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「拉致」取り組みアピール=黄元書記訪日、冷ややかな目も−中井担当相

「拉致」取り組みアピール=黄元書記訪日、冷ややかな目も−中井担当相

 拉致問題担当相は5日、訪日中の黄長◆(火ヘンに華)元朝鮮労働党書記と会談し、日本人拉致問題の解決に向けて取り組む姿勢をアピールした。しかし、今回の黄氏の訪日で、新たな情報がもたらされる可能性は低い。政府内には「中井氏のスタンドプレー」を冷ややかに見る目もある。
 黄氏は5日午前の中井氏との会談に続き、同日午後は中井氏のほか中山恭子自民党参院議員ら約10人の国会議員を前に、拉致問題や金正日党総書記の体制について約2時間、非公開で講演と質疑応答を行った。
 黄氏の訪日は1997年の亡命後初めてで、「拉致問題で何らかの進展になる」として中井氏が主導。中井氏は昨年10月、ソウルを訪れ、韓国政府高官に黄氏の訪日を要請していた。
 ただ、思想面から北朝鮮の独裁体制を支えた黄氏は、拉致については詳しく知る立場になかった。外務省幹部は「黄氏が拉致について新しい情報を持っているなら、これまでに日本側に伝えていたはずだ」と指摘。政府内では、黄氏が訪日しても拉致問題の進展につながる情報は得られない、との見方が多い。黄氏の講演後、中井氏も「(拉致新情報は)あったということではない」と認めざるを得なかった。
 中井氏は大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元工作員の訪日についても積極的で、5月にも実現の方向で調整中だ。だが、黄、金賢姫両氏は北朝鮮にとっては「裏切り者」。「北朝鮮に反発の口実を与えるだけ」との指摘もある。外務省幹部は「今回の案件は中井氏が仕切っており、外務省はかかわっていない」としており、政府内の足並みもそろっていないのが実情だ。(2010/04/05-17:46)


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