)だった。19歳から11年間を刑務所で過ごしてきたキム容疑者は、皮肉なことに、捜査機関や矯正機関で犯行方法や犯行をごまかす方法を体得したかのように見える。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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