ベンツデザインの将来を担う在米韓国人(上)

ジュネーヴ・モーターショーで、自身がデザインしたF800の前でポーズをとるベンツ・デザイナーのイ・イルファン氏。

 今月4日から14日まで開催されたジュネーヴ・モーターショーには、メルセデス・ベンツの将来を占う1台の車が展示された。「F800」という車だ。1991年のF100を皮切りに、これまで8回にわたり紹介されたFシリーズは、ベンツの技術とデザインのあり方を集成した車として有名だ。今回F800が欧州の自動車業界やメディアから注目を浴びているのは、今後打ち出されるベンツのデザイン哲学が同車に込められているからだ。同車のデザインを担当したのは、韓国人のイ・イルファンさん(37)だ。

 「2002年にベンツの米デザインスタジオに入社し、死に物狂いで働いた。少しずつ自分のデザインが認められ、次第に重要な仕事を任されるようになった」

 イさんは「今回のF800は、今後のベンツの方向性を決定する大変重要な車種だ。この仕事を担当するようになったことは光栄だが、一方で重圧感も感じる」と話した。

 イさんがベンツデザインの中核的な役割を果たすようになったのは2006年、ベンツのイメージをリードする「ベンツCLS第2世代」のモデルデザイン競争に参加してからだ。 ベンツ・カリフォルニアスタジオで働いていた当時、イさんがデザインした3台の車が、競争モデルに選ばれ、2006年10月にはドイツへ派遣された。2007年2月、ドイツ本社経営陣の最終選択を控えている状況だった。当時夫人が妊娠7カ月だったにもかかわらず、仕事に打ち込むしかなかった。結局、イさんは息子の誕生をそばで見届けられなかったが、代わりに自身の作品が経営陣に選ばれる喜びを味わった。イさんがデザインした第2世代CLSは今秋、パリ・モーターショーで初公開される。

 イさんがデザインしたCLSはベンツ内で好評を得て、次世代ベンツのデザインのあり方を示したと評価されている。イさんの才能は次第に認められついに、イさんがデザインしたF800がジュネーヴで注目を集めることになったのだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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