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来日看護師候補全員が不合格 '10/4/5

 経済連携協定(EPA)に基づき、中国地方5県の医療施設で働くインドネシアとフィリピンからの看護師候補者のうち、2月に国家試験を受けた24人全員が不合格だった。日本語受験や資格制度の違いが壁となっており、医療施設も困惑している。

 呉医療センター(呉市)で働くインドネシア人のロバエアさん(29)とヌル・ライラトゥール・イスチコマーさん(25)も合格できなかった。

 母国で日本語を4カ月間習い、昨年11月に来日。2カ月の研修後、今年1月から同センターで働く。看護助手として、器具消毒やシーツ交換を担当する傍ら、神田弘子副看護部長たちから受験勉強の指導も受ける。

 2月の国家試験は日本語で実施された。問題を読みこなすことさえ十分にできないまま終わった。与えられた受験機会は3回。残り2回に望みをつなぐ。

 母国では看護学校卒業と同時に資格を得られる。就職した診療科の知識は深まるが、日本の国家試験で問われるような広範囲の知識には欠ける面がある。出題される日本の医療や保険制度も学ばなければならない。

 神田さんは「日本人にも難しい漢字の専門用語を覚え、短期間で試験を突破するのは困難。効率の良い勉強法を考えないと…」と悩む。

 医療法人あかね会(広島市中区)は昨年2月、廿日市市の病院にインドネシアからの看護師候補者2人を雇い入れた。日本人看護助手と同等の賃金を払い、語学学校に1年間通わせた。教育費は2人合わせて年間300万円を超えた。

 それだけ投資しても人材がほしい。国内の看護師は慢性的に不足し、新規採用枠50人の半数が確保できない年もある。看護師候補者2人は2年連続で不合格となった。今一浩総務部長は「最後の受験まで支援するが、現行制度のままでは、新たな受け入れは難しい」と打ち明ける。

 広島国際大(東広島市)の岡崎仁史医療福祉学部長は「施設も候補者も負担が大きい。国が事前に語学研修や専門教育を徹底するなど、改善が必要だ」と指摘している。

【写真説明】勤務後、神田さん(中)の指導を受けるロバエアさん(右)とヌルさん


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